お墓参りにはどんなお花がいいの?花の種類や相場についても解説
公開日 : 2020/10/4
更新日 : 2020/12/8
お墓参りに行くと色とりどりのお花がお供えされています。お墓参りにはどんなお花が良いのでしょう。花の種類はもちろん、相場やマナーについても解説します。また、お墓参りにおけるタブーのお花についても紹介しますので、参考にしてください。
公開日 : 2020/10/4
更新日 : 2020/12/8
目次
お墓参りに花を供える意味
お墓参りに行くと、色とりどりのお花がお供えされています。お墓参りでは誰もが花をお供えします。この花を供えるという行為には、実は大切な意味があるのをご存知でしょうか。 お墓参りに花を供える意味や由来は、いくつか存在します。まずはこれらの意味や由来について紹介します。
動物除け
お墓参りで花を供える意味として、最も有力視されているのが動物除けです。これは、土葬が関係しています。
現在の日本では火葬することが法律で定められています。しかし、昔は土葬が主流でした。土葬にすると、人気がなくなったお墓の周りに野生動物が集まり、お墓を掘り起こしてしまいます。
動物が墓荒らしをしないようにという意味でお供えされるようになったのが、樒(しきみ)です。樒には強い毒性があり、お墓の周りに樒をお供えすると動物は近寄ってきません。
その後、土葬が禁止されて火葬されることになります。それに伴い、樒をお供えする必要もなくなりますが、樒が色とりどりの花に代わり、現在も受け継がれていると言われています。
お釈迦様に由来している
お墓に花をお供えするという行為は、お釈迦様に由来しているとも言われています。これは、お釈迦様がまだお若かった頃のお話です。
お釈迦様は若い頃、悟りを開くために修行をされていました。そんな時、お釈迦様は仏様に出会います。修行中のお釈迦様は何も持っておらず、仏様の供養に差し上げるものがありませんでした。
そこで、お釈迦様は供養と仏様を尊ぶ気持ちを表すために、美しい花を仏様にお供えしました。仏様は美しい花と、お釈迦様の気持ちにたいそう喜ばれたそうです。
これが、お墓参りにお花を供えるという風習に変化したと言われています。
生命を意味している
お墓参りに花をお供えするのは、生命を意味しているとも言われています。これは、お墓参りにお供えする花が切り花だからです。
切り花は、どれだけ長持ちさせようとしてもやがて枯れてしまいます。植木鉢や地植えの花のように、半永久的に美しい花が咲き続けるということはありません。
短期間で枯れてしまう切り花を生命の花になぞらえ、生命の大切さを意味しているという説です。「私はこの切り花のように短い自分の生命を、精一杯美しく咲かせます」という意味も同時に込められていると言われています。
故人の食事の代わり
お墓に花をお供えするのは、花の香りが故人の食事の代わりになるからという説もあります。これは、故人が天国ではなく、地獄へ落ちた際のお話です。
地獄は天国と違い、お腹が空くと言われています。しかし、食事は与えられません。唯一食べても良いのは、遺族がお供えしてくれたお線香の香りとお花の香りだけです。
お墓参りにお花をお供えするのは、もしかしたらあの世でお腹を空かせているかもしれない故人の飢えを癒すためだということです。
お墓参り向けの花の種類
お墓参り向けの花の種類は、お供えするタイミングによって異なります。特別な時期には、特別な花を供えるというマナーがあるのです。 お墓参り向けの花の種類について、状況やタイミング別に紹介します。
四十九日までは白い花
お墓参りで花をお供えする際、四十九日までは白い花というのが通例です。と言っても、真っ白の花だけで揃えなければならない、というわけではありません。
四十九日までは白い花をお供えするとされていますが、差し色として青や紫の花は認められています。白を基調とし、差し色として青や紫の花を1~3本程度入れると良いでしょう。
なお、花の種類に特に決まりやルールはありません。白い花なら種類は問わないので、百合や菊、マーガレットなどを用いましょう。
季節の花を供える
四十九日を過ぎると、どんな花をお供えしても問題ありません。その土地や家の風習によっては決まりがありますが、基本的には季節の花を供えると良いとされています。
春におすすめのお墓参り用の花
春におすすめのお墓参り用の花として、カーネーションやスイセン、キンセンカやスズランなどが挙げられます。どれも春を代表する花で、希望に満ち溢れた花言葉がある花でもあります。
