葬儀挨拶を「注意点」「含むべき内容」「文例」を交えて解説します
公開日 : 2020/5/23
更新日 : 2020/9/8
葬儀中、喪主は様々な状況で挨拶を行ないますが、この際の挨拶には多くの注意点があります。ここでは、状況別の挨拶の文例を紹介しながら、葬儀における挨拶で気を付けなければならないポイント・使ってはいけない言葉・挨拶に盛り込むべき内容を、文例を交えて解説していきます。
公開日 : 2020/5/23
更新日 : 2020/9/8
目次
葬儀の挨拶
葬儀での挨拶は、喪主が努めることが一般的ですが、この際の挨拶は「僧侶のお迎えの挨拶」「参列者への挨拶」「参列者へ向けた挨拶」など、色々な状況で挨拶を行う必要があります。
また、この際の挨拶には次の内容を含めます。
- 故人との関係性
- 会葬へのお礼
- 故人が生前お世話になったことへのお礼
- 遺族への支援
葬儀で挨拶するタイミング
まず初めに、葬儀で挨拶をするタイミングにはどの様な場面があるのでしょうか?遺族代表者の挨拶や出棺時の挨拶などは、参列者の前に立ち挨拶するため、皆さんも目にしたことがあるでしょう。
しかし、葬儀の挨拶にはこれら参列者を前にする挨拶以外にも、沢山の挨拶があります。ここでは、葬儀を行う際の挨拶の認識を深めるためにも、全ての挨拶を法要ごとに分けて記載していきます。
通夜で挨拶をするタイミング
通夜で挨拶するのは次のタイミングになります。
- 葬儀会場へ僧侶をお迎えするタイミング
- 葬儀会場の受付にて参列者をお迎えするタイミング
- 通夜終了時の挨拶をするタイミング
- 通夜振ぶるまい開始の挨拶をするタイミング
- 通夜ぶるまい終了の挨拶をするタイミング
葬儀・告別式で挨拶をするタイミング
葬儀・告別式で挨拶をするのは次のタイミングになります。
- 通夜・告別式会場へ僧侶をお迎えするタイミング
- 通夜・告別式会場の受付にて参列者をお迎えするタイミング
- 葬儀・告別式終了時の挨拶をするタイミング
- 出棺時の挨拶をするタイミング
- 精進落とし開始の挨拶をするタイミング
- 精進落とし終了の挨拶をするタイミング
葬儀挨拶を作る際の注意点
葬儀挨拶を作る上では、挨拶に絶対に盛り込まなければならない内容や、全体の長さ・使ってはいけない言葉など、いくつかの注意点があります。ここでは、この注意点について解説します。
注意点①:感謝の気持ちを伝える文章を心掛ける
葬儀での挨拶は、はじめに葬儀に参列して頂いた参列者と、葬儀を手伝ってくれた方に対して、感謝の気持ちを伝える内容を盛り込まなければなりません。また、挨拶文の終盤には、故人が生前にお世話になったことへの感謝の気持ちを盛り込みます。
注意点②:故人とのエピソードを含めた内容を心掛ける
葬儀の挨拶には、故人の生前の人となりが分かるように、故人のエピソードを含めます。また、この故人のエピソードから家族が学んだ、教訓や教えなどがあればなおよいでしょう。
挨拶の最後は、故人の教えを守りこれからは自身が家族を守っていくことの決意表明をして、変わらぬ支援を参列者へお願いして挨拶を締めくくる内容とします。
注意点③:挨拶の時間は短く内容は簡潔に
葬儀での挨拶は、簡潔な内容で時間はできるだけ短くすることが鉄則です。理想は、シンプルでありながら、参列者の心に残る内容が望ましいでしょう。葬儀に参列する方の中には、ご高齢の方も含まれます。この様な方に配慮する意味でも、短時間の挨拶を心がけましょう。
注意点④:忌み言葉に気を付ける
葬儀の場では、挨拶にとどまらずその場で使うことがためらわれる「忌み言葉」という言葉がります。この忌み言葉は、年齢の若い方ではそれほど気にならない方も多くいますが、年配者の中には非常に不快に感じる方が多くいます。
葬儀の挨拶は、参列する全ての方に対して配慮した挨拶が求められるため、この忌み言葉には注意が必要です。(忌み言葉の詳細は次の項で解説します)
忌み言葉とは?
