お墓の相続に必要な手続き・維持費について正しい知識を学ぶ

公開日 : 2020/7/16

更新日 : 2020/9/10

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お墓の相続についての知識を持っている方は少なく、お墓を相続した場合に費用も伴います。近年、お墓の相続の放棄を考える方も増えてきているため、どのような手続きを行わなければいけないのか悩んでいる方も多いです。そこで、お墓の相続について詳しくまとめました。

公開日 : 2020/7/16

更新日 : 2020/9/10

目次

お墓は誰の名義なのか

お墓を先祖代々、引き継いできている方は多いですが、そもそもお墓は誰の名義なのかわかっていない方も多いです。お墓を継承する人がいないと問題になってきているため、まずはお墓の相続の基礎知識を学びましょう。

祭祀承継者が引き継ぐ

お墓は相続する人は、「祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)」といい一族の代々の先祖をまつったり法要を行う人のことです。お墓や仏壇仏具など先祖代々の系譜なども引き継いで管理します。民法897条でも墳墓・祭具などの祭祀財産の所有権を引き継ぐと記載されています。

祭祀承継者の役割

お墓の相続をする祭祀承継者の役割は3つあります。1つ目は、お墓の維持管理を行います。日頃からお墓を手入れしていき、慣習や宗教心によっても内容が異なります。墓参りや墓掃除をしなかったり、法事を執り行わなくても法的義務はないため祭祀承継者に委ねます。

 

しかし、お墓の管理をあまりにもしないでいると、親族とトラブルになる可能性も出てくるため、リスクを考慮して祭祀承継者の役目を果たしましょう。2つ目は法要の主宰に関しても決定権があり、お盆・お彼岸などの行事を中心的になって執り行います。

 

3つ目は、故人の遺骨やお墓の管理処分権も祭祀承継者にあり、お墓を建てる場所や移転や分骨についても決定権があります。このように、祭祀承継者には様々な決定権があり、どれも法的義務はないですが、親族との関係を考えながら役目を果たしていきましょう。

 

 

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祭祀承継者の決め方

お墓の相続はその家の長男が引き継ぐと考えられがちですが、相続には優先順位があります。お墓の相続で決め方として、1つ目は故人の意思によって相続人を選ぶ方法です。生前に相続人を指定していた場合は、その方が祭祀承継者になりお墓を相続します。

 

2つ目は慣習によって決める方法です。故人が生前から祭祀承継者を指定していない場合、その地域の慣習などによって、祭祀承継者を選びます。3つ目は家庭裁判所の決定によって決まる方法があります。祭祀承継者指定調停を行い、相続人同士で話し合いをして決定します。

 

故人が祭祀承継者を指定していない場合で、慣習でも相続人が決まらなく自分達で話し合って決められないことから家庭祭場所の決定により相続人を選びます。話し合いで解決できるのであれば、家庭裁判所への申し立てはいりません。

お墓を相続するメリットとデメリット

お墓を相続することに対して、メリットやデメリットがあります。どちらも知っておくことでお墓の相続について見直すことができるため、チェックしておきましょう。

お墓を相続するメリット

お墓を相続することで、一族の代表となりお墓や仏壇を自分の思うように管理することができます。「本家筋」や「一族の代表」となれるため、遺産分割協議の際に優先的になることがあります。そのため、相続分を増やしてもらえるケースも考えられます。

 

他のメリットとしては、先祖代々のお墓の管理が大変ということから別の場所に移動させたり一部分骨することを決めることができます。祭祀承継者が兄弟や他の親戚の場合は、この意思を通すことが難しいため、実現させることが難しいです。

 

このようにお墓を相続することは大変なイメージが強い方も多いですが、決定権も増えるためこれからお墓をどのように管理していきたいのか意見を述べることができます。先祖代々のお墓を守っていくため、自分の意見を述べることが可能です。

お墓を相続するデメリット

お墓を相続するということは、メリット以外に必ずデメリットも存在します。1つ目のデメリットとしては、お墓の管理に手間がかかるということです。お墓や仏壇仏具を相続されているので、責任もって管理する必要があります。

 

定期的にお墓参りを行い、お盆やお正月も法要を行ったりする必要が出てきます。地域の風習や慣習によっても内容は異なりますが、一族の代表のため親戚に声をかけて集まりの準備を行わないといけません。

 

2つ目のデメリットは、お墓の維持費が発生することです。費用は祭祀承継者の負担しなければいけませんので、金銭的にも苦しい場合は相続しないことをおすすめします。祭祀承継者への手続きや定期的なお墓の維持費が発生するため、事前に金額を把握しておきましょう。

お墓の相続を放棄したい場合

お墓の相続は様々な問題があり、これから相続し続けることに自信がない方もいます。その場合、相続を放棄したいと考えますが、どのような手続きを行わなければいけないのかまとめてみました。

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祭祀承継は拒否できない

お墓を相続する祭祀承継者は、被相続人の指定、慣習、家庭裁判所の決定により拒否することができません。辞退することもできず、相続放棄は適用されておらず承継放棄という制度もありません。そのため、祭祀承継者になることはそれだけ責任があるということです。

 

祭祀承継者にはお墓を管理や法要などの決定権があるため、行わないという選択肢もあります。墓参りしない・墓の掃除をしない・管理料なども支払わないことも法律的に義務ではないため行えますが、親族との関係性が悪化してしまう可能性が出てきます。

