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お通夜での焼香とは?焼香の意味からマナーまでを徹底解説

一般的にお通夜やお葬式で行われるお焼香。人や宗派によって方法が異なる焼香は、何度もお通夜に参列していてもこれで大丈夫かな?と不安になってしまう儀式のひとつです。今回はお通夜で行われる焼香の持つ意味や基本的な方法、マナーまでを徹底解説していきます。

公開日 : 2020/11/11

更新日 : 2020/11/11

目次

お通夜で迷ってしまう「焼香」

身内はもちろん、生前に関わりのあった方が亡くなったという知らせは何度経験をしても大きな衝撃をもたらします。亡くなったのがお世話になった方、近しい方であればその大きなショックを受け止めきる前にお通夜や葬儀に参列せねばならず、いざ参列した時にマナーで迷ってしまうことも多いでしょう。

 

特に迷ってしまうのがお通夜や葬儀で行われる「焼香(しょうこう)」です。参列者が順番にお香を焚く儀式ですが、見様見真似で行っている方も多いのではないでしょうか。

 

お焼香の持つ意味とその基本的な作法、そして細やかなマナーを押さえておけばもう迷うことはありません。

そもそも焼香とは?

そもそも焼香とはどのような意味を持つ儀式で、どうして行われるものなのでしょうか?宗派によって方法も異なりますし、使われるお香にも種類があります。しかしその意味はどの宗派であっても概ね同じと考えられています。

 

焼香の持つ意味を知っておくことでお通夜の際の不安も減りますし、ひとつの儀式に一層心を込めることができます。

焼香の意味とは?

お通夜やお葬式で行われる焼香とは、インドで生まれた仏教の儀式の一つです。インドでは今でもお香を焚く習慣がありますが、日本のお通夜やお葬式で行われる焼香とは同じ起源と考えられています。

 

仏教においてお香は仏様の食べ物であると考えられていることに加え、お香を焚くことで

 

  • 穢れを払う
  • 心身を清める
  • 魂の幸せを祈る

 

などの意味を持つとされています。

 

亡くなってしまった方の魂を慰め、あの世でも幸せに暮らして欲しいと心から願うために行われる儀式というわけですね。

焼香は3つのスタイルがある

焼香には大きく分けて3つの方法があり、お通夜が執り行われる場の大きさや参列する人数によって使い分けされます。

 

一般的なお通夜の場合は席から立ち上がり祭壇の前に歩み出て立ったまま行う「立礼焼香」の形が取られることが多いでしょう。

 

お通夜が斎場ではなく自宅で行われる場合に多いのが座って行う「座礼焼香」です。祭壇の前で行うのは立礼焼香と同じですが、一旦座ってから焼香を行います。

 

最後のひとつは法要の場などで取られる「回し焼香」です。香炉とお香がお盆に乗せられて席まで回ってくる形ですが、お通夜の席ではあまり見られません。

焼香自体の種類は2つ

一般的に「お焼香をあげる」と表現する際にイメージするのは、お香を砕いた「抹香(まっっこう)」と呼ばれるものでしょう。

 

抹香をつまんで額の近くまで持って行き、そのまま香炉に落とす動きを何度か繰り返すのが焼香の基本的な動きです。この額に抹香を近づける動きのことは「おしいただく」と表現されます。

 

抹香に対して棒状の「線香」があります。線香がお通夜の最中に使われることは稀ですが、葬儀会場に到着をしてすぐの時や普段のお供えの時には線香が使われることが多いです。

 

そのためどちらの作法も覚えておくことをおすすめします。

焼香に数珠は必ず必要?

どのスタイルの焼香であっても必要になるのが数珠です。お通夜やお葬式に参列する際には数珠を持っていくのがマナーですので、忘れないように注意をしましょう。

 

しかし、初めてお通夜やお葬式に参列する場合は数珠が用意できないこともあるでしょう。数珠は特別な仏具であるものの販売されている場所は多く、斎場へ向かう際に購入することも難しくありません。身近な100円ショップやホームセンター、ショッピングセンターで販売されています。

 

万が一斎場に到着してから数珠がないことに気がついた場合、数珠なしでの参列もやむを得ません。正しいスタイルとはいえませんが重大なマナー違反という訳でもないので、しっかりと心を込めて合掌をするようにしましょう。

焼香の基本的な流れとマナー

お通夜と葬儀で行われる焼香の方法に違いはありません。どちらに出席しても一人一回ずつ焼香の順番が回ってくるので、流れに沿って行いましょう。

 

またお通夜にも葬儀にも参列する時間が取れず、せめて焼香だけでもという場合もあります。お通夜が始まる前や終わった後に焼香だけに訪れる場合であっても方法は変わりません。

 

