遺影写真の用意の仕方から最適な写真の選び方のポイントを解説
公開日 : 2020/3/18
更新日 : 2020/9/10
故人の生前の姿を写した遺影は、これまで無地の背景にスーツや着物を着て正面を向いたものが一般的でしたが、近年では故人の個性を前面に出した遺影が認知されるようになりました。ここでは、この遺影を遺族が準備する方法や最適な写真の選び方、料金相場などを解説します。
公開日 : 2020/3/18
更新日 : 2020/9/10
目次
遺影とは
遺影とは葬儀の際に、故人を偲ぶため祭壇に飾られる故人の肖像画や写真です。ここでは、この遺影について・選び方のポイント・準備方法・料金相場などを紹介します。
また、遺影に関する疑問点として多くの方が気になる・いつまでも飾るべきなのか・遺影の処分方法などもあわせて解説します。
遺影の選び方のポイント
ここでは、遺影を選ぶ際のポイントを解説します。以下の条件で遺影を選択することで「生前の故人を鮮やかに思い出すことができる」遺影を作成できます。
最優先はピントや画素数
遺影に使われる写真では、故人が一人で写っているか、服装はフォーマルなのか、などはそれ程問題ではありません。写真加工の技術が発達した現代では、撮影業者は様々な加工技術を駆使して、どのような写真からでも故人を抜き取って服装を加工する事ができます。
ただし、ピントがずれている写真の加工だけはできません。ピントがずれて滲んで見える写真は、どんなに加工しても滲んだままの状態です。そのため遺影を選択する際は、その写真のピントがずれていないか、高画素数の写真かどうかを判断基準に選んでください。
故人の個性が出ている写真を選ぶ
これまでの遺影は和装姿が一般的でしたが、近年ではその様な慣習は大分薄れています。そのため今では、故人の性格や人となりが反映された写真を選ぶことが一般的です。
これまでの遺影は正面から顔と上半身のみを写すだけでした。しかし今日では、満面の笑みを浮かべて趣味の釣りに興じる様な、「その人らしい」写真なども遺影とされています。この様に、遺影に対する価値観が変わった現代では、故人らしさが表れた遺影が遺族から喜ばれる傾向にあります。
新しい写真を選ぶ
遺影に使用する写真は、故人が亡くなった年齢までが生きた証となる事から、直近の写真を使用する事が推奨されます。
ただし、故人が長く患った病の末に亡くなった場合などは、直近の写真が変わり果てた姿の物しか無い事もあります。この際は、闘病前の生気に満ちあふれている写真を選んでも構いません。
遺影の写真については使用する年代に特に決まりはありません。故人や遺族の意見を尊重する事が出来れば、どの年代の写真を使用しても問題はありません。
前もって準備した写真から選ぶ
写真業者は遺族から写真を受け取り、その写真を遺影として加工するまで、早くても数時間はかかります。そのため、遺影が必要となる通夜の半日前には写真を撮影業者に渡さなければなりません。
通夜や葬儀の際の遺族は多忙を極めます。この様な状況で、故人のベストな写真を選ぶのは困難です。前もって遺影の写真を選んでおくことで、遺族全員が納得できる最高の遺影を用意することができるのです。
遺影写真の準備方法と料金相場
これまでは遺影は遺族が準備する事が一般的でしたが、最近はご自身のお気に入りの1枚を遺影にする方も増えています。
ここでは、ご自身で遺影を準備する方法と、写真業者が遺影を準備する方法を解説します。また、両者の遺影の料金相場も合わせて解説いたしますのでご覧ください。
生前から自身で遺影写真を作成する
ご自身が所有する写真の中から、気に入った1枚を遺影にする方は、写真業者が写真を加工して遺影にする工程をご自身で行います。
最近では、写真加工ソフトは有料のものから無料のものまで、数多くがネット上で入手可能です。パソコン作業に明るい方なら、難なく写真の加工も可能でしょう。
また、ご自身で遺影を作成する事は、遺族が遺影を選ぶ手間を省くことができるため、遺族の葬儀負担を軽減する事にもつながります。ご自身の最期について終活される方は、予めご自身の遺影を決めている方がほとんどです。
ご自身で撮影する場合の料金相場
ご自身で加工した写真では、どうしても遺影とするには少しあらが目立つ、最後は専門家に仕上げの加工をお願いしたいと考えるなら、写真のデータを専門業者へ持ち込み、仕上げをしてもらうことも可能です。その際の料金相場は、6千円~1万5千円程度です。
