通夜と葬式の違いとは?日程の決め方やマナーについて解説

公開日 : 2020/10/9

更新日 : 2020/10/9

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通夜と葬式のちがいは、なんとなく理解していても、的確な説明をできないという人も多いはず。そこで今回は、通夜と葬式のちがいについて解説します。あわせて通夜や葬式を行う際の注意点や心構え、参列者側のマナーについてもご紹介します。

公開日 : 2020/10/9

更新日 : 2020/10/9

目次

通夜と葬式のちがいとは?

葬送儀礼の中には「通夜」や「葬式」のほかに、「葬儀」や「告別式」と呼ばれるものもあります。まずは、それぞれの意味やちがいをご紹介していきます。

通夜とは

通夜とは一般的に葬式の前夜に行われる儀式で、故人と親しい人が、故人を偲び、故人との最後の夜を過ごすための儀式です。通夜は基本的に夜通し行われ、通夜の間は誰かが遺体のそばに付き添い、線香の火を絶やさないように気を配ります。これは、遺体に悪しきものが入り込まないように、故人を守るという意味が込められています。

 

通夜では僧侶を招いての読経のほか、参列者による焼香が行われます。これを「通夜式」と呼びます。通夜式の終了後には「通夜ぶるまい」として、参列者に食事をふるまう地域もあり、これには故人と最後の食事を共にするという意味があります。また、反対に参列者が遺族にお茶やお菓子を差し入れする地域もあります。

 

通夜ぶるまいが終わると近親者のみが故人のそばにとどまり、前述のように遺体と火の晩を夜通し行います。この「通夜式」「通夜ぶるまい」「遺体の番」といった一連の流れをあわせて「通夜」と呼びます。

半通夜とは?

現在は都市部を中心に、通夜にかわって「半通夜」を行うことが多くなっています。半通夜とは、日付が変わらないうちに散会する通夜の形式です。通夜と異なり、世を徹して遺体や火の番をすることはありません。半通夜は夕方頃から「通夜式」を行い、「通夜ぶるまい」が終わると解散します。所要時間は1~3時間程度です。

 

半通夜が広まった主な理由として、斎場での夜間の火災を防ぐため、あるいは、参列者への負担の軽減といった、2つが挙げられます。半通夜のことを「通夜」と呼ぶこともあるため、通夜に参列する場合は、「通夜」なのか「半通夜」なのか事前に確認しておくとよいでしょう。

葬式とは

葬式は、通夜の翌日に行う本葬のことで、一般的には宗教的儀礼を指します。そのため、宗教宗派によって形式や流れが大きく異なるのが特徴です。いずれの宗派であっても、故人の冥福を祈り、別れを告げる儀式と位置付けられています。

 

たとえば仏式の葬式の場合は、僧侶にお経をあげてもらうことで故人の冥福を祈ります。よって仏式の場合、狭義には、葬式は「僧侶による読経」を指すといわれています。葬式はよく「葬儀」という言葉と混同されますが、どちらも死者の冥福を祈る宗教儀礼の意味合いであることから、葬式と葬儀はおなじものだとみなされています。

 

また、「葬儀」という言葉には、故人の逝去にはじまり、納棺や通夜・葬式、火葬のほか、四十九日法要や埋葬といった、一連の葬送儀礼の意味合いも含まれます。ただし最近は、単純に「葬儀」という場合は、通夜の翌日に行われる本葬を指すと考えるのが一般的です。

葬式と告別式の違いとは

葬式と似た言葉に、告別式というものがあります。葬式と混同されがちですが、実は告別式は葬式とはまったく意味が異なります。前述のように、葬式は故人の冥福を祈る儀式であり、狭義には「僧侶による読経」を指します。一方告別式とは、故人と、故人の親族・知人・友人とのお別れの会と捉えられています。

 

たとえば、焼香や故人の棺にお花を供えるといった儀式は告別式に分類されます。もともとは、死者を埋葬地まで運ぶ「野辺送り」の意味合いが強く、葬式のあと、出棺前や埋葬前に行う儀式が「告別式」でした。現在でも焼香や供花は、読経の後、出棺の前に行うのが一般的です。

 

もともと葬式と告別式は違う日やタイミングで行われていましたが、最近では同日に行うことが多くなっています。そのため、混同して使われやすいというわけです。

 

ちなみに日本で最初に行われた告別式は、1901年の中江兆民の葬儀に際してです。中江兆民は、死後はすぐに荼毘にふすように遺言していたため、宗教儀礼である葬式にかわって、友人や知人が告別式を行ったといわれています。

通夜と葬式の大まかな流れ

通夜と葬式の大まかな流れについて解説していきます。あわせて、通夜・葬式を執り行う際の注意点もご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

