お墓参りのお供え|注意点を守って供養にふさわしいお供えを
公開日 : 2020/7/18
更新日 : 2020/9/9
お墓参りではお線香やお花などをお供えをします。お供えは故人への思いをこめて選びますが、注意点があることをご存知でしょうか。ご先祖様へ感謝の気持とお礼を伝え、気持ちよく供養できるよう、お墓参りとお供えの注意点について確認しておきましょう。
公開日 : 2020/7/18
更新日 : 2020/9/9
目次
お供えとは
お供えは、故人やご先祖様、仏様に感謝の気持ちを伝えるために捧げるものです。
私たちはご先祖様があり、今を生きています。故人のご冥福を祈り、現生に存在していることを感謝し、その思いを伝えるために捧げるのが、お供えです。
お供えは故人が食べることはありませんが、香りを召し上がります。心をこめて、故人が好きだった食べ物や、香りの良いお線香やお花をご用意しましょう。
宗教による違い
お供えは、宗教によって違いがあります。マナー違反にならないよう、お墓参りに行く前には宗教を確認しておくほうが無難です。地域によっては、しきたりなどがある場合もありますので、併せて確認するとよいでしょう。
仏教
仏教のお供えは「五供」が基本です。「香」「花」「灯明」「水」「飲食」と言われています。順に「お線香」「生花」「ろうそく」「水」「食べ物や飲み物」です。食べ物や飲み物は故人が好きだったものが一番ですが、日持ちのするお菓子や果物が一般的でしょう。
お墓参りの時期は、区切りとなる日に行きます。お盆、お彼岸、年末年始、故人の命日や月命日です。
神道
神道のお供えは「神撰」です。神様へのお供えを意味しています。中心となるのはお水、お神酒、洗米、塩です。加えて、玉串(榊)、野菜や果物、魚などもお供えします。故人が好きだった食べ物や飲み物などもお供えできます。
お墓参りの時期は、仏教と同様です。仏教のお盆と新盆にあたる「新盆祭」「新御霊祭」、毎年お墓参りに行くのが命日である「祥月命日」、年忌法要として「式年祭」にもお墓参りに行きます。
キリスト教
キリスト教のお墓参りは「ミサ」や「集会」と呼ばれます。教会に集まり集会が行われ、お墓の清掃後に献花をします。そのため、お供えはありません。お墓参りに行く際には、白い生花を用意します。
お花は、カーネーションやゆり、または小ぶりの菊を選びましょう。同じ白い花でも、仏教のお花である仏花は選ばないようにしてください。
お供えの注意点
お墓参りのお供えには、注意すべき点があります。心をこめてお供えを選んだつもりが、マナー違反になるようなことがないよう、先におさえておきましょう。
お供えにふさわしくないもの
お供えは、故人が好きだったものを選ぶと良いのですが、生前とは違うルールがあります。仏様は香りをいただくからです。順にみてきましょう。
香りや辛味が強いもの
香りや辛味が強い5つの野菜として、「にら」「にんにく」「ねぎ」「らっきょう」「はじかみ」があげられます。「五辛」と呼ばれるこれらの野菜や、食材として使われているものは、お供えしないようにしましょう。
香りを召し上がる仏様にとって、香りが強すぎるものはおすすめできません。お線香の香りに影響するようなきつい香りは、避けましょう。
魚や肉
仏教では殺生が禁じられています。魚や肉は「殺生」を思わせるため、不向きです。缶詰や麹漬け、味噌漬けなど加工してある食品でも、魚や肉であることにかわりがないので、やめましょう。
故人が好きだったもので、どうしてもお持ちしたいという場合は、手土産としてお渡しするのがよいでしょう。魚や肉などの手土産とは別に、お供えをご用意してください。
お花の選び方
お花は、香りの強すぎるもの、トゲのあるもの、ツルのあるもの、毒のあるものは避けましょう。故人が好きだった花がバラの場合は、トゲをとってからお供えするようにしてください。
お酒
故人が好きだったお酒をお供えする際は、器に入れて捧げましょう。お墓にお酒をかけると暮石が変色したり、サビの原因になったりします。お墓を傷めたりすることがないようにしてください。
タバコ
仏様は香りを召上がりますが、匂いがきついものは好みません。故人が好きだったとはいえ、タバコをお供えするのは避けたほうが無難です。タバコの匂いは、お墓参りにいらしてる他の方々にも迷惑になる恐れもあります。タバコをお供えするのはやめましょう。
