人気パワースポット「こんにゃくえんま」をご紹介|由来・ご利益など
公開日 : 2020/8/28
更新日 : 2020/9/9
蒟蒻をお供えする源覚寺の「こんにゃくえんま」は、眼病治癒にご利益があるとして、古くから庶民に愛されているえんま様です。なぜそのような名前がついたのか、こんにゃくえんま様の由来やご利益などはもちろん、アクセスや基本情報などを紹介します。
公開日 : 2020/8/28
更新日 : 2020/9/9
目次
こんにゃくえんまとは?
とてもユニークな名前のえんま様ですが、なぜそのような名前がついたのか疑問に思っている人も多いでしょう。こんにゃくえんま様について、詳しくご説明します。
由来
こんにゃくえんま様には、古くからの言い伝えがあります。
江戸時代後期に、眼病をわずらっていた老婆があらゆる治療を試みても治ることがなかったため、えんま像に毎日祈願をしていました。すると満願の夜にえんま様が夢に現れ、自らの片方の目を老婆に与えると告げました。目が覚めると老婆の目は治り、老婆は感謝の気持ちとして好物だった蒟蒻を絶って、えんま像にお供え続けたと言われています。
それ以来、えんま像の右目は潰れ「こんにゃくえんま」と呼ばれるようになりました。実際に閻魔堂内にあるえんま像の右目は黄色く濁っています。
えんま様と聞くと、地獄で嘘つきの舌を抜くという怖いイメージを持ってしまいますが、こんにゃくえんま様は自らの目を犠牲にして庶民を救う、心の優しいえんま様です。
ご利益
言い伝えで老婆の目が治ったことからも想像できますが、こんにゃくえんま様のご利益は眼病治療。最近は仕事やスマートフォンで目を酷使する人も多く、ドライアイや疲れ目はもちろん、緑内障や白内障を発症してしまう場合もあります。
また小さな子供でも、さまざまなゲーム機器やタブレットなど、目の負担になるものが多いため、今や眼病は大人だけの病気とは言えません。
そんな目のトラブルを改善してくれるのが、こんにゃくえんま様です。とはいえ、言い伝えの老婆が祈願を続けたのは21日間。そんなに参拝するのは大変ですが、1度ではなく何度か参拝したほうがより強いご利益が得られるかもしれません。
お供え物
通常、お寺に参拝する際はお供えものには酒・お菓子・果物などが用いられることが多いのですが、こんにゃくえんま様のお供えは蒟蒻。
もちろん古くからの言い伝えで老婆が自分の好物をお供えしたことが影響しているのですが、蒟蒻は「困厄(こんやく)」とも解釈できるため、困った事・苦しみ・わざわいなどを意味します。
閻魔堂に足を運ぶとたくさんの蒟蒻が供えられていて、中には蒟蒻ゼリーをお供えする人もいるようです。こんにゃくえんま様に困厄を取り除いてもらうため、昔も今も多くの人が蒟蒻をお供えし続けています。
文学作品にも登場
こんにゃくえんま様は、さまざまな文学作品にも登場しています。一番有名なのが、夏目漱石の代表的作品の一つとして知られる長編小説「こころ」。
主人公が知り合った「先生」が、自分の身勝手さが原因で親友が亡くなったことを苦に、最後は自らの命を絶つという内容ですが、作品の中で「こんにゃくえんま」という言葉とその周辺の様子が描写されています。
また夏目漱石のほかの作品である「吾輩は猫である」や、樋口一葉の「にごりえ」でもこんにゃくえんま様の名前が登場。このことからも、こんにゃくえんま様は昔から庶民の信仰を集め、生活に定着していた人気のえんま様であることが分かります。
「こんにゃくえんま」で知られる源覚寺
こんにゃくえんま様が参拝できる場所は、東京都内にある「源覚寺」。決して大きなお寺ではありませんが、見所の多い立派なお寺です。どんなお寺なのか、詳細を見ていきましょう。
