喪章とは?意味・歴史・種類・つける人の立場・入手方法などまとめ
公開日 : 2020/10/9
更新日 : 2020/11/4
喪章は葬儀で身に着けるもので、リボン型や腕章型のものがあります。葬儀で見かけることはあっても正確な意味やどんな人が身に着けるかわからないことも多いでしょう。喪章の意味や歴史、種類、付け方、つける人の立場、入手方法などをまとめました。
公開日 : 2020/10/9
更新日 : 2020/11/4
目次
喪章とは?
喪章は通夜や葬儀などで、身に着けるものです。弔意を表すためのものであることは間違いありませんが、それ以外にも大きな意味があります。リボン型や腕章型などの種類もあり、身に着ける立場の人にも決まりがあります。
喪章を用意する場合も、さまざまな方法があります。喪章の意味や歴史、種類、どんな立場の人が身に着けるかなどをまとめました。
喪章の意味と着用する理由
喪章は故人を弔うために身に着ける黒い布のことです。黒のみか黒と白を組み合わせたデザインで、一般的に腕章型とリボン型の2種類に分けることができます。喪章は弔意を示すためのものですが、葬儀の関係者と弔問客を区別するために身に着ける意味合いも強いです。
そのため、基本的に遺族と関係者以外が喪章を身に着けることはありません。喪章を身に着けていれば、葬儀の関係者であることはすぐにわかります。ただし、喪章なしで葬儀が行われる場合もあります。
喪章の歴史とは?
喪章は何時ごろから身に着けられるようになったのでしょうか?喪章が利用されるようになった経緯や歴史をご紹介します。
喪章が登場したのは明治以降
以外かもしれませんが、喪章は昔からの習慣ではありません。現代では、葬儀は簡素化されて短期間に行われています。七日後に行うはずの「初七日法要」や、忌明けまで待たなければならない「精進落とし」も火葬する火に行うのが一般的です。
時代の流れで葬儀は変化し簡素化されていますが、喪章はその変化の中で生まれた新しい習慣です。明治になると、葬儀で黒い喪服を身に着けるようになります。それに伴って、喪章も明治以降に利用されるようになりました。
以前の喪服は白かった
現在は黒い喪服が当たり前ですが、日本の伝統的な喪に服す色は白でした。そのため、葬儀では白装束を身に着けて故人を見送るのが習わしでした。近代になるまで、黒い喪服はなかったのです。現在でも、一部の地域では白い喪服で葬儀を行う習慣があります。
喪章は遺族と参列者を区別するために身に着ける
明治以降は黒い喪服が一般的になりますが、遺族と弔問客を見た目で区別する基準は白装束でした。そのため、服装では遺族と弔問客の見分けがつかなくなります。
遺族と弔問客を見分けるために考えられたのが、喪章を身に着けることです。白い喪服を着なくなったことで、誕生した新しい習慣が喪章なのです。
喪章の種類について
喪章は大きく分けて、リボン型と腕章型の2種類に分けることができます。リボン型は、デザインのバリエーションが多いです。リボン型や腕章の特徴をまとめました。
リボン型
リボン型は、腕章型に比べるとデザインのバリエーションが豊富なのが特徴です。白いバラをイメージしたものや白黒の布で花を象ったものなど、花をイメージしたデザインも多いです。バラの花をイメージしたリボン型は、リボン記章とも呼ばれます。
リボン記章は葬儀の中心人物が身に着けるためのもので、役割を書くためのタレがあるのが一般的です。黒いリボンに安全ピンを取り付けただけの簡易なタイプもあります。デザインは多いですが総称してリボン型と呼ばれており、腕ではなく胸元に着けるのが一般的です。
腕章型が黒一色が一般的なのに対して、リボン型は白い布を使うことが多くなっています。腕章型がマジックテープを使用するタイプが多いのに対して、リボン型は安全ピンで留めるのが一般的です。
腕章型
腕章型はリボン型ほどデザインのバリエーションはなく、色も黒一色で作られたものが多くなっています。珍しいものだと家紋が入れられた腕章型もあり、基本的に白色で家紋が入っています。現代は、ポリエステル製の腕章型が増えています。
10センチ程度の幅で作られたものが一般的で、以前は安全ピンで取り付けるものがほとんどでした。現在はマジックテープで固定できるタイプが増え、喪服にダメージを与えないように配慮されているようです。
喪章の付け方
喪章の付け方には、はっきりした決まりがあります。喪章の付け方や着ける位置が決まっている理由についてまとめました。
左側に付けるのが基本
喪章はリボン型・腕章型に限らず、左側に取り付けることになっています。リボン型は左の胸ポケット付近に安全ピンで取り付けるのが一般的です。
腕章型は、左腕に巻き付けてマジッテープが安全ピンで固定します。リボン型は胸に取り付けるものが多いですが、腕に取り付ける場合もあります。
喪章を左側に着ける理由とは?
