お墓を処分する「墓じまい」の流れや費用・注意点を分かりやすく解説

公開日 : 2020/2/16

更新日 : 2020/9/10

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ここ最近、先祖代々のお墓を処分する人が増えているのをご存知ですか?お墓を管理する方の高齢化、受け継ぐ人がいない等の理由によって、お墓を守ることが難しくなっているためです。今回は、増加している「墓じまい」の概要と手続き。注意点について解説します。

公開日 : 2020/2/16

更新日 : 2020/9/10

目次

そもそも『墓じまい』とは

核家族化・少子化が進む現在、管理する人がいないことでお墓を手放す人が増加しています。これには、昔ほど「お墓を守ることにこだわらない」という宗教感の変化も関係していると言われています。

 

そんな現在、先祖からのお墓を処分し、共同墓地で永代供養など管理に手間がかからなくなる「墓じまい」が注目されています。今回は、「墓じまい」の手続きの流れと費用・注意点を解説します。

墓じまいには行政の手続きが必要

墓じまいを行うためには、まずは家族・親族間での話し合って同意を得ることが必要です。手続きを円滑に進めるためにも、家族から同意を得ることが最も重要と言えます。また、同時にお墓の管理者(通常は寺院)に相談することも必要です。

 

寺院側としては檀家さんが辞める(=お布施が減る)という実情があるため、引き留めに合うことも多いです。説明が不十分な結果、多額の離檀料を求められてしまったというケースもあります。そして、実際の手続きは寺院ではなく、市役所とやり取りをします。

 

 

行政手続きの内容

まず、市役所にて以下の3つの書類を提出して『改葬許可』を得る手続きが必要です。

  • 埋葬証明書(現在の寺院・霊園で入手)
  • 受け入れ証明書(新しい寺院・霊園で入手)
  • 改葬許可申請書(最寄りの市役所で入手

 

埋葬証明書は、現在納骨されている寺院で発行してもらいます。逆に受け入れ証明書は、改葬先の寺院や霊園で発行されます。そこに市役所で入手できる改葬許可申請書を添えて提出、というのが基本的な流れです。

 

墓じまいをする時は、1.家族・親族の同意を得る、2.今の寺院に墓じまいを伝える、3.新しい受け入れ先を探す、という3つを行うことになります。

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お墓を処分して更地にしてお寺に返還すること

墓じまいの手続きは、『お骨を取り出して新しい寺院に預けて終わり』ではありません。お骨を取り出した先祖代々のお墓の墓石を解体し、更地にして寺院に返却することが必要です。

 

具体的には、移転先が決まったら現在の寺院で「閉眼の法要」を行います。これは、別名「御魂抜き」とも呼び、お骨をお墓から取り出すための祈祷です。これができないとお骨の取り出しができないため、準備には寺院への依頼が不可欠です。

 

お骨の取り出しの際は石でできた蓋を動かすことになりますが、固くて動かないこともあります。その場合は、石材屋に依頼することになります。お骨の移送が完了したら、お墓の撤去と更地にする工事を行います。いずれも同じ石材屋に依頼するのが一般的です。

 

 

墓じまいをする人が増加している

現在、先祖から守り続けたお墓を「墓じまい」で処分する人が増加しています。主な理由としては、以下のようなものがあります。

  • お墓が遠方にあって管理が難しい
  • 高齢になったためにお墓に行けなくなった
  • 子供に負担をかけたくないという親心

 

昔ほど宗教にこだわらない人が増えているのも、要因として大きいです。少子高齢化で子供世代の人数が減っている以上、この流れは加速しているでしょう。

墓じまいの手続き方法

墓じまいは、家族・親族の同意を得るところから始まります。それができたら、以下の3つの準備を進めていきましょう。

  • 新しい納骨先を決める
  • 市役所での手続きを進める
  • 今の寺院に連絡して移転を進める

新しい納骨先を決める

墓じまいと言っても、お墓と一緒にお骨を処分するわけにはいきません。方法は様々ですが、新しい受け入れ先を探す必要があります。

 

 

お墓の引越し

従来のお墓を処分するのではなく、そのまま新しい寺院に引越しをするという方法です。「お墓を守っていきたいけど、遠方にあるからいけない」という人に選ばれています。ただし、お墓の移送は簡単ではありません。

 

従来の墓地と新しい墓地で寸法や奥行きが違うことがあり、土台を作り直す必要があるからです。離れた場所から墓石を持ってくるにも移送費用がかかるため、新しいお墓を作るのと大差ないくらいの費用がかかるのが一般的です。