源覚寺の歴史
1624年に浄土宗の定誉随波上人によって創建されたお寺で、御本尊は阿弥陀如来を中尊に、観音菩薩、勢至菩薩を左右に配した阿弥陀三尊。第2代征夷大将軍の徳川秀忠や、秀忠の次男で第3代将軍であった徳川家光も信仰したと言われています。
江戸時代には「明暦の大火」「お薬園火事」「戸崎町火事」「富阪火事」と、4度も大火事の被害にあいました。本堂などの大部分が焼失するほどの大火にもかかわらず、御本尊やえんま像は難を逃れ、その後の関東大震災・第二次世界大戦などの災害でも焼失を逃れています。
本堂は大火の影響で明治時代に再建。源覚寺の門前は参拝する多くの人で賑わい、現在も「えんま通り」と呼ばれる商店街として活気づいています。
また同敷地内には伝統と最新技術を融合させた屋内墓苑「小石川墓陵」があり、良好な交通アクセスや、品格のある落ち着いた空間が人気です。
境内の見所
源覚寺はこんにゃくえんま様のほかにも、参拝をおすすめするスポットがあります。境内の見所を詳しくご紹介しましょう。
閻魔堂
「こんにゃくえんま像」が安置されているのが、鮮やかな朱色が一際目立つ閻魔堂。江戸時代に起きた大火は免れたものの老朽化が進んだため、2003年に補修が施されました。参道正面にあるため、大変分かりやすい場所にあります。
閻魔堂内中央には座高100.4センチのこんにゃくえんま座像があり、鎌倉時代に活躍した運慶派仏師の作品。お堂前にある賽銭箱の左側には、額に入ったこんにゃくえんま様の写真が飾られていて、その前には参拝者が持参したお供えの蒟蒻が山積みになっています。
閻魔堂にお供えする蒟蒻は境内では販売されていませんので、お供えを希望する場合は、境内に入る前に購入しておきましょう。源覚寺前にあるえんま通り商店街で購入できます。
また、悪天候の日はお堂の扉が閉められ、こんにゃくえんま像の姿を見ることはできません。参拝する際には、お天気の良い日を選びましょう。
塩地蔵尊
健康祈願に訪れる参拝者に人気の、2体のお地蔵様。あらゆる病気の治癒にご利益があるとされていますが、特に歯痛に効くようです。お地蔵様の体の、自分が治したい部分と同じ所に塩を付けて祈願をします。
また塩地蔵尊に参拝するのは病気をわずらっている人ばかりではなく、塩に関係して力士も勝利祈願で参拝します。現在お地蔵様は2体とも、たくさんの参拝者が願いを込めて付けた塩にお顔まで埋もれた状態です。
以前は境内で塩の販売がされていなかったため、自ら持参する必要があったのですが、現在はお札所で100円ほどの値段で販売されています。
毘沙門天堂
閻魔堂の右奥に建っているお堂が毘沙門天堂。名前の通り、毘沙門天を祀っています。毘沙門天は迫力のある形相や強そうな出で立ちが特徴的ですが、仏教世界の守護神であり、各方角を護っている四天王の1神で「北の守護神」です。
また勝負の神様として信仰されると同時に、病気や厄を追い払ってくれる神様でもあります。
厳しい形相から意外に思う人もいるかもしれませんが、毘沙門天は七福神の一柱でもあります。開運・金運・商売繁盛・合格祈願などのご利益もあるため、幅広い庶民の願いを聞き入れてくれるとして、多くの人に親しまれている神様です。源覚寺に訪れる時には、しっかりお参りしておきましょう。
凡太平洋の鐘
源覚寺の一角にある鐘楼(しょうろう・しゅろう)には、キズや弾痕跡のある釣り鐘があります。1690年の徳川綱吉の時代に鋳造されましたが、日中戦争時に当時日本の支配下にあったサイパンの南洋寺に移されました。
