納棺に立ち会う場合の服装は喪服?儀式の流れも合わせて解説

公開日 : 2020/8/21

更新日 : 2020/9/10

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納棺の儀式は、あまり立ち会う機会が無く、経験したことがあるという人の方が少ないでしょう。通夜や葬儀については知っている人でも、納棺についてはあまり知らないという人も多いものです。そこで今回は、納棺に立ち会う場合の服装と納棺の儀式の流れについて解説します。

公開日 : 2020/8/21

更新日 : 2020/9/10

目次

納棺とは?

納棺という言葉をアカデミー賞で外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」のヒットによって知ったという人は多いのではないでしょうか。言葉だけは知っていても、実際にどのようなことをするのかまでは知らない人も多いものです。

 

納棺に立ち会う機会がある人というのも、そう多くはありません。そこで、納棺に立ち会う際の服装について解説する前に、まずは納棺の意味や参加できる人、所要時間について詳しく解説していきます。

意味

納棺とは、故人のご遺体を棺の中に納めることを言います。多くの人は病院で亡くなり霊安室へと運ばれます。病院の霊安室は一時的な安置場所であり、数時間ほどで他の安置場所へと搬送しなければなりません。その際、搬送場所として一般的には自宅または葬儀場が選ばれます。

 

指定した場所に搬送され安置されたご遺体は、通夜が始まるまでに仏様の下への旅立ちに備えて支度をしなければなりません。その支度が、納棺の儀式です。

参加できる人

通夜や葬儀には、生前に故人と親交があった人達が思い思い参列します。しかし、納棺の儀式に参加できるのは、よほどのことが無い限りは家族や親族といったごく身近な人達だけです。このことから、納棺の儀式は家族に向けた儀式だと言えます。

 

身近な人達だけが納棺の儀式に参加するということには、理由があります。納棺の儀式では、ご遺体を清めたり、服装を着替えさせたりする場面があり、故人の体を露出する機会が多いためです。

 

ごくまれに家族や親族ではない方が納棺の儀への参加を申し出ることもありますが、故人のことを考えると、お断るする方が賢明です。

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納棺の所要時間

納棺の儀式にかかる時間は、30分から1時間です。ただし、これはご遺体に問題が無い場合です。例えば、事故や事件、災害が原因で亡くなった場合で、ご遺体に大きな傷や損傷がある場合は、清めたり、着替えさせたりする時間が通常よりもさらに長くなります。

 

湯灌を行うかどうかでも所要時間は変わってきます。湯灌自体は、1時間ほど時間を要します。また、ご遺体の状態によっては、納棺の前にエンバーミングが行われる場合もありますが、エンバーミングは納棺の儀式の一つではありません。

 

エンバーミングが行われるのは、ご遺体の損傷が激しい場合や、火葬の予約が取れずに火葬ができるまで数日間待たなければならない場合、遠方に住む家族が到着するまでに日数がかかる場合などです。

納棺師とは

納棺師は、通称「おくりびと」とも呼ばれる納棺に関する専門の職人のことです。納棺師とは、日本古来の精神文化から生まれたもので、故人のご遺体を洗い清め、これから始まる旅への身支度を整え、ご遺体を棺に納めることをする人のことを言います。

 

納棺師は、葬儀社に所属している人もいれば、納棺を専門として請け負う専門業者に所属している人もいます。ご遺体が女性の場合は、女性の納棺師が担当してくれる場合もあります。しかし、男性の納棺師の方が多いのが現状です。

 

ここからは、納棺師について詳しく解説します。

納棺師への道のりと役割

納棺師の役割は、遺族や葬儀参列者が心置きなく故人を弔えるように手助けをし、ご遺体を丁寧な所作によって送り出すことです。大切な人を亡くしたご遺族への細やかな心配りも、納棺師の大切な仕事の一つです。

 

納棺師には特別な資格や学歴は不要です。しかし、専門的な知識や技術、作法が必要な専門職と言えます。独学という人は少なく、多くの納棺師は専門学校や葬儀社へ入社して実際に業務を行いながら学ぶのが一般的です。日本では2013年に初めて納棺士養成学校が登場しました。

 

納棺師には専門的な知識や技術、作法以外にも精神力も必要です。なぜなら、納棺師にとって「死」は日常的に向かい合うものだからです。また、老衰で亡くなる人ばかりではありません。事故などで損傷の激しいご遺体に向かい合う場合もあります。その場合も精神力は必要です。

 

 

 