喪章はリボン型と腕章型で取り付ける場所は違いますが、左側に取り付けることは一致しています。なぜ、喪章は左側に取り付けるのでしょうか?理由は諸説ありますが、仏教ではご本尊から見て右側が上位とされているからという考え方が一般的です。
これは仏壇に向かって左側が上位ということになります。喪章を身体の左側に装着することで、故人への最大限の弔意を表しているという考え方です。他には右利きの人が多いため、左に取り付けるともいわれています。
左の方が喪章を取り付けるが簡単で、動作の邪魔にもなりにくいという考え方です。
喪章をつける人は?
喪章は故人に弔意を見せるためのものですが、基本的に葬儀関係者のみが身に着けるものです。喪章を取り付ける人についてまとめました。
基本的には4親等までの遺族
喪章を身に着けることができる親族は、基本的に故人から4親等以内の親族とされています。4親等に該当するのは、祖父母の兄弟に当たる大叔父・大叔母、孫の孫の玄孫、甥姪の子供です。ただし、実際は4親等以内の親族全員が喪章を身に着けることはまずありません。
4親等離れていると、親族といってもほとんど縁のない場合もあります。最近は家族葬が増加しているので、そもそも4親等の親族は葬儀に出席しないことも増えています。通夜・葬儀に大勢の親族が出席しても、4親等までの親族が喪章を絶対に身に着けるわけでもありません。
また喪章のルールは明文化されているわけでも、絶対的なものでもありません。4親等以上離れた親族が身に着ける場合、故人と同居していた家族しか喪章を身に着けない場合もあるのです。
喪主(施主)のみがつける場合も
喪章は葬儀関係者だとわかりやすくするために、身に着けるという意味合いが強いです。そのため、弔問客や遠い親戚がわからないことを質問したり、お悔やみの言葉を述べるのは喪章をつけた人になることが多いです。
現在は、喪章は喪主(施主)以外は身に着けないケースも増えています。喪主と施主は異なるものですが、兼任することも増えています。いずれにせよ、喪主・施主だけが喪章を身に着けることで誰が責任者かわかりやすくなります。
受付の人や葬儀社のスタッフ
親族以外でも、喪章を身に着ける場合があります。それは、葬儀の受付を務める人です。通夜・葬儀で受付をするのは原則として、家族や親族ではありません。故人あるいは喪主の職場の同僚、町内会の人などが受付を担当することになります。
葬儀社のスタッフが受付をすることも基本的にはありません。親族でない場合でも、受付は関係者ということで喪章を身に着ける場合があるのです。ただし、親族と区別するために、親族と受付の人は喪章が異なる場合もあります。
また、葬儀社のスタッフが喪章を身に着ける場合もあります。ただし、スタッフは制服を着ているので関係者だとわかりやすく、喪章を身に着けることは少ないです。
喪主と施主の違いについて
喪主と施主は混同されることも多いですが、実際は全く違うものです。喪主と施主の違いについて簡単にまとめました。
喪主は葬儀の際の頭首
喪主は葬儀を行う頭首を表す言葉です。葬儀全体を取り仕切って、故人を弔う役割を果たすのが喪主になります。葬儀社との打ち合わせなどを行い、葬儀の挨拶、弔問客の対応などをすることになる責任者です。喪主は、必ずしも親族である必要はありません。
喪主をサポートするのが施主
施主は、喪主をサポートする立場です。施主は葬儀の費用も負担することになります。宗派の違いや地域で考えが変わってきますが、故人の葬儀では喪主と施主が同じ人であることも多いです。
そのため、喪主と施主を同じ意味だと誤解してしまうケースも増えています。喪主と同じく、施主も親族である必要はありません。
喪章をつけるのはどんな時?外すタイミングは?
