葬祭扶助の定義について|申請する手順や扶助を受けられる条件を紹介
公開日 : 2020/9/22
更新日 : 2020/9/22
葬祭扶助とは、生活保護を受けている等の経済的に困窮している人に対し、葬儀費用を自治体が支給する制度です。実際に、生活保護法の第18条に定められています。ここでは、葬祭扶助を申請する手順や扶助を受け取ることができる手順を紹介していきます。
公開日 : 2020/9/22
更新日 : 2020/9/22
目次
厚生労働省の葬祭扶助の定義とは
葬祭扶助とは、生活保護を受けている等の経済的に困窮している人に対し、葬儀費用を自治体が支給する制度です。実際に、生活保護法の第18条に定められています。例えば、遺が経済的に困窮しており、葬儀の費用をまかなえない。
もしくは、遺族以外の人が葬儀を手配するなどの場合に利用することができます。こちらの葬祭扶助で支給される金額は、最低限の葬儀を行うことができるだけの費用とされています。
そのため、僧侶の読経などは基本的に行われません。直葬と呼ばれる火葬だけのお別れで済ませることが基本です。こちらの、葬祭扶助の申請は葬儀の前に、市町村の役所あるいは福祉事務所で行います。委任状等の書類がそろっていれば、葬儀社が代行して行うことも可能です。
誰でも葬祭扶助を受けることはできるのか
葬祭扶助に関して、次の疑問が良く持ち上がります。「自分は生活保護を受けていないのだけれども、一人暮らしの身内で生活保護を受けている人が亡くなった場合、役所がお葬儀代を出してくれるのか」です。こちらについて解説していきます。
このように、亡くなった方が単身で生活保護を受けている場合でも、お葬式をする家族・親族が生活保護を受けていない場合は補助が出ることはあまりありません。あくまで、お葬式をする人 = 亡くなった人ではないからです。
この制度はお葬儀を出す人が生活保護を受けていて、葬儀の金がない場合に役所が簡単な葬儀の費用を出すという制度です。以前は亡くなった方が生活保護を受けている場合は、家族がいても補助金が出たこともありました。ここ10年で生活保護世帯は急激に増えた影響かもしれません。
葬祭扶助を受けられる条件とは
葬祭扶助を受け取るための条件は、以下の2つです。1つ目が、「遺族が生活保護を受けるなど困窮している」場合です。2つ目が、「扶養義務者がおらず遺族以外の人が葬儀を手配する」場合です。以下で、詳細を紹介していきます。
遺族が生活保護を受けるなど困窮している
生活保護制度の第1項では、葬祭扶助の対象を「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者」と定められています。こちらの、生活保護制度は葬祭扶助を含めて全部で8つあります。そして、そのすべてが「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者」を対象としています。
既に、他の生活保護を受給している方は、葬祭扶助についても支給が認められる可能性が高いです。しかし、生活保護の種類によって基準が多少異なるため、必ず認められるとは限りません。
さらに、喪主が「困窮のため最低限度の生活を維持することができない者」に該当する場合であっても、ほかの親族に「困窮のため最低限度の生活を維持することができない者」に当たらない方がいる場合は、葬祭費用を負担させることを求められこともあるため注意してください。
扶養義務者がいない遺族以外の人(病院長等)が葬儀を手配する
2項の規定は、亡くなった方が被保護者の場合や、亡くなった方の遺留した金品で葬祭を行うに必要な費用を満たすことができない場合。さらに、亡くなった方の扶養義務者で葬祭を行う方がいない場合において、扶養義務者以外で葬祭を行う方も対象としています。
この扶養義務者とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族のうち家庭裁判所が扶養の義務を負わせた人をいいます。現に扶養をしていなくても構いません。さらに、直系血族とは、親、祖父母、子、孫等のことです。
そして、扶養義務者で葬祭を行う方がいない場合、民生委員、入居施設の長、知人等の第三者が葬祭を行う場合があります。そのような場合に、必要な費用を満たすことができない場合は葬祭扶助の基準額の範囲内で不足額。また、被保護者の場合は基準額の範囲内で全額受けることができます。
葬祭扶助の申請方法とは