毎日夕方5時にその鐘の音をサイパンに響き渡らせていましたが、その後戦火にさらされてキズが付き、行方不明に。1965年にアメリカテキサス州に住んでいた日本人女性の手紙がきっかけで発見され、1974年に以前奉納されていた源覚寺に戻ってくることができました。
以来「凡太平洋の鐘」と呼ばれ、平和のシンボルとして大切にされています。
御百度石
境内に入ってすぐに目に入るのが御百度石。約150年前に建立されたもので、石の表面が剥がれ落ちた、歴史が感じられる石碑です。
御百度石は、願いをかなえてもらうために100回お参りをする「お百度参り」に必要なもの。御百度石と本堂の間を100回往復しますが、通常は回数を数える手段としてお賽銭硬貨を100枚用意したり、小さなものを100個持参します。
お寺によっては、数字が刻まれた丸い石を動かしながら回数が数えられるお百度石もあります。
源覚寺の御百度石の前には、小さな石が積み重なっていて、お百度参りに使用できるようです。何か祈願したいことがある人は、ぜひお試しください。
源覚寺の基本情報
こんにゃくえんま様が祀られている源覚寺は後楽園や東京ドームからも近く、交通アクセスの良い場所にあります。
車で行く場合には閻魔堂裏に完備されている駐車場が利用できますが、10台ほどのスペースしかありません。混雑が予想される時間帯や週末には電車がおすすめです。
正式名:浄土宗 常光山源覚寺
別称:蒟蒻閻魔(こんにゃくえんま)・身代わり閻魔
所在地:東京都文京区小石川2-23-14
電話:03-3811-4482
メール:toiawase@genkakuji.or.jp
交通アクセス:都営地下鉄線「春日駅」より徒歩3分、東京メトロ「後楽園駅」より徒歩3分
こんにゃくえんま・源覚寺のおすすめ年中行事
源覚寺では、1年を通してさまざまな行事が行われます。どれも見ごたえのある素晴らしい行事ですので、家族や友達を誘ってぜひ足を運んでください。特におすすめの行事の詳細を見ていきましょう。
冬季閻魔例大祭
最も人気のある行事と言っても過言ではないのが、閻魔例大祭。この行事は毎年1月と7月の2回行われますが、なぜ年に2回なのか疑問に思う人もいるでしょう。それは「地獄の獄卒も亡者を責めるのを休む(地獄の釜の蓋も開く)」という言葉が関係しています。
地獄では獄者(鬼)が休みなく亡者達を釜ゆでで拷問していますが、1月の正月と7月のお盆は釜を開けて、それぞれ1日だけお休みをします。あの世の獄者でも休みを取るのだから、この世でもお休みをしましょうということで、閻魔例大祭が行われるようになりました。
得におすすめなのが、冬季である1月に行われる大祭。蒟蒻が無料でいただけるほか、住職や山伏による火渡りが行われ、健康や厄除け祈願がされます。一般の人も祈祷申込をすると参加できますので、詳細は寺院に問い合わせましょう。
ほおずき市
「ほおずき市」は、200年以上続く伝統的な行事で、江戸時代後期から明治時代初期にかけて、園芸が盛んに行われていた江戸で行事として行われていました。ほおずきは、暑気払いや厄除けの効果があるほか、お盆の時期に先祖の霊を迎える提灯代わりにもなることで、夏には欠かせない縁起物でもあります。
源覚寺では、周囲にある善光寺・澤蔵司稲荷・礫川地域活動センターなどと共に、毎年7月に「ほおずき市」を開催。地域住民はもちろん、他県からも4万人以上の来場客が訪れる大人気イベントとして定着しています。
たくさんの種類の朝顔やほおずきの鉢植え販売のほか、アーティストによるパフォーマンスや盆踊り、関係団体が出店する模擬店など、さまざまな催しが行われます。物産販売から鮎の塩焼きまで、種類も幅広く「見て・食べて・楽しめる」必見行事です。
除夜の鐘の集い