喪章は通夜・葬儀で身に着けるもので、基本的にずっと付けたまま葬儀を続けます。通夜・葬儀で喪主や遺族に挨拶するのが習わしなので、目印になる喪章を身に着けておいた方がわかりやすいです。
ただし、受付の人は受付が終わると特にすることはなくなります。そのため、受付の人は仕事が終わったら喪章を外しても良いといわれています。火葬が終わった後は、故人の家族・親族のみになるので目印としての喪章は必要なくなります。
喪章は外しても良い場合もありますが、いつから外して良いという決まりはありません。喪章を外したい場合は、葬儀会社のスタッフにいつ外すしたら良いか相談すると良いでしょう。
喪章は必ず必要なわけではない
喪章を身に着ける立場の人であっても、喪章を身に着ける必要がない場合もあります。喪章を身に着ける必要がない場合についてまとめました。
正喪服を着ている場合は喪章は必要ない
正喪服とは、喪主・遺族のみが身に着ける正式な喪服です。葬儀の参列者は基本的に喪服のため、誰が喪主・遺族か分かりにくくなります。しかし、正喪服を着用していれば喪主・遺族であることは一目でわかります。
そのため、正喪服を着ているなら、喪章を身に着ける必要はありません。男性・女性別に正喪服についてご紹介します。
男性のモーニングコートは注意が必要
和装の正喪服は男性の場合、黒羽二重の染め抜き五つ紋付きの羽織を身に着けます。袴は仙台平か博多平を着用するのが決まりです。その上で、白足袋と畳面の草履を履くことになります。
洋装は、モーニングコートと白無地のワイシャツ、黒のネクタイが正喪服になります。。モーニングコートのベストには、白襟がついたものもあります。その場合は、白襟を外しましょう。
また、モーニングコートは、明るい時間に身に着けるのがマナーです。通夜ではモーニングコートは着用できません。
女性の服装は小物に注意
黒無地の染め抜き五つ紋付の着物に黒帯、白足袋、黒草履を合わせるのが女性の正喪服です。洋装の場合は、黒のフォーマルドレスが正喪服になります。ただし、準喪服と見分けがつきにくいので注意が必要です。
ジャケットの襟元が締まっていて、スカートの長いものが好まれます。デザインも多様性のない方がいいです。小物は黒いもので統一する必要があります。ただし、革製品は殺生を連想させるので、避けた方が無難です。
革のバックや革靴は認められていますが、爬虫類の模様の入った革製品はマナー違反になります。小物はできるだけ布製のものにして、革製の場合は無地のものを選びましょう。
喪章を用意するには?
葬儀では必要になる喪章ですが、用意するにはどうしたら良いのでしょうか?実は意外なところで販売もされています。喪章を用意する方法についてまとめました。
葬儀社が用意してくれることが多い
喪章は、基本的に葬儀社が用意してくれることが多いです。葬儀にかかる費用の範囲内で、葬儀社から必要な喪章が提供されるのが一般的です。ただし、全ての葬儀社が喪章を用意してくれるわけではありません。
地域によっても考えが異なりますし、喪章を用意しない葬儀社もあります。提供してもらえない場合は、自分たちで用意する必要があります。葬儀社に事前に確認しておきましょう。リボン型や腕章型のどちらかもわからないので、種類についても確認した方が良いです。
文具店やコンビニで手に入る場合も
葬儀社が喪章を用意してくれ場合は、自分たちで購入するのが一般的でしょう。あまり馴染みがありませんが、仏具店や紳士服店では喪章を扱っています。斎場の近くなら、コンビニやスーパー、雑貨店でも喪章を販売していることは多いです。
現在は、Amazonや楽天などのネット通販でも喪章は買うことができます。急いで購入したい場合には向いていませんが、あらかじめ用意して置く場合は通販も便利です。
喪章の価格について
喪章は高いものではありません。腕章型なら、200円から500円くらいで購入できます。リボン型の方が安く、10枚500円程度が相場です。
葬式バッジは喪章として使える?
ブラックリボンなどの名前で、葬式バッジというものも販売されています。これらは、喪章として使うことはできるのでしょうか?こういったアイテムは弔意を表すための物で、個人的に身に着けるものとして販売されています。
ただし、喪章を葬儀以外で身に着ける場合もあります。喪章だとわかる形状になっているなら、喪章として使っても大丈夫です。
自作も簡単
喪章は黒い布やリボンがあれば、簡単に作ることができます。腕章型なら腕に巻くことができる長さで、5センチから7センチの太さにします。それを安全ピンで留めてしまえば完成です。
リボン型は適度な長さに切って、安全ピンで固定するだけなので更に簡単です。ヨレや折れに強い素材で作ったものなら、安心して使うことができます。
喪章を身に着ければお通夜に喪服がない場合でも大丈夫?
急なお通夜などで喪服が容易できないことは珍しくありません。このような場合に喪章を身に着けていれば普通のスーツでも、喪服になるといわれることがあります。しかし、これは誤りです。喪章は、喪主や親族が身に着けるものです。
弔問客が喪章を身に着けるのはマナー違反ですし、喪章が喪服の代わりになることはありません。
プロ野球やサッカーなどのスポーツで喪章をつける理由とは
喪章は近親者か葬儀の手伝いをする人が身に着けるためのものです。しかし野球やサッカーなどのスポーツの試合で、選手が喪章をつけてプレイしている場合があります。これはチーム関係者や選手、あるいは災害で亡くなった方を悼んで喪章をつけているケースです。
特殊な例ですが喪章は故人への弔意を表すものなので、このように使われる場合もあります。
喪章が必要かどうかは事前に確認しよう
喪章の意味や歴史などについてまとめました。弔意を示すところから始まっていますが、喪章には喪主や遺族であることを表す目印になるという意味もあります。意外と簡単に用意できますが、必要かどうか確認することが大切です。
ご相談・お問い合わせください