先に触れたように、葬儀の挨拶では忌み言葉と呼ばれる使ってはいけない言葉があります。
この忌み言葉とは次のとおりです。
死を連想させる表現
「死」「死ぬ」「死亡」「死去」などの言葉は、文字の持つ印象が非常に強く葬儀の挨拶には不適切です。この言葉を聞いた遺族は、故人が亡くなったことに対するマイナスな印象を思い出してしまい、深い悲しみの感情を思い起こしてしまうでしょう。
繰り返しを表現した「重ね言葉」
「まだまだ」「くれぐれも」「重ね重ね」「繰り返す」など、不幸が繰り返すことを連想させる言葉は、重ね言葉と呼ばれ葬儀の挨拶には相応しくありません。
宗教・宗派によっては使えない言葉がある
仏式での葬儀を行う場合の言葉は、当然仏教の教義に由来した言葉が多くなります。しかし、これらの言葉の中には、宗教・宗派が異なると使えない言葉がいくつかあります。
例えばキリスト教式の葬儀では、仏教で使われる「極楽浄土」「大往生」「供養」「合掌」などの言葉は使用できません。また、これと同様の理由で仏式の葬儀でキリスト教がよく使う「天国から見守ってください」などの表現はふさわしくありません。
また、同じく仏教でありながら、浄土真宗では「冥福を祈る」という表現を使うことはりません。これは、浄土真宗の教義にある「人は死後直ぐに仏になるため祈るという表現は相応しくない」という教えに基づいてのものです。
通夜でのあいさつの文例を紹介
ここまでは、葬儀で挨拶が必要となる場面や、葬儀の挨拶の注意点を解説してまいりましたが、ここからは実際に状況別の葬儀挨拶を解説しながら、その文例も紹介していきます。まずは通夜の挨拶について解説します。
挨拶①:世話役に対して
葬儀は沢山の世話役やお手伝いをしてくれる方で成り立っています。葬儀会場について、既にこの世話役・お手伝いしてくださる方が作業をしている場合はつぎのように挨拶をかわしましょう。
挨拶の文例
本葬儀の喪主を務める○○(喪主の名前)でございます。
この度はどうぞよろしくお願いいたします。
至らない点があればご指導のほどよろしくお願いいたします。
挨拶②:僧侶を迎える
僧侶が会場に到着したらまずは挨拶を行います。
挨拶の文例
本日はお忙しい中、ありがとうございます。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。
控室はこちらになりますのでお進みください。
僧侶への挨拶が終わったらつぎの要件について僧侶へ確認をお願いします。
- 祭壇周りの設営方法はあっているのか
- 通夜の打ち合わせ
- 精進落としの席へ出席していただけるのか
挨拶③:葬儀会場受付
葬儀会場の受付での挨拶は、次のような短めの挨拶を述べます。
挨拶の文例
本日はお忙しい中お参りいただきありがとうございます。
挨拶④:通夜終了時
僧侶が退席した後に、喪主は遺族を代表して挨拶を行い通夜は終了となります。通夜の挨拶のポイントは次のとおりです。
- 参列者へのお礼
- 故人が亡くなった際の「状況」「時間」「享年」を盛りこむ
- 通夜ぶるまい開催の告知を述べる
- 葬儀・告別式の告知を述べる
挨拶の文例
本日はお忙しい中、お通夜の香典を賜りましてありがとうございました。
亡き父も喜んでいることと存じます。
父は去る〇月〇日、〇時〇分に病院で息を引き取りました。
日頃からお酒が大好きな父は、その日も飲みに出かけました。帰って来るやぐっすりと寝込んでしまい、その後頭痛を訴え病院に運ばれますが、体調が戻ることなくこの世を去りました。
死因は脳梗塞です。
まだまだ働き盛りで残念ではありますが、生来陽気な父の事です。
きっとあの世で大好きなお酒を飲んで、私たちを眺めながら楽しくしていることと思います。
束の間ではありますが、家族一同心おきなく父と最後の別れができ心から感謝しております。
心ばかりではありますが、別室に酒肴の用意をいたしました。どうぞ、今しばらくお付き合いいただき、故人の在りし日の思い出話などを聞かせていただければ幸いです。
なお、明日の葬儀・告別式は明日◯◯時から当斎場にて執り行います。ご都合がよろしければ、ご参集いただければと存じます。
本日は誠に本当にありがとうございました。
挨拶⑤:通夜ぶるまい開始・終了
通夜ぶるまいは会場の大きさにもよりますが、1時間~2時間を目安に行います。
開始の挨拶の文例
