お墓の移動に必要な手続きとは?どんな費用がかかるのか徹底解説
公開日 : 2020/7/16
更新日 : 2020/9/8
誰しも経験したことのあるお墓参りですが、仕事の都合などでお墓から離れなければいけないとき、お墓を移動させるという手段があります。しかしそれにはどんな手続きが必要なのでしょうか。気になる費用の面についてもご説明していきます。
公開日 : 2020/7/16
更新日 : 2020/9/8
目次
お墓の移動
お墓は移動させることができることをご存知でしょうか。近年、お墓を引越しさせる「改葬」が増えています。統計庁がだしているデータでは、ここ数年80000件以上実施されているようです。
改装が行われる理由としては、お墓の管理が難しくなってきた方の増加にあります。自分しかお墓を管理できる人間がいないのに、転勤や転居しなければいけなくなると、お墓参りに行くことができなくなります。
また、お墓というのはえてしてアクセスの良くないところにあることが多いです。年齢を重ねてきて、お墓に直接行くことが難しくなってきたとき、もっと足を運びやすいところに移し替えるということも考えられます。
改葬は「墓地、埋葬等の関する法律」に定められるところになるので、勝手に行うことはできません。市町村長から許可を取る必要があります。改葬をするときに、永代供養にすることが多いです。永代供養にすることでお墓の継承者が不要になります。
改葬の流れと必要な手続き
ではここからは、改装に必要な手続き、流れをご説明していきます。
お寺や親族へ相談する
まずは、親族や寺院と相談をしましょう。檀家になっているお寺があるのであればそこに相談しましょう。また、お墓というものは親族の方とも関係のあるものです。自分の一存で決めると後々トラブルの元になります。
受入証明証
次に、改葬する行き先の住所を決め、そこで「受入証明証」を発行してもらいましょう。改葬は勝手にできるものではありません。
法にのっとった手続きを行うために、最初は「受入証明書」です。移送先がきちんと決まっていないと発行できないため、行き先を決めましょう。
改葬許可申請書
「受入証明書」が発行されたら、今度は現在の自治体から「改葬許可申請書」の用紙をもらいましょう。行き先が先で、後から現在の自治体です。
埋葬証明書
その後に、今のお墓の管理者に改葬の申し出を行います。この際、先祖代々お世話になった管理者やお寺の方、住職などにお礼を述べましょう。
先祖が眠っている間ずっとお世話をしてくださっていた方です。眠っている故人の分も感謝を述べましょう。ここで、「埋葬証明書」を発行してもらいます。
儀式
「改葬許可証」が発行されたら、遺骨の移動を行うことができます。お骨をお墓から抜く際には、そのお寺の住職さんなどに、「魂抜き」という魂の供養を行ってもらう必要があります。これでお墓や墓石に宿っていた魂が抜かれ、処分を行うことができます。
魂抜きをしないと、生きたままのお墓を処分してしまうことになります。新しいお墓に納骨をする際は、開眼供養という儀式をしてもらう必要があります。開眼供養とは、魂抜きとは逆で、新たに魂を入れてもらう儀式です。
改葬の方法
改葬の方法には、3種類あります。一つ目が、お骨と墓石どちらも元のお墓から移送先の場所へ運ぶ方法です。二つ目が、お骨だけを移動させる方法、三つ目が元の場所にもお骨を残し、一部を新しいところへ移す方法です。
ご遺骨と墓石の移動
まず一つ目の方法、お骨と墓石をどちらも移動させる方法です。元あるお墓の場所から、お骨はもちろんですが、墓石もそのものを移動させます。
墓石を新たに買い直す必要がないため、改葬の中では費用が比較的安く済みます。しかしかなりの大きさがある墓石を移転先まで輸送しなければいけないため、その分の運搬費用はかかります。
ご遺骨の移動
一番オーソドックスな改葬のやり方は、元のお墓からお骨を取り出して、お骨だけを移動させるやり方です。墓石は処分し、移動先で新しく墓石を購入し、立てます。
元の墓石の処分の費用がかかります。また、新しく墓石を購入しているため、新規でお墓を建てるのと同じ費用もかかります。手続きが増えているため新規でお墓を建てる際よりも費用は嵩む可能性も高いです。
