忌明けの挨拶状とは?書き方や文例とお礼の品物について解説
公開日 : 2021/3/24
更新日 : 2021/3/24
忌明けの挨拶状とは、通夜や葬儀に参列してくださった方へ出す挨拶状です。香典返しを添える場合と、忌明けの挨拶状だけを送る場合の2通りがあります。本記事では忌明けの挨拶状の書き方やマナー、文例のほか、香典返しのマナーについても紹介します。
公開日 : 2021/3/24
更新日 : 2021/3/24
目次
忌明けの挨拶状とは?
忌明けの挨拶状とは、故人と親しく付き合っていた方や、通夜や告別式に参列してくれた方々に対して、無事に忌が明けたことを報告するための挨拶状です。四十九日が明けてから出すため、「四十九日の挨拶状」と呼ばれれることもあります。
「忌明け」の意味
「忌」とは近親者の死に際して、遺族が故人を悼んで身を慎むべき期間とされています。忌中は他人との交流を絶ち、行事への参加も控えて静かに過ごすのが習わしです。これは、神道における「死=穢れ」という考え方に基づいています。
死とは穢れであり、穢れは他人に移るものです。そのため、死の穢れを負っている遺族は、一定期間身を慎んで周囲に穢れを広めるのを控えるというのが忌中の考え方です。似た言葉に「喪」あるいは「服喪」があります。
服喪も忌中も同様の考え方です。しかし服喪は故人の逝去から約1年であるのに対し、忌中は四十九日までとされています。忌中は故人の逝去から間もない期間であるため、一般的に歯服喪よりも厳格に身を慎むべきと考えられています。なお、忌明けを迎えると、遺族は日常生活に復帰することができます。
忌明けの挨拶状を送るタイミング
忌明けの挨拶状を送るタイミングは、忌明け後なるべくすぐが望ましいです。なお、遺族の忌が明けるのは、四十九日です。故人の逝去から49日までを中陰といい、この期間、故人の魂はあの世で閻魔大王の裁きを受けます。裁判は49日目に終了し、故人の魂は無事に成仏して新しい世界に生まれ変わります。
以上のように、故人の魂は四十九日をもって成仏するため、それに伴い遺族の忌の期間も終わると考えられています。そのため、忌明けの挨拶状は四十九日を迎えて忌が明けたタイミングで出します。
具体的には四十九日の法要後が一般的です。このとき、法要からあまり間を置かないことが重要です。忌明けの挨拶状は、通夜や葬儀に駆けつけてくださったことへのお礼と、無事に忌が明けたことを報告するためのものです。
あまり遅くなるのは先方に失礼にあたるため、四十九日が終わったらすぐに発送できるよう準備しておきましょう。遅くとも、四十九日から1カ月以内には先方に届くようにします。
「香典返し」を添えることが一般的
香典返しに添えて忌明けの挨拶状を出すことも多いです。香典返しとは、葬儀に際し香典を頂いた方へのお礼の品です。忌明けの挨拶状は忌明け後すぐ送ることが望ましいため、香典返しと一緒に送る場合は、品物の準備も早めにおこなっておきましょう。
「即日返し」の場合は?
忌明けの挨拶状は香典返しに添えることが一般的ですが、近年は葬儀と同日に香典返しを行う「即日返し」のケースも増えています。この場合、香典返しには葬儀への参列のお礼として「会葬御礼状」を添えることが一般的です。では会葬御礼状を送っている場合、忌明けの挨拶状はどうすればよいのでしょうか。
基本的には、やはり忌明け後に改めて挨拶状を送ります。忌明けの挨拶状はあくまで忌が明けたことを報告するためのものであるため、会葬の御礼状と別に送ることは不自然ではありません。葬儀に駆けつけてくださった方へのお礼を伝えるためにも、やはり忌明けの挨拶状を出した方がよいでしょう。
忌明けの挨拶状を書く時の注意点
忌明けの挨拶状は手書きする場合と、定型文などを利用してパソコン・ワープロで作成する場合の2通りの方法があります。どちらの場合にも共通するマナーについて代表的なものを解説します。
「濃墨」を使う
四十九日前の香典や挨拶状には薄墨を使用するという習慣があります。これは、「突然の不幸で墨をすることができない」という弔意を表すためです。薄墨を使用するのは四十九日までで、それ以降の香典や挨拶状には通常の濃さの墨を用います。
そのため、忌明けの挨拶状にも通常の濃さの墨を使用します。もっとも丁寧なのは、毛筆で手書きすることですが、代替品として筆ペンを使用することもできます。しかし近年はパソコンなどを使って作成する場合がもっとも多いでしょう。
