香典を包む袱紗(ふくさ)の選び方は?包み方などのマナーも解説

公開日 : 2020/9/19

更新日 : 2020/9/19

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袱紗(ふくさ)とは、金封を包む四角い布のことです。この袱紗は、葬儀以外でも使用しますが、使うシーンにより、種類、色、包み方などが異なります。今回は、いざという時、袱紗選びに困らないよう、袱紗の種類、包み方、渡し方や香典につても詳しく解説していきます。

公開日 : 2020/9/19

更新日 : 2020/9/19

目次

袱紗(ふくさ)とは

袱紗(ふくさ)とは、結婚式のご祝儀や葬儀のお香典・お布施など、慶事や弔事の際に使用する金封を包む四角い布のことです。

 

元来日本では、贈答品を持ち運ぶ際に風呂敷で包んで汚れや日焼けを防止していました。この習慣が、時代の移り変わりとともに、風呂敷から袱紗となり、慶弔行事のマナーとして金品を包む際の礼儀や心遣いを表すものとなりました。

袱紗の色と種類

袱紗には、たくさんの色や種類がありますが、どういった使い分けをするのでしょうか。使うシーンや使い勝手について詳しく見ていきましょう。

袱紗の色

袱紗の色についてですが、慶事と弔事で使用する色が決まっています。慶事(結婚式、出産などのお祝いごと)では、赤やオレンジ等の暖色系の色の袱紗を使用します。弔事(葬儀や法事などのお悔やみごと)では、紺やグレー等の寒色系の色を使用します。

 

慶事、弔事どちらでも使用できる色は、男性の場合は紺色か青色、女性の場合はえんじ色になります。しかし、男性がえんじ色を使う場合は慶事用、女性が紺色を使う場合は弔事用となってしまいますので気を付ける必要があります。

 

男性でも女性でも、慶弔両方で使える色は紫色になりますので、1枚持っておくと便利でしょう。しかし、薄紫色については慶事で使用する色となりますので、ご注意ください。香典を包む際は、寒色系の色または、紫色を使いましょう。

袱紗の種類

袱紗には、袱紗、金封袱紗、爪付き袱紗、台付き袱紗の4種類があります。それぞれの特徴や包むことができる金額を見ていきましょう。

袱紗

最もオーソドックスでシンプルな袱紗で、風呂敷のような正方形の布になります。裏地が付いているものも多いです。使い終われば小さく折りたたむことができるため、持ち運びに便利です。この袱紗が最も正式な袱紗であり、3万円以上の金封を包む際に使用します。

金封袱紗

お札入れのように、金封を入れる部分がポケットのようになっている袱紗となります。形も崩れず便利ですが、略式とされているため、3万円未満の金封を包むときに使用します。右開きは慶事用、左開きは弔事用ですので、香典を入れる際は、左開きのものを用意しましょう。

爪付き袱紗

通常の四角い風呂敷状の袱紗に、金封を包んだ際に開かないようにするための爪とその爪を留める糸が付いたものです。こちらも3万円以上の金封を包むことができます。

台付き袱紗

金封を渡す際に、袱紗と金封を載せるための切手盆の代わりとなる台が一体化したものになります。金封を渡す最も正式な方法が、金封を切手盆と呼ばれるお盆の上に置き、その上に袱紗をかけて渡す方法となり、台付き袱紗はこの方法を簡略化したものです。

 

こちらも3万円以上の金封を包むことができます。この袱紗が最も重宝すると言われているため、1枚だけ袱紗を持っておく場合は、こちらがおすすめです。

袱紗の包み方

金封を袱紗で包む場合、袱紗の形状により包み方が異なります。それぞれの袱紗について、香典の包み方を見ていきましょう。

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金封袱紗

香典を包むためには、弔事用の左開きのものを用意しましょう。あとは香典の表書きが見えるように入れるだけでOKです。ポケット状になっているため、簡単に包むことができます。

袱紗・爪付き袱紗・台付き袱紗

これら3つは風呂敷タイプのものとなりますので、包み方は同じになります。まずひし形に見える向きに袱紗を広げて置きます。爪付きの場合は、爪が左側になるようにします。次に中央やや右寄りに香典を置き、袱紗の右側、下側、上側、最後に左側を香典に重ねるように順番に折り畳み、包みます。

 

爪付きの場合は、爪を留め糸にかけます。包みの右上と右下に、左側の布が重なっていない小さな三角ができていればOKです。この包み方は、香典などの弔事用の左開きの包み方です。慶事用の場合は逆の包み方となります。