また、カラフルさを強調したい場合はポピーもおすすめです。さまざまな種類の色が出ていますから、お墓の周りが華やかになるでしょう。
カーネーションについては、特に色は赤でも問題ありません。京都の一部など、地域によっては赤の花はタブーとされているところもあります。しかし、基本的には問題ないとされています。気になる場合は、あらかじめ調べてみることをおすすめします。
夏におすすめのお墓参り用の花
夏におすすめのお墓参り用の花で挙げられるのは、ひまわりやクラジオラス、百合やマーガレットなどです。夏に満開になる花をお供えすると良いでしょう。
ひまわりは見た目が大変派手なので、お墓参りの花としてはふさわしくないと考える人もいるかもしれません。しかし、ひまわりの花言葉は「憧れ」や「あなたを見つめる」です。「いつまでもあなたのことを思っています」というメッセージにもなります。
ただし、夏は生花が傷みやすい季節でもあります。枯れた花をいつまでもお供えしておくのは、見た目もよくありませんし、不衛生です。短いスパンで花を変えるようにしましょう。
秋におすすめのお墓参り用の花
秋におすすめのお墓参り用の花は、りんどうやコスモス、吾亦紅(われもこう)やススキです。どれも、秋に満開になる花ばかりです。少し落ち着いた雰囲気の花でもあります。
中でも、りんどうには「悲しんでいるあなたを愛する」という花言葉があります。故人を悼む気持ちを表現する花言葉としても最適なので、秋のお墓まりでは特におすすめの花です。
冬におすすめのお墓参り用の花
冬におすすめのお墓参り用の花は、スイートピーやアイリスやストックです。冬に咲く花はあまり多くありませんが、これらの花は冬を象徴する花とされています。
アイリスの花言葉は「希望」や「信じる心」です。故人があの世で心穏やかに過ごしていることを信じている、などの意味になるので、冬におすすめのお花です。
お墓参りでタブーの花
お墓参りの際にお供えする花の中には、タブーとされているものもあります。タブーとされている花をお供えすると、他のお墓に迷惑をかける原因にもなりかねません。 お墓参りでタブーとされている花を紹介しますので、花選びの際の参考にしてください。
香りが強すぎる花
お墓参りでお供えする花としてタブーとされている代表的なものは、香りが強すぎる花です。香りが強すぎる花は、虫を多く寄せ付けてしまう可能性があるからです。
香りが強すぎる花は、それだけ虫をたくさん呼んで子孫を残そうとしている花です。引き寄せられる虫の中には、蜂などのような人間にとって危険な虫も含まれます。このような危険な虫が寄ってくると、他のお墓参りの参拝者の迷惑になってしまいます。
そのため、香りが強すぎる花は、お墓参りには適さないとされているのです。
蔓状の花
蔓状の花も、お墓参りの花として選ぶ際にはタブーとされています。理由は、他の植物などに巻き付いて成長するからです。
蔓状の花が巻き付く様子が、他の人に巻き付いて離れないという良くないイメージに結び付くからです。亡くなった人の魂が生きている人に巻き付き、あの世へ引きずり込むという場面を連想させます。
決して縁起の良い想像とは言えません。そのため、蔓状の花は縁起が悪いとされ、お墓参りの花としてはタブーとされています。
花が首の部分から落ちる花
花が首の部分から落ちる花も、お墓参りでお供えする花としては不適切だとされています。これは、武士の時代までさかのぼります。
武士の時代、敵の首を取ったら勝ちとなり、特別な報酬がもらえるとされていました。首を取られた側からすれば、これは負けを意味し、武士の家がなくなってしまうということを表していました。大変縁起が悪いことだったのです。
花が首の部分から落ちるという姿は、敵に首を取られたということを連想させるため、大変縁起が悪いと考えられるようになりました。家がなくなってしまうと考えたのです。
この考え方は現在も引き継がれており、花が首の部分から落ちる花をお墓参りでお供えするのは、大変縁起が悪く、失礼に値すると考えられています。そのため、タブーとされているのです。
お墓参り用の花の相場と本数
お墓参り用のお花には、どれくらいの費用をかけると良いのでしょう。また、お墓参りにお供えする花には本数などのルールがあります。それも合わせて解説します。
相場
お墓参りにお供えする葉なの相場は、一般的には500~1,500円程度とされています。相場に差があるのは、花屋さんで売られている仏花の金額を考慮しているからです。
