納棺の儀の基本的な流れや出席するときの正しい服装マナーを解説
公開日 : 2020/8/21
更新日 : 2020/9/9
納棺の儀は故人との最後のお別れです。あの世へ旅立つための下準備をしなくてはいけないため、基本的な流れや出席するときの服装マナーに気を付けましょう。初めての方も多く、地域の風習なども関係してくるため、納棺の儀について確認してみてください。
公開日 : 2020/8/21
更新日 : 2020/9/9
目次
納棺の儀の流れについて
納棺の儀の流れについて、使用する道具の名前や意味を知っておくことで、慌てずにスムーズに進めていくことができます。そこで、納棺の儀の基本的な流れをご紹介しますので、事前に確認しておきましょう。
納棺に参加できる人
納棺の儀とは「棺に納める」ことで入棺をにっかんと呼ぶ地域もあります。故人との最後の触れ合いを行ってゆっくりとお別れをします。この納棺の儀に出席することができるのは、故人に近しい家族や親族であり、葬儀社の人が納棺を済ませたりもします。
故人と親しかった関係であっても、納棺の儀は基本的に家族や親族で行うことが一般的のため、お断りされる場合もあります。そのため、いくら親しい関係であっても納棺の儀は控えるべきです。
納棺の儀は、葬儀社や専門の納棺師と一緒に行うことが多いです。納棺に必要な道具を揃えてもらいながら、葬儀社や納棺師と一緒に納棺の儀を進めていくようにしましょう。
末期の水をとる
納棺の儀で、初めに行うことは末期の水をとることから始まります。故人に最後に与える水であり、脱脂綿に水を浸して故人の口元を潤してあげることです。脱脂綿以外に、新品の筆を使ったり、樒(しきみ)という植物の葉を使う場合もあるため風習に従いましょう。
末期の水は、近しい立場の人から順番に行うため、家族や親族の中でも順番が決まっています。順番が分からないときは、葬儀社や納棺師などにアドバイスしてもらいながら行うようにしてください。故人の関係者全員で行うのが特徴です。最後の人が顔全体も拭きます。
末期の水の儀式があるのは、お釈迦様が亡くなられたときの話からきており、「喉が渇いたので水が欲しい」というお釈迦様に最後となる水を渡したという伝承からきています。
故人の遺体を洗い清める
次に行われる儀式は、湯灌といい故人の遺体を洗い清めます。昔はお風呂に入れて清めることが多かったのですが、病院で亡くなり葬儀場で納棺をすることが増えてきたこともあるため、アルコールで拭き清める方法が増えてきています。
故人と最後の触れ合いができる機会のため、足元から胸に向かって体を清めていき、髪の毛や爪などもきちんと整えるようにしましょう。最後のお世話になるため、公開の内容に故人の体をきれいにしてください。
葬儀場でも湯灌を行うことができる施設があり、湯船を用意してもらうことも可能です。しかし、故人の体を清めるのが大変な場合もあるため、葬儀社と相談してどこまで家族が行うのか打ち合わせをするのがおすすめです。
旅支度をする
故人の体を清めたら、あの世にいくための旅支度を始めないといけません。必要な道具などは葬儀社などが用意してくれますから、まずは基本的な流れをチェックしておきましょう。
死装束を着せる
仏様のもとへ旅立つために個人には死装束を着せます。一般的な服装は、経帷子(きょうかたびら)という和装を着せます。手甲(てっこう)と言われる手を守るものをつけます。その他にも、脚絆(きゃはん)という足を守るものがあり、足袋や草履も履かせます。
頭陀袋(ずだぶくろ)というものは胸元に置きます。近年は、葬儀の内容も多様になっているため、昔からの風習である死装束を着せずに故人が生前に好きだった服装を用意する場合もあります。死装束の上から好きな洋服をかけることもできます。
洋服が好きだった故人であれば、好きだった洋服を入れてあの世に行ってからも来てもらえるようにするのもおすすめです。洋服を入れないとお遍路さんが寺院を巡る旅のような服装になるため、納棺の際は家族で相談して準備してみましょう。
死化粧を行う
納棺の儀の際に行う死化粧は、故人が生きていたときのような姿を再現するものです。顔や髪型を整えて美しくしてあげる儀式であり女性の場合は普段、行っていたような化粧をしてあげるのが特徴です。
