灯篭とはどんなもの?用途や役割、種類について詳しく解説します

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/9

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灯篭は、古来から日本に伝わる伝統的な照明器具の一つです。光源である火を、木・石・金属・紙などでできた覆いで囲い、火が消えないようにして辺りを照らす照明器具です。照明としての実用的な用途の他、様々な目的で使用され、目的に応じて多岐にわたる種類があります。

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/9

目次

灯篭とはどのようなものか

灯篭は、お墓やお寺、神社などでよく見られるものですが、そもそもどのようなもので、どんな役割をもっているのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。ここでは、灯篭の意味や役割を解説していきます。

灯篭とは何か

灯篭は、「とうろう」と読みます。古来から日本に伝わる照明器具の一つです。仏教とともに中国大陸から日本に伝わり寺院などで使用されたのが始まりといわれており、その後、神社や庭園でも使用されるようになりました。

 

灯篭は、「灯(あかり)」と「篭(かご)」という、二つの漢字が意味するように、木・石・金属・紙などを用いた覆いで囲い、風で灯りの火が消えないようにした照明器具です。

 

昔の灯篭の光源は、油を燃した炎やろうそくの炎でしたが、現代では電気の光やガスの炎が光源のタイプもあります。

 

 

灯篭の用途と役割

灯篭は、照明器具としての実用的な役割の他、様々な用途で用いられます。実際にどのような用途でどんな役割をもって使われているのか解説していきます。

先祖供養

墓前に設置された灯籠を「墓前灯篭」といいます。墓前灯篭やお盆の時期に設置される灯篭はどちらも、ご先祖様や故人が迷ってしまわないよう足元を照らし、道案内をする役割があるとされています。

 

墓前灯篭の役割は、故人があの世へ行くのに道に迷わないよう、神様や仏様の元へ導くというものです。お盆の時期に設置される灯篭の役割は、ご先祖様や故人があの世から戻ってくる際に道に迷わないようにする目印であり、足元を照らす光であると言われています。

 

 

街灯や照明

墓前灯篭は、街灯が少なかった時代にはお墓参りをする人の足元を照らし、安全を守る街灯としての役割や、道に迷うことがないように道案内の目印とする役割もありました。お寺や神社に設置されている灯篭も、参拝する人に対しての道案内と街灯の役割をもっています。

 

この他、灯篭は室内照明や玄関先や庭先の照明として使用されます。

献灯

お寺や神社で見られる灯篭には、仏様や神様に捧げる「献灯」としての役割があります。献灯は、仏教で仏様に清浄な光として灯明を捧げたのが始まりで、その後、神仏習合によって神社でも行われるようになりました。

庭などの景観をよくする

庭園や自宅の庭に建てられる灯篭は、庭の風情を楽しむためのものです。池の側などに設置すると、水辺を強調し水面を美しく照らし、より趣深い景色が味わえます。お寺や神社に設置される灯篭と比較すると、小型のものが設置されることが多いです。

祈願の象徴

「灯篭流し」などの行事やお祭りで使用される灯篭は、死者の魂を弔ったり復興の願いを込めたりといった祈願の象徴的な役割をもっています。この他、イベントなどでは象徴となるものを照らす照明として使用されることもあります。

灯篭の各部名称

一般的な灯篭は以下のような部位から成り立っています。上部から解説していきます。

 

  • 宝珠:ロシアの教会の屋根を思わせる、玉ねぎに似た形をした最上部に位置する部分です。
  • :光源を入れる部分である火袋の屋根となる部位です。四角形、六角形、八角形、円形など様々な形状があります。
  • 火袋光源を入れる部分です。正面には飾り窓、左右には月や太陽を模した丸型窓や半月型の窓が配置されています。
  • 中台火袋を乗せる部分です。中台の下に位置する竿を挟んで下部に位置する基礎と対になるような形状となっているものが多く見られます。受座と連弁という部位から成り立っています。
  • 竿中台を支える柱状の部分です。形状は、角型や円型のものが一般的です。必ずしも1本とは限らず、2本、3本ある場合や、全くない場合もあります。
  • 基礎竿の下部に位置する部分です。中台と対になる形状のものが多く、受座と反花、格狭間という部位から成り立っています。基礎部分がないタイプもあります。
  • 基壇最下部に位置する部分です。基礎の部分と同様に基壇がないタイプもあります。

