【1日葬】知っておくべき手順や注意点・メリット&デメリットも解説
公開日 : 2020/6/17
更新日 : 2020/9/7
最近は葬儀の簡略化が進み、小規模に行う家族葬や、通夜・告別式を省いた直葬などが増えてきました。中でも選ばれることの多い「1日葬」には、正しい手順や注意点があります。1日葬とはどんなものなのか、メリット・デメリットにもふれながら詳しく解説します。
公開日 : 2020/6/17
更新日 : 2020/9/7
目次
1日葬と一般葬の違いは?
1日葬とは、通夜を行わずに1日で儀式を終わらせる葬儀を言います。一般葬の場合、通夜を行った次の日に告別式と火葬を行い、二日かけて故人を送り出しますが、1日葬の場合は全てを同日に行うため、通常の葬儀形式よりも短い時間で葬儀が終わります。
直葬や家族葬と同じように考えられることもありますが、葬儀内容は異なります。儀式を行わない葬儀形式である「直葬」や、参列者が近しい人に限られる「家族葬」に対し、1日葬では儀式も行われ、参列者の制限もありません。
1日葬の手順は?
1日で全てを行うため、事前に済ませておかなかればならない手続きや当日に行うことなど、やるべきことが多い1日葬。葬儀が滞りなく進むよう、事前に全体の流れを把握しておくことが大切です。
葬儀社に連絡
臨終を迎えられた後、葬儀社に連絡を入れます。ご遺体は自宅や安置施設などに搬送し、そこで葬儀が行われるまでの間安置します。
病院の霊安室の利用は長くても3時間程度としているところが多いため、病院で亡くなられた場合にも、ご遺体の搬送が必要です。病院にいる間に医師から死亡診断書を受けとっておきましょう。
葬儀の打ち合わせ
葬儀社と葬儀の細かな日程について打ち合わせをします。葬儀を行う会場、喪主、祭壇や棺の選択、参列者の席次などの詳細を決め、見積書も出してもらいます。
「故人ゆかりの品を副葬品として棺に納めたい」「特別な思い入れのある衣装を着せたい」などの希望がある場合には、この時に葬儀社に伝えておきましょう。
菩提寺の許可を得る
菩提寺がある場合は、1日葬を行うことを連絡して許可を得る必要があります。通夜と告別式、火葬などで読まれるお経はそれぞれ意味があり、菩提寺によっては従来の葬儀形式以外は認めない場合もあるからです。
菩提寺への連絡を怠り1日葬を行ってしまった場合には、納骨を断られたり、法要をしてもらえなくなったりすることもありますので注意しましょう。
参列者に連絡
1日葬に参列していただく方への連絡は、できるだけ早めに行うことが大切です。従来の葬儀形式を重んじる方も多く、1日葬を受け入れてもらえない場合もありますので、お知らせには必ず「1日葬で行う」ということと、「1日葬を選んだ理由」を添えることをおすすめします。
親族だけで1日葬を行う場合には、ご逝去の連絡を行う際にその旨を伝え、参列を遠慮していただけるように伝えましょう。
納棺
葬儀を行う当日に納棺します。末期の水や湯灌(ゆかん)・清拭(せいしき)、死装束など、ご遺体の身支度を整え、故人が愛用していたものなどがあれば、この時に棺に納めます。
もとは親族が身支度を整えていましたが、最近は葬儀社などの専門スタッフが代わりに行うことが多くなりました。
告別式を行う
参列者全員が着席し、僧侶の入場とともに告別式が始まります。1日葬の場合も一般葬の告別式と同じように、僧侶の読経、弔辞、弔電の奉読、焼香などが行われます。
最近では初七日法要も一緒に行われることもあり、地域によっては四十九日法要も葬儀当日に済ませることも。参列者の都合もありますので、1日葬と合わせて法要を行うかどうかを事前によく検討しておきましょう。
出棺・火葬
故人に最後のお別れをした後、霊柩車で火葬場まで運びます。火葬場まで同行しない参列者は、喪主のあいさつ後、火葬場へ向かう霊柩車を斎場で見送ります。
火葬炉前で「納めの式」として焼香を行い、火葬後の骨上げが済むと1日葬は終了です。納棺から火葬までかかる時間は、約5時間と見ておきましょう。
1日葬のメリットは?
さまざまな葬儀形式がある中、1日葬が選ばれるのには理由があります。どんな点がプラスと考えられているのか、いくつかポイントを見ていきましょう。
負担を軽減できる
遺族・親族は大切な家族を失った悲しみで疲れ切っています。そんな時に葬儀の準備を進めなければならないのはかなりの負担になるのは言うまでもありません。
1日葬は、従来の2日間に渡って行われる葬儀に比べ、半分の時間で終わるので、身体的負担が軽減されます。特に高齢者の場合は2日間の葬儀に参列するだけでも体力的負担となるため、家族に高齢者がいる場合などは、1日葬を選ぶのが望ましいでしょう。
さらに、遠方から参列する親族においては、飛行機や新幹線などの長時間の移動や宿泊先の手配、交通費など、多くの負担が軽減されて葬儀にも参列しやすくなります。
費用が抑えられる
通常は葬儀を行う場合に、会場の利用料、車両費、飲食代、返戻品代など、さまざまな費用がかかり、平均で160万ほどの金額になると言われています。
ところが、1日葬では参列者も少なく斎場の使用時間も短くなるため、平均で50万円前後と費用を大幅に抑えることが可能です。
とはいえ斎場によっては、1日の利用でも2日分の費用を請求するところもありますので、事前にしっかり確認をしておきましょう。
親族以外も参列できる
親族だけで行われる「家族葬」や「密葬」、親族以外に故人と親しかった方数名も参列できる「直葬」などの場合は参列者が限られ、葬儀に参列出来ない方も多くなってしまうのが現状です。
それに対して1日葬は、小規模ながらも親族だけに限らず、友人や知人も参列できる葬儀形式ですので、故人にお世話になった方もしっかりと最後のお別れができます。
そうは言っても、全ての友人・知人に声がかかることはなく、誰もが参列できる葬儀というわけではありません。遺族が1日葬を選ぶ理由は負担を減らすことにありますので、葬儀に招待される参列者も、少なからず限定されてしまうということを覚えておきましょう。
1日葬のデメリットは?