故人はドライアイスなどで保存していても、時間が経過するとどうしても口元の色が悪くなってしまうため、生きていたときのような表情にしてあげることが大切になってきます。化粧と聞くと男性は不要のように感じる方もいます。
しかし、死後であっても爪やひげは伸びてしまうため、綺麗に整えてあげることが必要です。さらに、髪型なども普段と同じように整えてあげることが必要ですから、女性に関わらず男性も死化粧を行ってください。
副葬品を入れる
納棺の儀では副葬品を入れることができます。故人があの世へ旅立つときに持たせてあげるものを指し、火葬の際に燃え尽きれば故人の好きなものを入れることができます。しかし、適したものと適さないものがあるため、副葬品について詳しくまとめてみました。
副葬品で入れてよい物
納棺の儀で副葬品を入れる際に適しているものは、火葬をする際に燃え尽きてしまうものです。故人が生前に好きだったものや思い出のものを入れることが多いです。飲食物であればお菓子などで、洋服であればコートやカーディガンです。着物を入れる場合もあります。
副葬品の定番は手紙で故人を偲ぶ言葉などを手紙にする方もいます。生きているときに伝えることが難しかったことを手紙にして入れることで、感謝の気持ちをしっかりと伝えることができます。他には遺品を残しておくと遺族にとって辛いものを入れる場合もあります。
副葬品であの世に行ってからも楽しんでもらいたいものを多く入れたいという気持ちはわかりますが、棺の中に入る量に調整しないといけません。また、葬儀社から副葬品に適さないと言われる場合もあるため、不安なことは確認しましょう。
副葬品に向いていないもの
故人が生前から好きだったものを納棺の儀で副葬品として入れたいと思うものは多いかもしれませんが、副葬品として適さないものもあります。火葬炉でご遺体を燃やす際に、不完全燃焼したり、遺骨に悪影響を及ぼすものは入れることができません。
果物は水分が多く、厚みのある本は最後まで燃え尽きてくれない可能性があります。プラスチック製の副葬品は、遺骨を損傷させる可能性も出てくるため、適していません。ライターやスプレー缶は火葬炉の中で爆発してしまうため、入れないようにしてください。
また、納棺の儀の後はお通夜や葬儀を基本的に行うため、副葬品を見られてしまうこともあります。あまり変なものを入れると目についてしまうため気を付けるようにしましょう。副葬品は家族で相談して何を入れるのか決めてください。
納棺にかかる時間
納棺の儀では様々な儀式を行うため、どのくらいの時間がかかるのか気になる方も多いです。一般的には1時間程度で納棺の儀を終わらせることができます。中には2時間程度かけてゆっくりと行う場合もあるため、時間が気になる際は葬儀社などに確認しましょう。
納棺の儀に時間がかかる場合は、事故や事件などで亡くなった時や災害で亡くなった時など遺体に損傷があるはどうしても時間がかかってしまいます。清める側も納棺の儀の負担が大きくなるため、納棺の儀がスムーズに進めることが難しい場合があります。
納棺の儀にかかる時間は、その故人によって異なるためスケジュールを組みたい際は、葬儀社や納棺師に相談をして、どのくらい時間がかかるのか状況を伝えて教えてもらうようにしましょう。
前火葬の時の注意点
納棺の儀の後に葬儀や火葬を行うのが一般的ですが、山形など地域によっては前火葬を行う場合があります。前火葬は葬儀の前に火葬を行ってしまうため、故人の最後の姿を見たいという方は注意が必要です。
交通の便が悪く遠方から駆け付けることが多い場合、遺体の腐食を考えて葬儀の前に火葬を行う地域があり、それが昔からの風習になっていることがあるため、最後に故人の顔を一目でも見たい場合は、事前に連絡をしてお通夜に参列することが必要です。
お通夜の時の服装は平服で問題はありませんが、私服ではないため略喪服を意識して参列するようにしてください。地域によって、火葬のタイミングが異なりますから、訃報を知った時に確認することをおすすめします。
納棺の儀の服装について
納棺の儀はお通夜や葬儀の前に行うため、平服が一般的ですが、どのような服装で出席すればいいのか悩みやすい方は多いです。そこで、納棺の儀に適した服装についてまとめてみましたので、一緒にチェックしていきましょう。
略喪服を着用する
納棺の儀は葬儀の前に行うことから、服装は平服で出席することが多いです。しかし、平服は私服ではないため略喪服を着用するのがおすすめです。喪に服する時の服装は、基本的に肌の露出を避けなければいけません。