次は焼香の基本的な流れとマナーをご紹介していきます。基本的なマナーと押さえておけば、どんな宗派のお葬式に参列することになっても迷ってしまうことはありません。

焼香の基本的な流れ

最も一般的な「立礼焼香」の流れを見ていきましょう。立礼焼香の基本的な流れは

 

  1. 席を立ち祭壇の前に進み出る
  2. 祭壇の近くで遺族と僧侶に一礼をする
  3. 祭壇の遺影に向かって一礼をする
  4. 焼香をして合掌をする
  5. 再び遺族と僧侶に一礼をして席に戻る

 

の5つのステップです。大まかな流れは決まっているので難しくありませんが、実際に参列してみると荷物はどうするのか、数珠はどうするのかなど小さな疑問が浮かんで来ます。細かな疑問を1ステップずつ解決していきましょう。

席を立ち祭壇の前に進む

通夜の席での焼香は、僧侶の読経が行われている中順番に行います。焼香が始まるタイミングは葬儀社の方や僧侶が「順番にご焼香をお願い致します」などと促してくれるので心配はいりません。

 

焼香は故人との関係が深かった方から順番に行います。一般的には

 

  • 喪主
  • 遺族
  • 親族
  • 参列者

 

という流れになり、参列者は祭壇に最も近い前の方から順番に行います。通夜の際の席順は祭壇に向かって右側が親族席、左側が参列者席となっているのが一般的です。祭壇に最も近い前列の中央側の席から上座となっているので注意をしましょう。

席を立つタイミングは?

焼香は一人ずつ祭壇の前に進み出て行いますが、人数が多い場合などは順番が来る少し前に立ち上がり僧侶の後ろ辺りまで進んでおくこともあります。その場合も葬儀社の方や世話役の方から声がかけられるため、従いましょう。

 

一人ずつ立ち上がるスタイルの場合は前の方が焼香を終えて席についたら立ち上がり、前に進み出ましょう。

バッグはどうする?

女性はお通夜の席に小さなハンドバッグを持って行くのが一般的ですね。小さなハンドバッグとはいえお焼香をする際には少し邪魔に感じてしまうでしょう。

 

近年は祭壇の前にバッグを置く台が設けられていることも多いので、そちらに置いて数珠だけを持ち焼香を行うようにしましょう。

 

専用の台が設けられていない場合は椅子の上、または椅子の下にバッグを置いて祭壇の前に進み出るか、腕を持ち手に通し両手のひらが空いた状態にして焼香を行います。バッグに持ち手がなく、席に置いておくのも気が引ける場合は小脇に抱えたまま焼香を行っても問題はありません。

遺族と僧侶、遺影に一礼をする

祭壇の少し前に進み出たら、まず遺族、そして僧侶に一礼をします。その後祭壇の前に進み遺影に向かって一礼をしましょう。バッグを置く台がある場合は祭壇の前に進む前にバッグを静かに置きます。大きな音が鳴ってしまわないように注意をしましょう。

 

遺影に一礼をする際に手に持っているのは数珠だけが正しいマナーです。バッグを持ち歩く場合は腕にかけておきましょう。

焼香をする

立礼焼香の場合は、粉状の「抹香」を使った焼香が一般的です。多くの方が短い時間で焼香をあげる際には少しずつ抹香を焚く方法の方が便利なのでお通夜の席には抹香が用いられます。

 

家族葬であったり、ごく限られた人数で通夜が執り行われる場合には線香が使われることもありますので、どちらの作法も身につけておきましょう。

抹香を使う場合の作法

まずは抹香を使う場合の作法を見ていきましょう。宗派によって少しずつ違いがありますが、基本的な動きは同じです。

 

祭壇の前に進み遺影に一礼を終えたら、左手に数珠を持ち右手の親指、人差し指、中指の三盆で抹香をひとつまみします。

 

そのまま右手を額の近くに持ち上げおしいただき、香炉の中へ静かに落とします。この抹香をおしいただく回数は宗派によって異なりますので注意をしましょう。繰り返す宗派の場合は香炉の中へ落としたら、次の抹香を同じようにひとつまみしておしいただきましょう。

 

最後には両手で数珠を持ち、合掌をして終わります。

線香を使う場合

お通夜の最中に線香を使うのは稀ですが、こちらの作法も合わせて覚えておきましょう。遺族と僧侶、そして遺影に一礼をするまでは同じ流れです。

 

遺影に一礼をしたら、数珠を左手に持ち右手で線香を持ちます。お通夜の席であればろうそくに火が灯っているためその火を使って線香に火を付けます。線香の本数は宗派により異なりますので注意が必要です。ご自分の宗派を確認しておくのが良いですが、特にこだわりのない場合は1本で良いでしょう。

 

線香から煙が上がるのが確認できたら火から離し、左手で仰ぎ火を消します。火を吹き消してしまうのはマナー違反にあたるので注意をしましょう。

 

