【お墓】墳墓とは何か?さまざまなお墓の形態についてご紹介【形態】

公開日 : 2020/4/21

更新日 : 2020/9/9

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「墳墓」とはお墓のことです。私たちに身近なお墓も、かつての古墳から、さまざまな変遷を経て現在のような形になりました。現在では、さらに新しい供養の形もあらわれています。いざつくるとなった時の費用など、墳墓=お墓にまつわるさまざまな事柄についてご説明します。

公開日 : 2020/4/21

更新日 : 2020/9/9

目次

そもそも墳墓とは?

墳墓とは、大辞林(第三版)では「死体や遺骨を葬った所。はか。おくつき。」とされています。つまりは埋めるなどして遺体を葬った場所、すなわちお墓そのものです。

 

日本の法律でも、昭和23年に定められた「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)では、以下のように墳墓を定義しています。

 

「この法律で『墳墓』とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。」(第1章第2条4)

 

墳墓とはお墓そのものであり、その意味では私たちに身近なお寺や霊園のお墓も、世界遺産であるエジプトのピラミッドや大阪の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)のような古墳も、いずれも「墳墓」です。

 

巨大な古墳であれマンションタイプのお墓であれ、どれだけ大きくても小さくても、定義としてはいずれも「墳墓」であると言えます。

 

 

 

さまざなま墳墓・遺体処理の形

現在の日本で一般的な墳墓と言えば、お寺や霊園の墓地にあるお墓です。火葬後に遺骨を骨壺に入れて埋葬し、その上に石づくりの墓を建てます。しかし墳墓の形態は、もちろんそれだけではありません。

 

日本では遺体は火葬処理されることがほとんどですが、海外では今も土葬する地域もあります。ヨーロッパでは現在も土葬する国が多く、これは死者がよみがえるといったキリスト教の世界観が影響していると言われています。イスラム教でも、基本的には土葬されます。

 

また日本では「◯◯家の墓」のように墓は家ごとに建てられることが一般的ですが、海外では故人1人につき1つずつお墓が建てられる(個人墓)ことが一般的な地域もあります。

 

チベットの「鳥葬(ちょうそう)」では、遺体を鳥に食べさせ、骨にいたるまで何も残らないようします。タイでは火葬しますが、遺骨は埋葬せずに散骨されます。インドでも、ヒンドゥ教徒は火葬後にガンジス川に遺骨を流します。

古墳としての墳墓

洋の東西を問わず、特に古代の文明では墳墓は権力の象徴でもありました。各地で巨大な墳墓が作られ、それらは古墳という形で現在に伝えられています。

 

世界でもっとも有名な墳墓と言えば、エジプトのピラミッドでしょう。約140基あるピラミッドの、そのほとんどがエジプトの王(ファラオ)、もしくは王の家族のお墓とされています。もっとも大きいギザの大ピラミッドでは、高さは約140メートルにもなります。

 

多くは石灰石が使われており、内部には大抵、人が入れる通路が設けられています。おおむねピラミッドの中心部に近いところに遺体が安置されていたと考えられています。ダハシュールのピラミッドなど、ミイラの状態で遺体が見つかったピラミッドもあります。

 

美しさで有名なお墓と言えば、インドのタージ・マハルです。17世紀にムガール帝国の皇帝が、早逝した妻のマハルのために建てたと伝えられている建築物で、シンメトリー(左右対称)な美しい形状で知られています。

 

約560メートル×303メートルという巨大な敷地内に、門や庭園、水路や遊歩道、そして墓廟(ぼびょう)があります。墓廟の内部には、マハルと、建造した皇帝の墓石が設置されています。

 

日本で巨大な墳墓としてまず挙げられるのが、大阪の大仙陵古墳(仁徳天皇陵)です。面積では世界最大の墳墓とされています。日本の古墳の代表的な形とも言える、前方後円墳です。

 

前方後円墳はその名の通り、やや細長い四角形と、円形の盛り土部分をつなげた鍵穴のような形状です。ただし当然ながら、巨大なものでは高地や上空からでなければその形状を確認することはできません。

 

前方後円墳はいわゆる大和政権時代である3世紀ごろから作られはじめ、飛鳥時代のはじまる6世紀ごろまでさかんに建造されました。全国には約5,000基もの前方後円墳が存在しているとも言われています。

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日本における墳墓の伝統

古墳にみられるように、日本では古代から権力者の巨大な墓が作られてきました。一方、日本の一般大衆や民衆の墓がどのような変遷を経て今日のような姿になったのかは諸説ありますが、有名なのが民俗学者・柳田國男による「両墓制(りょうぼせい)」です。
 