新しい葬儀形式として行われることも多い1日葬ですが、メリットがある反面、デメリットもあります。1日葬を検討している場合は、デメリットもしっかり把握しておくことが大切です。
都合がつきにくい
1日葬は、告別式と火葬の全てを1日で終える葬儀形式のため、参列者が一般葬のように通夜だけ参列、または告別式だけ参列というように日にちを選ぶことは出来ません。
もちろん両方参列することが望ましいのですが、仕事の都合などでどちらか一方しか参列出来ないという場合もあります。
また遺族や遠方から参列する親族にも同じことが言えます。1日葬を行う場合には、親族とも良く話しあって、全員が都合をつけられる日にちを選ぶようにしましょう。
葬儀として理解してもらえない
宗教や地域によっても違いがありますが、いまだ従来の通夜・告別式と両方を行う葬儀形式が一般的とされています。そのため1日で葬儀を終わらせる1日葬は簡易的ととらえられ、なかなか理解してもらえない場合も。
あとでトラブルにならないためにも、必ず親族の間で話し合い、1日葬への理解を得てから葬儀を行うようにしてください。
1日葬で注意すべき点は?
1日で葬儀をとり行うため、当日は忙しくなることが予想されます。故人を送り出す大切な儀式ですので「手配がされていなかった」「知らなかった」などということが起きないよう、入念に準備することが大切です。
1日葬をスムーズに行うためにも、気を付けなけれならない点について見ていきましょう。
斎場の選び方
以前は菩提寺や自宅で葬儀を行うことが多かったのですが、最近では斎場を利用するのが主流となっています。斎場は公営と民営の2種類に分かれ、それぞれ特徴が異なります。
公営斎場の場合は火葬場が併設されている場合がほとんどで、移動などの手間を省くことができ、リーズナブルな料金で利用できます。その反面、交通の利便性があまりよくない立地であったり、利用者が多いことで予約が取りにくかったりもします。
民営斎場は、最寄り駅が近かったり、広い駐車場が完備されていたりと、参列者がアクセスしやすく、設備も整っています。葬儀形式にとらわれず、比較的自由な形で葬儀を行えるのも大きなポイントです。
斎場選びは、遺族や参列者が落ち着いて故人を送り出せるよう、都合に合った場所を選択するようにしましょう。
服装
1日葬でも、服装のマナーは一般葬と変りはありません。遺族は正式礼装の着用が望ましく、男性でしたらブラックスーツに黒ネクタイ、または五つ紋付き羽織袴、女性は黒無地ワンピース、または染め抜き五つ紋付きの着物が一般的です。
遺族以外の参列者は平服での参列が可能な場合でも、遺族や故人に失礼のないよう礼服の着用をおすすめします。男性は黒のスーツに黒のネクタイ、女性は黒またはグレーのスーツかワンピースが良いでしょう。
平服の意味は「普段着」ではなく「略喪服」という意味ですので、取り違えないように気を付けましょう。
お布施
一般葬と比べて時間が短くなる1日葬では、お布施の金額も抑えられ10万~30万円程度とされています。この金額には読経料、お車代、御膳料などが含まれていますが、地域やお寺、宗派などによっても変わってきます。
通常葬儀のお布施の相場が50万円程度とされているのに比べると、控えめな金額と言えます。お布施にいくら包めばよいのか分からない場合は、失礼に当たることはないので直接僧侶に訪ねましょう。
また、お布施に包むお札は新札・旧札どちらでも構いませんが、僧侶に対して感謝の気持ちを表すものですので、旧札を包む場合はなるべくきれいな状態のものを選ぶようにしてください。
精進落とし
家族が亡くなると、肉や魚を避けた精進料理を摂り、四十九日の忌明けを区切りに通常の食事に戻すと言われています。その時に摂るのが「精進落とし」ですが、今では本来の意味はあまり重要視されず、葬儀の参列者に振る舞う食事を意味することが多くなりました。
通常葬儀の場合、火葬の後または火葬の待ち時間に参列者に精進落としを振る舞いますが、1日葬の場合は省略されることも多く、必ず振る舞わないと失礼に当たるということもありません。
火葬が長時間に及ぶ場合などは、食事の場を設けることもありますが、火葬場まで同行するのは親族だけの場合も多いので、場所を移して食事をするという方法もあります。
心から故人を送り出せる葬儀をしましょう
1日葬は、手間や費用が抑えられて便利な反面、従来の葬儀形式とは異なるために理解を得るのが難しいことや、参列者の都合がつきにくいこともあるなど、デメリットもあげられます。
葬儀を行う上で大切なのは、独断で決めずに、どのような葬儀形式を選択するかを親族とよく話し合うこと。1日葬でも一般葬でも、親族全員が納得して心から故人を送り出せる、そんな葬儀が行えるようにしましょう。
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