お盆の仏壇飾りはどうすればいいの?祀り方や宗派の違いなども解説

公開日 : 2020/8/14

更新日 : 2020/9/10

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お盆になると仏壇飾りを行なうところがあります。ただ、仏壇飾りの風習はなくなりつつあるため、祀り方を知らないという人も増えてきています。そこで、詳しいお盆の仏壇飾りの方法はもちろん、宗派の違いについても合わせて解説します。

公開日 : 2020/8/14

更新日 : 2020/9/10

目次

お盆に仏壇飾りをする意味

お盆になると、仏壇に盆飾りをするところがあります。ただ、家の大きさやライフスタイルの変化に伴って、仏壇に盆飾りをするという風習はなくなってきています。 そもそも、なぜお盆に仏壇飾りをするのでしょう。そこには昔から受け継がれている大切な意味が込められていました。まずは、お盆に行なう仏壇飾りについて解説します。

ご先祖様や亡くなった人をお迎えする

お盆にそれぞれの家で仏壇飾りをするのは、ご先祖様や亡くなった人たちを自宅にお迎えするためです。ご先祖様や亡くなった人たちは、霊になるとあの世へ旅立ちます。ですが、お盆の時期にはこちらの世界へ戻ってくると言われています。

 

お盆の時期にご先祖様や亡くなった人が戻ってくるのは、一説には地獄に落ちた霊の救済措置だと言われています。地獄に落ちた霊は、毎日苦行に耐えています。ですが、お盆の時期だけ休息が与えられ、あの世に戻って良いとされているのです。

 

地獄で苦しい責め苦に耐えていた霊たちは、お盆の時期だけ解放されてこちらに戻ってきます。その時、「お勤めご苦労様です」という意味や気持ちを込めて、仏壇にお盆飾りを行ないます。苦しみや痛みを癒して欲しいという遺族の願いが込められているのです。

子孫や先祖のための供養

お盆に仏壇に飾りをするのは、子孫や先祖の供養のためという説もあります。この供養とは、あの世にいる先祖はもちろん、これから旅立つであろう現世にいる人たちのためでもあります。

 

すでにあの世に旅立っている先祖が、心穏やかに過ごすことができるようにという願いが込められています。「どうかこちらのことは心配せず、穏やかにそちらで過ごしてください」という現世の人たちの願いが込められているのです。

 

更に、現世に存在している人たちも、いつかはこの世から旅立ってあの世へ行きます。その時、快く迎え入れてもらえるようにという意味も込められています。簡単に言えば、「どうか天国へ行けますように」ということです。

お盆の仏壇飾りに必要なもの

お盆の仏壇飾りに必要なものは数多くあります。ですが、絶対に必要なものと、特になくても良いもの、または宗派によって不要なものなどが含まれています。 そこで、まずは必要最低限必要なものだけを厳選して紹介します。それぞれの仏壇飾りに必要なものの意味についても解説しますので、参考にしてください。

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精霊馬

お盆の仏壇飾りに必要なものとして最初に挙げられるのが、精霊馬です。通常、精霊馬はキュウリとナスでそれぞれ1つずつ作られます。キュウリとナスで1つずつ作るのには、大切な理由があります。

 

キュウリで作った精霊馬は「馬」を意味しています。これは、あの世に旅立った霊がこちらの世界に戻ってくるときに利用する乗り物です。馬は足が速いという特徴があります。馬に乗って早くこちらに戻ってくることができるようにという意味が込められているのです。

 

一方のナスは「牛」を表しています。牛は動きが緩慢で足が遅いというイメージがあります。霊がこの世からあの世に戻る時には、ナスで作った牛に乗ります。少しでもゆっくりしたペースであの世に戻ることができるようにという願いが込められているのです。

 

あの世は霊にとっては苦痛な場所と考えられています。そのため、この世に戻ってくるときは苦痛な場所から少しでも早く抜け出せるようにという意味を込めて馬を用意します。

 

また、戻る際には少しでも苦痛から長く遠ざかっていられるようにという願いを込めて、牛が用意されているのです。

盆提灯

盆提灯もお盆での仏壇飾りに必要なものです。盆提灯は、あの世へ旅立った霊が迷子にならないようにという意味があります。

 

あの世へ旅立った霊は、長い間こちらの世界の家から離れているため、道がわからなくなるだろうと考えられていました。そこで、盆提灯を灯して「ここがあなたの家ですよ」と教えているのです。

 

また、盆提灯は「あなたをお迎えする準備が整いました」という伝える役目も果たしています。お迎えする準備ができたので、いつでも帰ってきてくださいと霊に教えているのです。

精霊棚

精霊棚は、仏壇の前に設置する木でできた棚です。お盆には仏壇の前にさまざまなお供え物や道具などを飾ります。これらを直接畳や床の上に置くのは、戻ってくる霊に対して失礼に当たります。

 

