枕経とは何か?その手順や、ふさわしい服装・持ち物について解説

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/9

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枕経とは、亡くなった人が仏様の弟子になって往生するためのお経を指します。枕経を行う際には決められた手順があります。そして枕経へ参加する時にふさわしい服装や持ち物もあります。今回は枕経の流れや参加の際の注意点について解説します。

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/9

目次

枕経とはどんな儀式?

枕経とは、亡くなった人が仏様の弟子になって往生するためのお経を指します。仏様のお弟子さんになることから、この儀式は仏教に特有のものであることがおわかりでしょう。

 

枕経は亡くなった人の枕元でお経をあげる儀式で、僧侶を呼んで執り行います。ただし、通夜・葬儀ほど時間はかからず、参加者も基本的に遺族だけのケースが多いです。

 

こちらでは、枕経を何故行うのか?枕経を行わない宗派について解説します。

 

枕経を何故行うのか

枕経は臨終を迎える人が亡くなる際、その不安を和らげ、迷わず極楽浄土へ向かうことができるように行われる儀式です。

 

そのため、以前は臨終を迎えようとする人がまだ生きている内に行われていました。しかし、最近では医療機関で亡くなるケースも多く、臨終前に枕経を行うことは困難です。

 

現在は医療機関からご遺体を自宅等へ搬送、安置してから行われるのが一般的です。

枕経を行わない宗派もある

浄土宗および浄土真宗では、枕経を行わず「枕のお勤め」が行われます。これら宗派では、故人の魂は迷うリスクも無く、即座に極楽浄土へ行けるという考え方があります。

 

そのため枕のお勤めは仏壇に向かい念仏を唱え、生前仏様へ会えたことに感謝します。そして臨終後は、極楽浄土で生まれ変わることに感謝するという儀式を行います。

 

こちらの儀式では故人へ、浄土宗なら「戒名」、浄土真宗なら「法名」を僧侶から授かります。枕のお勤めでも僧侶の参加は必要です。

枕経を行う手順について

枕経は基本的に僧侶から行ってもらいます。遺族も同席して故人の成仏を祈ります。この儀式を何時までに必ず行うという決まりはありませんが、臨終後なるべく早く行います。

 

なお、そもそも菩提寺(先祖の位牌を納めている寺)がわからない、自宅がマンションのため遺体の搬送に他の居住者が不快感を示すおそれがある、というケースもあるはずです。

 

そんな時は、葬儀社の担当者と相談しながら、枕経や通夜・葬式をどうするか決めた方が無難です。こちらでは、枕経を行う大まかな流れについて解説します。

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1 枕経を行う前にするべき準備

まずはご遺体の安置場所を確保・安置しましょう。一般的にご自宅へ安置します。事前に布団を敷いておきます。医療機関からご遺体搬送後、頭を北向きにして布団に寝かせ「枕飾り」も行います。

 

この枕飾りは祭壇の代わりに準備する道具で、白木の台、香炉、ろうそく立て、花瓶、枕団子、一膳飯等を備えます。

 

しかし、遺族だけではなかなか準備が整わないケースも多いことでしょう。枕飾りに使う道具類は葬儀社へ依頼しておけば、葬儀担当者が一式を準備し設置してくれます。

 

なお、わざわざ枕経のために来てくださる僧侶へ感謝するため、お茶菓子やお茶の用意もしておきましょう。

2 お寺に連絡する

お経を唱えてもらうため、菩提寺に連絡して僧侶を呼びます。枕経は故人の臨終後なるべく早く行うべきです。

 

しかし、ご遺体が自宅等へ搬送されたのは真夜中など、時間帯によってこの儀式が難しい場合もあります。

 

その際は日時を菩提寺と相談し、行う日時を決めます。連絡の際は、故人の氏名、亡くなった時刻、享年、生年月日等を伝えるので、事前に故人の情報をチェックしておきましょう。

3 枕経をあげる

僧侶が到着したら枕経をあげてもらいます。僧侶が座る場所に座布団を準備しておきましょう。枕経自体は約30分です。各宗派の枕経の内容は次の通りです。

 

  • 曹洞宗:お経を3回読む→回向文(えこうもん)を称える
  • 臨済宗:大悲心陀羅尼・観音経を読む→和讃(わさん)で称える
  • 真言宗:般若理趣経を読み→慈救の呪・陀羅尼・光明真言・御宝号を称える
  • 日蓮宗: 勧請(かんじょう)を行い→開経偈を読む→回向する

 

