共同墓地の費用とその利点および注意点についてわかりやすく解説

公開日 : 2020/10/9

更新日 : 2020/10/9

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共同墓地とは、各地域・集落の住民(村民)の手で運営・管理されている墓地という意味から、血縁関係の無い方々が一緒に埋葬される墓地という意味に変容しています。今回は最近注目されている共同墓地の費用、そのメリット・デメリットについて解説します。

公開日 : 2020/10/9

更新日 : 2020/10/9

目次

共同墓地の意味の変遷

現在は少子高齢化の進展でお墓を継ぐ人がいない、家計が苦しくお墓を建てる余裕も無いというケースが目立ち始める中、「共同墓地」に注目が集まっています。

 

今回は共同墓地の特徴と、そのメリット・デメリットを解説していきます。とはいえどんなお墓の形態が共同墓地と呼ばれているのか、一昔前そして現在とでは意味が異なっています。

 

まずは、かつての共同墓地とはどんな墓地を意味したのか、現在の共同墓地は主としてどんな墓地を指すのかについて解説しましょう。

共同墓地とは集落が管理していた墓地

かつての日本では各地域・集落の中に、その共同体の一員である住民(村民)の手で運営・管理されている墓地がありました。

 

これらが「村墓地」「集落墓地」等とよばれる共同墓地です。その地域・集落内の人が亡くなれば地域・集落内をあげて葬儀等が行われました。その後、共同墓地にある家族単位の墓へ葬られるのが習慣でした。

 

古来から主に農村で培われてきた、ともに助け合って農耕を行い、負担のかかる作業や儀式をみんなで分担したり、協力したりする風習の一つとも言えます。

 

しかし、日本が近代化するにつれ、次第に自宅で亡くなるよりも医療機関で亡くなるケースが多くなりました。また、交通網の整備で故人を医療機関から葬儀会館等へ直接移送する手段が発達し、必ずしも自宅で葬儀をあげる必要がなくなりました。

 

また、土葬から火葬の習慣に代わったり、葬儀サービスも発達したりして、地域で助け合う習慣と共に共同墓地は廃れていったのです。

 

ただし、現在では数が非常に少なくなったものの、昔からのこの風習を守り通している地域もあります。

最近では合祀簿や共同墓と呼ばれている

最近では、密接な地域との関係も薄れ、核家族世帯やあえて家族を持たない方々の増加で、新たな意味を持った共同墓地が注目され始めました。

 

それは、血縁関係の無い方々が一緒に埋葬される墓地という意味です。このような共同墓地は「合祀(合葬)墓」「共同墓」等と呼ばれています。

 

これらの共同墓地に埋葬される方々は、出身・性別・享年それぞれに異なります。例えば、老人ホームに入居していた方々同士や、終活のようなイベント等へ参加した人達と一緒に埋葬されることとなるでしょう。

 

また合祀(合葬)墓・共同墓は、通常のお墓と違いご遺族の方々の手入れ、管理する必要もありません。そのため、ご自分のお墓の継ぐ人が少ない、または全くいないケースではとても便利な埋葬法と言えます。

共同墓地(合祀簿・共同墓)の値段について

いかに共同墓地(合祀簿・共同墓)とはいっても、埋葬費用は必ず掛かります。しかし、一般的に墓石を買い、墓地使用料を支払って、故人を弔うスタイルより格段に費用は安くなります。

 

なお、共同墓地は運営主体がどこかでも、その費用に差が出てしまい、ケースによっては利用を希望する方々が予想する以上の費用負担となるケースもあり得ます。

 

共同墓地は運営主体は大きく分けて次の3つです。

 

  • 公営共同墓地:地方自治体が運営し管理はもちろん行き届いています。費用は安価な場合が多いものの、募集期間は短く、応募者が多いと抽選で決める方法をとります。なお、宗派は問われません。
  • 民営共同墓地:公益法人・民間企業により運営され、こちらも宗派に関係なく利用できます。墓地内のサービスが充実していることはもちろん、現地説明会等も頻繁に行われています。ただし、費用は公営共同墓地より割高です。
  • 寺院共同墓地:宗教法人が管理・運営を行います。この墓地の利用をするには寺院の檀家となる必要がでてきます。宗派に制約がある場合もあります。

 

こちらでは、共同墓地(合祀簿・共同墓)にかかる費用の目安、その費用の内訳について解説します。

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一般的なお墓と比べ格安

一般的にお墓を建てた場合、墓石の相場は100万円~200万円程度です。共同墓地にはそれぞれ埋葬される方々の墓石は不要なので、その分費用は安く抑えられます。

 

ただし、共同墓地で墓石の費用はかかりませんが、基本的に「埋葬料」「永代使用料」「管理費」は発生します。

 

