みたまうつし(御霊移し)の儀とは?【行う宗教・やり方など紹介】
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/13
みたまうつしの儀とは遷霊祭や御霊送りとも呼ばれ、神道や天理教などで行われる儀式を指します。しかしこの儀式にどのような意味があり、やり方はどうするのかをご存知の方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は神道や天理教におけるみたまうつし(御霊移し)の意味ややり方について紹介していきます!
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/13
目次
そもそもみたまうつし(御霊移し)とは?
みたまうつし(御霊移し)の儀という言葉を聞いたことがありますか?最近では小林麻央さんの葬儀のニュースの際に聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ここではみたまうつしの儀とはどんな儀式なのか紹介していきます!
みたまうつし(御霊移し)ってなに?
みたまうつしとは人が亡くなった際に、故人が神様から借りていた身体を返し、新しい身体が見つかるまで魂を神様に預かってもらうための儀式です。
漢字では「御霊移し」「御霊写し」「御霊遷し」と表記されます。故人の魂は「御霊代」と呼ばれる鏡や「霊璽」という白木に預けられ、故人の家庭で祀られます。故人の魂が宿った御霊代や霊璽は守護神として子孫を守るとされています。
みたまうつし(御霊移し)を行う宗教とは?
みたまうつしは神道と天理教で行われる儀式です。天理教は神道から発展した宗教のため、神道と同様にみたまうつしの儀が行われます。
神式ではみたまうつしは「遷霊の儀」「遷霊祭」とも呼ばれています。また「通夜祭」と呼ばれる儀式も同時に行われ、これらの一連の儀式は、仏教で言うところの通夜に当たるとされています。
みたまうつし(御霊移し)の儀を行う目的とは?
みたまうつしの儀を行う目的は神道と天理教で若干異なっています。神道では、亡くなった方は神様になり子孫を見守ると考えられています。亡くなることで身体は無くなりますが、その代わりに霊璽に魂を移して子孫を見守っていただけるようにみたまうつしの儀を行います。
天理教の考えでは、現在の身体は神様から借りていいるものなため、亡くなった後は身体を神様にお返ししなければならないと考えられています。そのためみたまうつしの儀で身体と魂を分け、身体は神様にお返しし、魂は神様に預かってもらうことを目的としています。
みたまうつし(御霊移し)の儀の流れ
みたまうつしの儀が行われる時間は神道も天理教も夜間です。ですが神式と天理教では細かい流れが異なっているので注意しましょう。各宗教ごとのみたまうつしの流れについて解説します。
神道のみたまうつしの流れ
神道のみたまうつしの儀の流れは以下の通りです。
1.会場が消灯され暗くなります
2.斎主による遷霊詞が奏上され、御霊代に故人の魂が移る
3.御霊代に魂が移ったと同時に故人が神様となる
4.会場の明かりをつけ、参列者が御霊代の前に集まる
5.斎主による祭詞奏上が行われた後、玉串奉奠を行い二拝二拍手一拝
6.全員の玉串奉奠、拝礼が終わり次第終了
拝礼の際の拍手は音を立てない忍び手で行うことに注意する必要があります。
天理教のみたまうつしの流れ
天理教のみたまうつしの儀の流れは以下の通りです。
1.会場が消灯され暗くなります
2.祓詞奏上
3.うつしの詞を奏上し、御霊代へ故人の魂を移す
4.神前に献饌(けんせん)
5.玉串奉献、しずめの詞奏上、列拝
6.斎主の助手などによる列拝
7.喪主、遺族、参列者による玉串奉献、列拝
8.全員の玉串奉献、列拝が終わり次第終了
天理教では「二礼四拍手一拝四拍手一礼」が作法だとされています。また神道では忍び手で拍手をしますが、天理教では音を出して拍手をしても問題ないです。
みたまうつし(御霊移し)の儀で用いられる霊璽(れいじ)とは?
神道や天理教のみたまうつしの儀では霊璽と呼ばれる白木が用いられます。そこで以下ではそもそもの霊璽についてや霊璽と位牌の違いについて紹介していきます!
そもそも霊璽(れいじ)とは?
