浄土真宗の納骨式の流れや分骨の意味をわかりやすく解説します

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/8

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浄土真宗の納骨式は親鸞の独自の教えもあって独特な儀式となります。火葬後に特定の骨を分けたり、浄土真宗の宗派によって分骨した骨の安置場所が異なったりと、納骨式を行う際に気を付けなければいけない点が多く存在します。今回は浄土真宗の納骨時の手順、注意点を解説します。

公開日 : 2020/4/20

更新日 : 2020/9/8

目次

浄土真宗の納骨式は独特

葬儀等を行う機会があり、ご自分の家が「浄土真宗」だった、と気付いた方々も多いことでしょう。世帯員が亡くなり仏教徒とはわかっていたものの、はじめて宗派がわかるケースは多いです。

 

仏教徒の中で、日本で最も信徒数が多いといわれる宗派は浄土真宗です。この浄土真宗は他宗派とは大きく異なる独自の考え方が存在します。

 

通夜・葬儀・告別式を主宰する遺族側も、参列する側も、儀式の作法・マナーを覚えておくことが大切です。

 

こちらでは、浄土真宗の成立と独自の考え方、他宗派と異なる納骨式の作法を解説します。

浄土真宗の成立と独自性

浄土真宗は鎌倉時代初期の僧である親鸞によって開かれました。親鸞の没後、門弟たちによって日本全土へ広められていきます。

 

「南無阿弥陀佛」こそ浄土門の真実の教えであり、本願を信じ念仏申さば仏になる、と親鸞を師事した唯円の書「歎異抄(たんにしょう)」に示されています。

 

浄土真宗では人が亡くなれば、他宗教と違い魂は迷うリスクも無く、即座に極楽浄土へ行けるという考え方があります。 

 

浄土真宗の厳しい修業は必要なく、肉食・妻帯、更に子を作っても何ら問題ないという考え方は、世俗的な考えにも合致し、あまり規律に囚われたくない庶民に歓迎されます。

 

また、故人は死後に生まれ変わると考えられているので、戒名を授けたり卒塔婆を立てたりする等、追善供養は行われません。

浄土真宗の納骨式は他宗教と異なる

とはいえ、浄土真宗の儀式の全てが異質というわけではありません。原則として葬式後、または四十九日、お墓が建設中のときは一周忌や三周忌の後に納骨をします。

 

このように納骨式を行うタイミングは、他宗派とあまり変わりません。ただし、浄土真宗本願寺派の場合、納骨前にまず遺骨の喉ぼとけを取り出します。

 

そして、分骨して京都の大谷本廟(親鸞の廟所)に納められます。この分骨を行う理由は、信者として開祖親鸞の近くに埋葬されることで、祖先への感謝を再確認する大切な機会と考えるためです。

 

なお、浄土真宗東本願寺派の場合、大谷祖廟(こちらは東本願寺にある建物)に故人の全ての遺骨を安置することができます。

浄土真宗の納骨式の流れと分骨について

浄土真宗の納骨は前述した通り、特殊な作法と言えます。その儀式を執り行うため、火葬後から準備を行う必要があります。

 

こちらでは、正しい分骨の方法と納骨式の流れについて解説します。

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火葬後に分骨を行う

浄土真宗の場合も他宗教と同様に火葬後、故人の遺骨を骨壺へ納めます。どの宗派でも骨壺は一つですが、浄土真宗では2つの骨壺を必要とする場合があります。

 

故人のお墓へ納める遺骨(胴骨)は、大きな骨壺に入れます。胴骨は喉ぼとけを除くすべての遺骨を指します。遺骨(胴骨)を納めた大きな骨壺は、更に大きな箱に入れられ故人のお墓へ納骨します。

 

一方、喉ぼとけの骨は小さな骨壺に入れ、分骨のためのに前述した大谷本廟(東本願寺派は大谷祖廟)へ納骨されます。

 