(1)埋葬料

 

遺骨を埋葬するための費用のことです。「納骨手数料」とも呼ばれています。費用は1霊あたり公営の場合は2万円程度、民営・寺院では5~10万円程度と言われています。また、永代使用料に含まれていることもあります。

 

(2)永代使用料

 

共同墓地の所有者と契約して代々使用する権利を得るための費用です。1霊あたり公営の場合は3万円程度、民営・寺院では10万円~40万円程度が目安です。

 

(3)管理費

 

共同墓地の清掃・補修等の維持管理費です。最近では徴収しなくなったものの、会員費として支払わなければいけない墓地もあります。かかるとすれば1万円~2万円程度と言われています。

 

最近では、埋葬料や永代使用料等を含め「永代供養料」としてまとめて支払いケースが多いです。とすれば、1霊あたり公営の場合は5万円程度、民営・寺院では15万円~50万円程度が目安です。

東京や埼玉、神奈川のような都心は割高か?

東京や埼玉、神奈川のような都心で立地が良い場所は、地方の共同墓地より価格が割高です。もちろん、公営共同墓地では大きな差があまり無いことでしょう。ただし、立地が良い共同墓地は人気も高く、抽選で利用者を選ぶ可能性は高くなるはずです。

 

一方、民営共同墓地では、都心と地方とで数十万円程度の差が出るケースもあります。とはいえ、都心であっても郊外の共同墓地(交通の便があまりよくない場所等)は、やはり格安の費用で契約が可能です。

 

都心の共同墓地を選ぶ場合は、立地が良く公共交通機関の利用は容易でも費用の割高な場所を選ぶか、移動距離は長くても良いので費用の安い場所を選ぶか悩ましいところです。

 

しかし、あまりに辺鄙で移動に手間取る共同墓地にしてしまうと、墓参りにもそのうち行かなくなることへつながるかもしれませんので、選定は慎重に行いましょう。

共同墓地(合祀簿・共同墓)のメリットについて

共同墓地は、費用が抑えられ将来の維持・管理にも便利な埋葬方法です。また、最近の共同墓地では通路がバリアフリーとなっている場合も多く、高齢者や車いすを利用する方々が、無理なく移動できます。

 

その他、売店や休憩所が完備されている等、お参りに来る方々に配慮した設備が充実している所も多いです。こちらでは、共同墓地で弔ってもらいたい本人や、その家族のメリットについて解説します。

墓石が要らず費用もリーズナブル

前述したように一般的なお墓を建てた場合、墓石の相場は100万円~200万円程度です。墓石だけでも100万円単位のお金が必要となる場合と比較すれば、ひとまとまりに合葬されることがどれだけリーズナブルかおわかりになるはずです。

 

もちろん、ご自分が埋葬された後も子や孫が、ずっと墓石の前で手を合わせてくれるなら、墓石を購入し、一般的なお墓を立てることには意味があります。

 

しかし、遺族もわずかで、ずっとお墓を守り続けてくれる家族が残っていない場合、高額な墓石を購入する必要性はやはり薄れてしまします。

 

そんな時は共同墓地で弔ってもらう方が、将来の供養もずっと約束されるので安心です。

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宗派を問わず申し込める場合が多い

お墓を新たに建てる場合、お墓を建てる寺院・霊園でどんな宗教・宗派の利用が許されるか心配なはずです。しかし、公営共同墓地・民営共同墓地では宗教・宗派の別なく埋葬されます。

 

とはいえ、やはり仏教をはじめとした寺院では、異なる宗教・宗派がやや制約されてしまう場合もあります。最近では、例えば仏教徒ならば宗派は問わないという寺院が増えています。しかし、キリスト教や神道を信じる方々の埋葬は難しいとみて良いでしょう。

 

では、宗教が異なる方々は公営共同墓地・民営共同墓地が空いていないと路頭に迷うのか?と言えばそうではありません。

 

例えばキリスト教ならばカトリックの場合、教会内の墓地や共同の納骨堂があります。一方、プロテスタントの場合は日本キリスト教団に所属していれば、その地域を管轄する教会に設けられた墓地の利用も可能です。

無縁墓にならず管理が行き届いている

一般の墓地であれば、お墓を守ってもらう人が絶えれば無縁墓となってしまいます。風雨にさらされ雑草が生い茂り、見るも無残な墓地になるおそれもあります。

 

しかし、共同墓地ならばお墓を継承する方々がいなくても、墓地の管理者が責任をもって維持・管理してくれます。

 

また、たとえご自分の家族が墓参りに来なくても、供花が飾られ、共同墓地の賑わいは絶えることが無いはずです。また清掃も行き届き衛生面の良好な状態が永続していきます。

 

