葬儀で行われる「たちは」とは?中国地方のしきたり「たちは」を解説

公開日 : 2020/9/18

更新日 : 2020/9/18

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地域が違えば葬儀で行われるしきたりも異なります。「たちは」は、岡山県や山口県などの一部の地域で行われているしきたりですが、どんなしきたりなのかも知らないという人も多いでしょう。そこで今回は、「たちは」について詳しく解説します。

公開日 : 2020/9/18

更新日 : 2020/9/18

目次

岡山や山口の葬儀のしきたり

社会人になってさまざまな地域の人たちとの交流の輪が広がると、「たちは」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。また、岡山県や山口県ではなくても、宗派の本山の関係で他の地域で執り行われる葬儀であっても「たちは」を見かけたり耳にしたりすることもあります。

 

葬儀に関してのしきたりは、地域が違えばしきたりももちろん異なりそれぞれのしきたりがあります。儀式で行う内容自体は同じ内容であったり、同じ意味合いで行われていたりした場合でも、呼び名だけが異なることもあります。

 

今回ご紹介する「たちは」は、中国地方でも特に岡山県や山口県などの一部の地域の葬儀で行われているしきたりです。

「たちは」とは

「たちは」という言葉を聞いても何のことを言っているのか想像さえもまったくつかないという人も多いのではないでしょうか。ここからは、多くの人にとっては聞きなれない「たちは」という中国地方のしきたりについて詳しく解説します。

立飯(りっぱん)とも言われる

「たちは」は漢字で「立飯」と書き表します。「たちは」という読み方以外にも「りっぱん」や「たちめし」と読まれることもあります。漢字表記は「立飯」で同じであっても、読み方は地域によって違いがあることも覚えておきましょう。

「たちは」の意味

「たちは」とは、故人と囲む最後のお膳(食事)のことを言います。「たちは」の語源は、昔は隣組によって準備された簡単な精進料理を会葬者が立った状態で食べていたからです。この様子から「たちは」や「たちはん」「りっぱん」と呼ばれるようになりました。

 

「たちは」が行われた後、出棺の際に霊柩車が鳴らすクラクションの音と共に故人が生前に愛用していたお茶碗を割る場合もあります。この風習は中国地方だけでなく、全国的に行われていますが、特に京都ではこの習慣を比較的よく目にします。

 

お茶碗を割るのには、この世に対する未練を残さずに安らかにあの世へ旅立ってほしいという遺族の想いや願いが込められています。「戻ってきてもこの世には生前に使用していたお茶碗は存在しないので、ここには戻ってきてはいけない」という意味も込められています。

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「たちは」を行うタイミング

「たちは」を行うタイミングは、葬儀が始まる前です。「たちは」に参加するのは葬儀に参列する人のすべてではありません。昔は、親族だけでなく葬儀の手伝いをしてくださった近所の方たちにも簡単な食事を振る舞っていました。

 

現在では、一般的には親族が葬儀当日に食事ができるだけの時間の余裕をもって早めに集まり「たちは」を食べます。山口県の一部の地域では、出棺前に親族が揃って故人の柩を囲んで食事をします。

「たちは」の服装

お膳を故人と共にいただく「たちは」に出席する際の服装は、「たちは」のタイミングが葬儀の前であることが一般的であるため、喪服で出席をしましょう。喪服で出席をしておけば、食事が済むとそのまま葬儀会場へと移動できるのでスムーズです。

 

喪服のマナーは、葬儀に参列する際のマナーと同じです。葬儀ではないからと、服装がマナー違反になることのないように気を付けましょう。

香典を渡したときにもらうもの「会葬お礼」

「たちは」は親族や故人と近しい人は故人を囲んでご膳をいただきますが、一般の会葬者は香典を渡し会葬者名簿に記入を済ませたときに会葬礼状と一緒にお茶やハンカチ等をもらいます。一般的に香典を渡した時に配られる物品は「会葬お礼」と呼ばれています。

 

中国地方ではこの時に受け取る物品は、故人とお膳を共にする代わりに配られる物品です。そのため、故人と共にするお膳ではなくてもこれらの物品のことをお膳と同じように「たちは」と呼びます。物品には「たちは」と書かれた紙が添えられていることもあります。

 

初めて会葬お礼の中の紙に「たちは」と書かれた文字を目にした人にとっては、何のことが書かれているのかわからないという人も多いようです。

 

 

立飯(たちは)料理とは?