そこで、精霊棚を使用します。さまざまな大きさのものがありますが、お供え物の量などに合わせたものを準備すると良いでしょう。部屋のサイズによって小さなものもありますから、必要な大きさのものを選んでください。

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真菰の敷物

真菰(まこも)の敷物は、精霊棚の上に敷くためのものです。見た目は小さな茣蓙(ござ)のような形をしています。

 

何故、精霊棚の上に真菰の敷物を敷くのかと言うと、お釈迦様が真菰の敷物の上で病人の病を治したと言われているからです。真菰は高い薬効があるとされ、古事記などにも登場します。古くから神事に取り入れられてきた敷物なのです。

 

お盆も宗教上の神聖な儀式の一つです。真菰の敷物を使用することで、お迎えする霊と共に入って来ようとする悪いものを祓ってくれると信じられています。お迎えする霊と自分たちを悪いものから守るために真菰の敷物が使われていると考えると良いでしょう。

 

 

お供え物

お盆の仏壇飾りで忘れてはならないのが、お供え物です。通常は亡くなった人が好きだったものや自分たちが好きなものをお供えします。更には季節の海の幸や山の幸などもお供えすることがあります。

 

お供え物としてそうめんが用いられることがあります。なぜそうめんをお供えするのかという理由にはさまざまな説があります。一つには、馬を引く際の手綱の代わりになるからと言われています。

 

また、そうめんは細くて長いという見た目の特徴があります。ここから、「細く長く幸せが続きますように」という願いと意味を込めて、縁起物としてお供えしているという説もあります。

お盆の仏壇の祀り方

お盆の仏壇の祀り方は、宗派や家の大きさなどによってさまざまです。「これが正しい」というものはありません。 そこで、最小限の必要なものを使った一般的なお盆の仏壇の祀り方を紹介します。小さなスペースでも可能な祭り方を解説しますので、参考にしてください。

仏壇の前に真菰を敷いた精霊棚を設置

お盆の仏壇飾りは、仏壇の前に設置します。仏壇から位牌や写真などを取り出す場合もありますが、最近は仏壇も含めて飾ることが多くなっています。

 

まず最初に、仏壇の前に真菰の敷物を敷いた精霊棚を設置します。仏壇が高い場所にある場合は、その前かもしくはその前に当たる畳や床の上に設置すると良いでしょう。わざわざ仏壇を下におろす必要はありません。

 

また、精霊棚に敷く真菰の敷物が手に入らない場合は、白いハンカチなどを精霊棚の上に敷きましょう。精霊棚の上に直接ものを置くと、精霊棚が痛む原因にもなります。必ず上に布製のものを敷くようにしてください。

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精霊棚の両脇に盆提灯

盆提灯は精霊棚の両脇に設置します。地域の習わしなどによっては、盆提灯は精霊棚の両脇ではなく、家の前や玄関に設置する場合もあります。その場合は、習わしや風習に合わせて設置してください。

 

また、盆提灯は置くタイプと吊るすタイプの2種類あります。吊るすタイプを設置する場合は、仏壇や精霊棚の両脇に当たる部分の天井に吊り下げましょう。家の前や玄関に設置する場合も同じです。

 

盆提灯は2つで1セットです。ただ、住宅の環境やスペースによっては、2つも設置できないこともあります。その場合は、無理に2つ飾る必要はありません。1つでも問題ないので、スペースの大きさに合わせて変更してください。

精霊棚にお供え物を供える

精霊棚の上にはお供え物をお供えします。精霊棚の上には真菰の敷物などが敷いてあるはずですから、その上にお供え物をお供えしましょう。

 

精霊棚の上に直接お供え物を置くと、ものによっては精霊棚が痛んでしまうことがあります。直接置くことそのものが良くないとされているので、必ず真菰の敷物などの上にお供え物を置きましょう

 

また、果物はまだ暑い時期ですから水が出てしまうこともあります。できればお盆やお皿に乗せてお供えした方が良いでしょう。お盆やお皿はできるだけシンプルなものを選ぶようにすることも大切です。

精霊馬はお供え物の前に置く

精霊棚の上にお供え物をお供えしたら、その前に精霊馬を置きます。精霊馬は、あの世へ旅立った霊がこちらの世界へ戻ってくるための乗り物です。できるだけ前の方に置いてわかりやすくしておくことが大切です。

 

また、最近は馬や牛以外の形を模した精霊馬を作って置くところも増えてきています。基本的には馬や牛の形を模したものを置くことになっています。ですが、あくまでも基本的なスタイルであって、それ以外の形が悪いというわけではありません

 

また、キュウリやナスを使った精霊馬を用意するのが難しい場合は、絵を描いてお供えしても良いとされています。お盆とは言え、キュウリやナスが痛みやすい時期でもあります。もったいないと感じる場合は、絵を描いてお供えしましょう。

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お盆中は仏壇は閉めるのが通例

お盆中は、仏壇の扉を閉めるのが通例です。理由は、精霊棚を設置しているからです。精霊棚は仏壇の代わりとして設置しています。

 