葬儀の香典とは

香典とは、お通夜や葬儀において、線香、抹香や花の代わりに霊前に供えるお金のことです。また、香典には、故人が亡くなったことにより葬儀などで出費の多いご遺族の経済的な負担を助けるという意味合いもあります。

 

ここからは、葬儀の香典の書き方、包み方、相場について見ていきましょう。

香典の書き方

葬儀の香典は、薄墨で書くのが礼儀となります。これは、「故人が亡くなったことを悲しみ涙で薄くなった」、「突然の故人の不幸に準備が間に合わず薄くなった」といった意味合いが込められています。

 

葬儀以外の法要に持参する香典の場合は、事前に行うことがわかっており、落ち着いて供養を行うことができるため、黒墨で良いとされています。一番良いのは毛筆ですが、筆ペンでも問題ありません。

表書き

一般的に「御霊前」、「御香典」または「御香料」と書きます。忌明けとなる四十九日法要以降の場合は、「御霊前」ではなく「御仏前」という言葉を使います。故人が成仏する前は「霊」であり、成仏したあとは「仏」となるため、このように使い分けをします。

 

下段には、氏名をフルネームで書きます。連名で香典を渡す場合は、フルネームを横並びに書きましょう。

中袋・裏書き

用意した香典袋に中袋がある場合は、住所および金額を記入します。金額は表面の中央、住所は裏面の左下方に書きます。

 

まず、表面の中央上部に「金」と書きます。その下に金額を書くのですが、漢数字の大字で書く慣習となっています。通常の漢数字では「一」、「二」、「三」、「十」、「百」、「千」、「万」と書くところを、漢数字の大字では「壱」、「弐」、「参」、「拾」、「佰」、「仟」、「萬」と書きます。また、「円」という漢字も旧字体の「圓」を使います。

 

この書き方は、大事な金額の記載の改ざんを防ぐために昔から行われています。例えば1万円の場合は「金壱萬圓」と書きます。

 

裏書きは、中袋が無い場合のみ、住所、氏名、金額を記入します。裏面の左下方に、住所、氏名、金額の順に横並びに記載します。

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香典の包み方

香典は、黒白の水引が着いた不祝儀袋で包みます。正式には、奉書紙(ほうしょし/ほうしょがみ)と呼ばれる紙に包んでいましたが、現在は封筒を使うことが多くなっています。

 

中に入れるお札については、新札でも旧札でも特に問題はありませんが、新札は慶事で使用するものであるため、不快に感じる方がいるかもしれません。新札を使用する場合は、折り目をつけて入れるようにしましょう。

葬儀の香典の相場

香典の相場は、故人との関係とご自身の年齢によって変わります。以下は大体の目安になりますが、宗派や地域により相場が異なりますので、気になる方は、事前に確認することをおすすめします。

故人が祖父母の場合

故人が祖父母の場合の相場は、1万円~3万円です。ご自身が、まだ両親に扶養されている立場であれば用意する必要はありません。両親から独立し結婚をしている場合は、夫婦連名の香典を包んでも良いでしょう。祖父母が、配偶者の祖父母の場合も、同額の1万円~3万円を用意します。

 

また、祖父母が亡くなった場合は、香典だけでなく、供花や供物を用意するケースが多くあります。ご両親に用意する必要がないか確認しておきましょう。

故人が両親の場合

故人が両親の場合の相場は、5万円~10万円です。配偶者の両親の場合も、同額の5万円~10万円を用意します。自分が施主である場合、または葬儀費用を負担する立場の場合については、もちろん香典は不要です。

故人が兄弟姉妹の場合

故人が自分の兄弟姉妹の場合の相場は3万円~5万円です。配偶者の兄弟姉妹の場合も、同額の3万円~5万円を用意します。他に兄弟姉妹が居る場合は、相談をして決めると良いでしょう。

故人が親族の場合

故人が親族の場合の相場は、5千円〜2万円になります。特に関係の深かった親族の場合、1万円〜2万円、それ以外は5千円〜1万円といったところです。こちらも、気になる方は親しい親族の方に相談されると良いでしょう。

故人が友人・知人・職場の方の場合

故人が友人、知人、職場の方などの場合の相場は、5千円〜1万円になります。親族に比べますと少なめになります。故人と特に親しかった場合は、もう少し多くしても問題ありません。金額について迷う場合は、故人に対して同じぐらいの立場の方に相談するのもよいでしょう。

袱紗に包んだ香典の渡し方

まずは、遺族の方または受付の方に一言お悔やみの言葉を伝え、深く一礼します。その後、香典を渡しますが、香典を渡す際に気をつけなければいけないことがあります。それは、袱紗に包んだ香典を渡す前に袱紗から出してしまわないことです。

 

香典は、渡す相手の目の前で袱紗から出し、表書きを相手側から読める向きにして袱紗の上に乗せ差し出します。台付き袱紗の場合は、台の上に乗せて差し出します。差し出すときは、落としたりしないよう、落ち着いてゆっくり丁寧に、両手で差し出すことを忘れないでください。

袱紗の代用は?