喉ぼとけの骨は、京都の大谷本廟または大谷祖廟に納めるとき、通常の埋葬と同様の手続きをとります。つまり、遺骨・納骨届、改葬許可証または火葬許可証を持参し受付へ提出します。

 

この手続きを完了すれば納骨ができます。事前にどのような納骨の流れとなるのか、参拝接待所等の窓口へ電話連絡し確認してみましょう。

浄土真宗の納骨式の手順

故人のお墓へ遺骨(胴骨)を納める流れは、次のように執り行います。

 

  1. 葬式後、または四十九日、お墓が建設中のときは一周忌や三周忌の後に納骨を準備
  2. 前もってお墓周辺をきれいに清掃
  3. お墓の前に遺族・参列者が集合
  4. お花・お菓子、お酒等のお供え物を置く
  5. (新しくたてたお墓の場合)建碑(けんぴ)法要をする
  6. お墓に白い布を巻き、僧侶にお経をあげてもらう
  7. 読経が開始され参列者が順次焼香、納骨を行う

 

なお、建碑(けんぴ)法要とは、お墓を建てたことについて祝う儀式のことです。他の宗派で言う開眼供養に当たります。お祝いの儀式とはいえ、納骨もするので厳かな雰囲気で行われます。

 

浄土真宗の納骨式も、他の宗派と同様に「必ず〇〇日以内に執り行う」、という厳密な決まりはありません。

 

納骨式は親族や菩提寺の関係者の方々、墓石業者等と調整をとりながら、都合の良い日を選んで行いましょう。

 

当然のことながら納骨式を行う際は、葬式等から日が経っているとしても、ラフな服装ではなく、厳かな儀式に相応しい服装で出席するのがマナーです。

浄土真宗の納骨式の注意点について

浄土真宗の納骨式を行う際、古来から受け継いできた決まり通りに儀式が進まないことや、お布施をどうすべきか、遺族は不安になることもあるでしょう。

 

こちらでは納骨式を行う際の納骨に関するトラブルや、お布施について解説します。

本尊納骨ができない場合

浄土真宗では故人の分骨(喉ぼとけ)を、前述した大谷本廟または大谷祖廟に埋葬するのが理想的です。しかし、距離的な関係や経済的・時間的な負担で、これらに埋葬するのが難しい場合もあります。

 

そんな時は、「旦那寺(檀那寺)」で埋葬することもできます。これは本願寺派や東本願寺派を問わず可能です。

 

なお、旦那寺とはお布施をする、ご自分が檀家であるお寺を指します。故人の分骨(喉ぼとけ)を埋葬したいときは、この旦那寺の関係者に相談してみましょう。

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浄土真宗の納骨式のお布施について

お葬式の僧侶へのお布施は、原則として通夜・葬儀・告別式まで各儀式のお礼をまとめて渡します。概ね10万円~30万円が必要です。

 

また、故人がお寺から頂く名前は浄土真宗の場合、「法名」と呼ばれています。この法名は、男性なら釋〇〇、女性なら釋尼〇〇と一律に決まっています。

 

浄土真宗では誰もが平等に救われるという考え方なので、法名に格・位は存在しません。また、法名を頂く場合にはお布施も必要ないと言われています。

 

とはいえ、実際は3万円~10万円くらいのお布施を渡すケースがほとんどです。

 

なお、お寺に高額の寄進をした人は院号が贈れます。ただし、院号が贈られたからと言って格・位が上がるわけではありません。

浄土真宗の納骨式では仏と故人に感謝する心を

浄土真宗の考え方は、他宗派と確かに異なる部分が多く、その影響は納骨式にも反映されています。しかし、この考え方の根幹には故人へも感謝、仏の慈悲への感謝があります。

 

儀式を執り行う方法に配慮することは大切ですが、何より故人が極楽浄土へ行き、いずれ生まれ変わることを願う心が何より大切です。