お通夜に持っていく数珠とは?数珠の基本事項を詳しくお伝えします
公開日 : 2020/10/9
更新日 : 2020/10/9
お通夜の連絡をもらうと香典とともに数珠を用意しますよね。では何故お通夜に数珠が必要なのでしょうか。絶対に持っていかなければいけないものなのでしょうか。今回は身近にある数珠の基本事項を中心に、お通夜で必要な理由を紐解いていきます。
公開日 : 2020/10/9
更新日 : 2020/10/9
目次
数珠とは?
数珠は仏教に用いられる法具の一つです。形状は丸い球に紐を通して輪にしたものであり、手にかけて使います。仏様や菩薩様に手を合わせ念じる際に使われるため、念珠とも呼ばれます。
古くは仏教発祥の地であるインドのバラモン教徒が使っていたものを釈迦が取り入れてことに始まり、中国から日本へと仏教とともに伝わってきました。元々は僧がお経や真言などを唱える際に、玉を一つずつ手繰ることで数を数えるものとして使われたことで数珠と言われるのです。
数珠の玉の数は108が基本です。これは仏教の煩悩の数と同じであり、数珠を用いて何度も念ずることで煩悩が消えるとされています。また108では多すぎて数珠が重たくなったり長くなったりするのを避けるため、108の半分の54や、3分の1の36などの数でも作られます。
数珠は仏さまや菩薩様に念ずる際に使うことで、災いを遠ざけるとも言われています。また何より現在でもお葬式に使われることから社会人になったら一つは自分用として買い求めることをお勧めします。
お通夜に数珠は必要?
数珠は訃報を聞いた際に、すぐに思い浮かんで準備をしなければ、と思うものです。では数珠は実際にすべてのお通夜に持っていかなければいけないものなのでしょうか。
仏式のお通夜には必要
数珠を持っていくべきなのは仏式のお通夜の場合です。数珠は仏式の法具ですので自分の物がある場合は持参するように心がけます。仏教では人は亡くなったら仏となると考えます。
数珠は亡くなった人を送り出す大切なお葬式で、持つ人の心を落ち着かせ、念ずる気持ちを伝えてくれる大切な役割を果たすのです。仕事の出先などからお通夜で行くこともあるので、数珠は身近に持っているとよいでしょう。
持ち歩く際には袱紗や専用の袋に入れて大切に扱います。持ち歩くことで数珠は持ち主を守ってくれるとも言われています。
仏式以外のお通夜には不要
先方のお通夜が仏教以外で執り行われるのであれば数珠は不要です。これは数珠が仏教専用の法具だからです。そのため、仏教以外のお通夜では数珠を持参していたとしても、出さないように気を付けます。
数珠の基本事項
仏式のお葬式は多く、数珠をもってお通夜に参列したことも貴方はあることでしょう。お通夜では一般的な数珠ですが、仏教のイベントが少なくなった今ではお葬式以外ではあまり使うことはなくなりました。
しかし数珠は、本来はお葬式だけではなくお寺に伺った時、法要や施餓鬼などの行事、普段の仏壇やお墓のお参りなどに使われ、数珠を使うことは日常的なことだったのです。そのような数珠をここでは改めて掘り下げていきましょう。
数珠は宗派によって異なる
数珠は本来、僧が念仏を唱える際に大切にするものであるため、宗派によって数珠の様相が大きく異なります。例えば、天台宗では玉は丸い形ではなく平べったい形をしています。加えて天台宗では数珠をこすり合わせてじゃらじゃらと音を大きく立てて使われます。
また浄土宗・時宗では二つの数珠を連ねた独特な形をしていますし、日蓮正宗では必ず108の玉の数を用いた専用の数珠を使うことが望ましいとされています。このように宗派によって数珠は様々ですが、在家の一般人が用いる数珠に制限はありません。
ただ自らの宗派が専用の数珠を使うことが望ましいとされている場合には、自らの宗派に合わせた数珠を用意するのが望ましいでしょう。
数珠の主な種類
数珠は宗派によって異なりますが、大きく分類することもできます。主に本連数珠と略式数珠とに分けることができ、ここでは男性用と女性用についても明記していきます。
本連数珠
本連数珠とは必ず108個の玉を連ねた数珠で、輪を二つ作り二重にして使用することから、「二連数珠」「二輪数珠」とも呼ばれます。玉の数にしっかりと規則がありますが、形状や大きさ、玉の材質に決まりはありません。
僧が使う正式な数珠という意味であり、在家の一般人では熱心に仏教を信心する人に好んで使われますが、誰が使用しても構いません。格式が高いので社会人としてしっかりとしたものを持ちたい場合に検討すると望ましいでしょう。
略式数珠
略式数珠はその名の通り、本連数珠を略式した数珠で玉の数が108個以下の数珠です。別名「片手数珠」とも呼ばれます。主に得度を得ていない在家の方用であり、現在広く一般的にお葬式や法事などで使用される数珠がこの略式数珠です。
