浄土真宗に喪中はない?旅行や神社参拝がOKな理由について解説

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2022/6/1

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喪中とは故人の喪に服すための期間であるため、多くの宗派では控えるべきことが複数あるのが常識です。しかし、浄土真宗の場合は喪中についての認識が他の宗派とは異なります。この記事では、浄土真宗における喪中がどのようなルールになっているのかを解説します。

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2022/6/1

目次

浄土真宗の喪中とは

故人が亡くなり、その日から一定の期間は喪中とされます。喪中は故人の冥福を祈る期間であり、生活そのものを控えて暮らすというイメージが強いでしょう。故人を悼むことに集中するための期間として考えます。

 

一般的に、喪中の間は祝い事などは控えるという考え方が常識と捉えられています。喪中は仏教の考え方に基づいていますが、仏教の宗派の1つである浄土真宗については、喪中に対して特殊な考え方を持っていると言えます。

 

浄土真宗を信仰する方々との付き合いの中で、こういったことへの理解はとても大切です。ここでは、浄土真宗における喪中の考え方とその具体的な内容について説明します。

喪中について

はじめに、喪中とは何を意味するのかについて分かりやすく説明すると、喪中とは、故人が亡くなった日から始まってちょうど一周忌を迎えるまでの1年間を意味しています。この期間は喪に服すことによって、故人がきちんと成仏できるように祈ります。

 

また、喪中とは別に「忌中」もありますが、こちらは故人が亡くなってから四十九日までの期間を意味しています。以下に、喪中・忌中の期間中にしてはいけないことについてまとめました。

 

喪中にしてはいけないこと

喪中・忌中の期間中にしてはいけないこととして、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 入籍や結婚式
  • お祝い事
  • 旅行
  • 神社参拝
  • 初詣
  • 年賀状

 

喪中は故人への弔いに集中するという意味も持っており、この期間内はおめでたい行事への参加は慎む、というのが一般的です。神社への参拝も控えなければならず、よく「喪が明けてから」と言いますが、この喪中の期間が過ぎることで祝い事ができるようになります。

浄土真宗の喪中・忌中について

同じ仏教の宗派の中でも浄土真宗は教えが少し異なる点がありますが、浄土真宗における喪中・忌中とはどういうものと考えられているのでしょうか。

浄土真宗には喪中や忌中はある?

意外かもしれませんが、仏教の1つである浄土真宗には、喪や忌といった概念がありません。そのため、故人が亡くなった日から四十九日や一周忌にかけての期間にも、喪中や忌中のことを気にする必要がないとされています。

 

浄土真宗を信仰する方々は、四十九日や一周忌など関係なく、一般的には喪中であっても特に行動が制限されることはありません。葬儀を終えた後でも、普段通り自由に過ごすことができます。

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浄土真宗の死生観について

浄土真宗で喪中や忌中がない理由を理解するためには、浄土真宗の教えや死生観についての考え方を知ることが必要です。浄土真宗とは、鎌倉時代の僧・親鸞によって開かれた日本仏教の宗派の1つです。

 

阿弥陀如来の力を信じて「南無阿弥陀仏」と念仏すれば、すべての人は極楽浄土へ往生できる、とやさしくて分かりやすい教えが説かれています。この「南無阿弥陀仏」と念仏することで全てが救われるとされています。

 

浄土真宗は「阿弥陀如来の力で救いを頂く」ということで、信徒が唱える念仏により亡くなると生前の行為の善悪に関わらず、誰もがすぐに阿弥陀如来のお力により極楽浄土で仏様として生まれ変わるとされています。

 

そのため、故人の冥福を祈るという意味の喪中や忌中は、浄土真宗の教えや死生観からすると存在しない考え方です。

葬儀におけるマナーの違い

浄土真宗では、ご臨終の際に行う末期の水もありません。これは極楽浄土は住む人々に苦痛を味わうことのない世界とされているのが理由として挙げられます。

 

また、故人は亡くなってすぐに成仏するため、葬儀の香典についても他の仏教宗派では「御霊前」と書きますが、浄土真宗では霊の状態を経ることがなく最初から仏様に成仏しているという考え方から「御仏前」と書きます。

結婚式など、喪中・忌中では控えることはない

一般的には、喪中の間は祝い事や派手なことはなるべく避けるべきとされていますが、浄土真宗の場合には喪中はないものと考えますので、基本的におめでたいことを避ける必要がありません。

 

以上から、浄土真宗では故人の一周忌が過ぎるまでの期間であっても結婚式への参加や自分自身の結婚についても、普段と同様に執り行っても全く問題ないと言えます。浄土真宗においては、故人は既に成仏していると考え、遺族は普段通りの生活を続けるのが一般的です。

喪中の概念をもつ宗派への配慮

浄土真宗の場合には普通のことであっても、喪中の期間に喪に服していないことは他の宗派の方々からすると不自然に見え、場合によっては不快に思われる場合もあります。ここでは、気にしておくべきことについて説明します。

神社参拝は大丈夫

浄土真宗以外の宗派の場合、喪中の期間中は神社参拝を控えるというのがあります。浄土真宗の場合は喪中に神社への初詣をしても問題はないとしているのですが、やはり神社によっては控えるべきと考えるところもあります。

 

宗派により、その神社が喪中の参拝に対して否定的な立場である場合には、喪中である浄土真宗の信徒が参拝することについては神社側が不快感を覚えることがあります。そういった場合には、前もって神社に確認するなどあらかじめの配慮が必要です。

年賀状は出しても問題ない?

年賀状も新年を祝う意味があるため、浄土真宗以外では喪中は控えるべきとされているものの1つです。このため喪中側の立場としては、喪中であることを知らせるはがきを発送するのが一般的です。

 

浄土真宗の場合は、年賀状を出しても問題はありません。ただし、受け取る側が喪中が明けていないことを理由に受け取りを躊躇する場合も考えられるため、発送前に、年賀状を出すことが宗教上の問題がないことを説明するなどの配慮が必要です。

お正月飾り・おせち料理

一般的に喪中や忌中に控えるべき行為として、お正月の飾りがあります。お正月の飾りには、新年をおめでたい気持ちで迎える意味があるため、おめでたいことを控えるべき喪中や忌中に飾るのは不謹慎とされています。

 

また、おせち料理も喪中や忌中においては控えるべき行為の1つです。浄土真宗以外の宗派では、おめでたい意味の料理さえ避ければ食べても良いとされており、喪中専用のおせち料理もあるほどです。

 

浄土真宗ではお正月の飾りもおせち料理も問題はありませんが、他の宗派の方からは不自然に見えることもため、そういったことへの配慮も大切にしましょう。