葬儀やお通夜などの知らせは急であることも多いです。特にお通夜は、仕事先から直接行く場合もあり、袱紗をどうしても用意できないこともあるでしょう。そんなときはハンカチで代用することが可能です。

 

ハンカチの色については、黒または白のものを使用する必要があります。袱紗の場合は、寒色系のものであれば良いですが、ハンカチの場合は、黒または白の無地のものである必要があります。

 

包み方については、通常の袱紗と同様の包み方になりますので、大きめのハンカチが用意できると包みやすく綺麗にまとまります。

袱紗はどこで購入できる?

袱紗は、百貨店、スーパー、呉服店、文具店、ネットショップなどで購入することが可能です。コンビニで購入することができると便利ですが、取り扱いのあるコンビニは極稀ですので、売っていないと思った方が良いでしょう。

 

安価なものは、ダイソーなどの100円ショップでも購入できますが、中に包む金額が高額な場合は、厚みが足りないこともありますので、よく確認してから購入するようにしましょう。

 

こだわりたい方は、百貨店や呉服店、ネットショップで探すと良いでしょう。最近は、男性向け、女性向け、スタイリッシュなものなどたくさんの種類の袱紗が販売されています。やはり自身が気に入ったものを準備しておくことができれば、葬儀に集中することができ、マナーを守ることにもつながるでしょう。

袱紗は無くても大丈夫?

実際に葬儀に参列すると、香典を袱紗で包んでない方もいらっしゃいます。特に男性は香典袋をスーツの内ポケットに直接入れて持参するという方が多いでしょう。では、香典を袱紗に包む必要はないのでしょうか。いえ、それは、違います。袱紗には二つの大事な役目があります。

 

まず、一つ目は香典袋が汚れたり水引が外れたり曲がったりするのを防ぐということです。香典袋をカバンやポケットにそのまま入れていると袋の形が崩れたり、汚れたりする原因となるため、袱紗できちんと包んでおくことにより防ぐことができます。

 

もう一つの役目は、シーンにあった袱紗を準備し、正しい作法で相手に香典をお渡しすることで弔意を示すということです。袱紗は弔事だけではなく、慶事でも使用します。それぞれのシーンにあったデザイン、色のものを使用しマナーを守って香典を渡すことで、相手に対する心遣いや礼儀を表現することができるでしょう。

 

香典を袱紗に包んでいなくともマナー違反で咎められることはありませんが、故人やご遺族に対する思いを伝えるために、袱紗を用いることがベストではないでしょうか。

袱紗は他の宗教でも必要?

宗教には、仏教以外にも神道やキリスト教、無宗教などありますが、これらの宗教の葬儀では、袱紗は利用するのでしょうか。袱紗は冒頭でも説明しましたが、日本の古くから伝わる慣習により使用されているもので、仏教的な意味合いはありません。このため、宗教に関係なく袱紗は必要となります。

 

また、宗教によって袱紗の色やデザイン、マナーにも違いはありません。今回ご紹介したマナーを宗教問わずご活用いただけます。

男性は袱紗の持ち運びをどうする?

袱紗を持ち運ぶ際、女性は小さなバッグに入れて持ち運ぶことができます。男性はあまりバッグを持つことが無いためスーツの内ポケットにいれて持ち運びます。セカンドバッグなどの小さなバッグを持参するならそちらに入れても良いです。

 

スーツの外ポケットやズボンのポケットに入れるのは、形が崩れたり、しわになったり、汚れたりする可能性がありますので、やめておきましょう。

 

袱紗を準備してマナーを確認しておきましょう

今回の記事では、袱紗とは何か、袱紗の色・種類、包み方、香典についてなど詳しく紹介しました。まだ袱紗をお持ちでない方は、この機会に男女兼用、慶弔両方で使用できる濃い紫色の袱紗を準備してみてはいかがでしょうか。

 

袱紗を使ってマナーを確認しておけば、いざという時に慌てること無く葬儀に参列し、故人に対する気持ちを落ち着いて伝えることができるのではないでしょうか。