命日に贈るお供えは故人への思いをこめて。お供えの選び方を解説。
公開日 : 2020/10/14
更新日 : 2020/10/14
命日には祥月命日と月命日があります。祥月命日には、年忌法要をやお墓参り、仏壇参りを行います。その際に必ず準備するのがお供えです。お供えには、ふさわしいものとそうでないものがあるのをご存知でしょうか。今回は、お供えの選び方とマナーや相場について解説します。
公開日 : 2020/10/14
更新日 : 2020/10/14
目次
命日とは
命日には「祥月命日」と「月命日」があります。どちらも亡くなった方を思い、弔う大切な日です。「父の命日は○月○日です」のように亡くなった月日を伝える場合、祥月命日を指しています。年に一度訪れる祥月命日には、年忌法要やお墓まいりを執り行うのが一般的です。
対して、月命日は故人が亡くなった日を指し、祥月命日以外の毎月が該当します。亡くなった方への思いやご遺族への気持ちをお伝えする機会をいただくならば、祥月命日や月命日、または近い日が最適です。季節や故人の好みなどを始め、ご遺族の家族構成なども考慮したお供えを用意してお伺いしましょう。
祥月命日
祥月命日は年に一度、毎年訪れます。例えば、6月17日に亡くなった方の祥月命日は、毎年「6月17日」です。祥月命日の「祥」は「幸い」とも読み、凶が去り吉へ変わるという意味もこめられています。
祥月命日が、一周忌や三周忌のような年忌法要にあたらない場合は、お墓参りに行ったりお仏壇に手を合わせたり、それぞれができる供養をすることをおすすめします。墓前や仏前には、故人が好んで食べたものやお花をお供えしましょう。
祥月命日に行う年忌法要
祥月命日には、亡くなった翌年に一周忌、亡くなってから2年後に三回忌を行います。その後は、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌です。七回忌以降は、亡くなった年も含めて数えます。
菩提寺や地域の習わしによって違いはありますが、年忌法要は三十三回忌、または五十回忌を弔い上げ(最後の法要)とするのが一般的です。年忌法要には家族が揃ってご供養できることが理想的ですが、社会的な事情などにより参列が難しいこともあります。
どうしても参列が難しい場合は、法要に合わせてお供えを贈ったり、お香典を送ったりと、故人への思いとご家族をいたわる気持ちをお伝えするようにしましょう。また、祥月命日の前後でお時間をとることが可能であれば、ずらしてお墓参りに行くのも良いでしょう。
塔婆供養
祥月命日には、卒塔婆をお墓の後ろにある塔婆立てに立てて故人を供養します。(浄土真宗では亡くなった方は極楽浄土に往生すると考えられているため、塔婆供養は行いません。)塔婆には戒名、命日、年忌法要の場合は法要の名前、供養年月日、経文、梵字、施主名、大日如来を表す梵字が書かれています。
卒塔婆が増え、塔婆立てに立てられなくなった場合に行われるのがお焚き上げです。卒塔婆は焼却炉規制により、勝手に燃やすことが不可能な地域もあります。処分が必要な際は、菩提寺や墓地を管理している方に相談してください。
月命日
月命日は、故人が亡くなった日です。6月17日に亡くなった方の場合、祥月命日を除く月の17日が月命日にあたります。12ヶ月のうち11回訪れる月命日は、故人を思い出して偲ぶ日です。お仏壇で故人への感謝の気持ちや思いを伝えるのも良いですし、お墓参りに行くのも良いでしょう。
お供えとは
神様や仏様、ご先祖様や故人などに捧げるものがお供えです。古来から、ご仏前であれば供養の際、お線香やお花、果物や故人が好んだ食べ物をお供えしてきました。
お供えを選ぶ際には、宗派や地域の習わしによって違いがありますので注意してください。事前に、ご遺族やご親戚の方など、詳しい方へ確認されることをおすすめします。その上で、故人への思いをこめると共に、ご遺族の家庭環境も配慮し、季節に合ったものを選ぶようにしましょう。
