お盆の行事の送り火って何?正しいやり方や時間などについても解説

公開日 : 2020/12/5

更新日 : 2020/12/10

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お盆の行事の一つに送り火というものがあります。最近は、送り火をするところが減ってきましたが、この送り火とはいったいどういう意味があるのでしょうか?送り火の意味はもちろん、正しいやり方や時間帯、時期などについても解説します。

公開日 : 2020/12/5

更新日 : 2020/12/10

目次

送り火とは?

送り火はお盆のときに行う行事の一つです。ただ、近年では送り火をするところは減ってきています。そんな送り火にはどのような意味があるのでしょうか? まずは送り火の意味や期限などについて解説します。

ご先祖様を見送る儀式

送り火とは、簡単に言えばご先祖様を現世からあの世へ送るための儀式です。送り火を行うことによってご先祖様の魂はあの世へ戻っていかれます。

 

お盆は本来、あの世へ旅立ったご先祖様の魂を現世へお迎えするための期間です。お盆の期間、ご先祖様の魂は現世へ戻り、現世で生きている人たちと一緒に過ごします。

 

しかし、あの世へ旅立った魂はいつまでも現世にいることはできません。一度あの世へ旅立った魂が現世に長くいると、悪霊になってしまうという説もあります。

 

悪霊にならず、清い魂でいられるようにという願いも込めて、現世の人たちはご先祖様の魂があの世へ戻るお手伝いをします。それが、送り火なのです。

室町時代以降に定着

送り火がいつ頃から始まったのかは定かではありません。送り火の儀式自体が謎に包まれており、その起源や由来がはっきりしないのです。

 

ただ、一部の文献などによると、平安時代の頃には現在の送り火に近い儀式がすでに行われていたとされています。当時は神事として、身分の高い人の間だけで行われていたようです。

 

それが戦国時代に入り、戦いに敗れて亡くなった武士たちの魂を鎮めるという意味を込めて、行われるようになりました。神事だったものが、魂を鎮めるという意味合いに変わったようです。

 

室町時代に突入すると、庶民の間に仏教が浸透します。この仏教の浸透と同時に送り火も年中行事の一つとして定着したと言われています。

送り火を行うのはいつ?

送り火はいったいいつ行うのでしょうか?送り火を行う時期や時間は決まっています。詳しい送り火を行う日にちや時間について紹介します。

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お盆の期間に行う

送り火はお盆に行う行事の一つです。そのため、お盆の期間に行います。ただ、お盆と言っても実際の期間は何日間かあります。

 

上記の送り火の説明で、ご先祖様の魂を現世からあの世へ送るための儀式だと解説しました。ご先祖様の魂が現世からあの世へ戻るのは、お盆の最終日です。

 

これらのことから、送り火はお盆の最終日に行うとされています。一番最後の日に「また来年もいらしてくださいね」という願いも込めて行うのです。

 

ただし、一口に「お盆」と言っても、地域によってお盆の期間は異なります。地域別のお盆の期間について、以下で解説します。

東京を含む関東の一部(2020年)

東京など関東の一部では、お盆の期間は7月13日~16日までの4日間とされています。そのため、送り火を行うのは最終日に当たる7月16日です。

 

ちなみに2020年の場合、東京などの関東の一部では7月16日(木)に送り火を行いました。送り火を行うことが今でも習慣になっているところでは、この日に一斉に送り火を行ったことでしょう。

関西の場合(2020年)

関西の場合は、東京などの関東の一部とはお盆の時期が異なります。関西でお盆期間とされているのは8月13日~16日の4日間です。関東の一部に比べてちょうど1か月遅いのです。

 

2020年の場合、関西では8月16日(日)が送り火を行う日でした。現在も送り火を行う風習が残っているところでは、この日に送り火を行ったことでしょう。

送り火を行う時間

送り火を行うのはお盆の最終日だということはわかりました。それでは、お盆最終日なら何時でも送り火を行っても良いのでしょうか?実は時間についてもある程度決められています。

 

お盆は7月または8月の13~16日の4日間です。そのうちのお盆最終日は16日ですが、お盆明けと呼ばれる時間があります。一般的にお盆が明けるのは16日の夕方頃です。そのため、送り火も16日の夕方に行うのが良いとされているのです。

 

厳密な時間については特に決まりがありません。ただ、あまり早朝から行うのも良くありませんし、夜遅すぎると火事の原因なども考えられるので不適切でしょう。

 

