正しい遺言書の書き方とは?遺言・遺書との違いも合わせて解説!

公開日 : 2020/3/22

更新日 : 2020/9/8

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大切なご家族へ遺言書を残したいと考えている方は多いのではないでしょうか。しかし遺言書には法律で決められたルールがあるため、正しい書き方でなければ無効になってしまうことも。そこで今回は正しい遺言書の書き方や、注意すべきポイントについて解説します。

公開日 : 2020/3/22

更新日 : 2020/9/8

目次

遺言書とは?

そもそも遺言書とはどのようなものか、まずはその定義や効力などを確認しましょう。また混同されがちな遺言や遺書との違いについても解説しているので、合わせてご覧ください。

遺言書の定義

遺言書とは、自分が亡くなったあと、所有している財産をどのように分配するか明記したものです。遺言書に書かれた内容は法的にとても強い効力を持っているため、法定相続分(法律で定められた相続の目安)よりも優先されます。

 

生前にあらかじめ遺言書を作成しておけば、死後も自分の意志を反映させることができ、また親族同士の相続争いを防ぐことができます。「この人にいくら残したい」などの明確な意志がある場合は、作成すべきといえるでしょう。

 

ちなみに遺言書の作成方法は民法第960条で細かく定められており、フォーマットに沿って書かれていなければ無効になってしまいます。後ほど正確な書き方について触れているので、参考にしてみてください。

遺言書でできること

遺言書では「どの財産を」、「誰に」、「どのくらい渡すか」決めることができます。また「この人には渡したくない」という場合は、それも指定することが可能です。ただしこの場合、もっともな理由が無いと判断されれば家庭裁判所で却下されることもあります。

 

また遺言書に記載することで、自分の子供であると認める「認知」を行うことも可能です。遺言書で認知された子供は、他の子供と同じように遺産を相続することができます。さらに遺言を執行するための手続きを行う「遺言執行者」を指名しておけば、遺族が遺産相続をスムーズに行うことができるでしょう。

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遺言書と遺言・遺書との違い

「遺言書」と名前や漢字がよく似ている「遺言」や「遺書」ですが、これらには明確な違いがあります。

混同してしまうケースが多いので、ぜひそれぞれの意味を知っておいてください。

遺言とは

遺言(ゆいごん)とは、死期が近い人などが、自分の亡くなったあとについて生前に言い残す言葉です。面と向かって直接口頭で伝えたものだけでなく、手紙や肉声を録音したものなどもこれにあたります。葬式の執り行いやお墓について、また大切な人へのメッセージなどを言葉にする人が多いようです。

 

簡易的な意味合いがある遺言は、遺言書と違って法的な効力を持ちません。また法的効力を持つものは遺言(いごん)といい、これを明記したものが遺言書です。

遺書とは

遺書(いしょ)とは、家族や近しい友人などへ向けて書く「最後の手紙」のことです。主に死期を悟った人や、自殺を考えている人が書き残します。

 

決まった内容はなく、相手への気持ちや感謝の言葉、死期を悟った経緯などが書かれます。こちらも遺言(ゆいごん)と同様、法的効力はありません。

 

遺言書の種類

遺言書には大きく分けて3つの種類があり、さらに緊急時に作成する「特別方式」という形式も存在します。

それぞれの特徴をまとめました。

自筆証書遺言書

自筆証書遺言書は、被相続人が全て手書きで作成する遺言書のことです。面倒な手続きがないため、もっとも簡単な遺言書作成方法だといえます。

 

しかし、正しい形式での作成が難しいため不備が見つかる場合が多く、また自分でしっかり管理しないと紛失や偽装の恐れもあります。また自筆遺言書を遺族が見つけた場合、たとえ相続人であっても開けてはいけません。そのまま家庭裁判所に持っていき、中身を確認する「検認」という手続きが必要です。

公正証書遺言書

公正証書遺言書とは、公正役場で作成してもらう遺言書です。公証人が遺言者から遺言内容を聞き取り、書き上げます。自分で作成する必要がないため、ほとんど不備がないのが特徴です。

 

作成には手数料がかかる、2人以上の証人が必要などのデメリットはありますが、法的効力を失う、または偽装の心配がありません。また遺言書は公正役場で保管されるので、紛失することもなく安心です。「自筆証書遺言書だと不備がありそうで不安」という方には、こちらをおすすめします。

秘密証書遺言書

秘密証書遺言書とは、遺言者自身が作成したということを、公正役場で保証された遺言書のことです。公正証書遺言書と同じく、こちらも2人以上の証人と手数料が必要になります。

 

公証人に手続きをしてもらうのですが、その際に遺言の内容を申告する必要はありません。また署名以外は代筆などでも良いとされている点が、自筆証書遺言書と異なります。

 

保管は公正役場ではしていないため、自分で管理します。また秘密証書遺言書を遺族が見つけた場合、自筆証書遺言書と同じく家庭裁判所での「検認」が必要です。

特別方式遺言書

今までご紹介した自筆証書遺言書、公正証書遺言書、秘密証書遺言書は、じっくり内容を考えて書くことができる「普通方式」の遺言書です。それに対し、命の危機が目前に迫っているなど、緊急に作成するものを「特別方式」といいます。

 

特別方式遺言書は、病気や怪我などで緊急を要する場合、船や飛行機に搭乗している際に危機が迫った場合、また隔離されて自由に動けない場合などに有効です。

 

ちなみに普通方式で作成した遺言書には有効期限がありませんが、特別方式の場合は「危機から逃れ、普通方式の遺言書を作成できるようになってから半年が過ぎた時点で無効となる」という規定が設けられています。

 

