遺品整理はいつ行うのか、その方法と注意点についてわかりやすく解説
公開日 : 2020/7/18
更新日 : 2020/9/8
遺品整理は故人の私物を整理し、丁寧に仕分けて片付ける作業のことです。遺品整理を行うタイミングとしては法要のとき等、区切りの良い時期に行うのが理想的です。しかし、その整理の際は色々と気を付けなければいけない点もあります。今回は遺品整理の方法、注意点を解説します。
公開日 : 2020/7/18
更新日 : 2020/9/8
目次
遺品整理について
通夜・葬儀・告別式が終了し、ご家族はようやく故人をゆっくり偲ぶ時間ができた、と一安心でしょう。とはいえ、故人が愛用した衣服や家財道具は依然手もとにあるはずです。
故人にゆかりのある品をいつまでも残すことは悪くないものの、故人が借家に住んでいたり、アパートに住んでいたりする場合、早急に片付ける必要があります。
こちらでは、遺品とは何か?貴重品も遺品に該当するのか?について解説しましょう。
遺品整理とは何か
遺品とは故人の所有・管理下にあった物品・金品等の全てを指します。故人が日常的に利用していた衣服や家財道具はもちろん、遺産相続の対象となる金融資産(現金・預金・株券等)、貴重品も該当します。
遺品整理は故人の私物を整理し、家族が丁寧に仕分けて片付けることで、気持ちの整理を行います。
このように遺品整理は、故人の所有・管理下にあった物品を処分する行為ですが、金融資産はもちろん貴重品にあたる物品は相続の対象となるります。そのため、家族の一人が勝手に処分することでトラブルとなるケースも存在します。
貴重品とはどんな物が当てはまるか
故人の金融資産には現金はもちろん、預金、株券、債券等が該当します。これらの資産は、相続の対象となり相続人(遺族)が勝手に使ってしまうと、後々相続人間でトラブルとなるおそれがあります。
この金融資産だけではなく故人が所有していた貴重品も、相続財産として勝手な処分を禁じられる場合があります。貴重品には次のような物品があげられます。
- 貴金属
- 宝石類
- 高価な壺
- 価値の高い骨董品
- 美術品
また、相続財産自体にはならないものの、所有者が亡くなれば速やかに法的な手続き(解約等)を行う必要のある貴重品もあります。
- 銀行の預金通帳
- クレジットカード・キャッシュカード
- マイナンバーカード
- 健康保険証
- 年金手帳
- 土地・家屋等の不動産に関する権利関係の書類
遺品整理を行うタイミングについて
故人の遺品は例えば「亡くなってから〇日内で処分しなければいけない。」という明確なルールがありません。親族の都合の良い時に遺品整理を行って構いません。
ただし、故人の葬儀・告別式や、相続も含めた法的な手続きの関係で、遺品整理を行うタイミングは制約されることもあります。
こちらでは、遺品整理は区切りの良い時期に行う、生前整理は必要か?について解説しましょう。
いつでも構わないが区切りの良い時期に
葬儀・告別式の後は家族が疲れているので無理をせず、休息をとりましょう。遺品整理を行うタイミングとしては、四十九日や百日法要後のような区切りの良い時期に行うのが理想的です。
このような法要を執り行う際は、親族である相続人達が集まる機会です。親族で一緒に相続財産のチェックや、価値の無い処分の相当である物品を仕訳けることがおすすめです。
なぜなら、親族の一人が勝手に整理を進めると、相続財産を自分のものにした等、あらぬ疑いをかけられトラブルに発展するおそれも考えられます。
なお、故人が生前、一人暮らしで借家またはアパートに住んでいた場合、速やかな家屋の明け渡し・遺品の整理が必要です。
こちらに関しては親族の代表が賃貸人である大家さん、不動産管理会社と相談して遺品の整理や諸手続きを進めていきましょう。
生前整理も考えておこう
自分が亡くなってから、家族が遺品整理を行う手間のかからないように、また相続財産となり得る金品をわかりやすく伝えたいと思うなら、「生前整理」を行うことも考えてみましょう。
この生前整理とはご自分の元気な内に、その身辺をある程度片付けておく作業のことです。とはいえ、単にご自分の要らない衣服や家財道具を処分する作業ではありません。
また、ご自分に複数の預金口座があるなら一つにまとめ、クレジットカードも同様に1枚にまとめるか解約する等、ご自分が亡くなった後、家族が手続きを行い易いように工夫することも大切な作業です。
生前整理で財産を調査して、相続財産となり得る不動産資産・金融資産・貴重品をリストアップし、遺言書で各相続人への配分を記載すれば、トラブルの心配もなく遺産分割が進むことでしょう。
遺品整理を遺族で行う方法
故人の遺品は家財道具なら家族が使い続けて構いません。故人の衣服はきれいな物ならリサイクルショップで買い取ってもらっても良いですし、傷んでいる物なら廃棄するのが良いでしょう。
このように遺品整理を親族で行った方が手数料はかかりません。ただし、廃棄するのが憚られる物や、遺品を特定の誰かにお譲りしたい場合はあるはずです。
こちらでは、形見分けとお焚き上げの方法について解説します。
形見分けを行う
形見分けとは、故人が生前に愛用した品物等を家族はもちろん、親類縁者、故人の友人・知人等へ分配することです。
故人の形見分けとしてふさわしい物は、指輪やネックレス、ブレスレット、高級時計そして故人の写真等が該当します。