最も良い時間帯は17~19時くらいとされています。このくらいの時間帯なら遅すぎず早すぎずちょうど良いというのが一般的な考え方です。

送り火の正しいやり方

送り火には正しいやり方というものがあります。送り火を行うのなら、正しい方法でご先祖様の魂をあの世へ送りたいものです。 そこで、送り火を行う際に準備するものや正しい手順などについて紹介します。

用意するもの

送り火を行うにあたって準備するものは以下の通りです。

 

  • 盆棚にお供えしていたオガラまたは松の木
  • 新聞紙
  • 炮烙(ほうらく)

 

お盆期間中、盆棚にオガラをお供えします。オガラはホームセンターなどで入手可能です。しかし近くにホームセンターがないなど、オガラが手に入りにくい環境もあります。そのような場合は、オガラの代わりに松の木をお供えします。

 

新聞紙は、送り火を行う際の種火を作るために使用します。湿っていると煙ばかりが出て火が付きにくいので、必ず乾いたものを用意しましょう。

 

炮烙(ほうらく)とは、素焼きの平皿のことです。耐熱性が高く、その上でオガラを焚いても変形したり焼け落ちてしまったりすることがありません。炮烙が手に入らない場合は、耐熱性のお皿を用意しましょう。

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送り火の一般的な流れ

送り火は、簡単に言えばお盆期間中にお供えしていたオガラや松の木に火をつけて燃やすのが一連の流れです。 ただ、詳しい手順がありますので、一般的とされているその手順について紹介します。

炮烙にオガラをを入れる

まず炮烙にオガラや松の木を入れます。オガラや松の木が炮烙よりも大きい場合は、手で小さく折ってください。

 

オガラや松の木は、キャンプファイアーを行う際に作る木組みのように重ね合わせると良いでしょう。適当に折り重ねても良いですが、四角い木組みを作るようにして重ねると、より火が付きやすくなります。

種火を作って火をつける

次に新聞紙に火をつけて種火を作ります。オガラや松の木に直接火を点けても、なかなか燃え上がりません。スムーズに燃え広がらせるために、種火を作ります。

 

オガラや松の木を四角い木組みを作るようにして重ね合わせた場合、真ん中に四角い空間ができます。この木組みの真ん中に新聞紙を小さくちぎって入れると良いでしょう。新聞紙に火を点けると、オガラや松の木にその火が燃え移ります。

灰を集めて処分

最後に、燃えカスが灰となって残るので、これらを集めて処分します。この時、必ず完全に火が燃え尽きるまで見ていなければいけません。目を離してしまうと火の粉が舞い、火事の原因になるからです。

 

また、火が燃えている間は、ご先祖様の魂があの世へ向かっていると考えられています。火が完全に燃え尽きれば、ご先祖様の魂が無事あの世へ到着したというサインなので、最後まで見届けましょう。

 

集めた灰は、小さな袋に入れて一般ゴミとして処分します。自宅に庭がある場合は、庭の片隅に埋めると良いでしょう。燃やしたものはすべて土に還るものばかりなので、問題ありません。

新盆の際の送り火

新盆の際の送り火は、一般的な送り火とは少し様子が異なります。なぜなら、新盆の際に使用する灯篭も一緒に燃やすからです。

 

新盆では、真っ白の灯篭を使用します。通常は柄の入った灯篭を使用しますが、新盆だけは真っ白の灯篭を使用するとされています。真っ白の灯篭は新盆のときだけしか使用しないため、送り火のときに一緒に燃やすというのが一般的です。

地域によって異なる送り火

新盆を除いて、一般的には送り火でオガラや松の木を燃やします。しかし、地域によってはこの送り火の方法が異なるところもあります。 ここでは、特に代表的な送り火の行事などについて紹介します。

広島県の灯篭流し

送り火は一般的に玄関先などでオガラや松の木を燃やします。しかし、オガラや松の木を燃やす代わりに、灯篭を川などに流すところがあります。

 

最も有名なのが広島県の灯篭流しです。これは、お盆の最終日にオガラや松の木を家の前で燃やす代わりに、火を灯した灯篭を川に流し、あの世へ旅立つご先祖様の魂を見送るという行事です。

 

広島県で灯篭流しが行われる理由として、原爆が挙げられます。原爆で亡くなった人たちの魂を慰める鎮魂の意味を込めて、灯篭流しが行われるようになりました。

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京都の大文字焼き

夏の風物詩の一つとしても大変有名な京都の大文字焼きは、お盆に行われる送り火の一つです。別名「五山の送り火」とも呼ばれています。

 

なぜ、お盆の季節に京都で大文字焼きが行われるようになったのか、その由来や起源は謎に包まれています。一説には、戦国時代に行われていた「万灯会(まんとうえ)」が、盂蘭盆会の時期に山腹に点火され、それが大文字焼きに変化したと言われています。

