無縁仏になるのはどんな人?希望者が増加している背景もご紹介
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/10
無縁仏とは、供養してくれる身寄りがいない寂しい仏様のことです。いったいどんな人が無縁仏になってしまうのでしょうか?また、最近ではあえて無縁仏になりたいと希望する人も多いようです。謎の背景とともに、無縁仏について詳しくご紹介いたします。
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/10
目次
無縁仏になりたくないと思うのが一般的
日本ではお骨になった後、墓参りという供養をしてもらうことで極楽浄土へ行けると信仰されています。そのため、弔ってくれる者のいない無縁仏は、昔から地獄行きになるとか、生まれ変わっても極楽浄土へ行けないなどとされ、いわば不吉な存在と考えられていたのです。
実際にも、無縁仏が祀られている無縁墓地は、無縁でないお墓に比べて、花を手向けられることもなく荒んだ雰囲気を放っているものです。お墓参りに出かけて、霊園墓地の一画に寂し気な墓石の集合体を見て心が痛んだ経験を持つ人も多いことでしょう。
こういった無縁仏になってしまう人は、いったいどんな人なのでしょうか。また、あえて無縁仏になりたいと願う人が増えてきたのはなぜなのでしょうか。これから、無縁仏について詳しく解説していきます。
無縁仏になるのはどんな人?
無縁仏になってしまう人とは、様々な事情を背負っている人です。自業自得の振る舞いによって無縁仏となってしまった人もいれば、致し方ない事情から無縁仏にならざるを得なかった人もいます。
身寄りのいない人
無縁仏になってしまうのは、亡くなった時点で身寄りのいない人です。生まれた時から児童養護施設などで育ち、そのまま天涯孤独といった人もいるでしょう。また、家族がいたけれど先立たれてしまって身寄りがなくなる人もいます。
また、結婚はしたものの、子供を設けることがなく後継ぎがいない人もそうです。墓守になるためには必ず血縁者でなければならないということはないのですが、赤の他人が引き受けてくれるケースというのはなかなかないといえるでしょう。
家族や親戚と折り合いの悪い人
身寄りはあるのに無縁仏になってしまう人もいます。それは家族や親戚と折り合いの悪い人です。不仲だったり、疎遠だったりして、家族や親戚から引き取りを拒否されると無縁仏となってしまいます。
実の親であっても、確執があると子供が供養を拒否する時代です。また、犯罪を起こしてしまい服役していた、あるいは獄死してしまった場合なども「もう関わりたくないから」という理由で無縁仏になってしまうケースもあります。
金銭的に困窮している人
お墓を建てたり、永代供養を申し込んだりしようと思えば、100~200万円前後の高額な金銭が必要となります。そのため、金銭的に困窮している場合は無縁仏になる道を選ばざるを得ない人もいるでしょう。
生活保護世帯であれば、申請手続きのうえで葬祭扶助費が支給されます。しかし、その内訳はあくまで火葬式分のみなので、お墓を建てたり永代供養を申し込んだりは事実上不可能である場合がほとんどなのです。
お墓の年間管理料を払えなくなった人
お墓を購入しても永代供養に切り替えない場合は、お墓の年間管理料を毎年支払うことになります。年間管理料の金額は、公営墓地・民間墓地などによって様々です。その年の収入によっては、余裕がなくて滞納してしまう人もいるでしょう。
滞納が続いてしまうと、どれだけ立派なお墓を建てたとしても容赦なく撤去されてしまう場合があります。お墓に眠っていたお骨は無縁墓地に移動となり、自動的に無縁仏にされてしまうのです。
身元不明の人
亡くなった時点で身元のわからない人も無縁仏となってしまいます。身元不明の人とは、住所や氏名が確認できず、さらに引き取り手のいない人のことです。自然災害で死亡して身元が識別できない、家出や蒸発によって個人が特定できないなどがよくあるケースです。
また、なかには住所不定で行き倒れた人、家族と縁を切って暮らしていて孤独死した人も含まれます。こういった人々は、行政より行旅死亡人(こうりょしぼうにん)として取り扱われます。だいたい、発見された場所の地方自治体が無縁仏として手続きを代行する形になるのです。
なぜ?あえて無縁仏になりたい人もいる
様々な事情から、供養してくれる人がいなくなった寂しい仏様が無縁仏です。しかし、最近では、そんな寂しい無縁仏にあえてなりたいと希望する人が増加しています。いったいどんな背景が影響しているのかチェックしていきましょう。
価値観の多様化
