友引にお通夜はできる?その理由や六曜の考え方について解説
公開日 : 2020/11/3
更新日 : 2020/11/3
友引に葬式をあげるのは良くないといわれる一方、通夜は良いとされています。その理由について調べてみました。あわせて、友引と葬儀の考え方について、関係性を踏まえながら解説していきます。通夜や葬儀の日程を決める際の参考にしてください。
公開日 : 2020/11/3
更新日 : 2020/11/3
目次
友引の通夜はいい?
「友引の葬式はよくない」「通夜は友引にあげてもいい」。葬儀の日程を決める際、こんな考え方をもとに日取りを決めるという方も多いでしょう。なぜ葬式と通夜では、日程の決め方に違いがあるのでしょうか。さっそく、その理由をご紹介していきましょう。
友引とは
友引とは六曜の1つです。友引はもともと「共引」と書き、意味は「なにをしても勝負がつかない日」「相引の日」です。簡単に言えば、「良くもないが悪くもない」という日です。また、友引の日は朝・晩は「吉」ですが、昼間は「凶」ともいわれています。
また、陰陽道では、友引は「その日の凶の方角で何事かを行うと、友に同じ災いが起こる日」と意味づけられています。そのため陰陽道では、友引の日には、凶の方角での葬儀は避けたほうが良いと考えられています。ちなみに凶の方角は、その日によって異なります。
もともとの「共引」から「友引」に漢字が変わったのは、陰陽道の影響が見られます。また現代では、友引の意味は、「同じ事柄が友達に起こる日」と解釈されるのが主流です。
六曜ってなに?
ちなみに六曜とは、古代中国で生まれた思想で、その日の吉凶を占うものです。もともとは戦の良し悪しをはかるための占いだったといわれています。六曜は6つの日から成り、順番に「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」です。月によって、どの六曜からスタートするのかが決まっています。
六曜は鎌倉時代ごろ日本に伝来し、江戸時代に流行しました。しかし、世間に広く浸透したのは第二次世界大戦後だと言われています。
通夜とは
通夜は葬式の前夜に行う儀式です。家族や親族、故人と生前親しかった人々が集まり、故人の冥福を祈りながら、別れの時間を過ごします。通夜にはもともと、故人の遺体を守る意味があります。遺族たちは明かりや線香の火が絶えないようにしながら、故人の遺体を見守ります。
そのため、通夜は基本的には故人とゆかりの深い人々が参列するものでした。しかし最近は、時間の関係などで葬式に参列できない人が、前夜の通夜に顔を出すことも多くなっています。また、都市部などでは、夜間の火災を防ぐ目的で、夜中に燈明や線香をともすことを禁止している斎場もあります。
葬式とは?
通夜が「故人との別れを惜しむ儀式」であるのに対し、葬式は「故人との別れの儀式」とされています。葬式では僧侶が読経の最中に故人に戒名を与えます。戒名を得た故人の魂はあの世に旅立ち、残された遺体は葬式後に荼毘にふされます。
なぜ友引に葬儀を行ってはいけない?
「友引の日に葬式をしてはいけない」と聞いたことがある、という人も多いでしょう。日本では昔から、友引の日には葬式をしないという暗黙の了解がありました。もし友引の日に葬式が当たった場合、1日遅らせて葬式をあげることも多いです。
なぜ友引の日の葬儀はよくないのでしょうか。その理由は、友引の意味にあります。前述のように、現代の日本では友引は「友を引く日=友達に同じことが起こる日」と解釈されています。そのため、友引に葬儀を行うと、「故人があの世に友達を引いて行ってしまう」と考えられているからなのです。
友引に通夜をあげてもいい理由
友引の葬式は良くないといわれる一方、通夜は友引に関係ないといわれています。なぜかというと、故人が友の魂を引いていくのは、葬式後の火葬の時だと考えられているからです。そのため、通夜に友引をしても問題ないというわけです。ただし、葬式と同様に友引の通夜も縁起がよくないという意見も一定数あります。
そもそも友引と葬儀の関係とは
じつは六曜は、仏教などの宗教とは何の関係もありません。前述のように六曜は、その日の運勢を決める占いです。そのため、本来は、通夜や葬式の日取りを決めるのに友引を気にする必要はないのです。
しかし六曜は広く世間に浸透しており、現代においても、葬儀の日取りに六曜を気にする習慣は残っています。実際に、火葬場の中には友引を休場日に設定しているところも多いです。また、とくにご高齢の方の中には、友引の日の葬儀は縁起が悪いと考える人も多くいます。