プリンターや文書作成ソフトによっては、弔事用に薄墨を使えるものもありますが、忌明けの挨拶状に関しては通常の墨を使いましょう。
句読点を用いない
忌明けの挨拶状に限らず、正式な挨拶状や礼状には句読点を使用しないというマナーがあります。たとえば年賀状や各種の症状なども、正式には句読点を用いません。理由には諸説ありますが、弔事の場合は、儀式がつつがなく済むようにという思いが込められているといわれています。
さまざまな媒体の忌明けの挨拶状の定型文を見ても、句読点を用いていないものが多く見られます。そのため、自分で作成するときも倣って句読点を使用しない傾向があります。近年は読みやすさを重視して、句読点を使用することもあります。また、句読点を使用しても、とくに失礼には当たらないとされています。
時候の挨拶などは省略してもよい
忌明けの挨拶状は短く簡潔にまとめるのがよいとされています。そのため、時候の挨拶や前置きは必ずしも必要ではありません。おなじく「拝啓」「敬具」などの頭語・結語を省略しても失礼に当たりません。ただし、頭語や結語を使用する場合は、かならずワンセットで盛り込むのがルールです。
盛り込むべきポイント
忌明けの挨拶状に盛り込むべきポイントは、以下の通りです。
・故人の名前あるいは戒名
・葬儀参列へのお礼
・忌が明けたことの報告
・書状でお礼を述べることへのお詫び
・今後も変わらない付き合いをお願いする趣旨
・(香典返しがある場合)お返しの品を添えている旨
・日付・喪主の住所と氏名
以上が押さえるべき基本的なポイントです。定型文では味気ないため、相手との関係性に合わせて言葉の選び方や内容を変えるのがベストです。
忌明けの挨拶状の文例
忌明けの挨拶状の文例について、香典返しがある場合とない場合の2通りをご紹介します。あくまでオーソドックスなものであるため、相手との関係性などにあわせて、盛り込むべき内容や言葉選びを変えられると、ぐっと親しみのある挨拶状に仕上げることができます。
香典返しがない場合
「先般 亡父 ○○○○儀 永眠の際は ご鄭重なる御厚志を賜り 有難く厚くお礼申し上げ
ます
つきましてはおかげをもちまして 本日 満中陰の法要を相営み忌明を迎えましたこと
ご報告申し上げますとともに 生前賜りましたご厚誼に対し 改めて御礼申し上げます
略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶とさせていただきます
令和××年××月××日
〒□□□-□□□□□
住所 施主○○○○
親族一同」
香典返しがある場合
「謹啓
亡父○○儀 葬儀に際しましては ご懇篤なるご弔詞ならびにご厚志を賜り 厚く御礼申し上げます
おかげをもちまして 本日
○○院○○○○○居士(戒名)
七七日忌法要を滞りなく相営みました
つきましては 供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたしましたので ご受納いただけ
れば幸いです
本来ならばご挨拶に伺うべきところ 略儀ながら書状をもちまして 謹んでご挨拶申し上
げます
謹白
令和××年××月××日
〒□□□-□□□□□
住所 施主○○○○
親族一同」
神道やキリスト教における忌明けの挨拶状とは?
神道やキリスト教でも、忌明けに相当する節目があります。その際には、やはりお世話になった方々に挨拶状を出すのが一般的です。神道では「五十日祭」が、仏教における四十九日に相当します。
キリスト教の場合はプロテストタンとカトリックによって考え方が異なります。しかしどちらも故人の逝去から30日目に、それぞれ「昇天記念日の記念集会」「追悼ミサ」という儀式を行い、これが仏教における四十九日に相当します。
仏教・神道・キリスト教では、それぞれにおいて表現が異なります。たとえば「香典」や「法要」は仏教用語であり、神道やキリスト教では使用できません。そのため、忌明けの挨拶状を作成するときは、各宗教・宗派ごとに言葉の選び方に注意が必要です。
忌明けの挨拶状に添える「香典返し」のマナー
一般的には、忌明けの挨拶状と香典返しはワンセットと考えられています。ここからは、忌明けの挨拶状に添える香典返しのマナーや注意点について解説します。
香典返しとは?
香典返しとは、葬儀あるいは法要に際し、香典を頂いた方に後日お返しするお礼の品のことです。葬儀の香典返しの場合は、忌明けの報告も兼ねて四十九日後にお返しすることが一般的です。ただし最近は葬儀と同日に香典を返す「即日返し」のケースも増えています。
会葬返礼品との違いは?
