仏教での死後の世界はどんなところ?死後にまつわる伝承について解説
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/10
人間は死後、あの世へ行くと言われています。ですが、実際に死後の世界とはどんなところなのでしょうか?仏教では死後の世界について大変詳しい伝説や伝承が残っています。仏教での死後にまつわる伝承について調べましたので、解説します。
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/9/10
目次
死後の世界の入り口
人はこの世を去ると死後の世界へと旅立ちます。亡くなった瞬間から、死後の世界への旅が始まるのですが、そこへたどり着くまでの方法や入り口には、大変特徴的な伝承が残っています。 仏教での死後の世界への行き方や入り口について解説します。
罪によって異なるお迎え
仏教では人は亡くなると、まず奪精鬼(だっせいき)、奪魂鬼(だっこんき)、縛魄鬼(ばくたくき)の3人の鬼がやってくると言われています。それぞれ、生きる為の精気を抜き取り、魂を肉体から切り離し、肉体を腐らせることが役目とされています。
その後、死後の旅へ出るのですが、罪の重さによって生き方が異なります。通常は自分の足で死後の旅へ出発します。ですが、亡くなった時点で善人と判断された人の魂のもとには、金色の雲に乗ったお釈迦様がお越しになり、その雲に乗って極楽浄土へ行くと言われています。
また、亡くなった時点で罪が重いと判断された場合は、火車(かしゃ)が迎えに来るとされています。火だるまになった荷車のような乗り物で、妖怪の猫が乗っています。火車に乗せられた魂はそのまま地獄へ落ちると言われています。
三途の川と六文銭
死後の世界の入り口には、三途の川が流れています。ここには奪衣婆(だつえば)という鬼が存在し、死者の着ているものを剥いで衣領樹(えりょうじゅ)という木にかけます。枝のしなり具合によって罪の重さがわかり、その罪の重さによって三途の川の渡り方を支持します。
三途の川を渡りきったところには、懸衣翁(けんえおう)という鬼が待ち構えています。ここで再び着ているものをはぎ取られ、衣領樹(えりょうじゅ)にかけられます。枝のしなり具合で、正しい場所を渡ってきたかどうかを見ると言われています。
三途の川の渡り方は3種類あり、最も罪が軽い死者は橋を渡り、その次は三途の川の浅瀬を渡ります。最も罪が重い死者は深くて危険な場所を渡るよう指示をされます。三途の川を泳いで渡るように指示された人は、六文銭を奪衣婆に渡すと舟を使うことができます。
十王による裁判
地獄での裁判は10人の大王によって行なわれます。それぞれの大王のもとで生きている間の罪が細かく審査され、次の大王に回されるというシステムです。 仏教での十王による裁判について解説します。
閻魔大王は5番目の裁判官
地獄の裁判官としてもっとも有名な閻魔大王は、実は5番目の裁判官です。その前に、秦広王(しんこうおう)、初江王(しょこうおう)、宋帝王(そうたいおう)、五官王(ごかんおう)の4人の大王が控えています。
また、閻魔大王の後には変成王(へんじょうおう)、太山王(たいざんおう)、平等王(びょうどうおう)、都市王(としおう)、五道転輪王(ごどうてんりんおう)の5人の大王が控えています。
それぞれの大王が審査する罪は決まっており、その罪についてのみ裁判を行ないます。例えば、泥棒の罪や嘘をついた罪などは罪自体の種類が異なるため、別の大王が審査を行なうのです。
確定するのは一周忌
十王の裁判を全部終えて罪が確定するまでには大変な時間がかかります。仏教では死後の世界に時間という観念はないとされています。ですが、十王の裁判を終えて確定する時間を現世の時間に置き換えると、ちょうど一周忌にあたります。
年忌法要の中でも一周忌は最も大切な儀式とされていますが、これは罪が確定するのが、ちょうど一周忌にあたるからです。罪人と判断された人は、ここから現世での罪を償うための辛い毎日が始まると言われています。
2つの大きな地獄
死後の世界には2つの大きな地獄があります。1つは大変有名で、たくさんの記述も残っています。ですが、もう一方の地獄については、ほとんど記述や伝承がありません。 そんな仏教に伝わる2つの大きな地獄について解説します。
八熱地獄
仏教で死後の世界について語られる時の地獄は八熱地獄です。別名「焦熱地獄」とも呼ばれ、炎の世界です。
仏教における死後の地獄の世界が描かれた仏画では、釜茹で地獄や針山地獄の描写があります。これらはすべて八熱地獄で行なわれています。
罪によって落ちる地獄の場所が細かく分けられており、中でも最も重い罪の人が落ちる地獄が阿鼻叫喚地獄です。ここは全ての地獄の辛さや苦しみを合わせて1000倍したような責め苦があると伝わっています。
八寒地獄
仏教ので語られる死後の世界には、もう一つの地獄があります。それが八寒地獄です。聞いたことがないという人もいるかもしれません。それは、八寒地獄についての詳しい伝承がないからです。
八寒地獄はとにかく寒く、その寒さで身が切れるほどだと伝わっています。八寒地獄と呼ばれているくらいですから、そこは雪と氷の世界です。ただ、大変な寒さで死者たちの身が切れ、真っ白な雪や氷はいつも赤く染まっているという伝承が残っています。
自分の言動に責任を持とう
仏教では死後、すぐに現世での罪の裁判が行なわれると言われています。お迎えの時点でその様子は垣間見えるでしょう。それだけ現世での言動が重要だということですから、自分の言動には責任を持ちましょう。
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