略式数珠の玉の数は108個を基準として半数の54個、三分の一の36個、四分の一の27個、六分の一の18個で作られていることが多いです。しかし、最新では見目や使用者の手の大きさに合わせることを優先として、108個を基準としていない玉の数で作られた略式数珠も増えてきています。
男性用
男性用の数珠は女性用よりも大きい玉が使われています。女性用の玉と比べると全く違いますので、間違って使うことは避けるに越したことはないでしょう。また男性用の数珠は黒やこげ茶など落ち着いた色合いが多いのも特徴です。
女性用
女性用の数珠は玉が小さく作られ、色や房も種類が非常に豊富です。女性らしい可愛らしいものから、気品があるものまで多種多様ですので、選ぶのに悩んでしまう方が多いことでしょう。
現在で数珠をよく使うのはお通夜や法事など弔事であることが多いので、どの数珠を選ぶか迷った時にはお通夜には向かない派手な赤系ではないものをお勧めします。
数珠の材質
数珠の材質と房は様々です。厳しく定められている宗派以外では基本的にはどの材質でも構わないとされています。困った場合は専門店で相談することをお勧めします。また一部地方によってはお葬式に持っていく数珠は水晶などの透明な玉がよいという風習が残っている場合も有ります。
数珠の材質は昔は仏教の七つ宝といわれる七宝で作ることが相応しいとされました。七宝は書かれている書物によってやや違いがありますが、およそ金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲(しゃこ)・珊瑚・瑪瑙・真珠・玫瑰(まいかい)をさし、数珠に相応しいのは瑠璃・玻璃・珊瑚・瑪瑙・真珠といったところです。
その外には翡翠やルチルクォーツ・アメジスト・虎目石などの貴石や菩提樹・黒檀・鉄刀木(たがやさん)などの木、象牙、そして人工物であるガラスや樹脂などでも数珠は作られます。
天然素材で希少かつ加工が難しいものほど高く、水晶に似せたガラスや真珠などに似せた樹脂製などは安価です。そして材質によって気を付けるべきことがあります。木で虫害を受けやすいものは、桐箱で、防虫剤を入れての保管が必須です。
また汗に弱い材質もあります。瑠璃(ラピスラズリ)や珊瑚、真珠、マラカイトは手で触れたままで放置すると腐食してしまうので、柔らかい清潔な布で拭きとってから桐箱で保管する必要もあります。
なお珊瑚や真珠は傷つきやすいので持ち歩いたり、使用する際には扱いに注意しましょう。
数珠の房
数珠には房が付いています。その材質や形、色は多種多様にあります。宗派によって決められていますが、一般の人が持つ場合にはそれほど決まりはありません。自分の宗派でしっかりした数珠をあつらえたい場合には、専門店で相談しましょう。
房の材質では正絹やポリエステルが多く、頭付房と呼ばれる川の流れのように糸を垂らした形の房であれば正絹がお勧めです。なぜなら正絹は跡がつきにくく形が崩れにくいからです。
ポリエステルだとすぐにぼさぼさになって見苦しくなりがちです。なお糸を垂らさずに房をまとめ吉祥梵天房や、柔らかい鞠をつけた梵天菊房などは形が崩れにくいので長持ちする傾向があります。
なお、房の色は地域によって決まりがある場合も有ります。東海地方や北陸地方の一部では、お葬式の際には白い房の数珠を、それ以外の法事の際には紫色の房の数珠を使う風習があります。
数珠の持ち方
数珠は仏教の大切な法具ですので、普段は桐箱などに納め、持ち歩くときは専用の袋などに入れて扱います。加えて正しい持ち方がありますのでここで合わせてご紹介します。
なお本式数珠は宗派によって持ち方や使い方が異なるので、ここでは略式数珠の一般的な持ち方をご説明します。
座っている時
座っている時に関わず、数珠を使わない間は左の手で数珠を持ちます。この時は房が下に来るようにして持ちましょう。仏教では右手が仏様の領域であり、左手が私達である俗世の人を指すという理由からです。
席を立つときには数珠を椅子や机の上にそのまま置いておくことのよう無いように気を付けます。大切な法具ですので、ハンカチや袱紗を敷いてその上に置くことを意識しておきましょう。
焼香する時
焼香をし合掌をする時に数珠は大きな役割を果たします。合掌は供養する心を表し、数珠によって高められ仏様へ届くと考えられているのです。この時、一般的には数珠は左手にかけて持ち、そこへ右手を添えるようにします。
真宗大谷派(浄土真宗東本願寺派)では、右手を数珠にくぐらせて両手に数珠をかけます。また一般的には房は下でそのまま垂らすようにしますが、真宗大谷派では房を上側に持ってきてから下へ垂らすのが基本的な持ち方です。
数珠の貸し借りはしないほうがよい?