男性の納棺の儀に適した服装は、黒やダークグレーのスーツに黒のネクタイ、白のワイシャツで出席がおすすめです。近年、葬儀場で納棺の儀を行うこともあり、葬儀社の方も一緒に行うため略喪服を着用しましょう。男性はスーツのサイズが合うのか確認してから出席しましょう。
女性の納棺の儀に適した服装は、黒・濃紺・ダークグレーなどのワンピースやスーツを着用します。女性はスカートの丈の長さに気を付けなければいけません。納棺の儀は動きやすい服装が適しているためスーツで出席しても大丈夫です。
子供の服装について
子供の服装は親よりも悩む方が多いです。基本的には就学しているか未就学かで着用する服装が異なります。就学している子供は制服を着用するだけで略喪服として出席することができます。未就学の子供の場合は、大人と一緒に黒やダークグレーを基調にした平服にしましょう。
未就学の男の子は、黒や紺などのスーツに白いシャツを着用すれば大丈夫ですし、女の子の場合は黒の紺のワンピースや地味な色合いのスカートにブラウスを組み合わせることで納棺の儀に適した服装にすることができます。
いくら子供が小さいからと言っても納棺の儀では、服装に気を付けることが必要です。慣れない洋服に子供が嫌がる可能性もありますが、納棺の儀の後に葬儀や火葬がありますから、今の段階から適した洋服を着せるように調整していきましょう。
小物類の基本的なマナー
納棺の儀でアクセサリー類は外すのがマナーです。遺体に触れたりするときに外れて、棺の中に紛れる可能性があります。お通夜や葬儀の基本的なマナーでは、派手でないものや宝石も真珠のみを着用することができるため、納棺の儀には不要です。
納棺の儀は、お通夜や葬式のときのような正式なバッグを持って出席しなくてもよいですが、素材には気を付けましょう。黒がグレーの落ち着いた色合いの無地を意識するようにして、エナメルなど光沢があるものやチェーンのものは避けるようにしてください。
ヘアアクセサリーもバレッタなどは避け、黒のプラスチックまたはピンで対応し、黒の髪ゴムのみでまとめるようにして、調整してください。
納棺の儀に適した靴
納棺の儀に出席する際に、服装に気を付けなければいけませんが、靴も同様に注意が必要です。納棺を行う場所によって、靴の種類も異なります。喪に適した靴は金具がない黒のパンプスを履きますが、自宅で納棺が行われる場合は普段から履いている靴でも大丈夫です。
葬儀場で納棺の儀を行う場合は、黒のパンプスにプラスして動きやすい靴を持参するのがおすすめです。納棺の際にパンプスだと足が疲れてしまい、思うように作業を進めることが難しくなってしまいます。
子供の靴は黒のローファーがベストですが、急ぎの場合であれば普段、履いているスニーカーでも大丈夫です。その際に、派手なカラーでないことを確認しておきましょう。決してサンダルやミュールを履くのはマナー違反になるため注意してください。
納棺の儀の際の香典について
納棺の儀に出席する場合は、香典が必要なのか悩む方もいます。お通夜や葬儀の時に、香典を持っていくのが一般的ですが、親族の場合は早く香典を準備する方もいます。そのため、納棺の儀の際に香典を持っていくのはマナー違反ではありません。
もし、納棺の儀がバタバタしており、香典を渡すタイミングが見当たらない場合は、無理して渡す必要はありません。お通夜や葬儀など渡すタイミングはまだまだあるため、急いで香典を準備する必要はないです。
納棺の儀の際に、香典を渡さなくても失礼にあたりませんし、不安な方はいつでも渡すことができるように準備しておきましょう。遺族の負担にならないタイミングで渡すようにしてください。
納棺の儀で正しい服装で出席しよう
納棺の儀はお通夜や葬儀の前に行うため、服装に悩みやすいですが、平服であっても略喪服を着用するのがおすすめです。地域の風習などもあるため、親族に確認して準備するようにしましょう。マナー違反になってしまう服装もあるため、細かいところに気を付けてください。
納棺の儀の流れを把握しておけば、慌てずに準備を進めていくことができ、基本的な知識があることでスケジュールを立てやすくなります。
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