通夜と告別式に出す香典について渡すタイミングや金額をお教えします
公開日 : 2020/8/22
更新日 : 2020/9/10
訃報を聞いて通夜と告別式に参列をしようと考えている貴方は、用意した香典をどちらで渡すべきか迷いませんか?通夜と告別式で香典を渡すタイミングに決まりはあるのでしょうか。今回は通夜と告別式での香典について渡すタイミングと香典の相場金額について解説をします。
公開日 : 2020/8/22
更新日 : 2020/9/10
目次
香典とは?
香典は亡くなった人へ供える金品のことであり、現代では特に現金のみを指します。「香」は線香やお香のことで、「典」は「死者に供える金品」を意味し、香典は香の代わりに死者に供えられる金品と、そのままの漢字で表されているのです。
日本では昔から死を悼む心を表すために、死者への供え物として線香やお香を供える風習がありました。一昔前には仏式の葬儀が大多数を占めていた時代から供え物に仏教が大切にするお香や線香がされていたのは自然の事です。
これが時代が下るにつれてお香や線香が金品に代わるものとなっていったのが現代の香典です。これは死者を弔うには葬儀を執り行う必要が遺族にあったことが要因です。葬儀を執り行うには平常時とは違った大きな金銭的負担が遺族にかかります。
香典はお葬式という大きな金銭的負担のかかった遺族に対しての相互扶助の心でもありました。そのためお香や線香よりも金品の方が遺族の助けとなるので、広まっていったのです。
通夜と告別式で香典を渡すのは?
香典をお葬式に持参しようと考える時、貴方は通夜と告別式のどちらで出そうと思いますか?香典を渡すタイミングに何か決まりがあるものでしょうか。ここで少し詳しく見ていきましょう。
通夜または告別式のどちらかに参列する時
通夜または告別式のどちらかに参列をする時は、参列をする方で香典をだすとよいでしょう。地域によっては通夜に出すべき、告別式に出すべき、との風習がありますが参列をしない時にわざわざ香典を出すためにだけに時間の都合をつける必要はありません。
通夜と告別式の両日に参列する時
通夜と告別式の両日に参列する時には、どちらか一方で香典を出せば構いません。通夜に香典を出した方がよいか、告別式に香典を出した方がよいかは地域によって風習が異なるため、一概には言えませんし、どちらで出すのが正しいのかは決まりはありません。
ただ現代では通夜のみ参列をする人が多いので、通夜に自分だけ香典を出さないのが気になるというのであれば、通夜に香典を持参することをお勧めします。なお最も行ってはならないのが、通夜と告別式の両日に参列をするからと、両日のどちらにも香典を持っていくことです。
お葬式では重なり事を嫌います。これはお葬式という不幸が重なって再び起こってしまうことを連想させてしまうためです。そのため香典を通夜と告別式の両日に出してしまうと香典を重ねることになるのでマナー違反ですので気を付けましょう。
香典は通夜でも告別式でも一度出せばそれで構いません。
通夜と告別式の香典金額
それではここで通夜と告別式に持っていく香典の金額について関係性から見ていきましょう。基本的に香典の金額は故人との関係性と自分の年代で変わり、関係性が深いほどまた自分の年齢が高いほど、包む金額は高くなります。
なおここで紹介する香典の金額はあくまで全国の相場です。香典の金額は決まりがあるわけではなく、地域の風習や親族同士の取り決めなど様々な事情によっても変動します。香典の金額に不安がある場合は、親族の年嵩の人に聞いたり、参列する同じ立場の人に相談したりするとよいでしょう。
祖父母
亡くなった人が自分の祖父母の場合、自分は孫の立場ですので経済的に自立しているのであれば香典を出しましょう。金額は20代で1万円、30代で1万円~3万円、40代以上で3万円~5万円が相場金額です。
なお未婚で祖父母と同居していた場合には香典を出す必要はありません。お葬式は家の単位でとらえられますので、同居しているということは親と同じ世帯と考えられ、親と共にお葬式を執り行う側であるからです。
ただし同居していても結婚をして世帯を持っている場合は香典を出す必要があります。これは葬儀を執り行う親からは独立して世帯を新しく持ったという意味であること、そして香典が世帯に一つと考えられているからです。
親