 

「どうしても今の墓石を使っていきたい」という強い意志がないと、実現するのは難しいかもしれません。

 

永代供養

永代供養とは、家族に代わって寺院側に供養をお任せする方式です。一定期間が過ぎると合祀(他の人と同じ場所に埋葬する)を行うことになります。自分の代以降にお参りする人がいなくなるといったケースで選択されます。

 

納骨堂での納骨においても、お参りする人がいなくなると最終的に永代供養になります。つまり、一定期間が過ぎると合祀になる点は同じです。後継者がいなくても申し込めることから、無縁仏にならずに寺院に管理してもらえるのが大きなメリットです。

 

また、金銭面でのメリットもあります。最初に一式でお金を払えば、その後のお布施などが不要になるためです。

永代供養のデメリット

デメリットは、親族の理解を得にくい点です。特に親戚に信心深い檀家の方がいる場合、永代供養について不快感を持っている場合もあります。

 

また、一定期間が過ぎて合祀されてしまうと、お骨を取り出して再度引越しすることはできなくなります。「やっぱり自分で管理したい」というお気持ちが芽生えるかもしれない時は、本当に永代供養すべきか冷静に考えることをおすすめします。

納骨堂

納骨堂とは、屋内にある納骨設備です。雨が降ってもお参りができ、外に比べて汚れにくいことから管理の手間もかかりません。上段に本尊が設置された本格的な納骨堂から、ロッカーのように扉がついた簡易的な納骨堂もあります。

 

なお、お参りする人がいなくなった時は寺院の方で永代供養に切り替えてくれます。費用によって納骨方法を選べることもあり、現在人気のタイプの1つです。

納骨堂のデメリット

納骨堂を利用するデメリットとしては、まず、屋内であることからお供え物に制限があることです。火が付いた線香や、お酒などのお供え物がNGであることが多くなっています。

 

耐火工事などによって制限が緩和されている寺院もあるため、気になる人は寺院・霊園に確認しましょう。また、屋内であるがゆえに地震や火事の被害が大きくなることが考えられます。建物が倒壊してしまった場合、どの家のお骨かを判別することはできなくなります。

樹木葬

樹木葬とは、従来のような墓石ではなく、樹木に対して手を合わせるタイプの納骨方法です。墓石を作る・設置するという手間と費用が掛からないため、コストを抑えることができます。

 

里山を墓地として利用するタイプと、霊園や神社の中に墓地を設置するタイプがあります。里山では自然の中に墓地があるため、本当の意味での埋葬に近くなります。ただし、年月が経つと草木が生い茂ってしまう点や、そもそも遠方でないと設置できない点が問題です。

 

霊園や神社に設置するタイプであれば、里山に比べていつでも気軽にお参りできます。なお、一定期間が経過すると合祀されるのは、永代供養と同じです。

市役所等で書類の手続き

墓じまいの方式が決まったら、市役所に出向いて「改葬許可申請」を行います。この時に必要になる書類は「埋葬証明書」「受け入れ証明書」「改葬許可申請書」の3つです。

 

埋葬証明書は、現在のお墓が寺院にある場合は寺院の管理者に発行してもらいます。公営の霊園の場合は市役所で発行される場合もあります。また、受け入れ証明書は新しい墓地・霊園の管理者から取得します。

 

改葬許可申請書は市役所の担当窓口に設置されている書類です。前述の2点の書類と「改葬許可申請書」を併せて提出することで、手続きを進めることができます。

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寺院に連絡して墓じまいを進める

市役所での手続きが済んだら、いよいよ墓じまいが始まります。この作業に不備があると寺院からクレームが入る可能性があるため、墓じまいの流れを確認して正しい手順で進めましょう。

 

実際の墓じまいの流れは、以下の通りです。

  • 閉眼供養
  • お墓の解体・撤去
  • 墓地を更地にして返還

閉眼供養を行う

閉眼供養は、別名で「魂抜き」「ご性根抜き」とも呼ばれますが、やることは同じです。仏教ではお墓や仏壇に魂が宿るとされているため、魂が残っているうちにお墓に手を加えることは大変な失礼とされています。

 

このため、お墓を処分にするためには、お墓を空にするために「閉眼供養」を行うのです。僧侶のお経・祈祷によって魂にお願いをし、お墓から出てもらいます。こうすることで、【故人のお墓】から【単なる石】に戻るのです。