納棺師の服装

納棺師の服装に決まりはありません。しかし、多くの納棺師は、白いシャツに黒のベストを着用しています。納棺の儀式は、手元を使うことが多いので、ジャケットは着用していません。女性の納棺師の場合は、黒いエプロンをしている場合もあります。

 

納棺師は一見すると葬儀場のスタッフのような服装で、さらに動きやすい服装をしています。

納棺の流れ

ここからは、納棺の儀式の実際の流れについて詳しく解説します。納棺は、納棺師やおくりびとと呼ばれる人、または葬儀社の方と一緒に家族も手伝いながら行うのが一般的です。しかし、ご遺体の状態によっては、葬儀社が事前に納棺を済ませることもあります。

 

納棺の儀式の中で、内容によってはオプションで選択できるものもあります。特に湯灌にかんしては、納棺の儀式を行う場所によって設備が整っていない場合があるからです。

 

一般的には通夜や葬儀を行う葬儀社に納棺を依頼する場合が多いですが、どうしても本来の湯灌をしたい場合は、納棺専門業者に依頼をしましょう。

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末期の水

「末期の水」は「死に水」とも呼ばれます。故人に最後に水を与える儀式で、故人の口に水を含ませて潤します。口に水を含ませると言っても実際は脱脂綿などに含ませた水で故人の口元を潤します。特に近しい人から順番に行います。

 

末期の水の儀式は、お釈迦様があの世へと旅立つ際に「喉が渇いたので水が欲しい」と言ったことが由来しています。故人があの世でのどが渇くことのないようにという思いも込められている儀式です。

湯灌(ゆかん)

湯灌とは、ご遺体を入浴させて洗い清めることです。人は亡くなって2時間から3時間すると死後硬直が始まります。ご遺体を温めることで、納棺しやすいように硬直を遅らせる目的もあったようです。湯灌には、生前の穢れを洗い落として仏様の下へ送り出すという意味もあります。

 

ご遺体にかけるお湯の温度は、水に熱湯を足していく方法で調整します。これを「逆さ水」と呼び、葬儀に関する場面では普段とは逆の行動が行われます。入浴後は、洗髪や顔そり、爪切りなどのお手入れをして、タオルで拭きあげ、髪をドライヤーで乾かします。

 

葬儀社に依頼した場合、湯灌は別料金のこともあり、入浴のかわりに清拭で行う場合もあります。また、病院で亡くなった場合は、看護師によってエンゼルケアが行われるため、湯灌をしなくても綺麗な状態を保つことができます。

旅支度

ご遺体に旅立ちの装いである死装束を着せます。死装束とは、故人に最後に着せる服装のことです。死装束は、宗教や宗派によって異なります。例えば、49日の旅が無いとされる浄土真宗では、旅装束はしません。

 

ほとんどの仏教では、白い仏衣が一般的です。和服の経帷子に手足を守るための手甲や脚絆、足袋を身に着けます。わらじを履かせる場合もあります。また、三途の川を渡る際に案内人に渡し賃として渡す六文銭を入れた頭陀袋(ずだぶくろ)を首にかけます。

 

死装束として故人が愛用していた服を着せ、経帷子などの死装束は棺の中に一緒に入れる場合もあります。男性の場合も女性の場合も顔色に応じて薄化粧を施します。女性の場合は、生前に使用していた化粧品を使うと、自然な仕上がりになります。

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納棺(入棺)

旅支度が整うと、ご遺体を棺に納める「納棺」を行います。以前はご家族の手で棺にご遺体を納めていましたが、ご遺体は想像以上に重く、棺に納める際は慎重にならなくてはご遺体を破損させてしまうため、葬儀社の方が行う際にご家族は手を添えて参加をすることが多いです。

 

ご遺体を棺に納めたら蓋を閉めます。その際、魔除けの意味を持つ守り刀や、それぞれの宗教や宗派で決められているものを棺の上に置きます。

 

納棺はご遺体を棺に入れることから「入棺」と呼ばれることもあります。

副葬品

ご遺体を棺に納めたら、故人が生前愛用していたものや好んでいたものを棺に入れて、ご遺体の周りにはお花を飾るのが一般的です。副葬品は、燃えにくいものや爆発する危険性があるものは入れられません。入れてよいものかどうか悩んだ場合は、葬儀社の方に確認をしましょう。

 

万が一、棺に入れることを禁止されているものを入れて火葬し火葬炉の修繕が必要となった場合、修繕費用を請求されます。よく選ばれている副葬品は、手紙や洋服、たばこ、好きだった食べ物や本などですが、何を棺に入れてあげるのかは、家族で話し合うことをおすすめします。

 

