【終活】墓じまい後の遺骨はどうする?改葬手続き方法を解説

公開日 : 2020/7/16

更新日 : 2020/9/10

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お墓の維持が困難などの理由で、墓じまいを行うケースが増えています。そこで以下では、墓じまいの流れや手続きの方法について解説していきます。墓じまいの際には遺骨の改葬も必要です。墓じまいと改葬について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

公開日 : 2020/7/16

更新日 : 2020/9/10

目次

墓じまいとは

墓じまいとはお墓を処分して遺骨の引っ越しを行うことです。お墓の中に収められていた遺骨を取り出した後、墓石を撤去して更地にし、区画を墓所管理者に返還する一連の流れを指します。

 

墓じまいは自由に行ってよいものではなく、さまざまな法律的手続きを行う必要があります。またお墓から取り出した遺骨は別の形での供養が必要となるため、墓じまいには供養の方法を変更するという意味合いも含まれています。遺骨を埋葬しなおすことを改葬と呼びます。

 

お墓を処分するのは罰当たりのようなイメージがありますが、最近ではさまざまな理由から、墓じまいを行う人が増えています。

改葬とは

改葬とは、お墓に収められた遺骨を取り出して新しいお墓に供養しなおすことです。墓じまいと同じ意味で使われることも多いですが、改葬は遺骨の引っ越しを指すのに対し、墓じまいはお墓を更地に戻すことを指します。

 

改葬の際は、遺骨を新しいお墓や納骨堂に埋葬しなおしたり、自宅で供養したりする方法が取られます。

墓じまいを行う理由

墓じまいを行う理由には、さまざまな家庭の事情があります。とくに多い理由をご紹介してみましょう。

お墓を守る人がいない

お墓を受け継ぐ人いないため、生前にお墓を処分しておきたいというケースです。墓じまいする理由の中でもとても多いです。お墓を維持していくためには、墓掃除や寺への供養依頼など、さまざまな努力が必要です。もしお墓を守る人がいなければ、そのお墓は無縁墓になって荒れ果ててしまいます

 

そうなる前に、お墓に埋葬された遺骨を別の形で供養しなおし、墓石を処分したいと考える人は多いです。もしも無縁墓になった場合でも、墓地管理者などによってお墓は撤去され、遺骨は合祀されることが多いのですが、自分の責任でお墓の処置を決めたいという人は多いようです。

お墓の管理が困難

お墓を管理する人はいるものの、その人への負担が大きすぎるというケースです。たとえば身体が不自由であるとか、お墓が遠方にあって通うことが難しいなどの理由が挙げられます。また、夫婦それぞれに守るべきお墓があるため、負担軽減のためにどちらか一方のお墓を処分するというケースもあります。

 

こういった場合には、遺骨を自宅近くの墓地や納骨堂などに埋葬しなおす改葬という手段がよく取られます。遺骨を取り出した後のお墓は処分され、区画は墓地管理者に返還されます。

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子供に負担をかけたくない

お墓の管理は大変な仕事です。そのため、子供や孫に負担をかけたくないという理由から、終活として墓じまいを行うケースもとても多いです。

墓じまい後の遺骨はどうする?

墓じまいとは墓石を撤去して更地に戻すことですから、当然、収められていた遺骨を移動させる必要があります。それではお墓から取り出した遺骨は、その後いったいどうすればよいのでしょうか。主な方法をそれぞれご紹介していきます。

改葬

先にもご紹介した通り、新しいお墓を建ててお墓から出した遺骨を埋葬しなおすのが改葬です。改葬には、遺骨だけを引っ越しさせて新しい墓石を立てる場合と、墓石ごと新しい場所に移動させる場合の2パターンがあります。どちらにしろ古いお墓があった場所は更地に戻りますので、墓じまいの意味合いも含まれます。

 

また改葬には、遺骨の一部だけを取り出す分骨というケースも含まれます。分骨の場合は元のお墓が残されることもあります。遺骨の新しい引っ越し先は新しい墓地のほか、永代供養の納骨堂などが選ばれることも多いです。