しかし、最近はスペースの関係で大きな精霊棚を設置することが難しい場合も多々あります。そのようなライフスタイルの変化から、仏壇の扉を無理に閉める必要はありません。開いたままでも問題ありませんから、安心してください。

宗派別のお盆の仏壇飾り

ここまでは一般的なお盆の仏壇飾りについて解説してきました。ただ、宗派によってお盆の仏壇飾りは異なります。飾らなければならないものがあったり、反対に飾らないものもあるのです。 そこで、宗派別のお盆飾りの違いについて解説します。

浄土真宗は盆飾りをしない

浄土真宗はお盆に仏壇飾りを行ないません。何故なら、浄土真宗では亡くなった人が霊となって現れるという考え方がないからです。

 

お盆の仏壇飾りは、あの世へ旅立った霊がこの世へ戻ってくるためのものです。宗派などの習わしに従って飾りつけをし、霊をこの世へお迎えします。

 

しかし、浄土真宗では霊がこちらへ戻ってくるという考えがありません。そのため、お盆に霊をお迎えするための準備をするという風習や習わしも存在しないのです。だから、浄土真宗では盆飾りを行ないません。

 

ただし、浄土真宗ではお盆はご先祖様に感謝の気持ちを捧げる日と定めています。今の自分があるのはご先祖様のおかげであるということを改めて心に刻み、感謝の気持ちを持つのが、お盆だと考えられています。

 

浄土真宗は、お盆に霊を迎えるための準備や飾りは行ないません。ですが、いつも以上にご先祖様を意識し、感謝の気持ちを持って過ごしているのです。

真言宗は水の子と閼伽水

真言宗では、一般的な仏壇のお盆飾りと共に、水の子と閼伽水(あかみず)もお供えします。この弐つは真言宗の大きな特徴の一つとも言われています。

 

閼伽水(あかみず)とは、ミソハギや蓮の葉で清められた水のことで、魔除けの効果があるとされています。具体的には、器の底に蓮の葉を敷いて水を入れます。その中にミソハギの花を束ねたものを浸して水を清めます。

 

水の子は、霊が空腹やのどの渇きで苦しまないようにという意味を込めてお供えするものです。ナスとキュウリをさいの目に切ったものに、洗った米と閼伽水を加えて混ぜ合わせます。これを蓮の葉を敷いた器に盛れば完成です。

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曹洞宗は精進料理をお供えする

曹洞宗では一般的なお盆飾りに加えて精進料理をお供えします。精進料理は一汁五菜と決まっていて、「霊供膳(れいくぜん)」というお膳に用意するのが習わしです。

 

親碗(おやわん)にはご飯を大盛にし、丸くなるように盛ります。汁椀(しるわん)にはお味噌汁やお吸い物を入れます。平椀(ひらわん)には煮物などを入れるのが通例です。壺椀(つぼわん)には箸休めとなる煮豆などを入れ、高坏(たかつき)には漬物を入れます。

 

精進料理を乗せた霊供膳は、家族が食事をするタイミングでお供えするのが一般的でした。ですが、最近は一日一回やお盆期間中に一回だけのように、回数を減らしてお供えするのが通例となっています。

日蓮宗は青竹を立てる

日蓮宗は仏壇やお盆飾りを囲う形で、四隅に青竹を立てます。これらを細い縄でつなぎ、ホオズキや昆布、そうめんや季節のものを吊るします。

 

スペースが狭い場合には、精霊棚の両脇にそれぞれ青竹を立てて、細い縄でつなぐこともあります。つないだ縄にホオズキや昆布、季節のものを吊るすのは同様です。

 

青竹を立てて細い綱でつなぐのは、結界を張るためだと言われています。あの世には悪い霊も存在します。お盆の時期に亡くなった人の霊を迎える際、一緒に悪い霊もくっついて来ないようにという意味があるのです。

 

 

仏壇のお盆飾りの片付け方

仏壇のお盆飾りは、片付け方にも一般的なマナーがあります。大変神聖な儀式ですから、片付け方にも決まりがあるのです。

 

一般的な片付ける時期はお盆明けです。通常、お盆の最終日は16日です。お盆明けはその翌日の17日に当たりますから、17日にお盆飾りを片づけましょう。

 

また、飾りを処分する場合にも注意が必要です。まず天然の塩を振って浄化します。その後、真っ白い紙に包んで捨てましょう。捨てる前に手を合わせて感謝の気持ちを伝えると、縁起の悪いことは起こりにくくなると言われてます。

仏壇のお盆飾りはご先祖様をお迎えするためのもの

仏壇のお盆飾りは、ご先祖様や亡くなった人の霊をお迎えするための神聖なものです。飾り方も大切ですが、それ以上に大切なのは迎えようとする気持ちです。心を込めてお盆飾りの準備をしましょう。