塔婆供養とは?意味・費用と供養する際の注意点・ポイントを解説
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2021/1/22
塔婆とは、故人の成仏を願って墓石の周りに建てる細長い板のことです。葬儀やお盆・法要などの際に寺院側に依頼し、準備してもらうことが一般的です。今回は、塔婆を利用した塔婆供養のやり方と費用・注意点などのポイントを紹介していきます。
公開日 : 2020/4/20
更新日 : 2021/1/22
目次
塔婆供養とは?塔婆は必要か?
塔婆供養とは、彼岸や年忌の法要、お盆などの行事において墓の周りに「卒塔婆」を立てることで供養を行うことを指します。
卒塔婆供養は「追善供養」の1つとされています。卒塔婆を立てることが遺族の善行となり、ひいては故人の善行となるのです。
ただし、宗派によっては塔婆供養を行わないところもあります。例えば浄土真宗では、「浄土真宗」では即身成仏という考えの下、塔婆供養は存在しません。仏教行事に慣れていない人は、まず寺院に「卒塔婆を使った供養があるのか」を確認したほうが良いでしょう。
塔婆と塔婆立ての種類
塔婆には、主に4つの種類があります。この見出しでは、4つの種類の塔婆を2つの見出しに分けて紹介していきます。ご自身がどの塔婆を使用して、故人を供養したらいいのかきちんと理解しておきましょう。
板塔婆と角塔婆
「板塔婆」は、よく見かける塔婆で、厚さ1cmほどで長さ1~2mほどの板でできており、お墓の後ろの塔婆立てに立てます。塔婆または卒塔婆といえば一般的にはこれを指します。よく見かける塔婆ですので、わかりやすいかと思います。
「角塔婆」四角い柱の形をしており先端が尖っています。墓石が出来上がるまで墓石の代わりに墓標として立てることもあります。太さ10cm程度の四角柱で長さ1~2m程度です。
経木塔婆と七本塔婆
「経木塔婆」は薄い経木で作られた小さな塔婆です。基本的に、お寺での法要の時に使われています。川に流すこともあるため水塔婆とも呼ばれます。「七本塔婆」故人の死後、初七日から四十九日まで七日ごとに法要が行われますが、その時に用いられる小型の板塔婆です。
塔婆立ての種類
近年のお墓では塔婆を直接地面に刺すことが少なくなっており、墓石の後ろにある塔婆立てに塔婆を立てます。塔婆立ては、複数の塔婆が立てられて強風でも塔婆が壊れないような構造になっています。耐久性の高いステンレスや墓石と同じ種類の石材で作られています。
塔婆供養の仕方
塔婆供養を行うには、寺院に依頼して「卒塔婆」を用意します。ここでは、塔婆供養の全体像を解説します。順序を知っていると供養の行事がスムーズに進むため、お盆や回忌法要の前に確認することをおすすめします。
卒塔婆を用意する【読み方とは?】
卒塔婆(そとば)とは、故人の供養のために使われる細長い木の板のことです。塔婆を立てることが良い行い(善行)とされており、善行を積む行いが故人の冥福につながると考えられています。
卒塔婆の起源は古代インドまでさかのぼります。「仏塔」を意味する「ストゥーバ」を中国で漢訳したことが始まりです。そのため、卒塔婆の独特な形も五重塔を表しています。
卒塔婆は、寺院に依頼すれば用意することができます。「戒名」や「命日」「供養年月日」などが記載されており、宗派によっては裏に大日如来を表す「梵」の字が印字されています。
卒塔婆は人間を形どっているともされる
卒塔婆には、「五重塔を簡略化したもの」のほかにも意味があります。「人間を形どっている」ともされているのです。塔婆そのものが「供養」を表現されているともされており、上から順に「空」「風」「火」「水」「地」の梵字が書かれています。
仏教の中でも「密教」と言われる真言宗や天台宗においては、これらの5つの要素が宇宙を構成しているという考えがあります。5つの要素によって人間が生かされると教わるのです。
卒塔婆を立てるタイミング
卒塔婆を立てるタイミングは「法要が終わった後」です。都合が悪くて寺院に出向けない場合は、僧侶に依頼して立ててもらうこともできます。また、足が悪いなどの理由で山の上の寺院に出向けなくなった場合も同様です。
地域によっては「七本塔婆」の風習がある
七本塔婆とは、四十九日までの7回の法要のたびに塔婆を立てていき、最終的に7本にするという風習のことです。地域によってはこの七本塔婆を用いる場所もあります。
昔は葬儀を終えるとすぐに埋葬してしまうため、7日に1度、塔婆を立てる風習があったそうです。最近では四十九日まで納骨しないのが一般的のため、塔婆を7日ごとに建てる風習だけが残ったのです。
通常サイズの塔婆ではなく、小さいサイズの「水塔婆」を使って供養をします。また、7本を別々に立てる以外にも、扇形の塔婆を使う場合もあります。
お盆に行われる施餓鬼とはなに?