柳田國男は昭和初期に活躍した民俗学者で、日本に「民俗学」という学問を根付かせたパイオニア的な研究者の一人です。日本全国を旅してまわり、「日本人とは何か」を問いつづけたその学問は「柳田民俗学」として体系化されています。
 
柳田國男は昭和4年、雑誌で日本における両墓制をとりあげました。両墓制とは「遺骨を埋葬した墓(埋め墓)」と「墓参りするための墓(詣り墓)」を別々に2つ建てる、というお墓の形式です。
 
現在では「墓参り」は遺骨がおさめられた墓に行うのが一般的ですが、かつては別に「詣り墓」をもうけ、そこに墓参りをするのが一般的だったということです。「詣り墓」は、人が住んでいるところに近いところに設けられたとされています。
 
近年でも埼玉県や奈良県に、こういった両墓制の墓地が残っていたとされています。柳田は遺骨をおさめる墓(埋め墓)よりも、参るための墓(詣り墓)の方が重要だったとしています。
 
昭和初期までは、家の敷地内に墓を建てることもありました。戦後はお寺や霊園にお墓を設けることが一般的になり、現在の姿にいたっています。
 
なお国内でも沖縄では、屋根の付いたお墓である「破風墓(はふばか)」や「屋形墓(やかたばか)」、同じく屋根付きで、屋根が亀甲の形をしている「亀甲墓(きっこうばか)」といった、本土とは違ったお墓の形式が伝えられています。
 
これらは中国大陸のお墓の影響を受けたものといわれており、現在でも規模は小型になったものの、屋根の付いたお墓が使われ続けています。

現在のお墓はどのようになっている?

現在の日本の墳墓、つまりお墓の墓地やかかる費用、あり方などについてみていきます。

お墓はお寺、だけではなくなりつつある

両墓制の項目でもご説明しましたように、かつては自宅や近所にも墓地が設けられていましたが、現在ではそのほとんどが、寺などの宗教施設や、公共もしくは民間の霊園内となっています。

 

しかし近年では、墓地のあり方にも変化が起きています。都会部では壁面にずらりとロッカー型の納骨堂が並ぶマンション型の墓地も増えています。

 

さらに石づくりの墓を設けず、樹木の下にいわば共同墓地のような形で遺骨をおさめる「樹木葬」も人気を集めています。その一方で、引っ越しなどで親類縁者のいなくなったお墓をたたむ、いわゆる「墓じまい」も増えています。

 

これらは人々の死生観の変化や、少子化により親類が少なくなったといった環境の変化が影響していると言えるでしょう。マンション型の墓地が増えているのも、背景には墓地の不足という物理的な理由もあります。

 

故人のゆかりの場所や海などに散骨したり、遺骨を使って人工的に宝石をつくるなど、遺骨をお墓におさめない例も増えてきています。

お墓に使われる石について

一般的なお墓に使われる石は、花崗岩や安山岩などです。長期間にわたって設置されるものだけに、耐久性が高く、硬い石が使われます。

 

日本では福島県や茨城県が墓石の産地として知られています。近年では、中国(福建省や黒龍江省)産の墓石が、国内でも大きなシェアを占めるようになっています。

 

墓石のタイプとしては、古典的な直方体の「和型」、主に横長に広がるデザインとなる「洋型」、自由にデザインされた「デザイン墓石」の、主に3つに分けられます。多くは和型ですが、洋型・デザイン墓石も人気をあつめています。

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お墓をつくる際には、どのような費用がかかる?

墓石の価格はかなり幅広いですが、おおむね100〜200万円ほどが相場です。お寺にお墓を建てる場合は、ほかに永代使用料や永代供養料、さらに管理料が必要です。

 

永代使用料は、いわばお墓の土地代です。お寺にもよりますが、おおよそ70〜80万円ほどとされています。管理料は清掃などお墓の管理費としてお寺に支払うもので、これもお寺によりますが、おおむね年間1万円ほど必要です。

 

お墓参りをする方が毎年管理料を払うのに対し、永代供養料はもうそのお墓には行けない、という方がお寺に末代までの供養を依頼するものです。これもお寺次第ですが、10万〜数十万円の場合もあれば、100万円以上になる場合もあります。

 

さらにお寺では、法要などを行う場合は別に御布施が必要になることもあります。一方、霊園でも使用料や管理料は必要ですが、一概には言えないものの、お寺より安く維持できる場合もあります。特に公営の霊園では、お寺より費用を抑えられることも多いでしょう。

まとめ

墳墓、つまりお墓についていろいろご説明してきました。さまざまな変遷を経て現在のような姿になったお墓ですが、現在ではさらにまた、新しい供養の姿も生まれてきています。

 

お墓は、生前から用意しておくこともできます。家族はもちろん、自分のお墓をどうするか?ご説明しましたような墳墓の歴史や変遷から、お考えになるのもいいのではないでしょうか。