父や母の命日のお供え
父や母の命日には、年忌法要がなければお墓参りに行ったり、お仏壇の掃除をしたりしたいものです。父や母が好きだったものをお供えし、供養をすることで改めて感謝の思いも伝えられます。
会社の事情などで命日に合わせてお休みがとれないことがあるのも、昨今の忙しい世の中なら当然です。その際は、会社でのお仕事を終えて慌ててお墓参りやお仏壇の掃除をするのではなく、前後しても良いので、都合が合う日にされることをおすすめします。
故人のために時間をとり、お墓参りやお仏壇の掃除をして父や母が好んだ食べ物やお花をお供えしてください。ゆっくりと供養するほうが亡くなった方も喜ぶことでしょう。命日の日には心の中でご供養をし、故人への感謝の気持ちと思いを伝えてください。
子供の命日のお供え
子供の命日にお供えするものは、やはり好きだったものが一番でしょう。お菓子やお花、ジュースなど、お子様が好きだったものをお供えし、思いを伝えることが一番のご供養ですす。ご友人やご親戚の子供で、好きだったものがわからない場合は1,000円から2,000円のお菓子をお持ちし、お返しは不要とお伝えするようにしてください。
幼いうちに亡くなられたお子様でしたら、幼児用のお菓子など可愛らしいものを選ぶとよいでしょう。ある程度、大人になってから亡くなられたお子様の場合は和菓子にするなど、年齢に合わせたものを選ぶようにしましょう。
義父の命日
義父や義母の命日にお供えを贈る場合は、ご夫婦で話し合いをされることをおすすめします。何を好んだのかも大切ですが、同居してない場合は先様の家庭環境も配慮してお供えを選ぶのが肝心です。
命日に直接お伺いするのが難しい場合は、お供えを郵送しましょう。お供えを郵送する場合は事前にお電話をし、「ご仏前にお供えしてください」と一言お伝えしてから送るようにしてください。
お供えに適しているもの
お供えは墓前や仏前にお供えした後、お下がりとしてご遺族でいただくのが一般的です。日持ちがするもの、小分けされているもの、かさばらないものを選ぶようにすれば、ご遺族の負担も軽くなります。
お菓子
日持ちがする焼き菓子や干菓子など、お菓子はお供えの定番品です。個別に包装され、箱に入ったお菓子であれば、保存にも便利で好まれます。賞味期限が短い生菓子や要冷蔵のお菓子などは、故人が好きだったとしても避けたほうがよいでしょう。
地域のならわしによっては、お供えをお集まりになったご親戚や親しい間柄の方で分けることがあります。冷蔵保存が必要なものは、お持ち帰りになる際に不便です。個別包装されてるものであれば分ける際にも重宝します。常温保存であれば持ち運ぶ際にも安心なのでおすすめです。
花
故人は香りを召し上がります。花の美しい姿と香りは、故人へ良い香りを召し上がっていただき供養するだけでなく、ご遺族の心の癒しにもなるお供えです。白い花や黄色い花、紫色の花で、日持ちする花を選ぶようにしましょう。
和花では、「菊」「リンドウ」「キンセンカ」などが代表的です。洋花でしたら、「ユリ」「リシアンサス」「スプレーカーネーション」「デンファレ」などを選ぶと喜ばれます。ご遺族の方にお手数をかけないようアレンジメントを選んでおけば、お供えに手間がかかりません。
お供えの花を選ぶ際に気をつけること
仏花には適さない花があります。香りの強い花、トゲのある花、毒のある花、ツルのある花、鉢植えです。これらに類する花は控えることをおすすめします。
故人がバラの花がとても好きだったとしても、お供えの花はあの世のご先祖様にも届きますし、生まれ変わったご先祖様にも届きます。痛みを与えるトゲをもつバラは、故人が好きだったとしてもふさわしくないとされているので注意してください。
手紙
祥月命日や月命日に墓前や仏前にお伺いすることが難しい場合、お供えとして花を贈ることをおすすめします。お供えの花だけでも十分に伝わりますが、故人への思いを伝えるには手紙を添えると良いでしょう。
