【葬儀】浄土真宗の納骨式は他の仏教の宗派と違うのかをご解説します

悪人正機（あくにんしょうき）は、浄土真宗の教義の中で最も重要な意味を持つ思想とされています。この教義を優しく説明しますと、良い人は救われて当然ですが、本当に救いたいのは悪い人だという事と言えます。

阿弥陀仏の本願（他力本願）が目指す救いの本質は悪い人を救う事にこそあるというのが浄土真宗の本質的な思想になる訳です。阿弥陀仏が救済したい対象は衆生とされ、すべての衆生は末法濁世を生きる煩悩具足の凡夫たる「悪人」であるとされています。

浄土真宗の納骨についてご説明する前に一般的な納骨式について具体的なご説明をして、その違いについて見てみましょう。違いがより明確になると思います。

納骨式というのはお墓に故人が入る日に行われますが、一般的な宗派では納骨は故人が亡くなってから後の四十九日の法要の後にお墓に納骨されるのが普通です。納骨を早める場合には、葬儀の当日に初七日の法要と四十九日の法要を一緒に行う場合もあります。

以上のように四十九日の法要を終えて、お墓への納骨が行われます。また、家庭の事情や地域によっては、一周忌や百箇日法要の後で納骨する場合も見られます。また、納骨には役所発行の埋葬許可証という書類が必要となっています。

納骨許可証をお墓のあるお寺の住職や霊園の管理者に渡して、初めて納骨が許可されます。

納骨は故人の骨をお墓に納めることですが、納骨には特に期限はありません。お墓を用意するのにはお墓の敷地、墓石、また墓地によっては管理費など様々な費用がかかりますので、家庭の事情によっては四十九日までにお墓を用意出来ないケースもあるでしょう。

家の仏壇の脇などに安置しておく場合もありますが、地域の風習の問題で、そのまま年を越すことを不吉とする場合もあります。1年経過してもお墓が用意出来ない場合は、お寺に預かってもらうか、墓地の納骨堂に仮納骨するという方法もあります。

さてここまでは一般的な宗派の納骨についてご説明しましたが、浄土真宗ならではの独自な納骨の方法についてご説明いたします。一般的な方法と比較すると、その特徴が良くご理解を頂けるかと思います。

一般的な宗派の納骨では火葬後に故人の遺骨を入れる骨壷は一つですが、浄土真宗ではこの骨壷を二つ用意する場合があります。この二つの骨壷の一つは故人のお墓に納骨するものとなっています。

故人のお墓に入れる方は大きな壺に胴骨として納めます。胴骨に含まれるのは、喉仏以外のすべての骨で、胴骨を納めた骨壺は大きな立方体の箱に入れ、そのままお墓に納められるものです。

もう一つは大谷祖廟に分骨するために故人の喉仏の骨を分けて入れます。浄土真宗でも、特に大谷派（東本願寺）では故人の喉仏の骨を本骨として京都にある大谷祖廟に納骨するという風習がある訳です。

分骨するためのものとして大谷祖廟（本願寺派ならば大谷本廟）に納骨される小さな喉仏が入った骨壷はどうするのでしょうか。喉仏の骨は浄土真宗以外でも非常に大切な骨として、骨壷に収める時には最後に入れる骨となっています。

喉仏の骨の形はお釈迦様が座禅を組む姿を連想される骨とされています。また喉仏は人の首の中でも特に大切で、人の生死に係る部分ですので特別な骨として、非常にありがたく、大切な扱いを受ける骨とされています。

ここでは具体期に浄土真宗の納骨式についてご説明しましょう。

故人の四十九日法要が終わり、納骨式が行われます。納骨式は故人の為に用意された故人の骨壷の大きい方を納骨するお墓の前で行われます。このお墓は納骨式の際に建碑式（開眼供養）を行うまでは正式にはお墓とは言えません。

正式なお墓とするために、納骨式の際に建碑式（開眼供養）を行います。お墓に邪気を妨げる白い布をかぶせて、僧侶にお経をあげてもらいます。そして、焼香を済ませると故人の魂が安らかに眠るお墓とされる訳です。

ここでは納骨の儀式である納骨法要も合わせて行われます。お経が読まれる中で骨壷が収められ、参列者により土をかぶせる儀式となっています。

浄土真宗ではお墓へのお供え物にも何か風習があるのではと考えるかもしれませんが、特に決まりはありません。生前の故人が好んだものを供えてあげるのは他の宗派と変わりません。お花やお酒、故人の趣味など自由に供えていただいて大丈夫です。

ここまでで、浄土真宗で故人が火葬された後に分骨され、喉仏以外の骨は故人の為に用意されたお墓に建碑式（開眼供養）を兼ねた儀式によって埋葬される所までは理解されたと思います。

では、残りの分骨された喉仏の納骨はどうなるのでしょうか？浄土真宗ではこの骨を京都にある大谷本廟というところに分骨することになるのですが、その納骨式などの儀式がどう行われるかについてご説明いたします。

大谷本廟は京都にある浄土真宗の寺院で、開祖である親鸞聖人の廟堂として建てられたものです。浄土真宗の本願寺派の亡くなった信徒の喉仏の骨は、開祖である親鸞聖人の廟堂である大谷本廟（京都市東山区）に納骨されます。

喉仏の骨だけですから、分骨という扱いと言えます。ここに分骨される理由は開祖である親鸞聖人とともに眠りたいという信徒としての思いを叶えるためであり、その意識が信徒としてのたしなみであるというのがあります。

分骨の方法は二つに分かれ、親鸞聖人の墓所近くに納骨する「祖壇納骨」と、大谷本廟所有の納骨堂に納める「無量寿堂納骨」となっています。どちらの場合でも埋葬に必要な書類を予め用意しておきます。

祖壇納骨というのは、開祖親鸞聖人の墓所の近くに納骨することを意味しています。事前の手続きを済ませて、会館内でお勤めが15分から20分ほど行われ、遺骨（喉仏の骨）の入った骨壺を伴って境内内側にある明著堂というお堂に移動します。

そこで係の僧侶に遺骨を手渡し、合掌・礼拝するという流れです。実際に納骨される場所である親鸞聖人の墓所は、明著堂よりもさらに奥になっています。

無量寿堂納骨とは、大谷本廟の境内でも前の道の沿いにある無量寿堂の納骨堂に納骨することです。納骨の際には、故人が所属する寺院の名義によるものと、個人や団体名義により手続きの仕方が異なります。

大谷本廟の受付で手続きを行い、その際に案内用紙を受け取って必要事項を記入し、無量寿堂の受付で係員に手渡します。その後、納骨所に出向きそこで僧侶が来るのを待ちます。僧侶が来て読経を行い、そこで納骨して終わりです。

故人の意志であっても分骨の為のお布施（費用）はどの程度か気になると思います。基本的な費用は、納骨のみであれば3万円程度からです。さらに永代供養をつけると5万円からというのが相場となっています。