いずれも難しいお経・作法なので、遺族はなかなか真似ることが難しいことでしょう。そのため、遺族や参加者は手を合わせ故人を悼むことが大切です。

 

なお、基本的に遺族は同席しますが、親戚を無理に呼ぶ必要はありません。あくまで親戚が近所に住んでいる等、対応がしやすい場合に枕経へ参加してもらいましょう。

 

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4 枕経後の準備

枕経が終了したら、今後の通夜・葬儀も同じ僧侶へお願いする場合、日程等の調整を行います。なお、お車代(5,000円~10,000円程度)を枕経の後にわたします。

 

一方、枕経の儀式の段階で、僧侶へのお布施を用意する必要はありません。お布施は葬儀の最後にわたします。

 

なお、お布施の金額は地域によって異なるので、どの位の金額になるかわからない時、枕経の後に日程の調整を話し合いながら、ついでに僧侶へ聞いておきましょう。

枕経を行う際の服装・持ち物について

枕経は短時間で行う儀式のため、遺族が喪服を着る必要は無く平服でも構いません。ただし、派手な服装やジーンズ、短パン、Tシャツ等のあまりにラフな格好は控えましょう。

 

枕経の後は、通夜・葬式の準備に忙しくなるはずです。そのため、遺族の喪服は速やかに準備した方が良いでしょう。

 

一方、枕経へ参加する遺族以外の方々の場合は、もちろん平服で構いません。ただし、こちらも地味な服装での参加が無難です。

 

なお、枕経へ参加する場合に香典は必要なく、通夜・葬式へ参列の際に遺族へわたしましょう。

 

こちらでは、枕経へ同席する際の具体的な服装について、男性・女性・子供に分けて解説します。

枕経での男性の服装と持ち物

平服で良いとは言っても、遺族や遺族以外に枕経へ同席する方々ともに、ふさわしい服装があります。男性の理想的な服装・持ち物は次の通りです。

 

  • スーツ:遺族は既に喪服があれば着用。平服ならば黒、グレー、茶系の地味な色のスーツ
  • シャツ:白が基本
  • ネクタイ:黒、グレー
  • 靴下:黒
  • 靴:革靴(黒)
  • アクセサリー:地味な時計
  • 持ち物:数珠、ハンカチ(黒が好ましい)、バッグまたはビジネスバッグ(黒か地味な色)

 

喪服があるなら、枕経の際も着用することがおすすめです。もちろん、喪服が無くても仕事で使用している黒系のスーツ等があれば、男性はさほど服装の準備に手間取らないはずです。

枕経での女性の服装と持ち物

女性の場合も華やかな服装や、派手な貴金属の着用はマナー違反です。女性の理想的な服装・持ち物は次の通りです。

 

  • スーツまたはワンピース:遺族は既に喪服があれば着用。平服ならば黒、グレー、茶系の地味な色のスーツまたはワンピース
  • ストッキング:黒無地
  • 靴:革靴(黒)
  • アクセサリー:地味な時計、真珠のイヤリング・ネックレス
  • 持ち物:数珠、ハンカチ(黒が好ましい)、バッグ(黒か地味な色)

 

なお、女性の場合は地味なパンツスーツであっても、地域の慣習で好まれないケースもあります。着用したいなら地域の慣習に詳しい方々へ確認した方が無難です。

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枕経での子供の服装と持ち物

同席する際、子供の身なりにあまり制約はないものの、次のような色の服装が理想的です。

 

  • 制服:制服が無い場合は、グレー、紺系の地味な色の上下またはワンピース
  • 靴下:黒、グレー、紺系の無地が好ましい
  • 靴:革靴またはスニーカー(黒)
  • アクセサリー:地味な時計
  • 持ち物:数珠、ハンカチ(黒が好ましい)

 

子供の場合、ヒーロー戦隊ものやアニメキャラクターをあしらった服装・持ち物はなるべく避けましょう。また、上記のような服装での参加が難しくても、まわりに派手な印象を与えなければ問題はありません。

枕経も故人が極楽へ向かうための儀式

枕経は、日本人の居住環境が戸建ての他、共同住宅(マンション等)による場合が増えたため、付近住民の方々に配慮し、次第に行われなくなっています。

 

また、通夜・葬式自体も遺族だけ親類縁者のみの小規模で、かつ簡素となるケースも多くなっています。

 

枕経や通夜・葬式は遺族・知人等が故人を悼み感謝と成仏を願う、先祖から受け継いできた儀式です。できる限りこれらの儀式を執り行うことが、故人への何よりの供養となるはずです。