数珠の貸し借りは行わないのが好ましいです。ただお通夜で忘れてしまって、数珠がないままお通夜に出るよりは借りた方がよいとも言えます。数珠は仏教の法具で、仏様や菩薩様に礼拝する際に使うものです。
この時礼拝するのは自分ですよね。自分の念仏を届けるための法具であり、数珠を持って念ずることが仏様たちへのマナーと考えましょう。また同時にハンカチやネクタイは貸し借りをしないで自分で用意するべきものと考えることと、数珠の在り方も同じと考えれば自分の数珠を持つ意味が少しはわかりやすいのではないでしょうか。
そのため、社会人となってお通夜に参列する機会が増えるので自分の数珠をしっかりと持つようにしたいところです。
数珠はどこで買える?
きちんとした数珠を買いたいということであれば、数珠の専門店または仏具店が望ましいでしょう。宗派による違いを理解しているので安心して相談できますし、お客の希望に合わせた多種多様の数珠を取り扱っていることが理由です。
今では数珠をオーダーメイドで作ることもできます。材質や色合いなどこだわりを出したい場合にはオーダーメイドを受け付けている専門店を探しましょう。数珠は永く使うものですので、気に入ったものがあればそれに越したことはありません。
また数珠は専門店や仏具店でなくとも、最近では百円ショップやコンビニエンスストアなどでも手に入れることはできます。ただ百円ショップやコンビニエンスストアなどに置いてある数珠の種類は多くはありません。
ブレスレット型の数珠とは?
ブレスレット型の数珠、というものがあります。これは数珠と同じように玉を連ねたブレスレットなのですが、房が付かず玉の数も決まりがありません。そのためあくまで数珠に似た形のブレスレットであり、数珠そのものではありません。全く別物です。
ブレスレット型の数珠と聞いて、お通夜でも使える数珠だと勘違いしないように気を付けたいところです。ブレスレット型の数珠をお通夜で数珠のように使うのは恥をかいてしまいます。
ブレスレット型の数珠はあくまでおしゃれであり、パワーストーンの効力を身に受けるためのものと考えましょう。ただブレスレット型の数珠は数珠と材質を同じくすることで、魅力的なブレスレット型の数珠を作れるため、専門店が力を入れている商品です。
本来の数珠よりも手軽におしゃれとして人気が高まっています。
お通夜の数珠について
お通夜に数珠が必要かどうかは、参列をする先方の宗派によって異なります。仏式でのお通夜では数珠を持参しましょう。仏式以外のお通夜では数珠は不要です。数珠は仏式専用の法具であり、もともとは僧が仏様や菩薩様に祈るためのものが在家の一般人に伝わって広まりました。
数珠の材質は、菩提樹や黒檀などの木から、瑠璃や玻璃などの七宝、翡翠やアメジストの鉱物、象牙、ガラスや樹脂製など多岐に渡り、その色合いや見目が様々です。数珠は宗派によって様相が異なりますが、108個の玉数を基本として作られ、僧ではない一般人であれば厳しく制限されてはいません。
社会人となればお通夜に参列する機会は増えます。そのため自分用の数珠を一つは持っておくことをお勧めします。数珠の貸し借りはお勧めできず、社会人のマナーとしても自分用の数珠を使う方が好ましいからです。
自分用の数珠を買う際には自分が気に入った材質や色で決めて構いませんが、お通夜などの場では真っ赤な色合いだけは避けた方が無難です。どうしても鮮やかな色がよい場合はお通夜用などに別にもう一つの数珠を買い求めるのも一つの方法です。
数珠は一つに限らず場に合わせていくつか所持していても構いません。
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