 

改葬の際には「改葬許可証」や「受入証明書」などの公的書類が必要です。手続きに必要な書類については、のちほどご説明します。

散骨

お墓から出した骨を海や林に撒いて供養する方法です。専門業者に依頼する方法と、自分で行う方法があります。散骨すると、それ以降の遺骨の管理の必要がありませんので、お墓の維持に関する心身的負担や経済的な負担をなくすことができます。また場所や方法によっては、ペットの遺骨と一緒に埋葬することも可能です。

 

散骨を行うためには、あらかじめ遺骨を2mm以下の粉状に砕く必要があります。これを粉骨といいます。粉骨を行うのは、遺骨をそのまま撒くと死体遺棄罪に問われることがあるためです。自力で行うのは難しいため、粉骨だけ専門業者に依頼することもできます。

 

散骨を行う場所に決まりはありませんが、節度を守った場所と時を選ぶ必要があります。たとえば人気の海水浴場や登山道などはやめましょう。また、穴を掘ったり、散骨した場所に墓標を立てたりすることは埋葬法に抵触します。

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永代供養

永代供養は、寺院や霊園に遺骨の管理を全面的に委ねることです。墓じまい後の供養方法としてよく選択されています。遺骨は管理者が管理する墓所に収められ、管理者によってさまざまな宗教儀礼がなされます。宗教儀礼とは、たとえば三回忌や七回忌といった仏教法要です。

 

永代供養ではお墓や遺骨の管理を全面的に委ねることができるため、お墓の管理に関する心身の負担をなくすことができます。また金銭面においても、永代供養費はかかるものの、お墓の建立費や種々の法要にかかるお金を考えると、比較的コストは安いといえるでしょう。

 

永代供養にはデメリットも存在します。契約期間が過ぎると基本的に遺骨は合祀され、それ以後の改葬や法要は不可能です。

手元供養

手元供養とは、遺骨を手元に引き取って供養することです。自宅に祭壇などを設けて遺骨を安置することから、自宅供養とも呼ばれます。手元供養にするとお墓の管理や維持費が必要なくなるため、心身の負担や経済的な負担をなくすことができます。また、故人をいつでも身近に感じられるのも手元供養のメリットです。

 

ただし、墓じまい後に遺骨を取り出す場合は衛生面で注意が必要です。お墓に埋葬されていた遺骨は湿気を多く含んでいます。カビなどの発生を防ぐため、自宅に安置する前に乾燥させたり、湿気を防ぐ骨壺に入れ替えたりする必要があります。

 

遺骨を粉骨するのも1つの方法です。こうすると省スペースになり、衛生的にも管理しやすくなります。また一部の遺骨だけを手元に残し、大部分の遺骨を散骨する方法もあります。ちなみに、遺骨を自宅に安置することは法律上問題はありません

墓じまいの大まかな流れ

墓じまいの一連の流れをご説明します。墓じまいをするときは、遺骨の引っ越し先を見つけたり、必要な書類を取得したりする必要があるため、少なく見積もっても1カ月程度はかかると考えたほうがよいでしょう。新しくお墓を建てるなら、3カ月程度かかることもあります。

 

 

関係各所への連絡・相談

第一に家族や親族への相談・連絡です。お墓を処分したり改めたりすることに抵抗を持つ人は少なからずいます。そのため独断で墓じまいを行うと、それ以降の付き合いに差しさわりが出る可能性もあります。墓じまいを行う際には、親族の同意を得て行うようにしましょう。

 

同時に、それまでお墓を管理していた管理者への連絡も必要です。たとえば長年付き合いのあった寺院にお墓を任せていた場合は、墓じまい=檀家を辞めるケースにつながることもあります。誠意の問題もありますし、場合によっては金銭的なトラブルに発展することもあります。たとえば説明が不十分だった場合は高額な離檀料を請求されるケースです。

 