 

京都の大文字焼きは、東山如意ヶ嶽の「大文字」が最も有名です。しかし、東山如意ヶ嶽以外にも、金閣寺大北山では「左大文字」、松ヶ崎西山と東山では「妙法」、西加茂船山では「舟形」、嵯峨曼荼羅山では「鳥居形」も点火されます。

 

長崎県の精霊流し

長崎県の精霊流しも、お盆の行事として行われる送り火の一つです。精霊流しというと、川に灯篭や人形などを流すとイメージしがちですが、そうではありません。

 

長崎県の精霊流しは、盆提灯などで美しく飾り付けられた神輿が道路を練り歩くというスタイルです。また、神輿が練り歩くと同時に爆竹などに火を点けて派手に音を鳴らします。

 

ご先祖様の魂が現世からあの世へ帰っていくのは、決して悲しいことではないという考えがあります。悲しいことではないのなら、賑やかに見送ってあげたほうが良いということで、派手な送り火が行われるのです。

送り火とセットの迎え火

送り火とセットになっているのが迎え火です。迎え火がなければ送り火は行われません。そこで、最後に迎え火について簡単に解説します。

迎え火とは

迎え火とは、簡単に言えばご先祖様の魂をあの世から現世へお迎えするためのお盆の儀式の一つです。家の前で迎え火を行うことで、ご先祖様の魂が迷子にならず現世の自宅へ戻ってくるとされています。

 

「魂は迷子になるの?」と思う人がいるかもしれません。人間の魂は肉体を離れてあの世へ行くと、現世のことを忘れてしまうとされています。戻ってくる方法がわからなくなるのです。

 

魂が迷子になってしまうと、それは悪い霊になってしまうとも考えられています。そのようなことも防ぐという意味も込めて、迎え火を行うのです。

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迎え火はいつ行う?

迎え火はご先祖様の魂をお迎えするための儀式の一つです。そのため、お盆の前日またはお盆の初日に行うのが一般的とされています。

 

時間帯は夕方が良いとされています。お盆の前日の12日の夕方、またはお盆初日の13日の夕方に迎え火をするのが一般的ということです。

 

ただ、地域によってはお盆の月の1~7日の間に迎え火を行うケースもあります。迎え火を先にしておいて、いつご先祖様の魂が帰ってきても良いように準備をしておくのです。

迎え火のやり方

迎え火のやり方は送り火のやり方と同じです。用意するものもまったく同じで、迎え火の際に特別に用意するものはありません。

 

「オガラや松の木」と「新聞紙」と「炮烙(ほうらく)」を用意します。オガラと松の木は両方準備する必要はありません。どちらか一つで良いとされています。

 

玄関先や門口で、炮烙の上にオガラや松の木を木組みの形に組み、真ん中に新聞紙を入れます。新聞紙に火を点けることでそれが種火になり、オガラや松の木に火が付きます。

 

燃え残った灰はすべて集め、ビニール袋に入れて口を閉じ、一般ゴミとして処分しましょう。庭がある場合は、庭に埋めると良いでしょう。

 

新盆の場合、迎え火で燃やすものはオガラや松の木だけです。新盆で使用する真っ白の灯篭は送り火のときのみ燃やします。

便利な迎え火セット

迎え火の準備するものとして、オガラまたは松の木と炮烙(ほうらく)が挙げられます。これらは自分で用意しようとしても見つからないことも多々あります。

 

最近は、お盆の時期が近付くと迎え火セットというものが売り出されます。迎え火に必要なオガラや炮烙などがセットになっているので、これを活用すると良いでしょう。

迎え火はまたぐと良い?

迎え火については、またぐと良いとされています。ご先祖様をお迎えする迎え火をまたぐなんて、失礼になると考える人もいるかもしれません。しかし、これには理由があります。

 

迎え火はご先祖様をお迎えするため火ですが、この火は大変神聖なものと考えられています。魂そのものが尊い存在だと考えられているため、その魂をお迎えする迎え火も尊いとされているのです。

 

尊いとされている迎え火には、病などの災いを退ける力が宿っているとされています。迎え火をまたぐことで無病息災のご利益が得られると信じられており、またぐと良いとされているのです。

 

このような考え方があるのは迎え火だけで、送り火にはありません。またいで良いのは迎え火だけなので、送り火はまたがないように注意してください。

お盆の最終日は送り火でご先祖を見送ろう

送り火は、現世を訪れたご先祖様の魂をお見送りする神聖な儀式です。正しい方法を知って、神聖な気持ちでご先祖様を見送ってあげてください。