法要のお布施はどれ位かかるのか費用相場をわかりやすく解説
公開日 : 2021/1/27
更新日 : 2023/11/20
慌ただしい故人の葬儀・告別式の後は、間もなく法要(法事)の準備を行う必要がでてきます。法要(法事)を行う際はお布施が必要となります。そこで今回は、法要(法事)に関するお布施の相場、そのお布施の包み方等について解説します。
公開日 : 2021/1/27
更新日 : 2023/11/20
目次
法要(法事)のお布施とその相場について
法要(法事)を行う際は、僧侶に供養のための読経をしてもらいます。その感謝として「お布施」を僧侶へ渡します。古来から受け継がれてきた習慣の一つです。
とはいえ、いくらお金を渡せば良いのか?現金のみで渡せば良いのか?わからないことが多いはずです。こちらではお布施とは何か、各宗派のお布施の相場に違いがあるのかを解説します。
お布施とは
お布施は一般的に、寺院の僧侶へ謝礼として渡すお金のことです。寺院・霊園の活動を維持するためにお供えし、御本尊を守ることで故人の供養を行います。
そもそもお布施を渡す意味は、読経・戒名の対価ではなくご自分の持つ物を、見返りを求めず喜んで差し出すことにあります。そのため、お布施は明確な金額が決まっていないのです。しかしながら、最近では読経・戒名の対価にお渡しする、という習慣として根付いたのも事実です。
浄土真宗や日蓮宗・真言宗等、各宗派のお布施の相場
各宗派では葬儀・告別式の僧侶の読経、戒名の位によってお布施の金額は大きく異なります。一方、法要(法事)に関して各宗派であまり大きな違いはありません。
ただし、法要の回数等によって僧侶へのお布施の相場は変わってきます。だいたい5,000円~5万円の差が出ます。どうやら忌明け法要や、ご遺族が気持ちを切り替えるための法要という、大切な「区切り」となる法要の際、お布施の相場は高くなる傾向があるようです。
そもそも法要(法事)とは
故人のためとはいえ慌ただしい葬儀・告別式が終わり、ようやく故人を悼む時間が作れたご遺族も多いはずです。しかし、間もなく法要(法事)の準備を行う必要がでてきます。まず法要(法事)とはどんな儀式なのか、法要と法事の違いについても解説します。
法要(法事)は葬儀の後に行う儀式
法要(法事)は葬儀・告別式の後に行い、亡くなられた人の冥福を祈って、供養を行う仏教の儀式です。仏教のほとんどの宗派には逝去後、極楽浄土へ旅立てるか否かの裁きを、閻魔大王をはじめとした十王が行う、という考え方があります。
遺族は七日おきに実施される裁きへ合わせ法要を営み、故人の冥福を祈るのです。この法要を「忌日法要」と呼びます。極楽浄土へいけるかどうかの判定は四十九日目に下されますが、その後も故人の供養ため法要は継続されていきます。
法要と法事は異なる?
法要も法事も、故人の冥福を祈るということに変わりはありません。ただし、法要は供養のための仏教的な儀式(僧侶の読経、祈りや線香をあげる等)を指し、法事とは仏教の行事のことを指します。
「読経や線香をあげる等の法要+その後の会食等」が法事、ということになるのです。つまり、法要は法事の一部なのです。法事をするならば、参列者の会食等も考慮して準備する必要があります。
各法要の意味とお布施の金額相場について
故人の供養のために行う法要(法事)の際、毎回にわたり一律の金額を、お布施として僧侶へ手渡すわけではありません。
故人にとってあの世へ行ってからの重要な日となる、初七日法要、四十九日法要その他の法要(法事)ごとに、その相場は異なってきます。こちらでは、各法要(法事)の意味、お布施の相場について解説します。
初七日法要のお布施の相場
初七日法要は仏教における、故人があの世へ行くため「三途の川」のほとりへ到着する日とされています。つまり、ここから極楽へ行けるかどうかの選別がはじまるのです。
本来の初七日は、故人の亡くなった日を含む7日目に行うものでした。しかし、最近では葬儀後に合わせて行われる場合が多く、僧侶の読経の後、お斎が設けられます。その他、七日ごとに行う法要として二七日や三七日、四七日もあるのですが、四十九日まで法要を省略するケースが増えています。
ともあれ故人にとっては大事な日なので、お布施もやや多めに僧侶へ渡します。初七日法要の相場は、3~5万円です。
四十九日法要のお布施の相場
四十九日法要は、故人が極楽浄土に行けるかどうかの重要な節目です。仏教では、故人が「地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天界」に分かれた六つの鳥居の、いずれかを通る日がと言われています。