花屋さんには「仏花」という名前で、お墓やお仏壇にお供えする花があらかじめ用意されています。この仏花の一般的な相場が、500円程度なのです。
また、自分でお墓参りにお供えするお花をアレンジする場合、あまり大袈裟なものにしてしまうと、他のお墓に迷惑がかかる可能性があります。派手な花や仰々しい花は、お墓にもあまり合いません。
1,500円までなら、華やかでありながら小ぶりな花束をお花屋さんがアレンジしてくれます。お墓にお供えする花は一般的に一対なので、1,500円までならちょうど良い大きさの花が出来上がるのです。
本数は奇数の3・5・7
お墓にお供えする花の本数は、奇数と決まっています。奇数と言うと、1や3や5や7などいろいろありますが、奇数なら何でも良いというわけではありません。
お墓参り用のお花を用意する際、花の本数は3・5・7のいずれかにするのが一般的になルールです。これは、仏教が割り切れない世界を目指しているからだと言われています。どんなことも割り切れないのだと気づくことで、悟りが開くとされています。
このような仏教独特の思想に関連して、お墓参りにお供えする花も奇数が良いとされているのです。その中でも最も良いとされているのが、3・5・7なので、これらの本数でお花を用意すると良いでしょう。
迷ったら仏花がおすすめ
お墓参りにお供えする花を用意する場合、色々考えすぎてどれにすれば良いのかわからない、ということもあるでしょう。また、手早くお墓参りのお花を用意したいということもあるかもしれません。
そんな時は、仏花をお供えしましょう。仏花は、お墓やお仏壇にお供えするために作られた花束です。どの宗派でも合うような花でまとめられています。また、本数についても仏教の習わしに従って奇数で揃えられています。
仏花は見た目が少し地味ですが、お墓やお仏壇にぴったりなお花で作られているため、間違いはありません。迷ったら、仏花を購入してお供えすることをおすすめします。
造花をお供えしても問題なし
仕事などが忙しい、またはお墓が遠い場合には、あまりお墓参りに行くことが難しいでしょう。そんな時には、造花をお供えすると良いかもしれません。
生花は時間が経てば枯れてしまいます。いつまでも枯れたお花をお墓にお供えしておくのは、見た目にも良くありません。また、悪い虫が集まってくることもあるので不衛生です。
造花は枯れることがなく、いつまでも美しい花を咲かせた状態を保っています。お墓の周りが汚れることはありませんし、不衛生になる心配もありません。
お墓に造花をお供えしてはならないというルールはありません。むしろ近年では、お墓に積極的に造花をお供えするところもあるくらいです。こまめにお墓参りができない、などの理由がある場合には造花を活用しましょう。
お墓参りの際のマナー
お墓参りの際には、一般的なマナーがあります。そのマナーを守ってしっかり守らないと、お墓を管理するところにも迷惑になりますし、他のお墓参りに来た人たちが不快な思いをする可能性もあります。 お墓参りの際のマナーについて紹介します。必要最低限これだけは守っていれば大丈夫ですから、参考にしてください。
花以外のものはすべて持ち帰る
お墓参りの際には、花以外に故人が好きだった食べ物や飲み物をお供えすることがあります。しかし、お墓に残して良いのは花とお線香のみです。最近はろうそくも禁止というところもあります。
食べ物や飲み物をお墓に残していくと、野生動物が食べに来てしまいます。また、食べ物が腐ってしまうと、お墓の周りは大変不衛生です。墓石を傷める原因にもなります。
お墓参りの際にお供えしたお花以外のものはすべて持ち帰りましょう。特に食べ物や飲み物は、必ず持ち帰ることが最低限のルールですから、注意してください。
借りたバケツなどは必ず片付ける
お墓参りに訪れたら、バケツなどを借りることがあります。お墓にお水を掛けたり、墓石やお墓の周りを掃除したりするための道具は、すべてお墓の方で用意されています。
借りたバケツなどは必ず元のあった場所に片付けるのも、大切なルールです。使ったものは他の人がまた使います。元のあった場所に戻しておかなければ、次に使う人が見つけられません。必ず片付けて帰りましょう。
故人の思い出と共に花を手向けよう
お墓参りの際にお供えする花は、故人との思い出を思い出すきっかけにもなる大切なお供え物です。ただ単に花をお供えするのではなく、故人に思いを馳せながらお供えすることで、故人にあなたの思いも伝わりやすくなるでしょう。
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