本日は突然のことにもかかわらず、父の通夜にご参列頂きありがとうございました。
父もさぞ喜んでいることでしょう。賑やかなことが大好きだった父のことです。
しめっぽくならずに楽しんでいただければと思います。
それでは、ささやかな席ではございますが、始めることにいたします。
終了の挨拶の文例
皆様、本日はありがとうございました。 夜も更けてまいりましたので、このあたりで終了とさせていただきます。 なお、明日の葬儀・告別式は午前10時から、こちらの斎場でおこないます。 ご都合がつきましたら、ご会葬いただければと存じます。 本日はまことにありがとうございました。
葬儀・告別式での挨拶の文例を紹介
次は通夜・告別式の文例を紹介します。
お住まいの地域によっては、葬儀の前に親族が集まり食事を頂く地域では、葬儀が始まる1時間~2時間前には親族が集合します。
挨拶①:僧侶を迎える
通夜でお世話になったお礼を述べ、精進落としに参加されるのかを確認します。
挨拶の文例
昨日は大変ご丁寧なお勤めと法話を頂き、誠なありがとうございました。本日もよろしくお願いいたします。
挨拶②:葬儀会場受付
通夜と同じく手短な挨拶を心がけましょう。
挨拶の文例
本日はお忙しい中お参りいただきありがとうございます。
挨拶③:葬儀・告別式終了時
告別式終了時には喪主が挨拶をします。
挨拶は通夜の挨拶を踏襲して行いますので、重複した部分もありますが問題はありません。
文例
皆様、本日はお忙しい中、父のためにご会葬を賜りましてありがとうございました。
亡き父も喜んでいることと存じます。
脳梗塞で倒れた父は享年55歳でございました。
陽気でお酒が大好きな父は友人とお酒を酌み交わすことが何よりの楽しみで、皆様の中にも父の酒席に付き合ってくださった方もいらっしゃるかと存じます。
父が生前大変お世話になりました。
心から感謝申し上げます。
今後も皆様には、変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。簡単ではございますが、ご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございます。
挨拶④:出棺時
葬儀・告別式が終わると参列者は外に出て、喪主が前に立ち出棺の挨拶を行います。
出棺の挨拶の文例
本日は、お忙しいところを、○○(故人のフルネーム)の葬儀にご会葬くださいまして、誠にありがとうございます。生前からご親交いただきました方々にお見送りいただき、さぞかし故人も喜んでおることと存じます。
おかげさまで葬儀、告別式も滞りなく進行し、無事に出棺の儀を執り行わせていただくことができたことを厚く御礼申し上げます。 残された私どもに対しましても、変わらぬご指導、ご厚誼を賜りますよう心よりお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
挨拶⑤:精進落とし開始・終了
精進落としとは遺骨法要後の会食を指す法事です。
この精進落としには、葬儀に尽力してくださった僧侶や世話役を招き、会葬のお礼を述べるのが習わしです。
精進落とし開始の挨拶の文例
昨日、そして本日と、皆様には大変お世話になりまことにありがとうございました。 皆様のおかげでで滞りなく葬儀を済ませることができました。 故人もさぞ感謝していることと存じます。 ささやかではございますが、皆様への感謝と慰労の意味を込めて一席を設けました。 故人の思い出をお聞かせ頂きながら、ごゆっくりお召し上がりください。本日はありがとうございました。
精進落とし終了の挨拶の文例
本日はみなさま、お忙しい中、最後までお付き合いいただきまして、まことにありがとうございました 席上にて、私どもが知らなかった父の話をうかがうことができまして、感無量です。 もっともっと思い出話をうかがいたいところですが、お疲れかと思いますので、これにて終了とさせていただきたいと思います。 なお、四十九日法要は○月○日を予定しております。 どうか、今後ともよろしくお願い申し上げます。 本日はありがとうございました。
まとめ
葬儀での挨拶について、挨拶をする状況や注意点を中心に、文例を交えて紹介してまいりました。葬儀での挨拶は、故人のエピソードを交えながら、参列者への感謝の気持ちを表して、短時間で簡潔な内容を心掛けましょう。
ご相談・お問い合わせください