払子(ほっす)とは?宗派ごとの意味や使い方・振り方を解説!

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2021/1/26

払子(ほっす)とは?宗派ごとの意味や使い方・振り方を解説!のサムネイル画像

葬儀の際に僧侶が使用しているハタキのような道具について気になったことがある人はいませんか?茶道や中国ドラマなどでも用いられており、払子(ほっす)と呼ばれ仏教的に意味があるものです。そこで今回は臨済宗や曹洞宗、浄土宗などの宗派ごとの払子の意味や使い方・振り方を紹介してます!

公開日 : 2020/5/15

更新日 : 2021/1/26

目次

払子(ほっす)について

中国の王朝ドラマなどで皇帝のそばに仕える宦官が持っている毛や羽がついたハタキのようなものを見たことがある方は多いのではないでしょうか?あれは払子と呼ばれ仏教的に意味のある道具となっています。

 

そんな払子は現在では仏教的な場面だけでなく、茶道などにも用いられているようです。そこで以下では払子の歴史から使い方、販売されている場所や購入方法などについても紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

払子の意味や材料などの基本知識を紹介!

僧侶が葬儀の時に持っているハタキのような道具は払子(ほっす)と呼ばれます。仏教発祥の地であるインドの時代から存在する由緒正しい道具といわれています。インド時代はサンスクリット語でビヤジャナを和訳したもので、本来の意味は「扇」を表しています。

 

白払(びゃくほつ)、塵尾(しゅび、しゅみ)という別称も存在します。動物の毛や、麻などの植物を束ねて柄をつけたもので、見た目は一般家庭にあるホコリ取り用のハタキに酷似しています。

仏教における払子の役割や意味とは?

払子は、仏教が中国、日本等のアジア一帯に伝わるのと一緒に各地に広まりました。払子の毛先はお釈迦様の髪の毛に見立てられ、修行者を導くための道具として発展していくことになります。そのほか、「煩悩や穢れを払う」といった意味も込められるようになりました。

 

葬儀において僧侶が払子を振るのは、故人の煩悩や穢れを振り払うことで仏門に入る手助けをしているという意味があります。

払子の材料とは?

払子の毛先に使われる材料は、主に鹿・馬・牛などのありふれた動物の毛が使われています。また、動物の毛を用いずに麻などの植物を使用することもありました。これは、払子が高級品として盗賊に狙われてしまうのを防ぐために安価な材料を使用していたことに由来します。

 

また、チベットにすむ「ヤク」という動物は、日本の「厄」と結び付けられ、振ることで厄を払う存在として人気を博していました。

払子の歴史について紹介!

払子の歴史は、仏教発祥の地・インドにまでさかのぼります。ただ、当初は今のような深い意味合いはなかったようです。ここでは、払子の歴史について触れておきます。

ご不明点は、ぜひ
ご相談・お問い合わせください
お客様にピッタリの斎場探しをお手伝いさせていただきます。
見積もりページへ飛ぶ見積もりページへ飛ぶ
freecall-bannerfreecall-banner

払子の歴史はインド時代までさかのぼる

払子の発祥は、仏教の発祥の地であるインドです。もともとの払子は、殺生を禁じられた僧侶が修行中に、殺さずに蚊などの昆虫を追い払うために使用していました。最初は植物を束ねて使っていたものの、音が出て修行の妨げになるために動物の毛に変化していったようです。

 

本来の意味は「はたき」に近い生活道具だったものが、各地へ伝わるにつれて意味が変化し、ついには僧侶の威厳を占めるようになりました。殺生を禁じる教えは世界各地に伝わったものの、払子の用途は本来は違う形で伝わり続けたようです。

だんだんと僧侶の権威性を表すように

時代進むにつれ、単なる「虫を追い払う道具」であったビヤジャナは人々の穢れを払うための存在に進化していきました。

 

さらに、日常生活で常に身につけている払子が、次第に「法そのもの」を表す象徴としての側面を持つようになります。現在では「僧侶が威儀を示すため」という役割も持っているのです。

中国ではオオシカの毛を使うように

仏教が中国に伝わったことで意味合いが変化し、現代のように煩悩を払うという用途に変化していきます。当時は「オオシカ」と呼ばれる鹿の毛を使って払子を作っていました。

 

オオシカは群れのリーダーがしっぽを振ることで意思伝達するという故事があり、それを転じて「指揮を執る」という意味合いが生まれました。法要のいわばリーダーである導師が払子をもつのは、そのような意味からきているのかもしれません。

払子の使い方・振り方について紹介!

ここでは実際に払子を使う際の振り方を紹介します。払子は宗派によって若干異なる側面もあるようですので、以下では一般的な払子の使い方・振り方を紹介していきます。

ご不明点は、ぜひ
ご相談・お問い合わせください
お客様にピッタリの斎場探しをお手伝いさせていただきます。
見積もりページへ飛ぶ見積もりページへ飛ぶ
freecall-bannerfreecall-banner

払子の一般的な振り方とは?【「導師」と呼ばれる僧侶】

葬儀に参加した時に、「導師」と呼ばれる僧侶が払子を振るシーンを見たことがあると思います。鎌倉時代に日本に伝来した払子は、今では浄土真宗を除く、あらゆる宗派で使用されています。

 