親が亡くなった場合も香典を出しますが、喪主を務めるのであれば香典は不要です。香典を出す場合は最も近しい関係性であるため、高額な金額です。負担が大きいため親族同士で金額の取り決めがされていたりすることも多く見受けられます。
親への香典としては自分が20代で3万円~10万円、30代で5万円~10万円、40代以上で7万円~10万円程度が相場金額です。義理の両親の場合も付き合いの程度の深さに寄りますが同じぐらいの金額を包むとよいでしょう。
兄弟姉妹
兄弟姉妹が亡くなった場合に包む香典の相場金額は、自分が20代で3万円~5万円、30代以上で5万円~です。なお実の兄弟姉妹と義理の兄弟姉妹が居ても、香典の金額に差をつけることはしません。
また兄弟姉妹の関係で、自分よりも年齢が上であるか下であるかによっての香典金額の差もつけないのが一般的です。
おじ・おばやいとこなどその他の親族
おじやおば、いとこなどの親族にだす香典の金額は、付き合いの程度によって異なります。これは親族によって家族ぐるみでの付き合いがある関係性の人がいる一方で、冠婚葬祭のみしか顔を合わすことがない付き合いの程度の人がいるためです。
人によって異なるので一概には言えませんが、普通の程度の付き合いをしていたと仮定した時、おじとおばへの香典は、自分の年齢が20代で1万円、30代で1万円~2万円、40代以上で1万円~3万円といったところです。
いとこの関係だと少し金額が下がります。20代で3千円~1万円、30代で3千円~2万円、40代以上で3千円~3万円といったところでしょう。この辺りは差が大きいのですの同じ立場の人がいたら相談して決めるのが最も無難です。
会社の同僚
会社関係の香典も社会人になれば出す機会が増えることでしょう。会社は香典を出す同じ立場の人が多いので相談しやすいので相場金額を参考にして同じ立場の人の相談をしておくと安心です。
なお会社の同僚の親が亡くなった場合と同僚自身が亡くなった場合の香典金額の相場は、3千円~1万円程度です。上司の場合は3千円は避け5千円~1万円を目安にするとよいでしょう。
通夜と告別式に用意する香典袋
通夜と告別式に香典を持参するにあたり、香典袋も準備しなければなりません。香典袋にもマナーがありますので適切なものを選ぶようにします。
水引
水引とは香典袋についている紐状の飾りです。現代では水引が印刷された香典袋と本物がかかった香典袋があります。また香典袋の水引には白黒、白黄、銀の色があり、一部地域を除いて通夜と告別式には白黒または銀を使います。
なお水引は不幸を連想させないように「結び切り」というほどくことが難しい結び目をしています。悲しい葬儀は一度きりであってほしいという願いがこめられています。
印刷されたもの
水引が印刷された香典袋は3千円から1万円程度の金額を包む場合に使用しましょう。金額が高い場合には印刷されたものは香典袋と中身とのつり合いが合わないので避けます。
本物がかかっているもの
1万円以上の香典には本物の水引がかかっている香典袋を使用しましょう。水引は黒白または銀一色で結ばれていて、3万円以上であれば銀一色の水引の香典袋が望ましいです。これは銀は格式が高いためです。
そのため水引が印刷されている香典袋の水引の色に、銀が使われることはありません。
表書き
表書きは香典袋の表側の上部に書くもので通夜と告別式を執り行う宗教によって異なります。宗教がわからない場合には最も広く使われる「御霊前」がよいですが、仏式とだけわかっていれば「御香典」が無難です。
先方の宗教については執り行う葬儀社に尋ねればわかりますので、確認をしてから香典袋を用意することをおすすめします。なお、香典袋に蓮の絵柄がついている物は仏式専用、十字架がついている場合はキリスト教専用ですので、合わせて覚えておくとよいでしょう。
表書きと水引以外に何も絵柄がついていなければどの宗教でも使うことが可能です。
仏式
仏式での表書きは、浄土真宗以外では「御霊前」「御香典」「御香料」を使いましょう。浄土真宗では「御霊前」は使用せず「御仏前」とします。これは浄土真宗の教義が、故人は亡くなってすぐに仏になるとしているからです。
浄土真宗以外では主に故人は霊となって旅をしてから仏となります。そのため通夜と告別式では「御霊前」を使いますが、忌明け以降の法要では「御霊前」は使わずに「御仏前」を使います。