ですが墓石を運搬するという段階がなくなるため、日程的には自由度が高いやり方です。引越しと同時に墓石も変えることで、気持ちも新しくなります。
分骨
最後にご紹介する改葬の方法は、分骨です。これは、元のお墓も残すというやり方です。移動先にお墓を作る必要もあるが、元の場所にお参りをしにくる人もいる場合などに行われます。お骨は取り出しますが、一部を残し、お墓の処分などは行いません。
お墓が移動するのではなく、二つ存在するということです。こちらは、処分の費用がかかりません。移転先で新たにお墓を建てるため墓石の購入費用などはもちろんかかります。
改葬の費用だけで見ると二番目の方法よりも安く済みそうですが、元のお墓の管理費などは払い続ける必要があるため、維持費を考えると一概にどちらが安いとは言えません。
改装にかかる費用
少し費用の面についても触れてきましたが、この項ではきちんと改装にかかる費用についてお話をしていきます。
お墓の移動にかかる金額は、大きく二つに分けることができます。一つがお墓を処分する際に必要となる費用、もう一つが、お墓を移動させるときに必要になる費用です。
これらは、お墓を移動させる方法によって変わってきます。上の項と照らし合わせながら、自分のやり方だとどれくらいの費用がかかるのかを是非シミュレートして見てください。
お墓を処分する費用
まず必要となるのが、お墓を処分する費用です。お墓を処分する費用はおおよそですが、60万円ほどかかります。内訳をご説明していきます。墓石を処分する場合、その区画を元どおりの状態に戻す必要があります。
墓石は地面に埋まっているものなので、人の手で行える作業ではありません。重機を用いた費用がかかるために、このお金が四十万円前後かかります。
墓石を移動させる場合もこれは同様です。分骨の場合は、お墓はそのままなので、この費用はかかりません。お骨を取り出すのにかかる費用のみになります。
魂抜きの儀式にも費用がかかります。お寺の住職などがこの儀式を行ってくださるため、この方に渡すお布施が必要です。一回につき1万円以上はかかります。
お墓を処分するときに注意が必要なのは、離檀料がかかる場合があることです。お墓を移動させるということは、そのお寺の檀家から離れるということです。その際にこの費用がかかる時があります。事前に確認を行い、トラブルのないようにしましょう。
費用がかかる場合は10万円を超える時もあります。かからない場合もあります。
お墓を移転させる費用
ここからご説明していくのは、お墓を移転させる費用です。お骨と墓石を移動させる場合、墓石の運搬費用がかかります。普通の車では運べません。10万円程度のお金がかかります。お骨だけ移す場合は、この費用はかかりません。
新しくお墓を移転先で建てる場合、まず墓石の購入代金が必要です。墓石は200万円ほどするのが一般的です。もちろんどのような墓石を選ぶかは自由ですが、その墓地や霊園によって条件が定められている場合もあるので注意が必要です。
墓石ごと移動する場合新たに購入代金はかかりませんが、新しい霊園の土地に施工を行うため、そのお金は必要です。開眼供養の儀式にも、魂抜きの儀式と同様お金がかかります。霊園によってはこの儀式がないところもあります。こちらは3―5万円の料金がかかります。
最後に必要となるのが、その土地の永代使用料です。区画を使用する権利を購入しなければいけません。分骨を行う場合はこれが二箇所必要になるため、(移転前の料金を払い終えていれば必要ありませんが)注意が必要です。
お墓の移動をしよう
お墓の移動について、その概要・方法と、費用について見てきました。お墓を維持していくことは決してたやすくありません。しかし、亡くなった方に挨拶をし、唯一「会う」ことができる場所としてお墓を守っていきたいと考える方はたくさんいらっしゃいます。
そんな方のために改葬という方法があります。目的やニーズにあったやり方を選びましょう。費用はかかりますが、何度も検討を行い、納得のいくやり方を選んで、お墓を大切にしましょう。
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