六曜と葬儀の関係は迷信に過ぎません。しかし、縁起上、友引の日の葬儀を敬遠する考え方があることは、留意しておいた方がよいでしょう。
通夜の日程の決め方
まず大前提として、遺体を火葬できるのは逝去から24時間経過後であることを覚えておきましょう。通夜はそれに合わせて日程を調整します。基本的には、故人の逝去の当日、あるいは翌日の夜に行います。故人の逝去が午前中の場合、当日の夜に設定することが多いです。逝去が午後の場合は、翌日の夜に通夜を行うのが一般的です。
日程を考えるとき、友引かどうかを気にする必要はありません。しかし、友引に葬式をあげるのは縁起がよくないと感じるなら、通夜と葬式を1日ずつ遅らせるとよいでしょう。その場合、逝去から通夜まで間が空くことになりますので、仮通夜と本通夜に分けて通夜を2回行うことがあります。
本通夜は葬式の前夜に行われるものです。故人の親族や知人・友人などが参列します。一方、仮通夜は本通夜の前夜に行われます。仮通夜には、故人の家族など、ごく近しい人々だけが集まります。
つまり、仮通夜・本通夜・葬式を3日かけて行うスケジュールになります。友引の葬儀が気になる場合は、こういった日程を考えてみてください。
友引に通夜を行う場合の注意点
本来、通夜・葬式の日取りを考えるのに六曜を気にする必要はありません。また、六曜を気にする場合であっても、友引の通夜は問題ないことは、すでにご説明しました。しかし、友引に通夜をあげる場合、いくつか注意すべきことがあります。
翌日は火葬場が混雑しやすい
友引に通夜を行った場合、自動的に翌日に葬式と火葬を行うことになります。火葬場は友引を休場日にしているところも多いため、その翌日は混雑しやすいです。場合によっては順番が回ってこないこともありますので、早めに予約を取っておくと安心です。
予約がとれたとしても、混雑しているために、慌ただしく火葬を済ませるというケースも非常に多いです。ゆっくり最後の時間を過ごせずに、心残りができることもあります。もし落ち着いて火葬を行いたい場合は、友引の通夜と翌日の葬式・火葬という日程は避けたほうが無難です。
地域の風習に注意する
地域によっては、通夜・葬式にかかわらず、友引に弔事を行うのはよくないという風習があるところもあります。とくに関東地方はその傾向が強いといわれています。そういった地域では、友引は斎場もお休みしていることがあります。友引に通夜を行う場合は、地域の風習や斎場の営業日などに注意したほうがよいでしょう。
参列者に配慮する
参列者の中には、友引に通夜を行うことに抵抗を覚える人もいるかもしれません。とくにお年寄りは縁起を大事にする傾向が強いといわれています。そういった参列者が多い場合、友引に通夜を行うと、のちのちの付き合いに影響を及ぼす可能性があります。もし縁起を気にする参列者が多いと感じる場合には、友引の通夜・葬式は避けたほうがよいでしょう。
友引の法事・法要について
前述のように、六曜と仏教はなんの関係もないため、友引に法事・法要を行っても問題ありません。そもそも法要とは、四十九日や1周忌のように、故人の命日から何日目に行う、という決まりがあります。そのため六曜を気にして日程をずらす必要はありません。
しかし、通夜や葬式と同様に、友引の法事は縁起がよくないと考える人もいます。そういった参列者が多い場合は、友引の法要を避けて日程を組んだ方がよいでしょう。
友引に葬儀を行う際の注意点
本来、友引であっても葬式を避ける必要はありません。実際に、最近は六曜に関係なく葬儀をあげる家庭も多くなっています。その際は、以下の3つの点に注意してください。
火葬場の休場日に注意
友引は火葬場が空いていない地域もあります。そのため、友引に葬式や火葬を行う場合は、事前に火葬場の営業日を確認しておきましょう。もし火葬場が開いていない場合は、葬式と火葬を別の日に行うこともできます。ただし、友引の翌日は混雑しやすいため、予約を取るか、さらに何日か火葬を遅らせるかするなどの対策が必要です。
参列者の中には嫌がる人もいる
参列者の中には、友引の葬式は縁起が悪いと考える人もいるかもしれません。とくに葬式は家族や親族だけでなく、故人の知人や友人も参列します。全員の意向を確認するのは難しいですが、参列者の年齢層が高い場合は、友引の葬儀は避けたほうが無難といえるでしょう。また、地域の風習にも注意が必要です。