価値観が多様化してきたため、亡くなったらお墓に入り供養してもらうことが当たり前ではないと考える人が多くなってきました。なかには「家族と一緒の墓には入りたくない」と願う人もいるのです。そんな人たちが無縁仏になりたいと希望するようになりました。
他人と合祀される抵抗感の低下
無縁仏なんてとんでもないと考える人のなかには、「誰かわからない人と一緒のお墓に入るなんてあり得ない」という抵抗感もひとつの原因であるでしょう。しかし、昨今では見知らぬ他人との合祀でもアリと考える人が増えてきたのです。
子供や孫に迷惑を掛けたくないから
お墓のある土地と住居地が離れていればいるほど、毎年のお墓参りは大変な労力となります。そのため、子供や孫にお参りの迷惑をかけたくないと、無縁仏として祀られることを希望する高齢者が増加傾向にあるのです。
お金に余裕がないから
単純にお金がないから「無縁仏でよい」と考える人もいます。死んでもお墓に入るための大金がいるなんて、人生とはなんて皮肉なものなのでしょう。捉え方によっては、無縁仏が絶対的に寂しい存在であるとは言い切れないわけです。
自ら無縁仏にはなれない!手続きや費用をご紹介
致し方なく無縁仏となった人もいれば、自ら無縁仏になりたいと願う人もいます。しかし、自ら希望して無縁仏となることは不可能に近いです。この項では、無縁仏に関する手続きやかかる費用をお伝えいたします。
遺骨の引き取り拒否は事前に申請する
親や兄弟、親族などの遺骨を理由あって無縁仏にと考える場合もあるでしょう。そんなときは、遺骨の引き取りを拒否する旨を事前に火葬場へ申請すればOKです。自治体によって違いがあるようなので事前に問い合わせておくとよいでしょう。
各市町村が行旅死亡人として取り扱い、故人は無縁仏として家族の費用負担なしで処理されます。収骨だけでなく火葬も拒否することはできますが、火葬代までは相続人の義務とされ、費用を行政から請求されることになります。
無縁仏ではなく永代供養を生前に申し込んでおく
無縁仏になりたいと願う人は、生前に個別で永代供養を申し込むかたちになります。不特定多数の人と埋葬される合葬墓であれば、費用は納骨のみで10万円前後から選べるプランが多数用意されているので終活で検討されるとよいでしょう。
また、他の人と一緒にされたくない場合は、自身で所有する土地や自然の海や山など適切な場所に散骨してもらうという方法もあります。無縁仏は法律によって区分けされるものなので、無縁仏になりたい人は無縁仏ではなく、ひとりで供養してもらえる方法を探すようにしましょう。
無縁仏や合葬墓を選ぶとデメリットも
現代では家族関係が希薄になったきたこともあり、無縁仏の手続きをしたり、家族とは別のお墓を選んだりするのもひとつの選択肢となってきました。かといって、後先考えずに無縁仏や合葬墓を選ぶと後になって悔やんでしまうことになるかもしれません。
後から個人を特定できなくなる
生活に困窮していてお墓が買えない、わだかまりがあって弔いたくないなど、故人を無縁仏として手続きしようと考えておられる人もいることでしょう。しかし、無縁仏にしてしまうと、後から気が変わっても故人の骨を特定して取り出すことが不可能となってしまいます。
なぜなら、無縁仏のお骨は粉砕して容量を減らし、合祀されることがほとんどだから。必ずしも個人の区別をつけてもらえるわけではないということなのです。お墓の費用が貯まるまで、気持ちの整理がつくまで自宅でお骨を置いておくというのもひとつの選択肢であるでしょう。
本当に誰と合祀されるかわからない
無縁仏や合葬墓を選ぶと、本当に誰と合祀されるかわからないです。死後の人間は火葬されて骨になるわけですから、感情がないと考えられるのが一般的です。しかし、本当にそれで心安らかに眠ることができるのかは疑問といえるでしょう。
現世で顔も見たくないほど大嫌いだった人が、同じ無縁墓に無縁仏として収骨されるかもしれません。また、何かしらの悪事を働いた人が身内に見捨てられて、無縁仏としてやってくるかもしれないのです。
無縁墓地は心霊スポットになっている場合も
無縁墓地はお参りする人がいないこともあり、場所によっては異様な雰囲気を漂わせている現実も忘れてはなりません。不謹慎ではありますが、無縁墓地が心霊スポットとして遊び場のようにされているケースも少なくないのです。
そういった場所に眠りたいと思えるでしょうか。致し方ない状況があるならまだしも、自らあえて無縁仏を選ぶのはよく考えてからのほうが後悔がないといえるでしょう。
無縁仏の希望は慎重に考えよう
無縁仏になってしまうのは、様々な事情を背負った人です。また、自ら無縁仏になることは不可能に近いです。早めに自身の終活を始めて、自分らしい最後の在り方を模索しておけば、安心して人生の終焉に臨むことができるでしょう。
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