お供えの基本
先にも述べましたが、お墓参りのお供えは「香」「花」「灯明」「水」「飲食」の「五供」が基本です。お香典を袋に入れてお渡しするように、お供えには「御供」と書いた「のし」をつけましょう。
お線香
「香」である「お線香」は場を清めるだけでなく、故人のご馳走です。良い香りのお線香を焚けば、故人や仏様、ご先祖様も喜ばれることでしょう。お墓参りでは、お線香を束で焚いているのをよく目にしますが、宗教による違いもあります。事前に確認しておくとよいでしょう。
仏花
「花」は「仏花」です。花の香りや美しく咲く姿が、ご先祖様やお墓参りをしている人の心を癒してくれます。故人の好きだったお花をお供えするのが良いのですが、わからない場合は花屋さんやスーパーで販売されている「仏花」を購入すると良いでしょう。
ろうそく
ろうそくは、慈悲を表し煩悩を打ち消す象徴であるだけではありません。あの世との窓口であるお墓に灯されるろうそくは、故人の目印としての役割も担います。お墓にろうそく立てが無い場合は、お墓にろうそくのロウが落ちないようにしてください。
ご自宅にろうそく立ての代わりになるものがない場合は、市販のキャンドルホルダーやお墓用のろうそく立てなどを購入しておくとよいでしょう。また、ろうくの火は手であおいで消してください。息を吹きかけて消すのはタブーです。
水
清らかな水は、故人ののどを潤し、お墓参りをしている人の心を清めます。きれいな水が良いからといって、ミネラルウォーターを用意する必要はありません。墓地にある水道を利用しましょう。桶は二つお借りし、お掃除用の水とお供え用の水の桶は別々にしてください。
食べ物や飲み物
食べ物や飲み物は、故人が好きだったものを用意すれば喜ばれるでしょう。わからない場合は、日持ちがする「お菓子」をはじめ、「旬の果物」「ジュース」「お酒」などをお供えするのが一般的です。
お供えに選ぶ果物は、丸い果物を選ぶのがおすすめです。故人との「縁」につながる意味から、円形にちなんで丸い果物を選ぶとよいと言われています。
お墓参りとお供えのマナー
お墓参りではお供えを捧げ、近況報告や生きていることへの感謝、故人への思いを伝えます。粛々とお墓参りをすすめられるよう、準備するものや流れをチェックしておきましょう。
時折、霊園で子供達が走り回ったり遊んだりしている光景を見かけます。元気なのは良いことですが、静かにご先祖様と対話しておられる他家の方に迷惑をかけることになりかねません。故人が静かに眠る場において望ましい行動ができるよう、大人がきちんと誘導してあげましょう。
持ち物
お墓参りで必ず持参するのが「お線香」「お花」「お供え物」「ろうそく」「マッチまたはライター」「数珠」です。お供えを置く「半紙」「懐紙」、または「ハンカチ」も忘れないようにしてください。「花挟み」もあると、お花を程よい高さに合わせられるので便利です。
お掃除道具と柄杓は霊園でお借りできることがありますので、事前に確認しておきましょう。霊園でご用がない場合は、持ち物にお掃除道具と柄杓を加えてください。お掃除道具は、「ほうき」「ちりとり」「バケツ」「スポンジ」「雑巾」です。
お墓参りがすんだら、持ち帰り用に「お供えを小分けして入れる袋」なども用意することをおすすめします。また、ゴミを入れて帰るための「ゴミ袋」も用意し、お墓をよりきれいな状態にして帰ることを心がけましょう。
服装
お墓参りはご先祖様にお礼を伝える大切な場です。暮石のお掃除もしますので、動きやすく清楚な服装で行きましょう。靴は、お掃除の際に水がかかることがあります。汚れてもいいものを履くとよいでしょう。
派手な色のお洋服、露出の多い服装は霊園の方や周りの方に不快な印象を与えますので避けてください。香水もひかえましょう。
霊園についたら
本堂がある場合は、ご先祖様のお墓に向かう前に本堂にお参りし、ご住職にご挨拶するのがマナーです。管理事務所がある場合は管理事務所の方にご挨拶をしましょう。
一通りのご挨拶を終えたら、手桶と柄杓をお借りしてください。お掃除に使う水とお供えする水を別々に汲み、ご先祖様のお墓に向かいましょう。