友引人形を入れる風習がある地域もある
友引に葬儀を行う場合、棺の中に友引人形を入れることがあります。この風習は、とくに関西地域に多く見られます。友引人形とはいわゆる身代わり人形で、棺に一緒に納めて火葬することで、誰かの魂が引かれていくのを防ぐことができます。
友引人形に用いる人形は、材質や形、大きさなど、とくに決まりがありません。故人が生前大切にしていた人形を入れることが多いです。そういった人形がない場合は、葬儀社を通じて購入したり、インターネットで取り寄せたりする方法があります。
そのほかの六曜と通夜・葬式の関係
六曜は友引のほかに、先勝・先負・仏滅・大安・赤口があります。いずれも葬儀とは本来何の関係もありませんが、縁起を担ぐ場合、葬儀とどういった関係があるのか、それぞれご紹介してみます。
先勝
「せんしょう」「さきがち」と読みます。「先んずれば勝つ」という意味であり、勝負事や契約を早めに行うと、成功するという日です。具体的には午前中が吉、午後は凶となります。試験やスポーツの試合、取引先との契約がある場合は、午前中に行うのがおすすめです。
先勝は勝負ごとに関する縁起のいい日であり、葬儀とはとくに関係がありません。よって、午前・午後にかかわらず葬儀を行っても問題のない日です。縁起を担ぎたいと考える場合は、吉である午前中に葬儀を行うのがよいでしょう。
先負
「せんぷ」「さきまけ」と読み、先勝と対になる日です。そのため午前中が凶、午後が吉となります。あるいは、1日中あまりツキのない日であるが午後からなら動いてもよい、という解釈の仕方もあります。いずれの場合も、何事かを行うなら午後のほうがおすすめです。
先勝と同じく、先負も勝負ごとに関する日です。葬儀とは関係のない日ですので、通夜や葬式をあげるのに問題はありません。縁起を担ぐ場合は、葬儀も午後に行うのがよいでしょう。
仏滅
「ぶつめつ」と読み、仏も滅ぶほど悪い日とされています。縁起の悪さは六曜の中で一番です。「仏」という字が入っていますが、もちろん仏教とは何の関係もありません。仏滅はなにをしてもうまくいかない日とされているため、慶事を避けることが多いです。
しかし、弔事に関しては仏滅は縁起が悪い日ではありません。仏滅の本来の意味は、「すべてのものが滅んで、新しく生まれ変わる」というものです。そのため、仏滅に葬儀を行うと、故人の魂が新しく生まれ変わる、と捉えることもできるのです。
大安
「たいあん」と読み、六曜の中で一番縁起の良い日です。何をしてもうまくいくと考えられており、とくに結婚式は大安を選んで行われることが多いです。あるいは旅立ちや納車、新規開店など、新しいことを始めるときには、大安がよく選ばれています。
大安は縁起の良い日ですので、弔事を行ってもうまくいくでしょう。ただし、大安は結婚式などの慶事の日という認識が強いため、大安に通夜や葬式を行うのは縁起がよくない・不謹慎だ、という意見も見られます。
赤口
「しゃっこう」あるいは「せきぐち」と読みます。仏滅とともに、1日を通して縁起の悪い日ですが、お昼だけは吉と考えられています。具体的な吉の時間帯は午前11時~午後1時です。赤口の「赤」という字は、血や火の災いをもたらすという意味があります。そのため赤口の日は、刃物や火の取り扱いに注意するという風習があります。
赤口はとくに慶事が凶とされており、結婚式や入籍は赤口を避ける傾向があります。一方で弔事に関してはとくに問題はなく、通夜や葬式をあげても問題はありません。
仏教以外の宗教の通夜と友引の関係
神道では、仏教の通夜にあたる儀式を「通夜祭」と呼びます。キリスト教にはもともと通夜のような儀式はありませんが、日本の慣習にしたがい、葬式の前夜には前夜祭やミサを行うのが一般的です。
神道やキリスト教は、仏教同様、六曜とはなんの関係もありません。そのため、通夜祭や前夜祭を行うときに、友引がどうかを気にする必要はありません。ただし、仏式の場合と同様、信者や参列者の中には六曜を気にする人もいます。通夜や葬式の日程を決めるときは神社や教会、あるいは参列者の意見に耳を傾けることも大切です。
友引にお通夜はできる
六曜はどんな宗教とも関係がないため、友引に通夜や葬式をあげることに問題はありません。最近は友引の葬儀も増えていますが、中には気にする人もいますので、参列者への配慮は忘れないようにしましょう。
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