 

そのため、お墓の相続を放棄したい場合は、墓じまいや永大供養をお願いすることで、その親族との関係性の悪化を回避することが可能です。そもそもお墓を相続する義務はなく、墓地の管理者に返還することで、負担をなくすことが可能です。

お墓を手放す方法

お墓の相続を放棄するためには、墓じまいを行い永大供養を行う必要があります。墓じまいとは、お墓の中からお骨を取り出して墓石を撤去することです。そのため、敷地を更地にしてからお寺や霊園側に明け渡すことによって次の方に譲ることができます。

 

永大供養は、お骨を寺院や霊園に引き取って祭祀承継者の代わりに管理してもらうことを言います。永大供養は名前のイメージから永遠と供養してもらえるイメージがあるかもしれませんが、基本的には33回忌までを供養してもらうことが可能です。

 

その期間が過ぎると他の方と一緒に合祀されるケースになることが多いため、故人ではなく他の方とお墓という場所が同じになるのが特徴です。しかし、お墓の相続を放棄するということは、このような手続きを行わなければいけなくなるので、よく考えてみましょう。

墓じまいの流れ

お墓の相続を放棄するために、墓じまいから永大供養を行うまでには様々な流れがあります。まず初めに、今のお墓がある市町村区役所から改葬申請許可書をもらわなくてはいけません。それをもらった後は、お寺や寺院・霊園から改葬申請許可所に捺印をもらいます。

 

書類が揃ったところで永大供養をしたい寺院や霊園から使用許可書をもらい、市町村役場ですべての書類を提出します。これによって一通りの書類が揃い、次の段階に進むことができます。墓じまいをするために石材店に遺骨の取り出し・墓の撤去を依頼してください。

 

お墓の名からお骨を取り出すときは開眼供養を行います。お墓は更地にしてもらい、永大供養をする場所へ行き、改葬許可書・遺骨を持参して納骨をしてもらいます。これが墓じまいから永大供養までの流れのため、行う作業が多く余裕をもってスケジュールを立ててみましょう。

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墓じまいにかかる費用

お墓の相続を放棄し墓じまいを行うためにも様々な費用がかかります。まずは、改葬許可証の発行手数料です。墓地がある市町村のの許可が必要のため、市町村によって異なりますが、無料から千円程度かかる場合があります。

 

墓じまいのために墓石の撤去や更地にする費用は、1平米あたり10万円が相場であり、石材店によっても金額が異なるため予算を抑えたい場合は、見積もりを比較してみましょう。お墓から遺骨を取り出すときの開眼供養の相場は、相場は3万円から5万円程度です。

 

今までお寺の檀家に入っていた方が墓じまいをする際に、離檀料を支払う場合もあります。これは支払い義務は特にありませんが、お布施としてその地域の風習があります。3回に分けて1回に5万円であれば合計15万円支払わなければいけないため確認してみましょう。

お墓を継承した際に行うこと

お墓を相続した場合、様々な決定権を得ることができますが、引き継いだからには行わなければいけない手続きなどもあります。そこで、お墓を相続する予定がある方は確認してみてください。

お墓の名義変更の手続き

お墓の相続人が変わった場合は手続きを行わなくてはいけません。祭祀承継者が決まり、霊園やお寺を入れてから名義変更の方法を確認してください。必要書類や申請用書式が異なることが多いため、わからないことは必ず質問して確認しましょう。

 

お墓の名義変更をする場合、様々な書類で名義変更届・永代使用許可書・使用名義人の除籍謄本など・住民票または戸籍謄本や印鑑証明・相続人の同意書と書類の数は多く、こちらは一般的な書類ですが、お寺や霊園によって内容が異なるため統一されていません。

 

また、お墓の名義変更に当たっては、手数料がかかる場合もあります。公営墓地の場合、数百円から数千円程度ですが、民営墓地になると数千円から1万円以上かかることもあるため、必ず確認をしましょう。

お墓の維持費

お墓を相続する際に、維持費がかかりますがどこにお墓を建てているかによっても異なります。お墓は相続税がかからないため固定資産税などの税金を支払う必要はないです。寺院墓地であれば、行事参加費として1回につき1万円~3万円がかかります。

 

民営霊園の年間管理料は、およそ5,000円~15,000円程度であり、寺院のように護寺会費や行事はかからないのが特徴です。公営霊園の管理料は、4,000円~1万円程度でこれ以外の維持費はかかりません。そのため、どこでお墓を管理するかによって維持費が異なります。

 

また、お墓の維持費を抑えたいという考えを持っている方は、永大供養を行う場合も増えてきています。墓地の承継を前提にしていないため、亡くなってからお墓の管理についても迷惑をかけません。初期費用も安くて年会費がかからないケースが増えてきています。

お墓の相続について正しい知識を持とう

お墓の相続に当たって、正しい知識を得ておくと相続するための手続きやこれからの維持費について不安になることがありません。メリットやデメリットを把握することで、自分がどのようなお墓の維持をしていかなければいけないかが明確になってきます。

 

お墓の相続が難しい場合であっても、放棄する方法にも正しいやり方がありますので、参考にしながらこれからの在り方を考えてみましょう。