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日程を決める

まずは通夜と葬式の日取りを決めましょう。一般的に、通夜は故人が亡くなった日か翌日の夜、葬式はその翌日に行います。ただし地域や宗派によって、逝去から数日置く場合もあります。

 

また、葬儀の前に火葬を行う前火葬の風習がある地域などでは、やはり通夜や葬式は逝去からすこし日を置くことになります。ちなみに、火葬は逝去から24時間以上経過しなければ行うことができません。

日程を決める際の注意点

通夜や葬式の日取りを決めるうえで、考えるべきポイントは3つあります。1つ目は参列者あるいは宗教者のスケジュールです。葬式には僧侶などの宗教者を招かなければなりませんので、宗教者のスケジュールが詰まっている場合は、空いている日程に調整する必要があります。おなじく、どうしても参列してほしい参列者のスケジュールに合わせる場合もあります。

 

2つめは、斎場や火葬場の営業日です。営業スケジュールは地域や施設によって異なります。そのため、葬祭会館や火葬場が間違いなく利用できる日を選んで、通夜や葬式の日取りを設定する必要があります。とくに友引の日は休場している斎場や火葬場が多いため、注意が必要です。

 

3つ目は六曜です。先にも触れたように、友引は斎場や火葬場がお休みする日です。なぜかというと、友引は名前の通り「友を引く日」とされるため、弔事を行うのは縁起が悪いと考えられているからです。しかし実際には六曜と仏教は何の関係もないため、通夜や葬式に友引を避ける必要はありません

 

ただし、参列者の中には友引の日の通夜・葬式に抵抗を持つ人もいるため、気配りが必要です。友引のほかに、大安も通夜や葬式にはふさわしくないといわれています。

通夜や葬儀の案内をする

日程や斎場が決まったら、関係各所への連絡を行います。案内を出す参列者の範囲はケース・バイ・ケースです。また、通夜や葬式で仕事や学校を休む場合は、そちらへの連絡も忘れないようにしましょう。くわえて、故人が所属していた団体への連絡も行います。連絡手段は電話が一般的です。現在ではメールやメッセージアプリの利用も容認されています。

通夜当日の流れ

通夜当日の大まかな流れを見ていきましょう。通夜式の開始~通夜式の終了までは、通夜でも半通夜でも、内容に大きな違いはありません。

受付

受付は通夜式の1時間~30分前から始まります。遺族が行うこともありますが、忙しい場合は遺族の知人・友人や会社関係者に依頼するのも一般的です。受付の担当者は遺族側としてふるまうのがマナーです。お悔やみの言葉を受けた場合は、遺族代表として「おそれいります」などのお礼の言葉を返しましょう。

 

受付では香典を受け取り、参列者に芳名帳に記入してもらいます。返礼品や香典の即返しなどの品物がある場合は、間違いなく参列者に手渡すようにしましょう。

僧侶入場

参列者が着席したら通夜式が始まります。まずは僧侶が入場し、所定の位置に着座します。ちなみに、喪主は通夜式が始まる前に、お世話になる僧侶にご挨拶に伺うのがマナーです。この際、通夜のお礼金として「お布施」をお渡ししますが、お布施は通夜式のあとにお渡しすることもあります。

読経・焼香

僧侶がお経をあげます。その後、参列者全員で焼香を行います。焼香はまず喪主が行い、親族の中で故人と近しい順番に行っていきます。その後、一般参列者の焼香になります。一般参列者の焼香は席順に行うことが多いです。

法話・僧侶退場

焼香が終わると、僧侶による法話が行われます。法話は省略されることもあります。その後、僧侶は退場します。

喪主挨拶

僧侶の退場後、喪主から参列者へ挨拶をします。挨拶は通夜式の前に行うこともあります。通夜参列へのお礼のほか、通夜ぶるまいや、翌日の葬式の案内なども併せて行います。喪主挨拶の際は、必ず故人との続柄を紹介するようにしましょう。

通夜ぶるまい

通夜ぶるまいは、会葬のお礼の意味を込めて、参列者に食事をふるまうことです。故人に成り代わって参列者をもてなすという意味もあります。通夜ぶるまいには僧侶もお招きするのが一般的ですが、辞退された場合は、「御膳料」として5000円~1万円程度を包んでお渡しします。

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葬式当日の流れ

続いて葬式の当日の流れを見ていきましょう。基本的には通夜式の流れと変わりませんが、葬式のあとには故人の棺に花を供える告別式や、出棺・火葬場への出発などの過程が加わります。

受付

葬式の1時間~30分前から受付が始まります。通夜のときと同様、受付係は参列者から香典を受け取ったり、芳名帳に記入してもらったりすることが主な仕事です。返礼品や礼状のお渡しも忘れないようにしましょう。また、受付係は参列者からお手洗いやクロークの問い合わせを受けることも多いです。事前に場所や方法を確認しておきましょう。

