「淋し見舞い」は何をするの?lマナー・持ち物・注意点を詳しく解説

公開日 : 2020/10/14

更新日 : 2020/11/26

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「淋し見舞い」は、ある一部の地域で行われている風習のため、あまり聞きなれずにどうすればよいのか戸惑ってしまう方もいます。そんなことにならないためにも、この記事では淋し見舞いのマナーや持参する物、注意点などについて詳しくお話していきます。

公開日 : 2020/10/14

更新日 : 2020/11/26

目次

東海地方発祥?淋し見舞いとは

まず初めに、淋し見舞いという変わった呼び名はなぜついたのか、何をする風習なのかなど、淋し見舞いの意味についてお話していきましょう。

呼び方は?

愛知県、岐阜県、三重県の一部の地域にある通夜の風習で、「おさみしみまい」や「おさびしみまい」と言われています

 

あまり見慣れない「淋しい」という字は昔の常用漢字で、現代では「寂しい」という字が一般的。とはいえ昔からの風習ですので、「淋しい」の字を使うのが正しいと言えます。

 

「伽見舞い(とぎみまい)」や「通夜見舞い(つやみまい)」という呼び名でも似た風習がありますが、行われている地域が違うため、注意が必要です。くれぐれも「伽見舞い」を行う地域で「淋し見舞い」という名目の品物を持参しないようにしましょう。

なぜ行うの?

淋し見舞いは、「淋しい」思いを「見舞う」という意味があり、故人を亡くした遺族を思いやる気持ちから生まれた風習です。

 

故人と一緒にいられる最後の時となるお通夜に、遺族が寂しい思いをしないよう、参列者が食べ物などを手土産として渡すようになったことが、淋し見舞いの始まりと言われています。

 

淋し見舞いはみんなで分け合える饅頭などが一般的で、実際に淋し見舞いを持参すると、その場で遺族と参列者が分け合っていただきながら、遺族との思い出を語ることもあります

淋し見舞いに最適なもの

淋し見舞いにはさまざまなものが選ばれます。あくまでもご遺族のために持参するものですので、迷惑になるようなものは避け、ご遺族の嗜好に合ったものを選ぶようにしましょう。

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饅頭などのお菓子【饅頭の場合は上用饅頭】

ひと昔前は、すぐに分けられる饅頭が選ばれることがほとんどでした。特に薯蕷(やまいも)をすりおろしたものに、砂糖と上用粉を混ぜた生地で白あんや小豆餡を包んだ「上用饅頭(じょうようまんじゅう・じょうよまんじゅう)」が多く、今でも淋し見舞いとして渡されることがあります。

 

必ずしも饅頭でなければいけないというわけではありませんが、もし饅頭を選ぶ場合は、祝い事に適したつぶあんではなく、必ずこしあんを選ぶように注意してください。

 

饅頭以外にも、小さなゼリーや小分けになったお菓子の詰め合わせ、ミニケーキ、チョコレート、おせんべいなども淋し見舞いにおすすめです。何を持っていけばよいか分からない場合は、お店の人やご遺族と親しい年長者などにたずねましょう。

果物

淋し見舞いにはフルーツが選ばれることも多々あります。ただしフルーツは傷みやすいため、なるべく日持ちするものを選ぶことが大切です。おすすめはミカンやリンゴなどのカゴ盛りです。冷蔵する必要もなく日持ちもするうえ、みんなで分けやすいという利点もあります。

 

逆にパイナップルやメロン、スイカなどの大きくて切り分けが必要なフルーツは、淋し見舞いにはあまりおすすめとは言えません。

 

どうしても季節のフルーツなどで傷みやすいものを持参したい場合は、「あまり日持ちしないものですのでお早めにお召し上がりください」と言い添えて渡すと良いでしょう。

飲み物

飲み物の場合も、簡単に分けられるような缶入りのジュースなどが良いでしょう。またお茶や紅茶、コーヒーなどのティーバッグもおすすめです。

 

故人が好きだったビールやお酒を持参すれば、遺族が故人を想いながらお酒をいただくことができます。とはいえ、あまり大きくて重い物は迷惑になるため、おすすめできません。ご遺族が簡単に持ち帰ることができるものを選びましょう

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線香

お線香も淋し見舞いに良く選ばれる品物です。お線香の香りは亡くなった方の食べ物とされ、お通夜ではお線香を絶やさないようにします。ご遺族はたくさんのお線香が必要になるため、多くもらっても困ることはありません。

 

お線香にもさまざまな種類がありますが、伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)などの香木を使った「匂い線香」が喜ばれます。

 

香りの良いお線香を差し上げたいという気持ちは大切ですが、お線香は高貴な香りの物は値段も決して安くはありません。他の品物と同様、あまり高額なものはかえってご遺族の迷惑となりますので、控えるようにしましょう。

お金

葬儀場によっては、食べ物の持ち込みが禁止されていたり、参列者が多くお淋し見舞いの品物も多くなることが予想される場合などは、お金を包んで渡すのが良いでしょう。

 

