しきみは魔除けの植物?仏事との関連性や毒性について詳しく解説

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/10

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しきみは葬儀の際によく利用される植物です。しきみは古来より、死者を守る植物として仏事に用いられてきました。以下ではしきみの特性や仏事との関係性、形状が似ている榊との違いについて解説しています。葬儀に用いる植物にお悩みの場合はぜひ参考にしてください。

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/10

目次

しきみとは

しきみは漢字では「樒」や「梻」と表記され、地方によっては「しきび」と呼ばれることもあります。しきみは非常に特徴的な香りを放ち、春には黄色い小花を咲かせる常緑小高木です。しかし、さわやかな香りや愛らしい花に反し、しきみの根から花、実には非常に強い毒性があり、植物で唯一、劇物指定を受けている木でもあります。

 

しきみの名前の由来は「悪しき実」であり、それは、しきみが持つ毒のためだと伝えられているのです。取り扱いに注意が必要なしきみですが、一方で、古くから仏事と深いかかわりのある植物として知られてきました。しきみと仏事の関連性や由来、よく混同されている榊との違いについて、以下でもう少し詳しく見ていきましょう。

しきみと榊はどう違う?

しきみとよく似ている植物として、榊が挙げられます。しきみと榊の違いを大雑把に説明するなら、しきみは仏事に用いられ、榊は神社などにおける神事に用いられます。しきみの漢字表記「梻」には「佛」が含まれ、榊の漢字には「神」が含まれるているというと、覚えやすいでしょう。なお、地域によっては神事にしきみを用いる場合もあります。

 

どちらも同じ常緑樹ですが、しきみの葉が肉厚で波打っているのに対し、榊の葉は扁平で硬いのが特徴的です。さらに、しきみが非常に強い香気を放つのに対し、榊は無臭です。

しきみと仏事の関係とは

しきみは漢字「佛」が含まれるほど、仏事とゆかりの深い植物だとされてきました。実際にどういった場面でしきみを見かけるのかや、その由来についてご紹介していきます。

寺や墓地に多い

墓場周辺でしきみをよく見かけることができます。墓地にしきみを植えるのは、土葬が一般的だった平安時代の風習に由来すると言われています。平安時代では亡くなった人を土葬にするのが一般的で、遺体の腐臭や野犬の掘り返しなどに悩まされていました。

 

そこで、毒性の強いしきみを野犬除けとして植えるとともに、しきみの香気を匂い消しとして利用していたと考えられます。さらに、しきみの香りを故人や仏さまへの捧げものでもありました。しきみは線香や香木として利用されてきた歴史もあり、その香りと、一年中みずみずしい常緑の葉が、お供え物として相応しいとされていたようです。

 

そういった由来から、今でも墓地周辺にしきみを植える風習は根強く残っています。注意しなければならない点は、しきみに強い毒があることです。とくに実の毒は強烈なため、墓参りのときにペットや小さな子供が誤って触ることのないよう、注意が必要です。

天竺にある木?

しきみを仏事に用いるのは、仏さまが住む世界に咲く「青蓮華」という花に似ていると伝えられるためです。しきみは、奈良時代に、唐からやってきた僧侶・鑑真によって、天竺に咲く花として日本にもたらされました。当時の人々は、しきみと青蓮華がどちらも天竺の植物であることから、2つはよく似ていると考えたようです。

 

よって、しきみは古来より仏さまに捧げる木として用いられるようになったと伝えられています。

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魔除けになる

しきみが持つ香りと毒は、野犬などの獣同様、悪霊などの魔物を寄せ付けないと考えられてきました。そのためしきみは、魔除けとして仏事や葬儀に利用されることが多いのです。

しきみと葬儀の関係とは

しきみは葬儀で用いられることも非常に多いです。たとえば斎場の入り口に飾られたり祭壇のメインや枕飾り、さらには棺の中に用いられたりします。これはしきみが持つ香りや魔除けの力に関係があるでしょう。しきみを葬儀に用いることで、遺体に魔物が入り込むのを防いだり、遺体の腐臭を和らげたりすることができます。

 

現在は小規模な葬儀の普及や、ドライアイスなどの遺体安置設備の充実から、葬儀の場面でしきみを見かけることは少なくなりましたが、一部地域や大規模な葬儀では、今でもしきみを多用されることがあります。

関西と関東で異なる

しきみは関西地域でなじみの深い植物です。とくに葬儀の際、「門しきみ」として会場の入り口や寺の門前を飾ることが多く、また、供花の代わりにしきみを送る風習もあります。関西では、供花や花輪よりしきみの方が格が高いと考えられています。関西ではスーパーでしきみを販売していることも多いですが、毒性が強いので取り扱いには注意しましょう。

しきみの毒はとても危険?

しきみは根から葉、花にいたるまで毒を持ちますが、とりわけ毒性が強いのが実です。誤食による死亡事故は国内外を問わず起きています。しきみの実は、椎の実にも似ており、子供はもちろん大人でも間違う可能性がありますので、注意しましょう。しきみの実の毒は動物にも有効なため、ペットが口にしないようにすることも大切です。

 

また、実だけでなく葉や花にも毒はあります。皮膚につくとかぶれるなどの症状が出る場合もあるため、誤って触れた場合はすぐに手を洗うなどしましょう。

板しきみや紙しきみとは?

しきみは葬儀に用いられる植物ですが、小規模な葬儀の普及などにより、置く場所がないという理由でしきみを辞退するケースも増えています。そこでしきみの代わりに登場したのが、板しきみや紙しきみといった代替品です。

 

これらは板や紙におくる側の名前を書き、しきみの代わりに斎場を飾るというものです。板しきみや紙しきみは、葬儀場で申し込み、支払いをするのが一般的です。

昔ながらの弔い方法

毒のあるしきみは、こわい植物に思いがちですが、古来から仏事や葬儀で重用されてきた植物でもあります。昔ながらの弔い方法として、しきみを葬儀に用いるのもよさそうです。