正しい遺言書の書き方

ここからは、正しい遺言書の書き方について説明します。ご自分の大切な意思を無効にしないためにも、遺言書作成の際は不備がないか何度も確認しましょう。

自筆証書遺言書の場合

自筆証書遺言書の大きな特徴として、全文を自筆で書く必要があります。 ただし遺言書に財産目録を添付する場合に限り、財産目録のみは自筆以外でも有効です。

 

また訂正・加筆は「元の文が見えるように二重線を引き押印し、遺言書の末尾に何文字削除し何文字追加と明記する」など、そのほかにも様々な細かい決まりが設けられています。

自筆証書遺言書が無効になるケース

自筆で書かれていることがとても重要なので、たとえ一部分だけでも代筆やパソコンで書いた文があれば、自筆のサインや押印があっても無効となるので注意が必要です。また自筆証書遺言書が最も無効になる原因は「記入漏れや不備」なので、書き終わったら問題がないか必ずチェックしましょう。

 

また、遺言者が認知症のため判断能力がなく、無効になったケースも存在します。もし遺言書の作成を考えているなら、元気なうちに書くことが大切です。

 

思わぬ落とし穴として、「連名は認められない」ということがあります。例えば夫婦で子供に同じ内容の遺言書を遺したい場合、どちらかを代表者に選ばなければなりません。

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公正証書遺言書の場合

公正証書遺言書を作成したい場合、まず印鑑証明書と実印、手数料(財産の金額に応じて異なる)を用意します。そして2人以上の証人と一緒に公証役場へ出向き、そこで公証人に遺言書を作成してもらいます。

 

遺言書の作成は公証人が行い、遺言者は遺言内容を口頭で伝えるだけです。プロに任せる方法なので、複雑な内容でも問題なく作成できます。また完成した公正証書遺言書はそのまま公証役場で管理してもらえるので、紛失などのトラブルも心配ありません。

 

さらに、自分で文字を書くことが難しい場合などにも対応しています。

公正証書遺言書が無効になるケース

公正証書遺言書は他の作成方法より手数料がかかりますが、その分不備が極めて少ないのが特徴です。しかし、遺言者が認知症にも関わらず作成された場合に無効となるケースがまれに起きています。

秘密証書遺言書の場合

秘密証書遺言書は遺言者自身が作成する必要がありますが、署名以外は自筆でなくても良いとされています。そのため全てを自筆で書く自筆証書遺言書よりも、負担が少ない方法です。

 

遺言書を作成したら2人以上の証人と一緒に公証役場に持ち込み、公証人に「遺言者本人が書いたものである」と記載してもらいます。このとき、手数料として11000円必要です。

秘密証書遺言書が無効になるケース

遺言者が自筆した署名がなければ無効です。また遺言書を入れた封筒の封部分にも押印が必要なので、忘れないようにしましょう。

 

ちなみに秘密証書遺言書は自筆以外も認められていますが、訂正・加筆には自筆証書遺言書と同じく細かいルールが適用されます。そのため不備による無効の可能性も考えられます。

特別方式遺言書の場合

特別方式遺言書には、病気や怪我、船や飛行機の事故などの切迫した状態で作成する「危急時遺言」と、伝染病による隔離や船上に長期間滞在している状態で作成する「隔絶地遺言」があります。

 

より早急な対応が求められる「危急時遺言」であれば自筆以外も認められていますが、「隔絶地遺言」は自筆のみ有効です。またこれらは「どこにいるか」「どのような状況か」によってそれぞれ書き方や必要な証人数などが異なるため、遺言者がどれに当てはまるか、作成前に確認しなければなりません。

特別方式遺言書が無効になるケース

特別方式遺言書は作成方法が一律でなく、全てを覚えておくことは困難です。また正しい知識がないときに、限られた時間で正確に完成させるのは難しいでしょう。無効を避けるためにも、弁護士などに相談しながら作成すると安心です。

正しい遺言書の具体例

ここからは正しい遺言書の書き方を、具体例を交えながら紹介します。実際に遺言書を作成したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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遺言書の始まり・終わりに必ず書くこと

まず始めにタイトルとして「遺言書」と書きましょう。そして文の初めは「遺言者 (遺言者の氏名)は、以下の通り遺言する」と明記します。そして書きたいことを全て書いたら、最後に作成した正確な日付、遺言者の住所、氏名を書き、実印を押して終了です。

「誰に」「何を」残したいかを明確にする

遺言書で大切なのは、曖昧な表現を避けてはっきり書くことです。相続させたい人や物の情報をあらかじめ調査し、整理してから作成するとミスを未然に防ぐことができます。以下は、遺言者の妻へ預貯金を相続する場合の一例です。

 

遺言者は、遺言者が所有する次の財産を 遺言者の妻 山田花子(19XX年1月1日)に相続させる

 

遺言者名義の預貯金

XX銀行 XX支店(口座番号   )

XX銀行 XX支店(口座番号   )

 

またこれは必須ではありませんが、遺言書の内容を滞りなく実行するために「遺言執行者」を指名しておくのが良いでしょう。

「遺留分」も考慮に入れる

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限受け取ることのできる遺産の割合です。具体的には遺言者の配偶者や子供、親(子供がいない場合)などが当てはまります。

 

遺留分はとても強い権利なので、遺言書により遺留分を侵害された人は、他の家族を訴えることができます。例えば配偶者と子供がいるのに「配偶者に全て相続させる」と遺言書に描かれていた場合、配偶者は子供に訴えられるかもしれません。

 

このような相続争いを防ぐためにも、遺言書作成の際には遺留分のことも必ず頭に入れておきましょう。

遺言書の書き方についてのまとめ

今回は正しい遺言書の書き方について解説しました。ネガティブなイメージを持つ人は多いですが、遺言書は大切な家族に向けた最後のメッセージです。家族の幸せを願って、ぜひ元気なうちに作成してみてください。