神道や天理教における霊璽とは仏教における位牌と似ている存在で、白木で作られる故人の魂が宿るものとされています。みたまうつしの儀で故人の魂を霊璽に移すことから御霊代とも呼ばれ依代となっています。
かつては霊璽に鏡を用いていましたが、現在では基本的に霊璽は白木で統一されているようです。故人の遺族が強く願えば違う素材でも作れるようです。後述に位牌との違いを記しますが、位牌は比較的素材が自由に変えられるのに対し、霊璽は白木で統一されていることも違いの一つになっています。
霊璽と位牌の違いとは?
上述でも少し言及しましたが、神道における霊璽は仏教における位牌と酷似しています。しかしその中にも素材など違いがあります。そこで以下では霊璽と位牌の違いについて言及していきます。
故人の魂をうつすタイミングが異なる
仏教には仮位牌と本位牌という考え方があります。四十九日法要までは故人の魂は来世の行き先がわからない為に、仮位牌として白木の位牌に故人の魂を移します。その後に四十九日法要を行い、本位牌に魂を移すことをしていきます。
一方で神道では仮位牌、本位牌という考え方がありません。一度故人の魂を霊璽にうつしたら、違う霊璽に魂をうつしかえることはしません。ですので、仏教の位牌と神道の霊璽では故人の魂を移すタイミングに違いがあります。
戒名が無いのが霊璽、戒名があるのが位牌
仏教では亡くなった後に戒名が授けられ、位牌に書かれることになります。またこの戒名には位があり、お布施の金額や仏教への信仰度によって変わるとされています。一方で神道には戒名が無く、代わりに諡が与えられます。またこの諡は故人の年齢によって変わるとされています。
みたまうつし(御霊移し)後の霊璽と祀り方は?
みたまうつしを終えた後の霊璽は覆いをかぶせてお祀りをしていくことになります。霊璽を祀る場所は祖霊舎と呼ばれるところで、基本的に扉を開けっぱなしにしておきます。また、よく神棚と混同されますが、神棚は神様を祀るもので、祖霊舎はご先祖様を祀るためのものです。
みたまうつし(御霊移し)の儀での作法・マナー
みたまうつしでは仏教の儀式とは違う作法が存在します。参列する場合は事前にチェックしておきましょう。
拍手をする時は音を立てない
神道のみたまうつしでは拍手の際、音を立てずに行います。この音を立てない拍手は「忍び手」と呼ばれています。神社で行う礼拝では音を立てて拍手をしますが、葬儀では異なるので注意しましょう。
儀式中は声を発さない
みたまうつしの最中は話し声はもちろん物音を発さないようにしましょう。もし儀式中にわからないことがあった場合には周りの参列者を参考にします。
礼と拝を混同しない
礼は軽いお辞儀、拝は深いお辞儀を指します。玉串奉納の際など礼と拝のどちらも行う機会はあるので、しっかり区別して行いましょう。礼は30度くらい、拝は90度くらいでお辞儀をすると良いです。
みたまうつしに参列する時の服装
みたまうつしも他の葬儀と同様に喪服を着用して参列しましょう。喪服を着用する際には光沢のあるものや、結婚指輪以外のアクセサリーは控えるのがマナーです。
みたまうつしでは数珠を持参する必要はありません。数珠は仏教の用具なので神式の儀式では持って行かないようにしましょう。
みたまうつしの不祝儀袋
仏教における香典とほぼ同義の玉串をささげる際の不祝儀袋は蓮や百合の花が入っていないものを選びましょう。蓮の花は仏教、十字架や百合の花はキリスト教を意味します。
また、水引は白黒か双銀のものを用いましょう。封筒は無地の白いものを用い、表書きは「御玉串料」または相手の宗教がわからない場合は「御霊前」と記しましょう。
みたまうつし(御霊移し)の儀のまとめ
この記事ではみたまうつしの意味や宗教、参列する際の作法や服装について紹介しました。みたまうつしは頻繁に行われるものではないので、知らなかった方も多いのではないでしょうか。
実際に参列する際には事前にチェックして、失礼の無いようにしたいものです。これからみたまうつしの儀に参列する方の参考になれば幸いです。
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