位牌やお墓に刻まれる梵字とは?梵字の歴史や意味や宗派などを解説!

公開日 : 2020/4/21

更新日 : 2020/9/10

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位牌やお墓に梵字が刻まれているのを見たことがあるでしょう。梵字は形が独特でそこに魅力を感じている人も多くいます。そんな梵字には深い歴史は意味があります。宗派によって異なる使い方と合わせて解説します。ぜひ、参考にしてください。

公開日 : 2020/4/21

更新日 : 2020/9/10

目次

梵字の歴史

形や見た目が独特な梵字。不思議なあの形に魅力を感じている人も多くいます。梵字はその不思議な見た目から、特別な字として考えられていた時期もあったほどです。現在でも神聖視されているという事実があります。 そんな梵字には、深い歴史がありました。まずは梵字にまつわる深い歴史について解説します。

インドでは2つの系統がある

梵字の発祥地はインドで、その系統はブラーフミー文字とカローシュティー文字の2系統があります。一見、同じように見える梵字ですが、その元となっている文字には2種類存在しているのです。

 

ブラーフミー文字は、紀元前6世紀ごろから使用されていた文字だと言われています。南・東南アジアやチベット、モンゴルで現在使用されている文字の原型です。また、一番身近なものでは、「0,1,2,~」などのようなアラビア数字の原型はブラーフミー文字です。

 

一方のカローシュティー文字は、紀元前6~5世紀ごろに使われていた文字と言われています。古代の中央アジアで使用されていましたが、他の文字に影響を与えることなく滅亡しました。現在は、仏教関係の最古の文献でのみ見ることができます。

日本に伝来したのは天平年間

日本に伝来したのは天平年間です。日本で広く知られている梵字は、シッダマートリカー文字が原型だと言われています。シッダマートリカー文字はインドのブラーフミー文字が原型となった文字で、日本にはブラーフミー文字の系統が伝わったことがわかります。

 

梵字は中国経由で日本に伝わりました。この時、一緒に仏教も伝来したため、日本では仏教と梵字は切っても切れない強いつながりを持つようになりました。見たこともなく、読み方や意味も分からない梵字は神聖なものとされ、「神の文字」と言われていたようです。

 

大変読みにくい難解な梵字は、遣唐使や鑑真が大変堪能でした。当時の日本の僧侶たちは梵字に堪能なこれらの人たちから読み方や意味を学び、少しずつ日本に広まっていったとされています。

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一般に広まったのは平安時代

日本に梵字が伝来したのは天平年間ですが、当時は読むことができる人や意味が理解できる人が大変少なかったため、梵字そのものはあまり浸透していませんでした。それよりも「神の文字」として神聖視する人の方が多かったようです。

 

梵字が一般に広まり始めたのは平安時代に入ってからです。天台宗の開祖である最澄や、真言宗の開祖であり、弘法大師としても有名な空海が、梵字で書かれた経典を唐から大量に持ち帰ったことがきっかけです。

 

彼らは梵字を「マントラ」として伝えます。マントラは真実を意味する言葉と言われ、唱えることで悟りを開くことができるとされていました。悟りを開けば極楽浄土へ行くことができると信じられていたため、梵字はマントラの浸透と共に広まりました

梵字が表す意味

梵字はとても不思議な見た目をしています。どの文字とも関連性が全く見られない梵字は、日本では大変神聖視されていました。そのため、日本独自で梵字の意味が追加されています。

 

日本での梵字にはどのような意味があるのか、調べましたのでご紹介します。

仏様を表す

日本では、梵字は仏様をあらわす文字とされています。梵字そのものが仏様のご神体であると考えられていたのです。この考え方は現在も受け継がれています。

 

例えば、大日如来は「ア」や「アーンク」または「バン」という読み方の梵字で表します。普賢菩薩は「アン」、不動明王は「カーン」、薬師如来は「バイ」、釈迦如来は「バク」、弥勒菩薩は「ユ」、文殊菩薩は「マン」という読み方の梵字でそれぞれ表します。

 

これらの梵字を神棚などに飾ることで仏様そのものを飾ったことになり、毎日欠かさず手を合わせてお参りをするとご利益が頂けるとされています。

守りご本尊の代わり

梵字は守りご本尊の代わり、という考え方も日本で浸透しています。日本では、十二支という考え方があります。自分の生まれた年には必ず干支がありますが、その干支にはそれぞれ守りご本尊がついています