ここでは、葬祭扶助の手順を紹介していきます。大きくわけると、以下2つの段階に分けることができます。1つ目が、「申請者は喪主、葬儀社が代行する」です。2つ目が、「市町村の役所、福祉事務所にする」です。以下で詳細を紹介していきます。
申請者は喪主、葬儀社が代行する
葬祭扶助の申請は原則として喪主が行います。ただし、喪主の委任状や印鑑などがあれば、葬儀社が代行することもできます。こちらは、状況に合わせて変更することが可能です。その時々の状況に合わせて行いましょう。
葬祭扶助の申請先、タイミングについて
生活保護受給者への葬祭扶助支給の申請先は福祉事務所です。 葬儀を行なう人、自身が居住している自治体の管轄の福祉事務所に申請します。この申請は火葬を実施する前のタイミングで行わなければなりません。
仮に、火葬を済ませた後申請しても、支給されませんので注意しましょう。この時、ケースワーカーに支給可否の判断が委ねられており、更に各自治体によって規約などが異なります。そのため、葬祭扶助制度を利用することが予めわかっている場合は、生前から相談しておきましょう。
さらに、葬儀社との打ち合わせ前には申請を終えておき、葬祭扶助の範囲内での葬儀を希望する旨を伝えておくことを推奨します。
葬祭扶助の具体的な給付額は
ここでは、具体的な給付額について。その後に、給付額で納骨費用を含む葬儀に要する費用をどの範囲まで賄うことができるのか解説していきます。
具体的な給付額の上限について
葬祭扶助給付基準額も、規定で定められています。まず、亡くなった方が12歳以上の場合は206,000円以内です。次に、12歳未満の場合は164,000円以内と定められております。
こちらの基準額の範囲内に加えて、自治体ごとに上限金額が定められています。これは、亡くなった方の住所地の自治体の定めた上限金額の範囲内で、葬祭に要した費用が支給されることになっています。詳細は、所属する自治体に問い合わせてください。
納骨費用は給付額に含まれるか
定められた、生活保護法18条には、納骨は葬祭扶助の範囲内とされています。しかし、ここでいく納骨とは、火葬の後に遺骨を骨壺に収骨することです。そのため、墓地等へ納骨するための費用は葬祭扶助ではカバーできません。
あくまで、葬祭扶助で行える葬祭は、直葬に関する費用だけです。葬祭扶助でまかなえる主な費用には、次のようなものがあります。棺、棺用布団、仏衣、枕飾り、枕花が含まれます。
その他には、ドライアイス、寝台車・霊柩車使用料。さらに、安置施設使用料火葬費用骨壷・骨箱自宅飾り白木位牌まで含まれます。これ以外の、戒名を付けてもらったり、読経等のためのお布施の費用や、供花や花輪の費用などは葬祭扶助では支給されないため、注意してください。
生活保護葬の具体的な流れについて
生活保護葬の流れとしてはまず、生活保護を受けている方が亡くなられた、喪主を務める場合、まず故人の住民票がある市役所に連絡し、「葬祭扶助制度」が適用できるかどうかの確認をとります。その後、生活保護葬を行なっている葬儀社や福祉法人などに連絡を入れます。
こちらは、24時間365日対応している場合がほとんどです。そして、葬儀社に連絡を入れた後、葬儀社が自宅等にご遺体を迎えにきます。そして、納棺を終えた後、葬儀式場などの安置施設に移動し、ご遺体はその施設内にて預かりとなります。
基本的に通夜や告別式は執り行いません。ただし、香典を受け取ることは問題ありません。 そして、葬儀は基本的に火葬のみで、火葬場で執り行われます。ご遺骨はご遺族がいる場合には、引き取りとなり自宅へ持ち帰ります。
葬祭扶助は現物給付は可能であるか
ここでは、葬祭扶助が現物給付可能であるか解説していきます。こちらに関しては、生活保護法第37条に明記されています。こちらの条文によると、「葬祭扶助は、金銭給付によって行なうものとする。
但しこれによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によって行なうことができる。」と定義されています。つまり、条件次第で現物給付は可能であるということです。
条件を知り、葬祭扶助を申請しましょう
ここまでは、葬祭扶助の定義について解説しました。その後に、葬祭扶助を受け取ることができる方の条件。並びに、葬祭扶助を受け取る為の申請の手順を紹介していきました。こちらで紹介した内容を基にして、適切に葬祭扶助を受け取りましょう。
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