周辺には除夜の鐘がつけるお寺が他にもありますが、源覚寺は人気が高く、毎年大晦日には大勢の人が集まり、除夜の鐘つきで煩悩をはらい清めます。
境内で振る舞われる、無料の甘酒と味噌こんにゃくもこの行事の魅力。体も暖まり、こんにゃくえんま様のご利益もいただけそうです。
鐘つきを希望する場合は、当然ながら並ぶ必要がありますが、希望者が多いため行列も並ぶ時間も長くなります。しっかり防寒できる暖かい服装で出かけるようにしましょう。
小石川七福神めぐり
東京都内には神社や寺院を参拝して周る「七福神めぐり」が随所にあり、「小石川七福神めぐり」もその中の一つ。年間行事ではありませんが、いつでも気軽にできるイベントです。
小石川地域にある、深光寺の恵比寿天・徳雲寺の弁財天・極楽水の弁財天・宗慶寺の寿老人・真珠院の布袋尊・福聚院の大黒天・源覚寺の毘沙門天・東京ドームの福禄寿をスタンプを集めながら参拝します。スタンプは無料、パンフレットは100円です。
丸ノ内線の茗荷谷駅と後楽園駅の間を歩くコースで、ゆっくりとしたペースでも2時間ぐらいで周りきれるため、子供でも十分に歩ける距離です。周る順番も決められているわけではないので、自分の周りやすい順に参拝しましょう。
とはいえ、行ったり来たりするのは大変ですので、茗荷谷駅側の深光寺か、東京ドームからスタートし、順にたどっていくのがおすすめです。
こんにゃくえんま・源覚寺でご利益がある販売品
源覚寺のお札所では、「えんまパンツ」や「えんまマスク」などのユニークなものをはじめ、さまざまなご利益が受けられるものが販売されています。中でもより高いご利益が期待できるおすすめをご紹介します。
お守り
お守りは、常に持ち歩くことで高いご利益が頂けるだけでなく、参拝記念にもなります。
よく見かける袋型のお守りはもちろん、トンボ玉や鈴、ほおずきの形、塩地蔵様の形など、さまざまなお守りが販売されていて、眼病・厄除け・健康祈願といった目的に合わせて選ぶことができます。
どれも500~800円ほどで購入できますので、自分用にも家族や友達へのお土産にもおすすめです。
絵馬
境内の絵馬掛所では、たくさんの参拝者が祈願した絵馬を見かけます。源覚寺の絵馬は3種類あり、それぞれ500円です。自分が祈願したい内容に合わせて選ぶと良いでしょう。
・こんにゃくえんま(眼病・厄除け・開運など)
・毘沙門天(開運・招福・必勝祈願など)
・塩地蔵(健康祈願)
御朱印
御朱印とは、お寺の名前と日付を墨書きした半紙に朱で押印したものをいい、本来は写経を納めた際に証書としてお寺からいただいていました。しかし今では写経をしなくてもほとんどの神社や寺院で、参拝記念としていただけ、御朱印を集める人も増えてきました。
美しい墨の書体はもちろん、カラフルな色使いやイラストが入ったものなど、御朱印は場所によって異なります。御朱印をいただくときには、御朱印帳を事前に用意して持参するようにしましょう。
こんにゃくえんま様の御朱印は300円。蒟蒻閻魔の「蒟」の字が、えんま様の独眼のお顔になっていて、高いご利益が感じられる御朱印です。源覚寺では、小石川七福神の毘沙門天の御朱印も墨書きしてもらえます。
さまざまなご利益があるパワースポット
こんにゃくえんま様は自らが身代わりとなり、祈願に来る人々を救ってくれる、心の優しいえんま様です。源覚寺にはそのほかにも様々な神様が安置されているため、幅広いご利益が期待できるパワースポットとして、多くの参拝者が訪れます。
まだ参拝したことがない人は、ぜひ足を運んでみてください。こんにゃくえんま様のご利益を受け、コロナ禍を乗り切りましょう。
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