 

子年の守りご本尊は千手観音で梵字は「キリーク」、丑年と寅年は虚空蔵菩薩で「タラーク」、卯年は文殊菩薩で「マン」、辰年と巳年は普賢菩薩で「アン」、午年は勢至菩薩で「サク」です。

 

また、未年と申年は大日如来で「バン」、酉年は不動明王で「カーン」、戌年と亥年は阿弥陀如来で「キリーク」です。梵字は神様そのものを表すご神体だと考えられているため、それぞれの守りご本尊を表す梵字を持っているとご利益があるとされています。

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悟りを開くため

悟りを開くために梵字が使用されることもあります。悟りを開くためにすることは瞑想です。瞑想時に梵字が書かれた紙を見たり、瞑想中に梵字を繰り返しつぶやいたりすることで、悟りを開くことができるとされています。

 

大変有名梵字を使った悟りを開くための瞑想は、高野山で行なわれている阿字観です。弘法大師が考案した瞑想の方法で、「ア」という梵字の前で瞑想を行ないます。「ア」は大日如来を表す梵字なので、前で瞑想をすると悟りを開くことできるとされています。

梵字と位牌やお墓の関係

位牌に梵字が書かれていたり、お墓に梵字が刻まれていたりすることがあります。これらの梵字にも意味があります。また、どんな梵字でも使用できるというわけではありません。 位牌やお墓に使用される梵字の意味や文字の種類、更にはその他の場所に刻まれる梵字についても解説します。

位牌やお墓に入れる梵字は戒名

位牌に書かれていたり、お墓に刻まれたりしている梵字は「戒名」と言います。戒名とは、亡くなった人が仏の世界へ旅立つ時につけられる名前です。仏の世界では生前に使用していた名前を使うことはありません。

 

生前に使っていた名前は煩悩などの穢れが多く、仏の世界へ持っていくと悪いことが起こるとされています。生前の名前のままでいると極楽浄土に行くことができない、という考えも一部にあるくらいです。

 

戒名は「仏の世界での戒律を守ります」という証明の意味もあります。「仏の世界での戒律を守りますから、どうぞ極楽浄土へ導いてください」という願いも込められているということです。

位牌やお墓に入れる梵字の種類

位牌やお墓に使用する梵字は、どれを使ってもいいというわけではありません。梵字にはたくさんの種類がありますが、それら一つひとつには特別な意味が込められています。特に日本では神聖視されているため、どれを使ってもいいというわけではないのです。

 

位牌やお墓に使用される梵字は、大日尿来を現す「ア」と、阿弥陀尿来を現す「キリーク」、地蔵菩薩を現す「カ」の3種類のみです。これ以外の梵字を位牌やお墓に使用することはありません。

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五輪塔に刻まれる梵字もある

五輪塔に刻まれる梵字もあります。五輪塔とは、主に供養塔として建てられるお墓です。個人のお墓として五輪塔が立てられることもあります。その名前が表している通り、形の異なる5つの石を積み上げて建てられています。

 

五輪塔に刻まれる場合は、「地、水、火、風、空」を表す梵字を使用します。この5つは仏教では五大要素と呼ばれていて、下の石から順番に「地、水~」と刻むのがルールです。

梵字を使う宗派

梵字はすべての宗派で使われるわけではありません。特に位牌や墓石に梵字を使用する宗派はごく一部です。

 

その一部とは、天台宗と真言宗と浄土宗です。天台宗は阿弥陀尿来を現す「キリーク」、真言宗と浄土宗は大日如来を表す「ア」を使用します。位牌や墓石に梵字が使用されていた場合は、いずれかの宗派だということです。

 

また、子供の位牌や墓石は宗派に関わらず地蔵菩薩を現す「カ」を使用します。親よりも先に亡くなった子供はあの世では賽の河原へ行くことになります。この際の河原で子供を救ってくれるのが地蔵菩薩だとされているため、「カ」を使用します。

梵字は仏様そのものを現す

海外での梵字は、単なる文字として広く使用されています。ですが、日本ではその不思議な見た目から神聖なものとされてきました。その考えは現在も受け継がれており、梵字そのものは仏様そのものを現すとするのが一般的です。 梵字には大変不思議な力が宿っているという説もたくさんあります。お守りの代わりに梵字を持ち歩いたり身近に置いたりするのも良いのではないでしょうか。