故人へ伝えたい気持ちを手紙にこめるので、時候の挨拶は不要です。墓前や仏前で直接語りかけたかったこと、報告したかったこと、思い出など、語りかけるように書き始めてください。最後に、ご遺族をねぎらう気持ちを書いてしめます。きっと、思いは伝わります。
果物
故人が好んだ果物や季節に合った旬の果物は、代表的なお供えです。縁起が良いと言われる丸い果物や、分けやすい果物、傷みにくい果物を選ぶようにしてください。偶数は割り切れることから故人との縁を切ると言われています。果物の数は、奇数で揃えるようにしましょう。
果物をお供えとして準備する際には、箱詰めであれば熨斗、籠盛りであれば短冊形の熨斗を使います。お店でお供え用として包んでもらえば、お供えにふさわしい果物を奇数で詰め合わせてくれますし、熨斗もつけてくれますので便利です。
お線香
昨今では、ご遺族がお一人で暮らしていることも少なくありません。ご家族が少ない、または一人暮らしの場合は、果物やお菓子などのお供えよりも、使用頻度が高いお線香を選ぶと喜ばれます。
お線香はたくさんの種類があり、ご遺族のお好みも様々です。お好きな香りなどがわからない場合は、香りも煙も控えめのものを選ぶことをおすすめします。
お供えに適さないもの
故人への気持ちを込めてお供えを選んだつもりでも、ご遺族に負担となることもあります。故人へのお供えは、ご遺族がいただくからです。お供えとして、ふさわしくないものをチェックしておきましょう。
大きいものや重いもの
かなりのスペースをとる大きなお供えや、かさばってしまい置き場所にこまるもの、重たくて移動が大変なものは、ご遺族に負担がかかります。贈る先の方が高齢の場合、特に避けたいところです。
お供えをお集まりになった親族やご遺族で分けて持ち帰ることもあります。皆様にご迷惑をおかけすることのないよう配慮したお供えを選びましょう。
肉や魚、お酒
お供えとしてふさわしくないものに、肉や魚などがあります。殺生を連想させるからです。故人が好きだったとしても、お供えとして選ぶのは避けてください。どうしてもお渡ししたい場合は、お供えではなく、手土産としてお持ちするとよいでしょう。
お酒をお神酒としてお供えしたい場合や、故人が好んだお酒をお供えしたい場合は、ご遺族がお酒を召し上がるかどうか確認してください。以前は一緒にお酒を召し上がっていたとしても、今は事情が変わっていることもあります。ご遺族がお酒を召し上がるとしても、重くかさばるものであれば、避けたほうが無難です。
お供えのマナー
祥月命日や命日には、お墓参りでお掃除をするように、日頃からお仏壇の掃除をしている場合でも改めて仏壇の掃除をするのがマナーです。その上で、お供えをしましょう。
お供えをお持ちした際には、「ご仏前にお供えしてください」とご遺族に伝えてお渡ししてください。ご自身で仏前にお供えするのはマナー違反です。お供えの選び方については先に述べましたので、ここではお供えの熨斗や贈るタイミングなどについて解説します。
のし
お供えをお持ちした際には、誰からのお供え物かわかるよう「外のし」をつけるのがマナーです。双銀の水切り、または黒白の水切りで結びきりの水引を使います。黄色の水引を使う地域もありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。
お供えがお菓子や果物など品物の場合は「御供」、お金の場合は「ご仏前」または「御供物料」と黒の墨で表書きを書いてください。郵送される場合は、のしを書いてから梱包し、「内のし」にして送るのがまなーです。外のしにすると配送中にのしが汚れたり破れたりする恐れがあります。きれいな状態でお届けできるよう配慮し、手紙を同梱すると良いでしょう。
いつまでに贈るか