とはいえ、故人の運しだいというわけではありません。故人の生前の行状と、これまでの裁き、追善供養の有無の比較衡量によって、どの鳥居を選んでも地獄行きになる等、シビアな結果となる場合もあるのです。
この四十九日で「忌明け」します。故人にとって大事な最終関門の日なので、こちらの法要でもお布施はやや多めに僧侶へ渡します。初七日法要の相場は、3万円~5万円です。
納骨法要のお布施の相場
先祖代々のお墓がある、または新たにお墓を購入したらいよいよ遺骨が納骨されます。これが「納骨法要」です。その他、納骨式とも呼ばれています。
四十九日に合わせて納骨する場合が多く、僧侶によって読経をしてもらうことの他、親族、故人と親しかった友人・知人等も参列して供養します。
納骨法要の場合もお布施の相場は3万円~5万円ですが、四十九日法要と合わせて行っても、お布施を上乗せする必要もなく、同額で十分です。
ただし、仏壇等に故人の魂が宿っていると考えられているので、魂抜き・魂入れという法要も別にあります。こちらのお布施の相場は1万円~5万円です。
新盆・お盆・お彼岸のお布施の相場
四十九日法要を過ぎ、遺族が初めて迎えるお盆が「新盆」です。とはいえ、最近では普通のお盆と同じように、親族のみで行われることがほとんどです。
盆供養は先祖供養の意味合いが強いものの、生前に悪いことをして亡者の世界へ落とされた人達へ供物を施し、同時に徳を積む法要ともいわれています。僧侶へのお布施の相場は5,000円~1万円です。
百箇日法要のお布施の相場
仏教において故人は四十九日目で行き先が決まります。ただし、仮に「地獄界・餓鬼界・畜生界」へ落とされても、再審の道が開かれていると言われています。つまり、再審の結果によっては故人が極楽へ向かえる場合もあるのです。
この百箇日法要は、もしも故人がこれら「地獄界・餓鬼界・畜生界」に落とされたケースのことを考え、観音様に助けてもらえるよう儀式を行うという意味があります。
遺族側としては悲しみを断ち切り、前を向くという意味もあります。こちらの法要は、地域差や各家庭により違いがあるものの、親族に加え、友人や知人を集めて供養し、会食をするということもあります。僧侶へのお布施の相場は3万円~5万円です。
一周忌のお布施の相場
一周忌は、年忌法要(定められた年に執り行われる法要)の中で喪が明ける日とされています。古来より盛大に法要が執り行われていました。最近では親族間で質素に行う場合がほとんどです。ただし、区切りの法要なので僧侶へのお布施の相場は初七日法要、四十九日法要等と同じく3万円~5万円です。
一周忌では僧侶の読経が行われ、遺族のみならず親類・友人・知人を招きたい場合もあるはずです。ただし、各々の参加する日程の調整も必要でしょう。
例えば前述した1月25日に故人が亡くなった場合、1年後のその月日に行われた方が良いです。しかし、多くの参列者が集まることの可能な土曜・日曜に変更しても大丈夫です。
多くの場合、故人の命日より前の休日(土曜・日曜)に執り行われます。ただし、日程の調整自体は決まった形式が定められておらず、遺族間で自由に決めて差し支えありません。
三回忌・七回忌・13回忌・17回忌以降のお布施の場合
一周忌のあとは満2年目の命日である「三回忌」、故人が悟りの道へ精進する時期とされている「七回忌」、故人が金剛界大日如来と一つになり仏に近付く「13回忌」、今度は故人と胎臓界大日如来とが一つになる「17回忌」というように継続していきます。
この段階になると故人が地獄へ落ちる様な事態はなく、極楽浄土で仏になるための修業が行われる、というのが仏教の考え方です。
なお、33回忌になれば「忌上げ」とされ、今後は故人としての法事・法要ではなく、ご先祖として供養されます。三回忌以降のお布施の相場は1万円~5万円です。
法要(法事)のお布施の相場を知ったらお金を包む
お布施の相場がわかったからといって安心はできません。法要(法事)で僧侶に渡すお金は、葬儀・告別式の場合と同様、そのまま手渡してはいけません。お布施の包み方にも作法があります。
誤った方法で僧侶にお布施を渡すと、法要(法事)の厳かな雰囲気が台無しになるばかりか、受け取るはずの僧侶が不快な思いをします。こちらではお布施の正しい包み方、お布施の金額等の書き方について解説します。
お布施は奉書紙や封筒で包む
お布施を包む物は何でも良いわけでは無く、奉書紙または封筒で包みます。こちらでは、奉書紙・封筒でのお布施の包み方を解説します。
