【正しい知識を身につけて】忌明けの挨拶状の書き方や文例を紹介
公開日 : 2020/6/26
更新日 : 2020/9/9
悲しいことに誰にでも訪れる身近な人とのお別れ。そんなときは常識に合う振る舞いをしたいものですが、中でもどのように書いたらいいのか迷うのが「忌明けの挨拶状」ではないでしょうか。そこで今回は、忌明けの挨拶状の書き方や文例もご紹介していきます。
公開日 : 2020/6/26
更新日 : 2020/9/9
目次
忌明けとは?
忌明けとはどのような日でしょうか。喪に服す期間を終える日ともいわれますが、相談次第では慶事や祭典へ参加できることもあります。知っているようで知らない、忌明けに関する情報をご紹介しましょう。
喪に服す期間を終える日
喪に服す期間が終わった日のことを「忌明け」といいます。因みに「喪に服す」とは家族や親族を亡くした人が故人を思い静かに過ごす期間のことです。この期間は宗教によっても違うため、仏式と神式でご説明していきましょう。
仏式の場合の「忌中」は、故人の魂が旅立っていくとされている四十九日までです。この間は満中陰ともいい、葬儀でお世話になった僧侶や親族たちを招く満中陰法要や忌明け法要を行う場合が多いです。
忌明けに行う法要によって、遺族は故人との別れを受け入れるのでしょう。一方で神式の場合の忌明けは五十日です。
相談次第で慶事や祭典へ参加可能に
一般的に忌中や忌明け直後などは慶事や祭典の主催はしないとされていますが、もしも招かれた場合は相談次第では参加できる場合もあります。本来は大事な人を亡くしているのですから、おめでたい場には出たくないものでしょう。
ただやむを得ない場合や事情があるならば、ある程度柔軟に考えても良いとされています。
その時に応じて柔軟に対応が必要
その時に応じた柔軟な対応はケースバイケースになります。ただ、大切なのは故人が喜んでくれるかどうかということです。世間の目というよりも、故人の気持ちを考えて行動しましょう。
たとえば故人も知っている親しい人の結婚式で故人も楽しみにしていたというのであれば、祝ってあげたいと思うのではないでしょうか。また、故人が生前から楽しみにしていた親しい友人の会社の記念パーティーなども考えられます。
故人の代わりに遺族が出席してお祝いの気持ちを表したいというのは、考えようによっては許されることです。ただし周囲の人とよく相談し、特に目上の人の意見は大切にしましょう。
忌明けの挨拶状の基本の書き方
ここでは忌明けの挨拶状の基本の書き方をご紹介します。仏式の場合と仏式以外の場合を挙げるので参考になさってください。
仏式の場合は縦書きで書く
仏式は縦書きが基本になっています。その際に大切なポイントは、お礼の言葉を書くことと文末には差出人を書くことです。
お礼の言葉は葬儀参列に関しての感謝の気持ちを表すものです。香典やお供え物に対してもお礼をきちんと述べましょう。また文の最後には差出人の名前を書くことも大切です。以下に例文をご紹介します。
お礼の言葉の例文
ある男性の86歳の父が亡くなったケースを例として、文例をご紹介します。
先般 亡父◯◯儀の葬儀にご参列いただきご厚志を賜り謹んで御礼申し上げます またその節の不行き届き申し訳なく存じます お陰様で〇月×日に○○戒名の四十九日法要を無事に終えました つきましては心ばかりの品をお送りいたします
供養のしるしとしてご受納くださいますようお願い申しあげます 本来であれば拝眉のうえでお礼申し挙げるところ略儀で失礼いたします 書中をもってのご挨拶にかえさせていただきます
文末には差出人を記載
文末には差出人名を書きましょう。そして住所や日にちも記載します。
差出人名は「喪主 田中誠」のようにフルネームが基本です。喪主の名前の後に「親戚一同」を記載する場合もあります。また、社葬の場合は葬儀委員長名をフルネームで最初に書くのが基本です。
仏式以外の挨拶状の場合
仏式以外の挨拶状の例として、キリスト教をご紹介します。プロテスタント式とカトリック式それぞれの特徴を挙げます。