金額はあくまでもお品代程度の2,000円から3,000円が相場です。故人にお世話になったからといって高額のお金を包むのは、マナー違反です。気持ちを伝えるという程度の金額におさえることが大切です。

淋し見舞いを持参する時のマナー

淋し見舞いを持参する場合、いくつか気を付けなければならない点があります。失礼のないようにするためにも、ここでしっかり確認をしておきましょう。

品物を持参する場合

まずはお菓子やお線香など、品物を持参する場合から説明していきます。

のし紙をつける

お菓子、飲み物、お線香などの品物を持参する時は、のし紙を付けます。上部中央に「御淋見舞」「御淋見舞い」「お淋見舞」「お淋し見舞い」のいずれかを書き、下部には自分のフルネームを書きます。

 

この時、必ず薄墨を使うことが重要。薄墨には「悲しむ涙で墨も薄くなってしまった」「あまりの悲しみに墨もきちんと濃くすることが出来なかった」という意味があります。水引を結ぶ場合は、黒白か黄白、双銀で、不幸が繰り返すことのないよう「結びきり」にしましょう。

 

品物を購入したお店でも淋し見舞い用のし紙を用意してくれるところもありますが、最近は自分の名前入りののし紙が無料でダウンロードできるウェブサイトもあります。

 

もちろん手書きが一番丁寧ですが、急なことですぐに用意が出来ない場合などは、そのようなのし紙を利用するのも良いでしょう。

風呂敷を使う

のし紙をつけた品物は、紙袋に入れて品物を渡すほうが持ち運びに便利と考えがちですが、ご遺族にとっては紙袋がかえって邪魔になる場合があります。

 

他の参列者からのお淋し見舞いもありますので、少しでもご遺族の荷物が少なくなるよう、風呂敷に包んで持参するのが理想です。

 

ここで注意する点が、風呂敷ならばなんでも良いというわけではないこと。お祝い事ではありませんのでカラフルな色や模様のあるものは避け、紫やグレー、灰青などの風呂敷を使用しましょう。

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お金を持参する場合

次はお金を持参する場合を見ていきましょう。

不祝儀袋に入れる

不祝儀袋(ぶしゅうぎぶくろ)とは、弔辞やお悔みに使用される水引がついた袋をいい、香典袋などとも呼ばれています。

 

上部中央には表書きとして「お淋見舞い」、下部には自分の名前をフルネームで書きますが、品物を持参するときののし紙と同様、不祝儀袋も薄墨で書くことが重要です。間違っても油性ペンやボールペンなどを使うことがないように注意してください。

 

不祝儀袋には中袋があり、住所・名前・金額を書く欄もありますので、そこも忘れずに書きます。書き忘れがないことを確認してからお札を中袋にいれ、不祝儀袋の中にしまい水引を整えましょう。

お札の入れ方

昔からお祝い事には新札やピン札を使い、お悔みには使用感のあるお札を使うのが礼儀とされています。これは、新札・ピン札は前もって準備をしなければ用意出来ないことから、新札をお悔みに使うことは、不幸を前もって予想していたとして失礼にあたるからです。

 

とはいえ、あまりにボロボロのお札を使用するのもマナー違反。使用感はあっても、破れたりシワだらけではないお札を選ぶようにしましょう。

 

金額は2,000~3,000円が相場で、お札の向きは表書きのある面に対して裏になるように入れます。これには「悲しみに顔を伏せている」という意味と、金額表記が左上に見えることから、ご遺族が封筒からお金を出す際に金額確認がしやすい、という意味があります。

袱紗を使用する

袱紗(ふくさ)は冠婚葬祭で使用される、ちりめんや絹でできた四角い布。お金の入った封筒をカバンに入れて持ち歩く時に、汚れやしわがついたり、水引が乱れたりしないようにするために包むものです。

 

また「ご遺族の気持ちを考慮しています」という心づかいを表す意味もありますので、ぜひ袱紗を使用するようにしてください。袱紗も風呂敷と同様に、お祝い事向きのものとお悔み向きのものがあります。淋し見舞いには、紫や藍色などの落ち着いた色味の袱紗が最適です。

 

不祝儀袋を中央から少し右に置き、右・下・上・左の順で内側に折りたたみます。ただしお祝い事の場合は中央から少し左に置いた後、左・上・下・右と、逆の包み方をしますので、合わせて覚えておきましょう。

淋し見舞いの書き方

淋し見舞いは品物ならのし紙、お金の場合は封筒に入れて持参します。それぞれの書き方を紹介していきますので、ご確認ください。

のし紙の場合

品物を持参するときはのしを付けることが礼儀とされています。お店で品物を購入する際は、包装と同時に必ずのしを購入しましょう。お淋し見舞いののしは、一般的な弔事用ののしを使用します。黒白の双銀5本結びきりのものであれば、どの地域でも使用することができます

 