合唱をして掃除
ご先祖様のお墓に到着したら、合掌をしてご挨拶をしてください。合掌は暮石よりも頭を低くし、しゃがんですることがマナーです。暮石の高さや墓地の形態によっては難しい場合は、その限りではありません。
ご先祖様へのご挨拶がすんだら、お墓の掃除をはじめます。敷地内の草取りをし、落ち葉を取り除き、花立てなどの小物類をきれいに洗ってください。植木などが隣のお墓まで伸びている場合は、敷地内におさまるよう丁寧に剪定します。
暮石は柔らかいスポンジや布で洗ってください。文字が刻まれた溝にほこりなどがたまっていることがありますので、こちらもきれいに取り去ります。全てを洗い終えたら、柔らかい布で水気をきれいに拭き取りましょう。
お供えの置き方
お墓の掃除が終わったら、お供えをお盆や台に乗せてからお墓に置きます。台やお盆がない場合は半紙や懐紙、またはハンカチを敷いてから置いてください。直接置くのは、故人に対して失礼にあたりますので、注意しましょう。
仏様は香りを召し上がりますので、お供えが箱や袋に入っている場合は封を開けてください。飲み物やお酒も同様です。フタを開けて置くか、小さな器に入れて置くとよいでしょう。
水とお茶は、お供えの食べ物を中央にし、左右ひとつずつ置きます。一般的には水を右、お茶を左に置きますが、お墓の向いてる方向や宗派によってはお茶を置かないこともあります。地域によって違うこともありますので、事前に調べておきましょう。
お花は、左右にある花立てに飾ります。入れる本数は奇数です。左右対称になるように飾り、お参りをされる方に対して正面を向くようにお供えしましょう。
お線香をあげる
お供え物を置き、お花を飾ったら、お線香を焚きます。ろうそくに火を灯し、故人と縁の深い方から順にお線香を焚き、合掌をしてください。この際、お線香の火は手で仰いで消すのがマナーです。決して息を吹きかけて消さないようにしてください。ろうそくも同様です。
お線香は宗派によって供え方に違いがあります。立てる場合と、寝かせる場合がありますので、事前に調べて間違いのないようにしましょう。
お供えの処分
お墓参りのお供えは、持ち帰るのが一般的です。ただし、地域により違う習わしがあることがあります。事前にお寺や霊園の管理事務所、親戚の方などに確認しておくとよいでしょう。持ち帰ることが難しく、廃棄する場合は、半紙などに包んでから捨ててください。
お供えを墓地でいただく
先に述べた通り、お墓参りのお供えは持ち帰るのが一般的ですが、その場で参拝者の皆様といただくことも可能です。故人に想いを馳せながら、また、故人と心で対話しながら、皆様で召し上がってください。
お供えを持ち帰っていただく
お墓参りから持ち帰ったお供えは、ご自宅におられる皆様で召し上がってください。仏壇にお供えすると故人に対し失礼にあたります。注意しましょう。
お花はどうするか
霊園の管理事務所などがお花の片付けをしてくださる場合は、そのまま置いて帰ることができます。そうでない場合は持ち帰るか処分をしてください。お墓を傷めることがあります。処分をする場合は、白い半紙などに包んでから捨ててください。
ご先祖様への感謝の気持ちを大切に
ご先祖様に感謝の気持ちを伝え、故人を供養するお墓参りは何よりも気持ちが大切です。心をこめてお墓をきれいに掃除をし、丁重に「お線香」「生花」「ろうそく」「水」「食べ物や飲み物」をお供えしましょう。
お墓参りはあの世とつながるお墓を通じてお礼を述べ、故人に近況報告する貴重な時間です。朝早いうちや午前中に行ければ人も少なく、お掃除もはかどりますが、お仕事やご都合が合わなく難しい場合は、午後でも夕方でもお参りはできます。
古い時代からの言い伝えに、「お墓参りは一人で行ってはいけない」というものがありますが、これは迷信です。ご家族やご親戚と行くタイミングに合わなければ、お時間がとれる時にお一人で供養に行くことを考慮してみても良いでしょう。
大切なのは、お墓参りに行く気持ちを大切にし、計画的を立てて忘れ物などなくお参りすることです。そのお気持ちはお線香の香りと共に故人に届き、喜んでいただけることでしょう。
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