遺骨の取り出し・新しい納骨先へ

墓石業者に墓石の蓋を外してもらったあとは、新しい受け入れ先に骨壺の移送を行います。この時、取り出したお骨の状態によっては洗浄を行う必要があります。湿気を含んだ墓の中に長期間あったことで、カビが生えていることがあるからです。

 

永代供養、合祀の場合は、骨壺の中の水分を抜き取って綺麗に拭きます。ただ、新しい寺院にそのまま預けてしまえば自分で何かを行う必要はありません。

 

永代供養や樹木葬によらず「散骨」をする時は、遺骨を粉にする必要があります。この際は自分で業者を探す必要があるため、お近くの『散骨代行』を探してください。

墓地を更地に戻して寺院に返還する

最後に墓地を更地に戻して寺院に返却すれば、墓じまいは終了です。この時、墓石の撤去や更地に戻す作業は「墓石業者(石材店)」に頼むことになりますが、寺院の側からどの墓石業者に頼むのか指定されることがあります。

 

自分だけで墓石業者を決めてしまうとトラブルになる可能性もあるため、必ず寺院側と相談するようにしてください。

 

自分で選んでいい場合は、必ず複数の業者から相見積もりを取るようにしてください。業者によって値段が全く違うこともあり、少しでも費用を抑えたい場合に特に有効です。

墓じまいにかかる費用とその内訳

ここまでお読みいただいたのなら、いかに墓じまいの手続きが煩雑なのかお判りいただけたと思います。さらに、一般的に墓じまいは費用も高額になる点にも注意が必要です。

 

墓じまいで費用がかかるタイミングとしては、「お墓の撤去」「寺院へのお布施」「離檀料」「新しい墓地に関する費用」などが挙げられます。

 

 

墓じまいにかかる費用の平均

お墓の撤去費用は、【1平方メートル当たり10万円】が目安です。ただし、山奥で重機が入らない場合は作業員による手作業になり、費用が跳ね上がります、金額自体は業者によって変わるため、必ず相見積もりを取りましょう。

 

寺院側に収めるお金としては、【寺院へのお布施】や【離檀料】があります。お布施は、墓じまいの閉眼供養を行うために納めます。それまでお寺にどれだけのお布施をしてきたかによっても金額は変わりますが、3~5万円程度であることが多いです。

 

離檀料は、これまで檀家だった場合に檀家を抜けるための費用です。お寺の格や慣習によっても変わりますが、中には数十万円にもなる場合があります。法的に根拠がない(お寺の言い値で要求される)ことから、トラブルになることも少なくありません。

 

新しい納骨先に関する費用

お墓からお骨を抜いた後は、新しい寺院に受け入れてもらいます。この時も、新しい寺院に支払う費用が発生します。この時、永代供養にするか樹木葬にするか、納骨堂にするかで費用が大きく変わります。

 

大雑把な目安は、樹木葬が「約70万円」、納骨堂が「約50万円」、永代供養が「約20~50万円+墓石の費用」です。永代供養などではなく、単に新しい場所にお墓を立て直す場合は、新しい墓石を購入することになります。その場合は100~200万円がかかります。

 

永代供養の金額はプランによって大きく幅があり、単独のお墓を持つのか合祀(他の人のお骨と一緒に埋葬)で良いのかによっても違います。ただし、合祀をすると二度と故人の骨を取り出せなくなるため、費用だけで決めずに冷静に判断することが大切です。

墓地を更地に戻す費用

墓石の撤去に関する費用は、基本は10平方メートルあたり10万円が基本です。ただし、市街地からアクセスしやすく重機が入る等の条件が揃った場合は、相場より安くなります。山奥にあって重機が入らない場合は、手作業になることから相場が高くなりやすいです。

 

また、解体とは別に処分費用を請求する石材屋さんもあります。大体は解体費用に含まれていますが、高いと思ったら安易に契約しないほうが良いでしょう。石材屋さんの言い値で料金設定されるため、「こんなものだろう」と思って契約してしまうケースが多いです、

 

寺院から石材屋を指定されたり、懇意にしている石材屋でない限りは、相見積もりを取って費用を抑えるように交渉をすることをおすすめします。故人の冥福のためとはいえ、適正な料金を求めていく姿勢は必要です。

子孫に負担を残さない為に「墓じまい」を検討しましょう

今回は、「墓じまい」の概要・手続き方法と、かかる費用について紹介しました、先祖代々の土地を手放すことに、心情的にも親族の反対を受けるかもしれません。しかし、考えるべきは「末永く先祖を供養していく」ことです。

 

長く先祖を守り続けるために、どの方法がベストなのか話し合いを重ねていきましょう。