創価学会のお墓のスタイルは?葬儀やお墓参りなどの方法も紹介
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/11/24
創価学会は「日蓮大聖人」の仏法を信仰する宗教団体であり、仏教宗派の中でも特異な立ち位置にいることで有名です。葬儀や方法に関わる用語や方式が、他宗派とは大きく変わっていることも珍しくありません。今回は、創価学会における葬儀のスタイルを解説します。
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2020/11/24
目次
創価学会とは
創価学会の「創価」は「価値創造」を意味しており、価値の中心に「生命の尊厳の確立」を掲げる宗教団体です。自民党と連立与党を組む「公明党」の支持団体として知られています。まずは、創価学会の概要について確認していきましょう。
歴史
創価学会の始まりは、昭和5年に初代会長である「牧口常三郎」氏が「創価教育学体系」を発行するところまでさかのぼります。牧口氏が日蓮正宗の信徒であったことから当初は日蓮正宗の法華講員としての信仰でしたが、次第に「創価学会」として活動を強めました。
現在では日本全体で800万世帯を超える信徒が存在するほか、世界192の国・地域で200万人以上が同会のメンバーとされています。
三大指導者
創価学会では、初代会長である牧口氏のほか、二代目会長の「戸田城聖」氏、三代目の「池田大作」氏を「永遠の師」と呼ばれています。
特に三代目の池田氏にあっては、絶対的な指導者として内外に知られています。一方、三名の宗教観においては、日蓮正宗とのかかわり方を含めて異なる点もあるようです。
創価学会のお墓のスタイル
創価学会のお墓のスタイルは、他の宗派から見ると特異なものが目立ちます。古来からのスタイルにこだわるよりも、仏教の決まり事にとらわれない柔軟な姿勢を良しとしているスタイルが原因です。
特に違いが見られる「お墓」「納骨堂」のスタイルの違いについて確認していきましょう。
墓石の形状
創価学会のお墓は、いくつかの形式・スタイルに分けられます。故人を個別に埋葬する他宗派同様の形式を「墓地公園」と呼び、20年にわたって遺骨を保管する納骨堂を「長期収蔵型納骨堂」と呼びます。また、永久に保管する「常楽納骨堂」というものも存在します。
また、創価学会のお墓は従来の宗派とは大きく形が異なります。台石の上に高さがある四角柱型の墓石が乗った他宗派と異なり、「厚い台石」の上に「幅広くて高さがない墓石」が乗せられているのが特徴です。
竿石には「妙法」という漢字が彫られ、その下に故人の戒名や家の名前が彫られている形式が一般的です。そのほか、他の宗派と同様に水鉢と線香立てが設置されます。他宗派よりもスタイルが統一されているため、墓地には全く同じ見た目の墓がずらりと並びます。
納骨堂のスタイル
前述したとおり、納骨堂には「長期収蔵型納骨堂」と「永楽納骨堂」に分かれています。長期収蔵型納骨堂のイメージは駅のコインロッカーをイメージすると分かりやすいでしょう。ロッカーを開けると遺骨と対面することができ、焼香は礼拝堂で行います。
常楽納骨堂は長期収蔵型納骨堂と異なり、ロッカー形式ではありません。遺骨を見ることはできず、設置された墓地に向かってお祈りする形式になります。他の宗教で言うところの「合祀型の納骨堂」に近いスタイルです。
長期収蔵納骨堂で20年保管された遺骨は、常楽納骨堂に移される決まりです。
創価学会のお墓にかかる費用
紹介した通り、創価学会には3つの納骨形式が存在します。それぞれ費用も異なっており、遺骨を見られない常楽納骨堂にすぐ入れてしまうのが費用的には安くなります。とはいえ、一般的には墓地公園を利用することが多いです。
費用相場としては、墓地公園が約「100万円」、長期収蔵納骨堂が約「30万円」、常楽納骨堂が約「20万円」となっています。他宗教の一般的なお墓が100~200万円、合祀型の納骨堂が約30万円かかることを考えると、創価学会のお墓は少し割安と言えます。
なお、長期収蔵納骨堂と常楽納骨堂は「5~10万円の寄付金だけで遺骨を納められる」というスタイルをとっている場所もあります。
創価学会の葬儀のスタイル
創価学会の葬儀は、他の宗派と比べても特殊な形式を取ることが多いです。例えば創価学会では、葬儀において読経を行う僧侶が登場しません。「友人葬」等とよばれ、数ある仏教宗派でも創価学会のみで行われている形式です。
ここでは友人葬をはじめ、創価学会の葬儀スタイルの紹介を見ていきましょう。
僧侶を呼ばない「友人葬」を行う
友人葬とは、創価学会を信仰する学芸会員が行う葬儀のことです。遺族や親類縁者、友人等が行う葬儀で、世間的には「家族葬」に近いスタイルともいえます。他宗教の葬儀と比べると、友人葬には主に3つの特徴があります。