御淋見舞」「御淋見舞い」「御淋し見舞」「淋し見舞い」など様々な書き方がありますが、全て正しい書き方です。のしの下には、自分の名前を記入します。

 

だれが持ってきたものかがすぐわかるように、きちんとフルネームで書きましょう。ただし、本当に近い親族間の場合では、口頭で持参したことを伝え、そのまま周りの人にふるまう場合もありますので注意しましょう。

封筒の場合

現金の場合は弔事用の封筒を使用しましょう。表書きや名前の書き方はのしの場合と同じになります。これらを薄墨で書くことも同様です。封筒の中袋には、金額や名前、住所を記入します。

 

中に入れるお札は新札や汚れのひどいものは避けましょう。どうしても新札しか持っていない場合は、一度折り目をつけてから袋に入れるようにしましょう。

 

すべてのお札の向きを揃えてから、袋に対してお札の裏面が来るように入れるのが一般的とされています。お札は人物が印刷されている方が表面、人物がない方が裏面となっています。

淋し見舞いで知っておくべきこと

淋し見舞いの意味や持参すると良いもの、マナーなどについてお話してきましたが、そのほかにも知っておくべきことがあります。恥ずかしい思いをしたり、迷惑をかけたりすることのないよう、いくつか項目ごとに見ていきましょう。

身だしなみ・服装

淋し見舞いは通夜に持参するものですから、通夜に参列するのに適した服装が望ましいです。参列者は正式喪服を着る必要はなく、最近では地味な平服でも良いとされています。肌を露出するような服や光沢のあるバッグ・靴などは避け、アクセサリーも控えめにするのがマナーです。

 

女性は黒のワンピースに薄手の黒ストッキング、あまりヒールが高すぎない黒のパンプスが良いでしょう。男性の場合は、黒のスーツに黒ネクタイが一般的です。ベルトは柄のものは避け、靴はスエード、エナメル以外の革靴で、金具の飾りなどが付いていないものが適しています。

 

基本的に「こうでなければならない」という決まった服装はありませんが、故人やご遺族に敬意を払う意味でも、失礼のない場をわきまえた身だしなみは最低限のマナーです。

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淋し見舞いと香典は別に渡す【2つは違うもの】

淋し見舞いはご遺族を元気づけるために持参するもの、香典は亡くなった方に対してお世話になった感謝の気持ちなどを形にするものですので、両方用意した方が良いでしょう。

 

故人とどれだけ親しい間柄だったかによって香典の金額も変わりますが、たとえ香典が高額でも、淋し見舞いの金額を香典に合わせる必要はありません。淋し見舞いはあくまでもご遺族に対する気持ちですので、相場の金額でも十分気持ちを伝えることが出来ます。

 

また、淋し見舞いは通夜で渡すものですので、都合がつかず葬儀にしか参列出来ない場合は、あえて淋し見舞いを持参する必要はありません。葬儀には香典だけを持参しましょう。

お返し

お淋し見舞いは、金額も少額でご遺族に対する気持ちを渡すという意味からも、基本的にお返しはありません。しかし葬儀にも参列する場合は、通夜の淋し見舞いとは別に香典も持参するため、香典に対するお返しは受け取ります。

神式通夜での淋し見舞いの注意点

神式の通夜の場合、服装は仏式と同じで問題はありませんが、内容や進行が仏式とは異なるため、淋し見舞いを持参する際は注意が必要です。特に注意すべき点についてまとめたものを見ていきましょう。

ハスの花が描かれていない不祝儀袋を使う

よく不祝儀袋にハスの花が描かれたものを目にします。ハスの花はお釈迦様の象徴であるため仏式には最適ですが、神式の場合は宗教観が違うため、ハスの花が描かれているものは相応しくありません

 

また品物を淋し見舞いとして持参する場合、お店で付けてもらえるのし紙にハスの花が描かれていることがあります。事前に神式の淋し見舞いであることを伝え、無地ののし紙を付けてもらうようにしましょう。

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お悔みの挨拶はしない

仏式で淋し見舞いを持参する際、ご遺族に一言お悔みの言葉をかけるのが通常ですが、神式の場合はお悔みは一切言わないのがマナーです。

 

これは仏式では「故人が極楽浄土へ旅立つ」という考えなのに対し、神式は「家の守護神になる」という考えであるためです。

 

もし一言声をかけるのであれば「御霊(みたま)のご平安をお祈りしております」「拝礼させていただきます」などの言葉が良いでしょう。

数珠は使わない

数珠は仏を念ずることから「念珠(ねんじゅ)」とも言われているように、仏式の儀式には必ず用いられる仏具です。そのため神式で使われることは一切なく、淋し見舞いを持参する際にも必要はありません。

淋し見舞いは正しいマナーで

淋し見舞いは限定された地域にある風習のため、戸惑われることでしょう。しかしマナーや注意すべき点を事前にチェックしておくことで、失礼のない立ち振る舞いをすることができます。何よりも、淋し見舞いを持参する際はご遺族の気持ちを汲んで振る舞うよう、心がけましょう。