仮に残された家族が健在でも、お墓参りで墓地の清掃の手間をかけさせたくない、または無縁墓になってしまうのが嫌な方々は、共同墓地を選んだ方が良いでしょう。

共同墓地(合祀簿・共同墓)のデメリットについて

共同墓地は永続的な維持・管理、衛生環境が良好に保全されています。また、遺族がゆったりとお参りできる環境も整えられ、明るい空間が演出されている共同墓地も数多いです。

 

しかし、利点ばかりではありません。もちろん、契約前にしっかり確認しておけなければいけない点もあります。こちらでは、共同墓地のデメリットについて解説します。

他人と一緒に埋葬されてしまう

共同墓地を選んだ際は、最終的に他人の遺骨と一緒に納骨されてしまう点へ注意しましょう。ほとんどの共同墓地では納骨を行う際、故人の遺骨を取り出して、他人の遺骨と一緒に埋葬します。

 

共同墓地の中には、いきなり他人の遺骨と一緒に埋葬されることへ抵抗のある本人や遺族のために、最初の数年~数十年は骨壺の状態で安置するという方法をとるケースもあります。

 

ただし、三十三回忌や五十回忌というような、供養する遺族も亡くなっている時期を見計らい、他人の遺骨と混ぜられて埋葬されます。

 

また、最近では「個別合祀」という、遺骨別に専用布袋へ収めて埋葬する方法をとる共同墓地もあります。専用布袋へ遺骨を納めるので他人の遺骨と混ざらず、安心して故人の納骨ができます。

 

しかし、このようなサービスを行う墓地は限定され、納骨の受け入れ数もより限定されてしまう場合があります。

 

まずは、ご自分・遺族の納得できる埋葬方法をとってくれるのか、候補として数か所程度の共同墓地をピックアップしたうえで、各管理者に問い合わせてみましょう。

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従来のお墓参りのイメージからかけ離れてしまう

日本人の一般的なお墓参りは、個別の墓地・墓石に遺族みんなで訪れ、雑草をとったり、墓石に水をかけたり、供花・お供え物をしたりするのが共通のイメージでしょう。

 

共同墓地では個別の墓地・墓石をきれいに浄める必要が無い分、従来のイメージとはかけ離れたものとなるはずです。

 

イメージからあまりにかけ離れた状況にいたたまれなくなり、新たに墓地・墓石を購入して、埋葬し直すことを検討する遺族もいることでしょう。

 

遺骨を取り出したいと管理者に申し出るケースも考えられます。もちろん骨壺のまま、または専用布袋に入れられた状態なら、取り出すことも不可能ではありません。

 

ただし、納骨した段階で他人の骨と混ざり合った状態では、もはや故人の遺骨の回収は不可能です。そのため、費用が安いからと短絡的な理由から共同墓地は選ばず、その後の埋葬方法がどうなるのかもしっかり確認する必要があるのです。

法要は原則行わない

共同墓地で他人の遺骨と一緒に埋葬される以上、あまり故人のためのな供養が受けられない点も注意しましょう。個別の墓地・墓石があるならお盆・彼岸等に定期的な供養が行えます。

 

一方、共同墓地の場合、これらの儀式は全体としてまとめて行われます。「埋葬されている方々と一緒に供養されて安心。」と思われるなら、共同墓地を選んだ方が良いでしょう。

 

しかし、故人だけの年忌法要等を執り行いたいならば、管理者側へ特別に依頼しない限り行わないのが現状です。

 

また、共同墓地である以上、遺族がお参りに来ても、墓石・戒名を刻んだ墓碑がないので、故人と対面し供養していると感じ難いという面もあるでしょう。

 

共同墓地では、納骨されたことを墓誌に刻印することも可能です。その費用は刻字料と呼ばれ、刻印する板は石の板・鉄の板等を選べる場合があります。デザインや材質によって金額は変わりますが、これを墓石の代わりとして遺族が納得できるかどうか、疑問が残ることでしょう。

共同墓地へ埋葬しても必ずお参りしよう

故人や遺族も納得する共同墓地を選び、故人が希望の墓地へ埋葬されたとしても、「管理者が共同墓の維持・管理・供養もしてくてくれるから、墓参りはしなくて良い。」という、考えは誤りです。

 

たとえ個別のお墓でなくても故人を悼み、お墓参りをすること自体が故人への感謝を伝え、供養することにつながります。故人が埋葬されたことで、故人とのつながりが絶たれたことにはならないのです。

 

共同墓地へ埋葬しても、回数は少なくて良いので遺族ができる限り集い、お墓参りをすることが大切です。