こういったさまざまなトラブルを回避するため、関係者への連絡や相談は時間をかけて、丁寧に行うことが大切です。

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遺骨の行方の決定

墓じまいをしてお墓から出した遺骨を、どのように扱うのかも、あらかじめ決めておく必要があります。遺骨の処理方法には、先にご紹介したように「改葬」や「永代供養」などがあります。もし新しくお墓を建てるなら、石材店に依頼するなどの手続きもとらなくてはなりません。

各種書類の取得

遺骨を引っ越しさせる際にはさまざまな許可書や証明書が必要になります。この過程を無視して遺骨をお墓から出すと、埋葬法に抵触することになります。墓じまいや改葬に必要な書類については、後ほどご説明します。

閉眼供養

閉眼供養とは、遺骨をお墓から出す前に行う仏教儀式です。お墓から故人の魂を抜くという目的があります。閉眼供養を行わずに墓じまいを行うと、故人の魂ごとお墓を破壊することになりますので、墓じまいの際には必ず閉眼供養を行いましょう。

 

閉眼供養は菩提寺や最寄りの寺院などに依頼し、僧侶を招いて執り行います。閉眼供養が終わると、いよいよ遺骨をお墓から取り出します。

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墓石の撤去

遺骨を取り出したら墓石を撤去し、区画を更地に戻します。一連の工事は専門業者や石材店に依頼するのが一般的です。更地になった区画は墓所の管理者に返還されます。それが済めば墓じまいは基本的に完了です。

散骨または新しい墓への納骨

先の工程で墓じまいは完了ですが、遺族は墓から取り出した遺骨を別の方法で供養しなおさなければなりません。あらかじめ決めておいた方法で、遺骨を供養してください。

墓じまい・改葬に必要な書類

墓じまいや改葬の際に必要な書類について、ご説明していきます。以下の手続きなしに勝手に遺骨を移動させると、埋葬法に抵触しますので、くれぐれも注意してください。

埋葬証明書

埋葬証明書は、現在のお墓の管理者に発行してもらう書類です。その場所に遺骨が埋葬されていることを証明するためのものです。埋葬証明書の書式は自由ですが、「埋葬証明書の発行年月日」「墓地使用者の氏名と捺印」「墓地管理者の氏名と捺印」「故人の氏名と生没年月日」などが記載されます。

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受入証明書

受入証明書は、遺骨の新しい受け入れ先の管理者に発行してもらう書類です。遺骨は許可された場所にしか埋葬できませんが、この埋葬場所を明確にする目的で発行されます。受入証明書の書式は埋葬証明書と同じく自由です。

 

改葬申請者の氏名と住所と捺印」「遺骨の氏名と本籍地と住所」「改葬元の住所と管理者の氏名と捺印」「受入証明書の発行年月日」などが記載されます。

 

改葬許可証

改葬許可証は既存の墓地がある市町村役場にて発行してもらう書類です。埋葬証明書および受入証明書を添えて申請書を提出する必要があります。提出書類は自治体によって異なります。また発行手数料が必要な場合もあります。

 

発行された改葬許可証は、改葬先に提出します。

改葬承諾書

改葬承諾書は、墓地使用者と改葬申請者が異なる場合に必要な書類です。それぞれの氏名や住所、捺印のほかに、墓地使用者による改葬の許可の文言が記されるのが一般的です。自治体によってテンプレート書式を配布しているところもありますので、必要ならチェックしてみてください。

墓じまいにかかる金額の相場

墓じまいにかかる費用は、ケース・バイ・ケースで異なります。たとえば代行業者に依頼すると煩雑な手続きから解放される一方、もちろんコストは高くなります。また遺骨を散骨するのか、新しくお墓を建てるのかにもよって、費用相場は大きく変動します。一般的には、墓じまいにかかる費用の相場は50万~100万円だともいわれます。

いつまでも心安らかに過ごすために

お墓の処分というと、罰当たりなイメージがあります。しかし実際に無縁墓になることを考えると、墓じまいも1つの方法ではあります。親族や家族とも話し合いながら、ぜひ選択肢の1つとして考えてみてください。