遺影のリボンをつける理由とは?由来と外す時期をお教えします
公開日 : 2020/9/13
更新日 : 2020/9/13
お葬式に行くと遺影にリボンがかかっているのを見たことがあると思います。ではなぜ遺影にリボンがかかっているのでしょうか?お葬式には様々なしきたりやマナーがあり、遺影のリボンもそのうちの一つです。今回は遺影のリボンについてその理由と由来、外す時期などを解説します。
公開日 : 2020/9/13
更新日 : 2020/9/13
目次
遺影のリボンの由来
お葬式で故人の遺影を見るとリボンがかけられているのを見ることでしょう。家の仏間などに飾られているご先祖様の遺影がある方は、あらためて見てもらうとわかるのですが、ご先祖様の遺影にはリボンはかけられていませんよね。
ではお葬式の遺影にかけらているリボンは何故つけられているのでしょうか。そして一体いつ外されているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
遺影リボンの始まりは喪章である
遺影にリボンはもともと喪章から始まっています。喪章は故人への弔意を、喪章を身につけることによって内外へ示すものであり、お葬式などでつけられていました。しかし現在では喪服を着ていることで、弔意を示すことができるようになったためあまり使われなくなりました。
始まりの年代は定かではありませんが、お葬式に参列をした人が故人の遺影に自らの喪章をかけて嘆き悲しんだことが始まりとされています。写真が発明され、遺影が一般的になったのは比較的最近の事です。
それまでお葬式には遺影はありませんでした。遺影ができたことで故人の姿を偲ぶことができるようになったために生まれた風習であり、人々の故人を悼む心の表れから始まったのです。
つまり遺影にリボンをかけることは、「故人への哀悼を示す」意味合いとして現代に受け継がれてきました。
遺影リボンに宗教的な理由はない
遺影のリボンの由来は喪章です。喪章はお葬式に連なる人がつけるべきものであり、そこに宗教の枠組みはありません。そのため本来はどのお葬式でも着けても着けなくても構いません。
しかしお葬式は宗教者が儀式を司る場でもあります。そのため宗教者が遺影のリボンが相応しくないと感じた際には、遺族が着けたくても宗教者から外すように言われます。宗教者によって考え方が異なるので不安な場合は宗教者に確認を取っておくとよいでしょう。
遺影のリボンは黒だけ?
遺影のリボンは黒がメインですが、実際はどの色のリボンを使っても問題ありません。黒がメインであるのはお葬式のイメージから来て使われてきたからです。もともと喪章も黒で作られていますので、その名残とも言えるでしょう。
結婚式には紅白、お葬式には黒白のイメージは現代にも通じています。現在では、すでに葬儀社の中には白や紫など黒以外のリボンを使用しているところもあります。もともと遺影のリボンには宗教的な意味合いがないため何色でも構いません。
そのため技術が進んだことで様々な色のリボンが作れるようになったこと、人々の意識が変化したことが様々な色のリボンが使われるようになった大きな理由です。
華美な色は避ける
遺影のリボンが何色でもいいといっても、お葬式の雰囲気を壊す色は避けた方が無難です。赤や濃いピンクや鮮やかなブルーなど、目の覚める華美な色はお葬式には向きません。
しかし、どうしてもつけたい場合には、親族への相談、宗教者への説明など周りの人への配慮をしておきましょう。
遺影リボンの形
遺影のリボンの形は主に花型となっています。これは昔の喪章がリボン勲章であり、花を模した形であったことが理由です。ただ遺影のリボンとなってからは、花型やリボン型など様々な種類が作られてきました。
遺影のリボンの形に決まりはありません。大きさも決まりはありませんので遺影とのバランスを見て遺族と葬儀社が決めていることが多いです。
遺影リボンの結び方
遺影のリボンは、遺影の上部から左右に広げてかけるタイプと右上や左上に斜めに書けるタイプがあります。現在ではどちらでも構いませんが、一昔前までは上部から左右にリボンを広げてかけるタイプが主流であったため、斜めがけのタイプはややおしゃれ感があります。