葬儀の参列者にお渡しする品には「会葬返礼品」あるいは「会葬御礼品」があります。香典返しとよく混同されてしまいますが、2つは趣旨が全く異なります。
香典返しは、故人に供えていただいた香典へのお礼の品です。そのため、香典を頂いた方にお渡しします。一方、会葬返礼品とは、葬儀に足を運んでくださったことへのお礼としてお渡しします。そのため、原則として葬儀の参列者全員にお渡しします。
会葬返礼品は、記帳のタイミングでお渡しするのが一般的です。対して香典返しは、基本的には忌が明けてからお返しします。以上のように、会葬返礼品と香典返しは、「趣旨」や「お渡しするタイミング」がまったく異なるものだといえます。
香典返しの金額相場
香典返しの相場は、受け取った香典の1/3~1/2です。一般的には、「半返し」として半分の金額の品を用意することが多いです。葬儀の香典の相場が1万円~3万円であるため、香典返しの相場は5000円~1万5000円といったところです。
しかし時には、5万円以上の高額の香典を頂くこともあり得ます。その場合、香典返しの金額も大きくなり、遺族に負担がかかることもあります。しかし、香典返しの相場はあくまで目安であり、半返しを厳守する必要はありません。
香典返しとは、あくまで香典をお供えいただいたことへのお礼と、忌が無事に明けたことをご報告するためのものです。無理のない範囲で用意しても失礼にはありません。
「即日返し」の場合
一般的に香典は、葬儀後に香典を計算し、それぞれの金額にふさわしい品を送ります。しかし即日返しの場合は、香典を数える時間はないため、一律同じ金額の品を用意します。香典の相場が1~3万円であるため、即日返しは3000円~5000円の品を用意するのが妥当です。
もし高額な香典を頂き、即日返しの品が金額に見合っていない場合は、後日、お礼とともに改めて香典返し送ってもかまいません。
香典返しの選び方
香典返しの品の選び方のポイントは、「消えもの」「軽い」「かさばらない」が基本的です。「不幸が後に残らないように」ということから、「消えもの」を選ぶことは特に重要です。飲食物のほか、タオルや石鹸、調味料などの日常的な消耗品であれば、受け取った方も使いやすいでしょう。以下に、香典返しの品としてよく選ばれている品物を紹介します。
タオル
タオルは老若男女問わず使える消耗品であるため、香典返しの品としてよく選ばれています。バスタオルやフェイスタオルのほか、ハンカチなどもよいでしょう。香典返しの品であるため、華やかな色やデザインは避け、シンプルで落ち着いたものを選んでください。
洗剤・石鹸
石鹸や洗剤も、老若男女を問わず使いやすい品です。詰め合わせのほか、高級感のあるものを選ぶと喜んでもらえます。あまり香りがきついものは避け、誰でも使いやすいものを選ぶのがポイントです。
海苔・油・しょうゆなど
海苔などの乾物のほか、油やしょうゆなどの日配品も、日常的に消耗できるため、おすすめです。詰め合わせや高級品など、相手に合わせて選んでみるのも良いでしょう。ただし乾物であっても、昆布やカツオ節などは慶事の食べ物であるため、香典返しには不適とされています。
茶葉・コーヒー
緑茶や紅茶、コーヒーなどの嗜好品もよく選ばれています。個包装されているものや、少量タイプの詰め合わせなど、他の人と分け合やすいものを選ぶのがポイントです。高級銘柄や有名なブランドのものなどを選ぶと喜んでもらえるでしょう。
お菓子
お菓子の詰め合わせも喜ばれる品です。紅茶やコーヒーとの詰め合わせにしても良いでしょう。お菓子の場合は、日持ちがする焼き菓子やゼリーを選びます。あるいは饅頭やようかんなどもおすすめです。相手の年齢や家族構成によってバリエーションを変化させてみてください。
カタログギフト
近年主流になりつつあるのが、カタログギフトです。カタログギフトは相手が自由に品を選べるため、品物選びに失敗することがありません。価格帯もさまざまあり、選ぶ側にとっても負担の少ない香典返しと言えるでしょう。
香典返しにのしは必要?
香典返しにはかならず熨斗をかけます。厳密に言えば熨斗は慶事用であるため、弔事の場合は「掛け紙」と言います。香典返しの掛け紙は、黒白・水引の水引がついたものを選ぶことが一般的です。ただし水引の色は地域や宗派によって違いがあるため、注意してください。
表書きも地域や宗派の風習によって異なります。一般的には「志」を用いますが、西日本では忌明けを表す「満中陰志」が使用される地域もあります。
お世話になった方々への感謝を込めよう
忌明けの挨拶状は、お世話になった方々への感謝と、無事に忌明けを迎えたことの報告のための書状です。今後も親しく付き合いを続けていくためにも、心のこもった丁寧な書状を送りましょう。
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