生前のうちに撮影業者へ依頼する
ご自身が健在のうちに、写真スタジオなどで遺影を撮影する事が可能です。写真スタジオの中には、スタイリストさんやメイクさんから衣装や化粧を施していただき、遺影撮影に臨める本格的なものもあります。
撮影業者へ依頼する場合の料金相場
やはり、複数のプロが携わるスタジオでの遺影撮影は、ご自身で写真を撮る場合と比べて費用は少し高額になり、料金相場は1万5千~2万円程度となります。
まれに、葬儀業者が主催する終活イベントなどの催し物の中に、遺影の撮影会が含まれている場合もあり、この際の撮影では非常に安価な料金が設定される場合もあります。
遺影を飾る期間や処分方法
ここでは遺影の扱いにおいて、いつまで飾るべきなのか、またどのように処分する事が推奨されているのかについて解説いたします。
一般的には四十九日まで飾られる
遺影を飾る遺骨安置檀は、通常であれば四十九日を目途に撤去する事が一般的です。そのため、遺影もこの遺骨安置檀の撤去に伴い四十九日をもって撤去します。これは、四十九日法要が終わるまでは、故人の魂がこの世で過ごすとされる宗教上の教義に由来しています。
ただし、初盆や法事などで遺骨安置檀を撤去せずにそのまま使用する場合は、特に遺影だけを外す必要はありません。こちらも、初盆が終わり遺骨安置檀を撤去するタイミングで遺影を外しましょう。
四十九日を過ぎた遺影はお焚き上げで処分する
遺影には宗教的な意味合いは無く、処分方法についても宗教上決まった方法はありません。そのため、四十九日を経過した遺影は一般ゴミとして廃棄する事は可能です。しかし、故人への思いからこの様に遺影を処分する事ができないのが現状でしょう。
そのような場合、近所にある寺院やお寺に遺影を持ち込み「お焚き上げ」の儀式で、遺影を供養する事をお勧めします。お焚き上げとは、むやみに捨てることができないものを、寺院やお寺で焼いていただく供養方法です。
お焚き上げせず飾り続けることもできる
遺影には宗教的な意味合いはありません。そのため、この遺影を処分することなく飾り続けることも可能です。四十九日を経過した遺影は、これまで飾られていた遺骨安置檀から、床の間や仏間に移動して飾りましょう。
遺影を飾ることで家具や家のコンセプトとの違和感を覚える方は、遺影を写真サイズに小さく焼き直し、フォトフレームのように飾ることも可能です。特に都市部での住宅事情や日本家屋の減少から、本来遺影を飾るスペースは減少傾向にあります。近年の住環境の変化を考えれば、この様な遺影の形が支持されるのもうなずけます。
遺影写真の飾り方と注意点
上記でも触れたように、遺影は四十九日を経過しても飾り続けることが可能です。ただし、この遺影を飾る場所は宗教上の決まりがあり、これを間違うと正しく故人をお参りすることができなくなってしまいます。ここでは、遺影を正しく飾ることができる場所や、飾るのに適さない場所について解説します。
仏壇の近くに飾る
遺影は仏壇の近く、もしくは仏間や床の間に飾りましょう。故人をお参りするためには、仏壇の近くに遺影がある方が故人を身近に感じることができます。また床の間は、家の中でも一段高く設計されているため、ご先祖様の遺影を飾るには最適な場所だと言われています。
遺影写真は仏壇の上に置くのはNG
遺影の設置場所は見やすく高い場所に飾るのがポイントですが、いくら見やすいとは言え仏壇の真上に置くことはNGです。これは、仏壇の上に遺影がある事でご先祖様を見下していると解釈されてしまい、ご先祖様に対してとても失礼な行為となってしまうからです。
また、仏壇の中に遺影を飾ることも避けなければいけません。位牌と遺影の2つの魂が仏壇の中にあると、故人の霊が迷ってしまうと言われています。
まとめ
これまでの遺影の概念は近年急速に薄れつつあります。この様な変化から遺影は「葬儀中に故人を偲ぶ写真」から「生前の故人を思い出すための写真」になりました。この遺影の概念の変化は遺影そのものを変えてしまい、今では「故人らしさが前面に出た1枚」が人気です。
遺影は誰もがいつかは必ず必要となるものです。予め遺影を準備する事で、遺族の葬儀準備の負担を抑える事ができ、誰もが悔いのない葬儀を行う事ができるのです。
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