キリスト教の信者は多いですが、キリスト教と一言でいってもプロテスタントとカトリックでは考え方が違います。それを踏まえたうえで習慣の違いも認識しましょう。
プロテスタント式は仏教用語を使わない
プロテスタントの場合は挨拶状に仏教用語を使いません。故人が亡くなって約1ヶ月後に召天記念日の記念集会を催し、その際に挨拶状を出します。以下で、88歳の父を亡くした57歳の娘からの挨拶状の文例をご紹介します。
拝啓
先般亡父○○召天の際はご多忙の中ご臨席とともにご丁寧な御花料も賜り感謝いたします
お陰様で召天記念日も滞りなく済ませました つきましては御礼として心ばかりの品をお送りいたしますのでご受納いただきたく存じます 本来であればお目にかかりお礼を申し上げたく存じますが書中でのご挨拶とさせていただきます 敬白
カトリック式は追悼ミサの挨拶状を送る
カトリックの場合は故人の死後30日目の追悼ミサを行うので、その挨拶状が必要です。最初のいい方はプロテスタントと異なり「帰天」となります。以下に、86歳の父を見送る55歳の息子からの挨拶状の例文をご紹介します。
過日亡父○○帰天の折はご多忙の中のご臨席誠にありがとうございました その際はご多忙中にもかかわらずご臨席いただきありがたく存じます お陰様で追悼ミサも無事にすませられました
忌明けの挨拶状作成時の注意点
挨拶状の作成にあたっては、気を付けなければいけないポイントがあります。最後に挨拶状作成の注意点を見ていきましょう。
句読点は使わない
忌明けの挨拶状では、句読点を使わないのがマナーです。つい習慣的に付けてしまいそうになるかと思いますので、気をつけましょう。句読点を使わない理由は諸説あり、昔は毛筆を使っていたからではないかと言われています。
確かに毛筆で書くとなれば、句読点はつけないでしょう。またスムーズに書けるように、文を区切らないためという説もあります。
繰り返す言葉は利用不可
繰り返す言葉や重ね言葉は控えましょう。不幸が繰り返される、重なるという不吉なことが思い浮かんでしまうからです。このような言葉を忌み言葉といい、昔から嫌がられています。
どんな言葉があるか挙げると、「続々」「再々」の他に「年々」「重ね重ね」などが忌み言葉に該当します。これらはつい使ってしまう表現なので、気を付けましょう。
挨拶状はなるべく早く出す
挨拶状は早めに出すのが大切です。本来は先方に伺って葬儀に参列してくれたことやお香典などのお心遣いをいただいたことのお礼を言うべきところを書面で失礼するのですから、なるべく早いタイミングで出すのがマナーです。
忌明けよりも日にちがたってから出しても、頂いた方としては実感がわかないかもしれません。お礼は早くするのが鉄則です。
挨拶状を出すタイミングは宗教によっても違う
忌明けの挨拶状のタイミングは宗教によっても異なるものです。仏教は7回目の四十九日の法要の後が忌明けで、挨拶状はそのタイミングで出します。
一方キリスト教の場合は、故人が亡くなって1ヶ月たったときの追悼ミサや召天記念日が仏教における忌明けと考えられます。そのため、挨拶状のタイミングはその辺りが目安です。主な宗教だけでもこのような違いがあるので、世界中の幅広い宗教で見るともっと大きな違いがあるでしょう。
故人との間柄によっても忌明けのタイミングが異なる
忌明けの挨拶状のタイミングは故人との関係にもよります。人と人とのつながりなので宗教を超えた気持ちの問題が強いでしょう。一区切りというタイミングは人によっても違います。
とはいえ、一応は宗教の忌明けに従って一区切りとするのも良いでしょう。その上で、心の中では区切りをつけたくないと思うのは故人との関係において仕方のないことです。
忌明けの挨拶状はマナーを守って作成を
忌明けの挨拶状はマナーとして大切です。忌明けの頃に出せるように早めに作成しておきましょう。故人とのお別れは寂しく辛いものですが、支えてくれた人への感謝の気持ちは伝えなければいけません。そうすることで故人の供養にもなります。
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