火が消え煙だけになったら、香炉に立てるか寝かせます。立てるのか、寝かせるのかも宗派によって異なりますが他の方の線香を倒したり消してしまわないように注意しながら空いたスペースに立てるのが良いでしょう。

遺族と僧侶に一礼をして席に戻る

最後に合掌をしたら振り返り、遺族と僧侶に一礼をして席に戻りましょう。席や席の下にバッグを置いた場合は再び膝の上に戻します。順番に立ち上がる場合は席につくまで次の方が立ち上がれないので、できるだけスムーズに着席するように心がけましょう。

 

この一連の流れでお通夜の席での焼香は終了です。葬儀、告別式の場合の焼香も同じ流れで行われます。

宗派ごとの違いを確認しましょう

お通夜の席での焼香は、基本的にはどの宗派であっても同じ流れで行われます。しかし抹香をおしいただく回数やそもそもおしいただかない宗派も存在するため注意をしましょう。

 

宗派による違いは故人や遺族に合わせる場合もあれば、ご自分の宗派に合わせる場合もあります。特にこだわりのない方は故人や遺族の宗派に合わせるようにしましょう。また、葬儀社から焼香の回数を指定される場合もあるため、そのようなアナウンスがあれば従うようにしましょう。

日本の仏教の主な宗派

焼香の回数や方法は宗派によって少しずつ異なります。ご自分の家庭がどの宗派に属しているのかよく分からない場合や、故人のご家族の宗派に合わせることに抵抗のない場合は喪主の方や僧侶の焼香の回数や方法に合わせましょう。

 

ご自分の宗派がわかっている場合は宗派ごとの回数で焼香を行いましょう。日本の仏教の主な宗派の焼香の回数や方法を見ていきましょう。

天台宗の焼香

非常に長い歴史を持つ天台宗は、平安時代に最澄によって開かれた宗派です。天台宗の焼香の回数ははっきりと決まっておらず、一回か三回のどちらかで行えば良いとされています。

 

基本的な焼香の方法と同じく3本の指で抹香をひとつまみし、額におしいただきます。線香を使う場合も1本か3本で、線香は寝かせるのではなく立ててお供えするのが一般的です。

真言宗の焼香

真言宗は空海によって開かれた大乗仏教の宗派のひとつです。天台宗と同じく平安時代に成立しており、こちらも古い歴史を持っています。

 

真言宗の焼香は3回と回数が決められています。基本の動きと同じように3本の指で抹香をつかみ、額におしいただき、香炉へと静かに落とす動作を3回繰り返して行いましょう。

 

線香を使う場合は3本の線香に火を付け一本を立て、その後ろに2本を立てます。ちょうど三角形の頂点に線香を立てるイメージですね。

浄土宗の焼香

南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)という念仏で知られているのが浄土宗です。浄土宗の焼香は抹香をつまむ回数も、おしいただく回数も決まっていません。回数や形よりも心を込めることが大切という考え方が浸透している宗派で、お葬式自体にも厳しい決まり事はありません。

 

喪服を着用する、派手なものは身につけないなどの一般的なマナーを守っていれば焼香の回数も細かく気にする必要はなく、1回から3回行うのが通常です。おしいただいても、おしいただかずにつまんで香炉に入れるだけでも大丈夫です。

浄土真宗の焼香

浄土宗を基にしてさらに発展させた形が浄土真宗です。浄土真宗の中でも東本願寺を本山とするのが「浄土真宗大谷派」、西本願寺を本山とするのが「浄土真宗本願寺派」です。

 

日本の仏教の中ではもっとも信仰者が多いため、地方やご家庭によって焼香の方法も少しずつ異なります。一般的に浄土真宗大谷派は抹香をおしいただかずに2回香炉にくべます。対して浄土真宗本願寺派はおしいただかずに1回香炉にくべるのが基本です。

 

線香を使う場合は線香を追って2本か3本にし、一度に火を付けて香炉へ寝かせます。火のついた方を左に向けるのがポイントです。

 

曹洞宗の焼香

鎌倉時代に道元禅師によって中国から日本に伝えられたのが「曹洞宗」です。禅宗のひとつで修行として座禅が行われることでも知られている曹洞宗は、焼香も少し特徴があるので覚えておきましょう。

 

曹洞宗のお焼香は同じように抹香をひとつまみし、一度目はおしいただきます。しかし2回目はおしいただかず、一度目の近くへと抹香を落とします。数珠を左手に持つことや一礼などは他の宗派と同じです。

心を込めて焼香をあげましょう

今回はお通夜やお葬式で行われる焼香の基本的な流れやマナー、宗派による違いをご紹介しました。基本的な方法を身につけておけば、いざという時に迷ってしまったり、不安を感じることはありません。きちんとしたマナーを知ることで焼香にも心を込めることができ、より鮮やかに故人のことを思い出すことができるでしょう。しっかりと心を込めて焼香をあげるようにしましょう。