お盆の時期に行われることの多い「施餓鬼会(せがきえ)」という行事があります。仏教では、餓鬼と呼ばれる亡者の魂がいつも飢餓に苦しんでおり、この餓鬼に飲食を施して救う機会が施餓鬼会と言われています。
この施餓鬼会は、檀家の皆さんがお寺に食料を持ち寄り塔婆を立てて餓鬼を供養していました。これがお盆に塔婆を立てる習慣に繋がっているのです。
塔婆供養を行う時の服装とは?
塔婆供養をおこなう際の服装について、納骨時や法要時には、正喪服や準喪服など法要の時に着る服装をする必要があります。しかし、お彼岸やお盆に行う場合は、基本的に略喪服・派手な色使いを避けた服装で構わないと言われています。
塔婆供養代はいくらくらい?
では塔婆供養にはいくらくらいの費用が掛かるのでしょうか?かつては、塔婆に書く戒名、命日、供養年月日は手書きでしたが、現在はどのようになっているのでしょうか。その点も費用の面で大切になってきます。ここでは塔婆供養にかかる費用について紹介していきます。
法要の際に卒塔婆供養代を納めよう
卒塔婆を用意する場合、寺院は毛筆またはプリント機で卒塔婆に字を入れ込んでいきます。そのため、法要の時に卒塔婆の作成にかかわる「卒塔婆供養料」を納めます。
読経などのお布施の場合は「お気持ちで結構です」等のような曖昧な返事になりますが、塔婆供養料に関しては費用や手間が明確になっているため、明確な料金設定がされていることが多いです。一般的には5,000円から10,000円くらいが相場とされています。
お布施とは別に用意する
寺院側に塔婆供養料を納める場合は、お布施の封筒とは別々に用意するのがマナーです。気持ちの金額のお布施と一緒にしてしまうと、あとからお布施にいくら払ったのかが分からなくなってしまうからです。白い封筒に「御塔婆料」や「卒塔婆御布施」等と書いて僧侶に渡すようにしてください。
塔婆料の包み方・渡し方
ここからは、卒塔婆供養に納める「卒塔婆御布施」の包み方・渡し方について解説します。寺院に対して失礼にならないよう、正しい手順を守って包むようにしてください。
白い封筒に入れる
卒塔婆料を入れる袋は、特別な封筒を用意する必要はありません。市販されている白い封筒を用意すれば十分です。表書きには「御塔婆料」や「卒塔婆御布施」などと書きます。ボールペンではなく、筆ペンや毛筆で手書きをするのがベターです。
包む金額については、「塔婆を何本立てるか」によって変わってきます。寺院に確認の上、本数分の金額を必ず包むようにしましょう。また、立てる人の名前を封筒に書く時は「御塔婆料」より小さい字で書きます。
水引は不要
水引とは、封筒に飾り付ける紐のことを指します。色合いに応じて「慶事用の水引」と「弔事用の水引」に分けられます。
塔婆供養は弔事の一種であるため「弔事用の水引」を用意するべきかと思いがちですが、卒塔婆料に関しては水引は必要ありません。また、渡すときはお布施とは分けることを忘れないでください。
塔婆供養の時期【寺院への連絡はいつまで?】
塔婆供養は「納骨」や「命日」「お盆」などの仏教的な節目の時期に行うものとされています。ただし、明確に「いつやらなければいけない」という決まりはありません。そのため、お盆や命日であっても、やる・やらないは遺族の自由です。
ただし、当日になって「やっぱりやりたい」と思ってもできるものではありません。塔婆に書かれる施主名や故人の戒名などは、寺院側が手書き又はプリント機で作成するからです。
塔婆供養を行うことを決めたら、なるべく早く寺院側に連絡します。また、決めかねている場合は「いつまでに連絡するべきか」の確認も必要です。
卒塔婆の処分
塔婆供養を行う時期に明確な決まりがないのと同様、処分する時期も特に決まりはありません。木でできているため、そのままにしておけば変色したり腐ったりと見た目が悪くなります。そうなったら交換すれば問題ありません。
古くなった卒塔婆の処分は、寺院に依頼して処分してもらいましょう。かつてはまとめてお焚き上げをしていましたが、環境問題への配慮から難しくなっています。その気になれば燃えるごみの日に処分することもできますが、気が乗らない方がほとんどでしょう。
有料あっても、寺院側に依頼して撤去してもらうのが一番です。
ペットの塔婆供養
卒塔婆は、人間専用というわけではありません。ペット霊園を利用している方は、愛したペットに塔婆供養を行うことも可能です。
ペットの卒塔婆作成費用の相場は、約2,000円とされています。ペット霊園が対応していない場合は、専門のペット供養業者に相談するという手もあります。
塔婆供養の方法まとめ
今回は、「塔婆供養のやり方」と「かかる費用・金銭の包み方」について解説しました。故人の冥福を祈り、遺族としても善行を積むことができる仏教的に大切な行事です。お盆や回忌法要などの節目には、必ず寺院に相談するようにしましょう。
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