灯篭には様々な種類がある

灯篭には非常に多くの種類があります。まず、代表的なもので、材質によって「石灯篭」「紙灯篭」「竹灯篭」の3つに大別されます。この他、銅や鉄でできた金属製の灯篭や木製の灯篭もあります。「石灯篭」は、その形状によってさらに細かく種類が分かれています。

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石灯篭

石灯篭の種類は、主なもので「立灯篭」「雪見灯篭」「置灯篭」「活込灯篭」などがあります。石灯篭はこの他にも多くの種類がありますが、ここでは主要な4タイプの灯籠について解説していきます。

 

立灯篭

基礎の部分があるタイプの灯篭で、お寺や神社の参道に多く見られます。高さは、120cm程度のものから300cm以上のものまで幅広くあります。

 

さらに形状によって種類が分かれ、代表的なものに「春日型」「柚ノ木型」「御苑型」などがあります。もっとも有名な「春日型」は、竿の部分が他のタイプと比較すると長く、火袋が高い位置にあるのが特徴です。

 

 

雪見灯篭

竿の代わりに3~4本の足がついているものが一般的で、基礎と基壇がなく、高さが低いのが特徴です。火袋に対して笠は大き目で、水面を照らすのに適しています。このため、庭園や池などの水辺に設置されることが多いです。笠や火袋の部分は、角型のタイプと丸型のタイプがあります。

置灯篭

高さが50cm程度の小型の灯篭です。竿、基礎、基壇の部分はなく、平らな地面に設置する必要があります。庭園や玄関先などに置かれることが多く、景観をよくするためや足元を照らし目印とするために用いられます。

活込灯篭

基礎、基壇の部分がなく、竿を直接地面に埋め込んで設置するタイプの灯篭です。竿を直接地面に埋め込んで設置するので高さの調整が可能です。大きさも立灯篭と比較すると小ぶりで、照らすことができる範囲も限定されるため露地や庭園に多く見られます。

 

全体の形状は、丸みを帯びたものから角型のものまでさまざまなタイプがあります。もっとも代表的な「織部型」は、竿の上部が膨らんでいるのが特徴で、江戸時代の茶人である古田織部が好んだことからこの名がつけられました。

紙灯篭

紙製の灯篭で、置灯篭よりやや小型なサイズです。室内の照明器具として使用する他、「灯篭流し」などの行事やお祭りなどでも用いられます。「灯篭流し」で用いられる灯篭には、30分から1時間程度で水に溶けるように環境に配慮した製品もあります。

 

市販品もありますが、器用な人であれば手作りすることも可能です。

竹灯籠

竹でできた灯篭で、竹の形状をそのままうまく利用して作られているのが特徴です。小型で独特の形状から室内照明の他、庭の照明やお祭りやイベントの際の照明などにも利用されます。

灯篭の価格と設置に必要な面積

灯篭の価格は、石灯篭の場合、小型の中国産で安価なものであれば1万円程度からあります。国産の石を使用し職人の手によるものは、置灯篭などの小型なもので10万円程度から、立灯篭などの大型のものは数10万円~100万円以上のものまであります。紙灯篭、竹灯篭の場合は、1,000円前後~2万円程度の価格です。

 

石灯篭を墓前に設置するために必要な墓地の面積は、立灯篭の春日型の場合で約7.3平方メートルと言われています。近年、都市部では墓地の区画面積が縮小されるなど広い面積を確保するのが難しくなっているため、コンパクトな灯篭が好まれる傾向にあります。

灯篭の用途や役割についてまとめ

ここまで灯篭について解説してきました。灯篭は、実用的な照明の役割だけでなく、先祖供養や祈願の象徴としての用途や、庭の景観を楽しむために設置するなどの用途もあります。種類も数多くありますので、設置を検討する場合には灯篭についてしっかりとした基礎知識を身につけておくのがおすすめです。