僧侶が法要で「導師」を務める時に、合掌した手の人差し指と親指の間から払子の柄を出すようにして持ちます。払子を手にし、上下左右、前後に動かして使うものです。三回振る場合は右・左・右、五回振る場合は右・左・右・左・前という順番で振っていきます。

導師が払子を振ることで穢れがなくなる

払子の使用回数は各宗派で厳格に決められており、みだりに使うことは禁じられています。適切なタイミングで払子を使うことで故人が生前に持っていた煩悩や穢れが落ち、迷いを断ち切ることができるとされています。

 

こうすることで故人が心を開くための決心がつき、お釈迦様の弟子になる準備が完了するのです。払子はその使用方法とともに、次世代の僧侶に脈々と受け継がれていきます。

現代では茶道の夜咄(よばなし)でも用いられている

夜咄とはおおよそ冬至から立春までの間夕暮れから行われる茶事のことを指します。元々は夜咄の際に何かを飾るという文化はなかったのですが、千利休が掛物や花を飾るようになって以来暗い部屋でも映える大きな文字の掛け軸や白い花が飾られるようになりました。

 

現代では花などの代わりに払子や後述の如意などを飾ることも多いようです。

宗派ごとの払子の意味や使い方を紹介!

上記では一般的な払子の意味合いや使用方法・振り方を紹介してきましたが、宗派によって異なる部分はあるのでしょうか?以下では臨済宗、曹洞宗、浄土宗の払子について紹介します。

ご不明点は、ぜひ
ご相談・お問い合わせください
お客様にピッタリの斎場探しをお手伝いさせていただきます。
見積もりページへ飛ぶ見積もりページへ飛ぶ
freecall-bannerfreecall-banner

臨済宗と曹洞宗の払子の用い方は一般的なものと同じ

臨済宗と曹洞宗はどちらも禅の流れを汲んでおり近しい仲の宗派となっています。そのためどちらも坐禅により自己を鍛えて自分の悟りを開くことを目指している宗派となります。

 

そんな臨済宗と曹洞宗の払子は上記で述べた意味合いや使用方法で合っているようです。しかし、両宗派では禅により他の宗派よりも外に持ち出すことが多いため、一般的なものよりも若干軽量で小さいものである場合もあるようです。

念仏の宗派である浄土宗の払子の使い方

浄土宗の基本的な教えは「南無阿弥陀仏」などの念仏を唱えることにより「極楽浄土」へ行けるという教えです。そんな教えの浄土宗の払子の持ち方は合唱の人差し指と親指の間から払子を出し、その角度を45度程度とする。

 

振り方は右手で左、右、左と振り、左手で金剛印を結んで腰に当てる。浄土宗ではむやみに振ってはいけないとされており、内陣法要では入堂直後と退堂直後の2回で、外陣法要では仏さまの前と祭壇の4回が最大とされています。

払子の販売先や購入方法を紹介!

払子(ほっす)は僧侶の威厳を示すもととされているほか、法要で絶対に使用する「なくてはならない」道具です。一般人が仏壇の前で使用することはありませんが、僧侶は独自の購入ルートを持っていることが一般的です。

通信販売で購入する

払子は代々受け継がれていくものですが、僧侶がイチから手作りしているわけではありません。大半の僧侶は、専門の職人がこしらえた払子を購入しています。値段は安いもので数万円、高いものになると数十万円を超えるものもあります。僧侶の宗派・立場によって購入する払子は変わります。

 

また僧侶は、故人がお釈迦様の弟子になる「法要」という重要な儀式に向けて、常に払子のメンテナンスをしています。払子の見た目や触り心地を良くするためのさまざまな道具が専門店で販売されています。そして現代では、独自の購入ルートに加えてインターネットによる通信販売も一般的です。

払子以外に法要で使う道具を紹介!

僧侶が法要の時に使う道具は、払子だけではありません。他にはどのような道具があるのでしょうか。その種類と用途について解説します。

ご不明点は、ぜひ
ご相談・お問い合わせください
お客様にピッタリの斎場探しをお手伝いさせていただきます。
見積もりページへ飛ぶ見積もりページへ飛ぶ
freecall-bannerfreecall-banner

孫悟空が持っていることで有名な如意(にょい)

如意(にょい)とは、僧侶が持っている「柄が長い棒状の道具」のことを指します。西遊記で孫悟空が「如意棒」を持っていることから、単語自体はご存知の人も多いでしょう。

 

元々は「孫の手」のことで、「手が届かない所も思い通りに掻ける」ことに由来している道具です。現在では、儀式内で僧侶の威厳を示すための仏具として使用されています。

平安時代の貴族が持っていた笏(しゃく)

笏(しゃく)とは、右手に持って使用する板状の道具を指します。平安時代の貴族が笏を持っているイラストを学校の勉強で見たことがあるでしょう。

 

中国では「周」の時代に使用されていました。本来の読み方は「コツ」でしたが、日本語では「骨」と縁起悪く感じることから音だけ利用して「しゃく」と呼んでいます。現代では僧侶だけでなく、神道における「神主」等の神職が使用しています。

まとめ

仏教の僧侶が葬儀の時に用いる払子の由来と役割、使用方法まで紹介してきました。僧侶が専門的に使う仏具の1つであり、日常生活で一般人が利用することはありません。仏教的には大きな意味がある道具のため、次に見かけたら目的と用途を思い出すと良いでしょう。