形見分けを行う際、無理強いは禁物です。形見分けに応じてもらえるか相手方へ確認する必要があります。
また、形見分けする品は相手方が持ち運びに苦労するような重い物、置き場所に困るような大きな物は避けた方が良いです。
なお、高価な骨董品等は相続財産に該当する場合があることへ注意しましょう。また、故人の写真の場合、すべて形見分けはせず数枚程度残しておいた方が無難です。
お焚き上げを行う
故人の遺品を家族が使い続ける予定はないものの、かといって廃棄するのは憚られる、そんなときは「お焚き上げ」するという方法があります。
お焚き上げとは、故人の愛用品や、神棚・仏壇等を燃やし供養する方法です。お焚き上げに該当する故人の愛用品として、愛用していた人形やぬいぐるみ、写真等があげられます。
とはいえ、いきなりご自分の家の庭先で焼却処分するわけにはいきません。お焚き上げは寺院や神社で行う必要があります。
寺院や神社に依頼するならば、一律に費用が決まっているわけでは無いので、お布施を手渡します。
ただし、寺院・神社にお焚き上げをしてもらう時、お焚き上げが可能な期間はかなり限定されているので、事前の確認が必要です。
また、故人の愛用していた物であっても、電化製品、ガラス製品等、燃やして有害物質が出る物・危険物に当たる物はお焚き上げができません。
遺品整理を専門家に頼む方法
ご家族の中には、遺品整理をしたくても仕事や病気で入院した世帯員の看病等で、なかなか故人の遺品が片付かないという場合もあるはずです。
そんな時は、遺品整理サービスを提供する業者へ依頼した方が良いでしょう。こちらでは、遺品整理サービスを活用と、遺品整理士の役割、遺品整理の費用の目安について解説します。
葬儀社・仏壇仏具店等の遺品整理サービスを活用
遺品整理サービスは、遺品整理のみ専門に扱う業者ばかりではなく、葬儀社や仏壇仏具店等で提供されていることがあります。
もしも、葬儀社で対応しているなら、葬儀・法要等の相談に加え、遺品整理も依頼することができます。
ただし、葬儀・法要の費用へ更に上乗せされることになるでしょう。また、遺品整理サービスを提供する業者の中には、お焚き上げで故人の愛用品も供養してくれる場合があります。
とはいえ、遺品整理サービスを扱う業者でも、すべての遺品を処理する能力があるわけではないです。
遺品整理専門の業者へ頼むに場合でも、どんな遺品を処分できるのか、見積もり、処分方法等を事前に相談しましょう。
遺品整理士の役割とは
最近では遺品整理の需要がどんどん増し、遺品整理サービスを扱う業者が増加しています。インターネットで気軽に検索もできて便利ですが、いろいろな業者が存在し業者選びで迷うかもしれません。
そんな時は、「遺品整理士」が遺品整理サービス業者に在籍しているかどうかをチェックしてみましょう。
遺品整理士は国家資格ではなく一般社団法人が運営している民間資格です。遺品整理サービスを扱う業者に遺品整理士がいなくても、行政から営業停止を命じられることはありません。
しかし遺品整理士は、遺品整理の手順や遺品整理に関係する法規制の知識へ精通している専門資格者です。この資格取得者が在籍している業者へ依頼するなら、確実な遺品整理が行えるはずです。
遺品整理の費用の目安
遺品整理サービス業者の費用ですが、一律に〇〇〇〇円と決まっているわけでは無く、値段設定は各業者によって異なります。
遺品整理を郵送で行う場合、例えば「段ボール箱6箱で25,000円~」と言うように、段ボール何箱で〇〇〇〇円と設定されていることがほとんどです。
また、業者の中には故人が住んでいたマンション・アパートとなら「一部屋全部」または、貸家または持家なら「まるごと一軒」と遺品整理を扱ってくれる所もあります。
こちらの場合「間取り1Kで、作業人数1~2名、作業時間1~3時間で費用は20,000円~60,000円」と言うように、部屋の広さ・作業時間等で費用を設定している場合が一般的です。
業者へ直接遺品を郵送するのか、それとも自宅の遺品を業者の作業員から持って帰ってもらうかで、費用の設定も変わってきます。
遺品整理の注意点について
故人があらかじめ生前整理を行っていない限り、様々な種類の遺品が遺されていることになるでしょう。
中にはガラクタか、それとも本当は価値のある遺品なのか、素人では判断し難い物品もあるはずです。
うっかり廃棄したり、家族の一人が遺品を売ってしまったりしたら、後々相続財産となり得る遺品だったことが判明して、相続人間でトラブルとなることもあります。
故人の遺品で、よくわからない骨董品等が出てきたら、手数料はかかるものの鑑定士等に依頼して、どの位の価値を有するものなのか、しっかり判定してもらいましょう。
遺品整理は必ず親族と話し合いながら進めよう
故人の通夜・葬儀・告別式の後や、四十九日・百日法要に合わせて遺品整理を行う方々も多いことでしょう。
ただし、故人の思い入れのある遺品を整理する場合は、家族の一人が勝手な判断で行わず、必ず親族と話し合いながら作業を進めましょう。
そうすれば、うっかり大事な品を捨ててしまうような事態は避けられるはずです。また、金銭的な価値が低い物でも、故人や家族の写真は、ご家族の歩んだ軌跡そのものと言えます。
この様な遺品を大切に保管し続けるためにも、互いに協力し合いながら遺品整理を行うべきです。
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