立飯(たちは)料理は、今と昔で違いがあったり、地域によっての違いがあったりします。昔は冠婚葬祭は隣組で助け合って行われていました。その頃は、こんにゃくや人参、レンコンを使って精進料理のおかずを作り、ごはんを焚いて会葬者に御昼ごはんを振る舞っていました。

 

また、美作地方の一部地域では、僧侶や喪主が生の米や塩を食べるまねをすることあります。近頃は隣組という組織自体が無くなったため、自分たちで手作りで準備をするのではなく、葬儀社や仕出し料理屋に手配をしています。

 

山口県の場合、ごはんのおこげや大豆などを含んだ精進料理が準備されます。巻きずしが準備される地域もあります。

葬儀にまつわる料理

中国地方では葬儀にまつわる料理の一つに「たちは」と呼ばれるしきたりがあることに関してはここまでで解説してきました。「たちは」以外にも葬儀にまつわる料理はあります。これらは地域ごとに呼び方が異なる場合や、料理を食べる目的や振る舞われるタイミングは異なります。

 

ここからは、葬儀にまつわる料理について詳しく解説します。

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通夜ぶるまい

通夜ぶるまいは、その名の通り通夜の後に参列者へ振る舞われる料理のことを言います。通夜ぶるまいは、参加する人数が定まらないため、取り分けがしやすい大皿の料理が振る舞われることが一般的です。メニューは、基本的には好きな料理を出す傾向があります。

 

昔、通夜ぶるまいは亡くなった人が急に生き返るかもしれないという恐怖心を紛らわすために、お酒を飲んで騒ぐ場であったと言われています。しかし現代では、通夜ぶるまいの場での飲みすぎや騒ぎすぎはマナー違反とされているので十分気を付けましょう。

 

通夜ぶるまいの場は、参加した人たちで故人との思い出を語り合い偲ぶ場でもあります。通夜ぶるまいに参列した場合は、料理には少し手をつけるだけにとどめて、長居はしないようにします。逆に一口も料理に手をつけないこともマナー違反です。

出立ちの料理

葬式が始まる前に食べる食事を「出立ちの料理」や「食い別れの食事」と呼びます。これは「たちは」が振る舞われるのと同じタイミングで振る舞われます。しかし、場合によっては葬式が始まる前以外にも、火葬場での待ち時間に振る舞われる場合があります。

 

「出立ちの料理」や「食い別れの食事」には、「故人との一緒にする最後の食事」という意味があるので意味も「たちは」と同じです。地域によっては、「出立の膳」や「食い別れ」と異なる呼び方で呼ばれています。

 

メニューの内容は地域によって大きく異なりますが、一般的には肉や魚を使わない助六寿司が準備されていることが多いようです。

精進落とし

「精進落とし」は、法要の後に感謝の気持ちを込めて振る舞われる料理です。近頃は負担軽減を兼ねて火葬が終わった後に初七日法要を行うことが多くなったため、精進落としは葬儀の日に振る舞われます。かつて精進落としは、四十九日の忌明けの食事のことを指していました。

 

四十九日までは肉や魚を食べないように精進料理を食べるのが一般的でしたが、精進落としを機に普通の食事に戻します。料理は大皿ではなくご膳で振る舞われます。料理の内容も華やかなメニューが多いようです。ただし、お祝い事の伊勢海老やアワビを使ったメニューは避けます。

 

精進落としに関しても地域によって呼び方が異なります。例えば、お斎(おとき/おとぎ)や精進明け、精進上げ、精進落ちといった呼び方などがあります。

 

 

意味を知って参加することの重要性

「たちは」だけでなく何事に関しても言えることですが、言葉の意味を理解して参加することはとても大切なことです。「たちは」に参加する際には、ぜひともしきたりの意味を感じながら参加をし、故人との最後の時間を過ごしましょう。