どうしても棺に入れてあげたいけれども入れられないものがある場合は、火葬後に骨壺の中に一緒に入れるという方法もあります。

 

 

 

納棺は通夜の前

一般的に納棺が行われるのは通夜が行われる前日、または通夜が行われる数時間前です。では、直葬の場合はどうなるのかと疑問に思う人もいるでしょう。通夜や葬儀などの儀式を一切行わずに火葬をする直葬であっても、病院の霊安室で納棺が行われることはありません。

 

これは、霊安室での納棺は禁止されているからです。直葬の場合は、一度どこか霊安室とは別の場所にご遺体を搬送して納棺を済ませてから、火葬場へとご遺体を搬送する必要があります。

納棺の服装

納棺の服装は、納棺が行われる場所とタイミングによって大きく左右されます。場所とタイミング以上に服装を左右するのが、地域性です。東北地方の中でも山形は特に特色があります。

 

ここからは、ご遺体を安置している場所が自宅または葬儀場で納棺を行った際の服装、そして山形の服装の特色について解説します。

自宅

自宅で納棺の儀式が行われる場合は、平服でも構わないと考えられています。しかし、通夜の前日ではなく、通夜が始まる数時間前に納棺が行われる場合の服装は、喪服がおすすめです。

 

例えば、納棺を終えてすぐに葬儀場へ移動する場合などは、納棺に参加する服装が喪服であれば着替えることなく通夜へ移行できるのでスムーズです。親戚として参加する場合は、着替えをするための場所の確保がより難しいので、喪服を着用した状態で自宅へ伺いましょう。

 

平服の服装で納棺に参加する場合は、注意が必要です。平服と言っても普段着というわけではありません。この場合の平服とは、「場にふさわしい服装」という意味です。黒やグレーなど、ダークカラーを基調にした服装が平服としては納棺にふさわしい服装と言えます。

子供の服装

大人の服装よりももしかしたら悩むことが多い子供の服装ですが、大人が平服で参加するのであれば子供も平服で構いません。平服で参加する場合は、大人と同じように「場にふさわしい服装」を心がけましょう。

 

大人が喪服で参加する場合は、子供の合わせて喪服を着用しましょう。ただし、制服がある学生であれば制服が正装となるため、制服を着用すると良いでしょう。

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葬儀場

葬儀場で納棺を行う場合は、通夜の前日であれば自宅と同様に平服でも構いません。しかし、葬儀場の場合は通夜当日に納棺が行われるのが一般的なため、服装は喪服がおすすめです

 

葬儀場では親族控室が用意されています。しかし、納棺後に通夜に備えて慌てて喪服に着替えるよりも、最初から喪服を着用しておいた方が通夜の準備がスムーズです。

子供の服装

葬儀場での納棺の際の子供の服装は、通夜の前日であれば大人と同じように平服で構いません。また、通夜の当日ならば制服や喪服が良いでしょう。自宅の時と同じように、子供の服装は大人に合わせましょう

山形

他の東北地方と同じように、山形県でも「前火葬」が行われます。「前火葬」とは、午前中に火葬をして、午後から葬儀が行われることを言います。山形県での納棺の服装は、縄だすきにふんどし姿をした男性が納棺をするというしきたりがあります。

 

また、納棺に参加する人は、腰に荒縄を結んで参加します。納棺をする側の服装も特色がありますがそれだけでなく、故人に着せる服装にも特色があります。故人には、わざと古く傷んだ着物を着せるのです。

香典を渡す場合も

納棺の儀式は法要ではありませんが、香典をいち早く渡すことも多いです。香典とは、霊前に供える香に代わる金銭です。「香」は線香、「典」は供え物という意味があります。不祝儀袋の表書きは、「御香典」としましょう。

 

相手が真宗でないとはっきりと分かっている場合の不祝儀袋の表書きは「御霊前」でも構いません。なぜなら、浄土真宗などの真宗では通夜の時から「御仏前」を使用するからです。しかし、宗派がわからない場合は「御香典」にすると失敗がありません。

 

ご遺族は通夜や葬儀までにしなければならないことが多く、常にあわただしく過ごしています。そのような中で香典を渡すタイミングが無ければ無理に渡すのではなく、通夜や葬儀の時まで待ってから渡すようにしましょう。

意味を知った上で参加したい納棺の儀式

納棺の儀式に参加する場合の服装について解説しました。納棺に参加する場合は、服装だけでなく、納棺の意味を知った上で参加したいものです。ぜひ、ふさわしい服装で故人との最後のお別れのひと時である納棺の儀式に参加してください。