「御香典」「御香料」は浄土真宗でも使うことが可能ですので、仏式とわかっている場合には「御香典」または「御香料」の表書きが良いでしょう。
神式
神式の表書きは、「御霊前」「御玉串料」「御榊料」です。神式は仏式のお葬式に比べて執り行われることが少ないので、参列する機会も少ないですがそれでも先方へのマナーとして表書きは宗教に合わせるように心がけたいところです。
キリスト教
キリスト教には主にカトリックとプロテスタントがあり、それぞれ表書きで使われる言葉が違います。カトリックでの表書きは「御霊前」「御花料」「御ミサ料」「献花料」を使い、プロテスタントでは「御花料」「忌慰料」「献花料」を使います。
そのためキリスト教とわかっていてもカトリックとプロテスタントがわからない場合には、どちらにでも使うことができる「御花料」または「献花料」という表書きを使うとよいでしょう。
香典袋の書き方
表書きの他に香典袋には出した人の名前と金額、住所などを記載する必要があります。これは香典を受け取った喪家が誰からいくらもらったのか判別するためと、香典返しをするために必要だからです。
正しく書いていないと喪家が再確認などをしなければならず負担を増やしてしまいかねないので、香典袋に書く情報は読み取りやすく、且つ正しく記載するように心がけます。ここでは名前の書き方を中心に見ていきましょう。
個人で出す場合
個人で香典を出す場合には、表書きの下にフルネームで名前を記載しましょう。金額や住所は香典袋に中袋がある場合には、中袋に記載します。中袋がない香典袋は裏面に記載します。
縦書きが望ましいですが枠が書かれている場合にはその中に書き入れれば結構です。金額も縦書きでは漢数字と呼ばれる難しい字で書きこみます。例えば1万円なら壱萬圓または壱萬円、3万円なら参萬円などと書きます。
この漢数字は数字を容易に改ざんできないようにとの考えから使われてきました。横書きの場合は通常の算用数字で構いません。
連名で出す場合
連名で出す場合は、まず3名以下か4名以上で書き方が異なります。3名以下の場合は表書きの下にそれぞれのフルネームを書き入れます。その際、序列があるのであれば序列で上の人から順に右から書いていきましょう。
序列が無い場合はあいうえお順で構いません。住所や金額などは個人の時と同じで中袋があれば中袋に、無ければ香典袋の裏に書きましょう。4名以上の場合は全員の名前は書かずに代表者の名前と「外一同」「他〇名」と書き添えます。
4名以上は香典袋の裏や中袋にも全員の住所と氏名が入りきらないので、別紙に記入して香典袋に香典と一緒に入れていきます。
夫婦で出す場合
夫婦で出す場合には、いくつかの書き方があります。まず一つ目は夫の名前のみを香典袋に記載する書き方です。夫婦は同一世帯ですので夫の名前があれば夫婦で出したことが喪家には伝わります。
二つ目は夫と妻の名前を連名で書く方法です。中央に夫のフルネームを書き、その左に妻の名前のみを書きます。旧姓を書き添えたい場合はかっこを用います。夫が重要視されるのはお葬式が家のことであり、家の代表者は常に世帯主であり男であった風習に由来しています。
香典の渡し方
香典の渡し方にもマナーがあります。まず香典袋は袱紗(ふくさ)に包んで持参しましょう。袱紗は慶弔で金品を包む為の布です。結婚式などの慶事には赤などの暖色系を、お葬式などの弔事には青などの寒色系の色の袱紗を使います。その中で紫だけは慶事でも弔事でも使うことができます。
通夜と告別式に香典を持参した場合、受付で記帳をした後に袱紗から香典を取り出して受付係の人に差し出します。香典を差し出すときには「この度はご愁傷様です」などのお悔やみの言葉を述べて、香典袋の表書きが受付係の人が読める向きで香典を渡しましょう。
通夜と告別式の香典について
香典は通夜と告別式のどちらに出しても構いません。しかし通夜と告別式の両日に香典を二度持っていくことはマナー違反です。現代では通夜に参列する人が多いため通夜に香典を持参すると間違いがありません。
しかし地域で通夜に香典を持っていくことが正しい、告別式に持っていくことが正しいとその場所の風習によって異なりますので、心配な場合は共に参列する人に相談をして決めるとよいでしょう。
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