故人にお供えを贈りたい場合は、年忌法要が行われる祥月命日に合わせるのが良いでしょう。お持ちできず郵送する場合は、法要の2〜3日前ぐらいにお届けできすよう手配することをおすすめします。年忌法要当日は、ご遺族の方も忙しくされているからです。
受け取るご遺族の方のご都合もありますので、郵送する前、または郵送後、届く予定日をお電話でお知らせしてください。ご挨拶をしたり近況をお伺いすると共に、お供えが届く日と時間がわかればご遺族の方も安心です。
お返し
お供えをいただいた際には、お返しをするのがマナーです。いただいた金額の3分の1に相当するものを用意しましょう。法要の席で直接受け取った場合は、お帰りの際にお返しをお渡ししてください。郵送で受け取った場合は、1ヶ月以内にお礼状を添えて送るようにしましょう。
お返しの品は、消耗品を選ぶのが一般的です。日持ちするお菓子やお茶をはじめ、タオルやハンカチなどもよく見受けられます。
お供えの相場
お供えは、命日に法要があるかどうかで準備するものが違います。お供えの金額も注意が必要です。低すぎれば失礼にあたりますし、高すぎると遺族の人たちに気を遣わせてしまいます。一般的に故人との関係性、ご遺族とのお付き合いの程度、血族関係などによって相場は変わりますので、関係性に配慮した気遣いが大切です。
現金を包む際に気をつけることは、果物の数と同様で金額は必ず奇数にするという点です。偶数は割り切れるため、故人との縁を切るとされています。お札は新札ではなく、折り目がついているお札を不祝儀袋に包み、ふくさに入れてお持ちしてください。
法要の場合
祥月命日に合わせて行われる法要に参列する際には、お供え物をお持ちする場合と現金を包む場合があります。地域のならわしによっては、どちらもご用意することがありますので、事前に確認をしてください。
年忌法要の後に会食がある場合の相場は次の通りです。故人と血縁関係がある方は20,000円から50,000円、血縁関係はないが親しい方が30,000円以上、友人や知人は10,000円から30,000円が相場です。
会食がない場合は、故人と血縁関係がある方が10,000円から30,000円、血縁関係はないが親しい方は10,000円から30,000円、友人や知人は5,000円から10,000円が相場です。金額に迷われたら、ご親戚や友人など一緒に参列する方に相談することをおすすめします。
お供え物のみの場合
お供え物のみをお持ちする場合は、3,000円から5,000円が一般的な相場です。こちらも現金を包む場合と同様で、安すぎると失礼にあたりますし、高すぎればご遺族に気を遣わせてしまいます。お供えの相場、故人との関係性やご遺族とのお付き合いも考えてお供えを選びましょう。
命日のお仏壇参りの場合
年忌法要以外の命日で、ご遺族のお宅にお伺いしてお仏壇にお参りをされることがあります。その際に現金を包む場合、相場は3,000円ほどを目安にされると良いでしょう。金額が高額になると、ご遺族の方に気を遣わせてしまいますので注意してください。
命日のお供えは亡くなった人への思いをこめて
命日はご遺族にとって故人を思い、弔うとても大切な日です。お墓参りをしてお墓をきれいにし、お仏壇の掃除もいつも以上にして清潔にしてお供えをしましょう。清々しい環境で故人に思いを伝え、感謝の気持ちや最近の報告などをお伝えしてください。
お伺いしてご仏前にお参りする際には、故人への思いとご遺族へのねぎらいの気持ちをこめたお供えをお持ちしましょう。故人が好きだったものやお花などをお持ちして、ご遺族と故人との思い出などを語り合うのも大切なご供養です。
命日にお伺いするのが難しい場合は、気持ちのこもったお供えに手紙を同梱して送ってください。命日にお仏壇の前で手を合わせられないことよりも、故人を思いお供えを贈る気持ちが一番大事です。故人への感謝の気持ちをこめて、お供えを贈りましょう。
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