僧侶入場・読経・焼香

参列者が着席したら、僧侶が入場します。読経ののち、参列者全員で焼香を行います。順番や方法は通夜式のときと同様です。葬式での読経の所要時間は、宗教宗派によって異なりますが30分~1時間程度です。

 

通夜式の読経と異なり、葬式の読経の途中では、故人に戒名が与えられます。これによって故人の魂はあの世へと導かれていきます。葬式の読経は故人の冥福を祈り、別れを告げる時間ですので、気を散らさずに心の中で故人への祈りを捧げましょう。

法話・僧侶退場

焼香が終わると、僧侶による法話がおこなれます。その後、僧侶は退場します。僧侶が退場する際は、合掌と黙礼で見送るのがマナーです。

喪主挨拶

通夜式と同様、喪主から会葬のお礼のあいさつがあるのが一般的です。このあとの告別式や出棺、見送りなどへの参加のお願いもあわせて行います。

お別れ

故人の棺にお花を供えるなど、最後のお別れを行います。いわゆる告別式です。最後のお別れは近親者のみで行い、一般参列者は会場の外で待機するのが一般的です。場合によっては、参列者も最後のお別れの儀式に参加することもあります。出棺前に、近親者によって棺が完全に閉じられます。

出棺

近親者を中心に、棺を会場の外に運び出します。棺は霊きゅう車に載せられ、火葬場に向けて出発します。親族はバスに乗り合わせて火葬場に向かい、一般参列者はそれを見送るのが一般的です。最後に僧侶の読経が行われることも多いです。

通夜と葬式のどちらに参列すべき?

基本的に通夜と葬式には両方参列しますが、どちらか一方のみの参列でもかまいません。その場合は、通夜や葬式の案内を受け取ったときに、どちらに出席し、どちらを欠席するのか先方に伝えておくことを忘れないでください。ちなみに、通夜と葬式の両方に参列する場合は、香典はどちらか一方のみに持参します。

 

どうしても参列が難しい場合は、どちらも欠席しても問題はありません。その際は、後日、お詫びの手紙を添えて香典やお花を贈ったり、弔問に伺ったりするのが一般的です。通夜か葬式に弔電を打つことも多いです。

通夜と葬式に参列する際のマナー

通夜と葬式に参列する際の、参列者の基本的なマナーを見ていきましょう。これからご紹介するポイントは、社会人の常識でもあるため、今一度ご確認ください。

服装

男女ともに礼服が望ましいです。最近は喪服のインターネットレンタルも普及していますので、用意が間に合わない場合はそちらを利用してもよいでしょう。また、通夜は急に連絡が入ることもありますので、平服でも構わないとされています。

 

平服で参列する際は、黒やグレーなどの地味な色味のスーツやワンピースを着用しましょう。ネクタイや靴下、タイツを黒色のものに替えることを忘れないでください。女性はワンピースやスカートのほかに、パンツスタイルのでの参列も認められています。学生なら学生服を着用するのが無難です。

 

男女ともに、肌の露出や派手な色味・デザインの服装は避けましょう。また清潔感のある髪型をすることも大切です。葬儀の場に光物は厳禁であるため、腕時計やアクセサリー類は外します。ただし結婚指輪とパールのアクセサリーは着用が認められています。

持ち物

数珠は、通夜と葬式に必ず持参すべきものです。また、参列の際は香典を持参するのが一般的です。香典をむき出しで渡すのはマナー違反とされているため、必ず袱紗に包んで持参しましょう。弔事の場合の袱紗は黒や紫とされています。

 

ハンカチは白色のものを用いましょう。柄物はNGです。光物は厳禁ですが、地味なデザインの腕時計であれば着用してもかまいません。

香典の金額相場

香典の金額はその人の立場や年齢、故人との親交によって異なります。一般参列者の立場ならば、香典の金額は3000円~1万円が相場でしょう。会社関係者に個人で包む場合は5000円が相場です。

香典袋の書き方

通夜や葬式の場合、香典袋の表書きは「御霊前」とします。これは、故人の魂は、四十九日が過ぎるまでは霊として現世に留まると考えられているためです。ただし浄土真宗では「御仏前」と書くため注意が必要です。浄土真宗では、逝去と同時に成仏すると考えられているため、葬式や通夜であっても「御仏前」が用いられます。

 

表書きは水引の上の中央に書き入れます。水引を挟んで下段に、香典を包む人の氏名を記入します。中袋の表には金額を書き、裏側には住所と氏名を書き入れますが、中袋がない場合はのし袋の裏側の下段にそれらを記入します。

それぞれの違いやマナーを知っておこう

通夜と葬式、告別式は似ていますが、それぞれ目的が異なります。違いをしっかり理解して、それぞれの場にふさわしい振る舞いをするように心がけましょう。