奉書紙で包む場合
もともとお布施は「奉書紙」に包んで僧侶へ渡していました。こちらで渡し方が正式です。なるべく奉書紙で包んだ方がより丁寧です。奉書紙は概ね書道用品を扱っている、大きめの文房具店で購入できます。
奉書紙のつるつるしているほうが表てです。お布施を包む際、まず裏を上にしてから折ります。紙幣はい直に奉書紙へは入れません。半紙でお布施を包んだ上で、奉書紙で更に包みます。一般的に僧侶へ渡す物なので、水引き等、何も付けなくて問題はありません。
封筒で包む場合
奉書紙が用意できないなら、無地の封筒を利用しても構いません。ただし、郵便番号欄のない封筒、不幸が重なるという意味を避け封の二重になっていない封筒を選びましょう
不祝儀袋で僧侶へ渡すのは、厳密には失礼と言えます。しかし、最近では気にされない方々が多いようです。一方、祝儀袋の場合はやはりマナー違反です。封筒で渡す場合も、それなりに配慮しなければいけない点があるので注意しましょう。
ダメな入れ方もあるので注意
お布施で用意するお金は、香典の場合と異なり新札でも構いません。お布施はあくまで僧侶に対してのお金なので新旧を気にかける必要はないです。ただし、入れる金額は香典と同様に「4万円」や「9万円」は、「死」と「苦」を連想させるので避けましょう。
お布施の相場は、前述したように5,000円、1万円、3万円、5万円と奇数で渡すのが無難です。しかし、2万円や6万円というように、偶数で割れる数字であっても失礼にはあたりません。
お布施の金額等の書き方
お布施を入れる袋は奉書紙が理想です。しかし、前述したように郵便番号欄のない無地の封筒・封の二重になっていない封筒で代用してもかまいません。
また、最近では「お布施」と書かれてあるお布施袋も販売されています。ただし、奉書紙や無地の封筒を利用するならば、文字を自分で書き足す必要があります。
お布施を入れる袋の表書き
お布施を入れる袋の表書きは真ん中より上に、「お布施」または「御布施」と書きます。その下に、ご自分の氏名もまたは「〇〇家」と書きます。文字は香典と違い薄墨で書く必要がありません。濃墨や濃い筆ペンで書いて構いません。
なお、お布施の金額は裏書きします。金額は買いていなくても構わないですが、僧侶が事務処理を行い易くなります。内袋(中袋)があるなら、そちらに金額を記入しましょう。
お布施の金額の書き方
金額は袋の裏の下部または内袋(中袋)へ書きます。金額を書くときは、頭に「金」をつけましょう。金額は縦書きにすると見栄えが良いです。金額は旧字の漢数字で書くのがマナーです。次の文字を参考にしてください。
- 1→壱
- 2→弐
- 3→参
- 5→伍
- 6→六
- 7→七
- 8→八
- 十→拾
- 百→百
- 千→仟(阡)
- 万→萬
旧字を使うことで、改ざん予防をしていた頃の慣習が、お布施を渡すマナーとして定着したのです。
法要(法事)でお布施を渡すタイミングについて
お布施は法事が終わり、僧侶が帰られるときに渡しましょう。僧侶に感謝の言葉も添えながら渡すのが礼儀です。お布施の他にも御膳料・御車料をまとめて渡しても構いません。ただし、一番上へお布施を重ねるようにしましょう。
切手盆に乗せてお渡しすることが基本です。その際、切手盆を畳・床において滑らせて渡す方法はマナー違反となるので避けます。
自宅に切手盆がない場合、袱紗(ふくさ)で代用することができます。なお、袱紗とは絹またはちりめんでできた四角い布のことです。僧侶の前でこの袱紗を開けて、お布施の袋の字の向きを僧侶側へ向けます。その後、袱紗をたたみ袋に乗せて渡します。
法要(法事)のお布施の相場を知り僧侶へ渡そう
法要(法事)で行う僧侶の読経は、故人の供養のために大切な儀式と言えます。お布施の金額に決まりなどありませんが、だいたいの相場はわかったことでしょう。お布施は古来からの受け継がれた習慣です。その習慣に従うことも供養の一部と言えます。
僧侶は故人が極楽浄土へ行けるように、ご自宅や法要を催した会場へ来てくれたのですから、感謝の言葉も添えながらお布施を渡しましょう。ただし、僧侶の中にはお布施をあえて頂かない方々もいます。
そんな時は「せっかく用意したのに、なぜ受け取らないんだ。」と不快に思わず、その意思を尊重しましょう。法要はその後、何回かに渡って行われるはずです。法要の際は、故人の供養そして僧侶への感謝を忘れないようにすることが大切です。
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