もっとも大きな違いは、「僧侶(お坊さん)を葬儀に呼ばない」ことでしょう。友人葬では「儀典長」と呼ばれる友人の代表が導師の役目を行うことで読経が行われます。なお、友人葬の形式であっても、創価学会の学芸員でない方も参加することは可能です。
戒名を付けない
友人葬は寺院から僧侶を呼ぶことが無いため、お布施を払う必要がありません。また、通常であれば戒名を作成してから葬儀に臨みますが、創価学会では戒名を使わずに生前の名前(俗名)で葬儀を執り行います。
祭壇が2種類ある
一般的な宗派では「白木祭壇」を用いることが一般的ですが、創価学会の場合は、「白い生花祭壇」と「しきみ祭壇」の2つを使用します。なお、学生員の葬儀であっても「友人葬」の形式をとらない場合には、他の宗派と同様に「白木祭壇」で行う場合もあります。
創価学会のお墓参り
「葬儀のスタイルの違い」「お墓のスタイルの違い」が理解できたら、「法要・墓参りのスタイル」の理解に話を進めましょう。とはいっても、創価学会には「墓参り」という考え方をあまりしません。「ここでは、お墓参りに行かなくても良い理由」を確認します。
お墓参りに行かなくても良いように法要が行われる
創価学会では、特別に墓参りをすることを推奨していません。創価学会の考え方に「常彼岸」という考え方があり、特別な墓参りを必要としていないからです。
学芸員は、毎日のように自宅の本尊の前で「唱題」と呼ばれる読経を行います。こうすることで「徳を積める」とされているからです。その唱題を本尊に捧げることが、故人が成仏できる「常彼岸」であるとされています。
これによって創価学会では、決まった日に特別なお墓参りをするという習慣がないのです。また、お墓が遠方にある等の事情がある場合は、最寄りの会場で法要を行ってもらう形でお墓参りに代えることも可能です。
お供え物に制限はない
お墓参りをすることが禁止されているわけではないため、創価学会員であってもお墓参りを定期的に行う人はいます。その際は、ご本尊にお供えするのは「シキビ(仏壇用の植物)」と決まっています。
一方、外部のお墓参りに行くであればお供え物に決まりはありません。故人の好きだった花や食べ物を供えることも、特に問題はないでしょう。
創価学会の仏壇
お墓参りがマストな行事ではない代わりに、仏壇で毎日手を合わせて唱読等を行うのが大切と言われています。仏壇の見た目やスタイルも、従来の宗派とは異なっているのです。
故人のためではなく日々の勤行のため
創価学会では仏壇は故人のためだけでなく、日々の勤行のために用います。そのため家庭で亡くなった方がいなくても、仏壇を安置してお参りをすることもあるようです。一般的な創価学会の仏壇の特徴は仏壇に扉がついているもので、その物入れの事を厨子と言います。
そして厨子の中にご本尊を安置するのですが、創価学会の場合、厨子がある仏壇にしなければいけない訳ではないのです。仏壇自体もコンパクトなものから大きいものもありますし、他宗教から移ってきたという場合でもそのまま同じ仏壇を使用しても大丈夫です。
本尊である文字曼荼羅を安置する
創価学会においては、本尊とされる「文字曼荼羅」を仏壇の中に安置することとされています。勤行などは仏壇の扉を開けて本尊が見えるようにして行います。
また、本尊の左右には創価学会のシンボルが描かれた「徳利(とっくり)」を配置します。そのほか、お墓参りと同様に、供える花は「キシビ」と決められています。
位牌は飾らない
他宗派の仏壇と大きな違いは、「位牌を飾らない」ことです。これは、創価学会の源流にあたる「日蓮正宗」の流れを汲んで作られたルールです。葬儀の際に位牌を作るものの、葬儀の終わりと同時に処分してしまうため、仏壇に飾る位牌がないのです。
おしきみを供える
創価学会では仏壇にはおしきみという植物を供えます。仏教でいうところの仏花、神道でいうところの榊にあたります。おしきみは独特な強い香りと、強い毒があります。
おしきみの毒に関しては根から花まで全体にあり、特に実には食べると死亡してしまうほどの強い毒があります。そのため、おしきみには「死者を悪霊から守る」、「邪気を払う力がある」とされています。
また、かつて土葬が主流だった頃では、動物が掘り起こすことを防ぐ意味もありました。おしきみには毒がありますので取り扱いには十分注意しましょう。
創価学会のお墓の形式まとめ
今回は「創価学会の概要」と「葬儀のスタイル」、「墓参り等の法要のスタイル」について紹介しました。特殊な「友人葬」を行う宗派であり、葬儀を実施してくれる葬儀社を探すことが大変になる可能性もあります。
早い段階から、友人葬対応の葬儀社を確認しておくといいでしょう。
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