付け方や結び方に決まりはありませんが、故人の遺影を隠さないように結ぶことが大前提です。
遺影リボンの外し方
家に飾られているご先祖様の遺影にリボンが無いように、遺影のリボンは永久に着けておくわけではありません。かといって、お葬式後にすぐに外すわけでもありませんので、外す時期や、外した後の処分方法などをここで解説していきます。
遺影リボンを外す時期
基本的に現在では遺影のリボンは、忌明けの法要を終えたら外します。もちろん宗教的な意味合いがリボンにはありませんので、忌明けの法要を待たずにリボンを外しても問題はありません。
極端に言えばお葬式が終わってすぐ外しても、逆にずっと外さないままでも構いません。ただ忌明けの法要でリボンを外すことが多いのは、忌明けの法要が故人が亡くなってからの、一つの区切りと考えるからです。
仏教では故人は亡くなると忌明けの法要まで、旅をしたり極楽浄土へ行く裁きを待っていたりします。忌明けの法要で晴れて仏となって極楽浄土へ行くとされています。そのため、弔意を示すためのリボンは役目を終えたと考えて外すのです。
遺影リボンの処分方法
遺影のリボンは、普通のものとして処分して構いません。しかし故人を飾っていて人々の弔意がこもったものとして、処分をためらってしまうことでしょう。そういった場合は、お寺様に相談をして処分をお任せしたり、塩を少しふりかけてお焚き上げをしましょう。
なお焚き上げを自分で行う場合は、火の取り扱いには十分な注意が必要です。
遺影の取り扱い方
遺影のリボンだけではなく、遺影自体についても少しだけ見ていきましょう。遺影は写真が改札されてから第二次世界大戦を経て普及しました。当時は戦争へ行くことは帰ってこられないことと同じ意味でしたから、写真は残された家族にとって離れた家族を思い出すよすがでした。
戦死の報を聞いて遺骨も戻らぬ場合、写真だけがお葬式で故人を表すものだったのです。それまでは葬儀に遺影はありませんでした。写真の技術自体がなかったからです。そのために宗教的には遺影はお葬式では重要視されません。
仏教では位牌、神道では霊璽を大切にします。しかし遺族や参列者は遺影があることでより故人を偲ぶことができるのです。
遺影はいつまで飾る?
遺影はお葬式では祭壇に飾り、家では忌明けの法要まで家に設置する後飾り祭壇に置きます。その後の遺影は自由にして構いません。つまり仏間や床の間に飾っても構いませんし、処分しても構いません。
処分に困るならばお寺様や葬儀社へ相談しましょう。
遺影は無くても良い?
お葬式で遺影は作って家に持って帰るという流れが一般的です。しかしそれは葬儀社のプランの中に遺影写真の作成がセットで入っていることが多いからともいえます。遺影は宗教的になければならないものではありません。
故人を偲ぶアイテムの一つです。そのため遺族が不要と考えるならなしで構わないのです。ただ写真があったほうが故人を偲びやすい傾向もありますので、現在では、大きな遺影ではなく小さな遺影を作る人もいます。
大きい遺影は家に帰ってから置き場所がなくて困る人のためです。コンパクトな遺影であれば場所をとらずに思い出の一つとして家に置いておくことが可能です。
遺影リボンについて
遺影のリボンは、人々が亡くなった人を悼み、その弔意を形で表したことから始まった民間の風習です。遺影のリボンに限らず人々は昔から形の無い想いを伝えるために様々な方法を用いてきました。
遺影のリボンはお葬式のイメージから黒が主流ですが、現在では故人に合わせたやや明るい色合いのリボンも用いられます。これはリボンには宗教的な決まりがないためで、お葬式にふさわしくない華美な色を除いて何色を使っても問題がありません。
今では遺影のリボンの意味がわからない人も増えて、時にリボンが当たり前のようにつけられていて疑問に思うことも少なくなっています。しかしお葬式では一つ一つに故人を想いが込められていますので、遺影のリボンが故人を偲ぶ大切なものとして理解して頂ければ幸いです。
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