一周忌法要のマナーのまとめ | 遺族側&参列者側の心構えをチェック
公開日 : 2021/1/20
更新日 : 2021/1/20
一周忌は故人の逝去から1年後に行う行事。一周忌を境に遺族の服喪期間も明けるため、追善供養の中でも節目となる行事とされています。本記事では、一周忌当日の流れや準備の仕方のほか、参列者側のマナーについて詳しくご紹介しています。
公開日 : 2021/1/20
更新日 : 2021/1/20
目次
一周忌とは
一周忌とは仏教行事の1つで、死者の冥福を祈るための追善供養です。故人の命日の満1年後に行います。最近は百箇日法要は省略されることが多いため、四十九日の次に行う法要が一周忌ということも多いです。
一周忌は四十九日と並んで、とくに大切な追善供養だといわれています。理由として、一周忌を境に遺族の服喪期間が終わることが挙げられます。ちなみに四十九日は遺族の忌が空ける日です。このように一周忌は遺族の気持ちの面でも大きな変化がある行事であるため、これを機会に納骨を行うこともあります。
一回忌と呼んでもいいの?
一周忌の次の追善供養は三回忌です。それでは、一周忌を一回忌と呼んでもよいのでしょうか?答えは「否」です。なぜなら、一周忌と三回忌・七回忌・十三回忌…などの年忌法要は数え方が異なるからです。
前述のように一周忌は故人の命日の満1年後に行うものです。対して三回忌は、故人の逝去かの翌々年、つまり2年後に行います。三回忌や七回忌などの年忌法要は、故人の逝去した日を起点として数えでカウントしていきます。つまり、1回忌とは故人が逝去し日であるということです。
ちなみに数えで計算するならば、一周忌は二回忌にあたります。一周忌は遺族の1年間の喪が明ける日であるため、それ以降の年忌法要とは区別されています。
一周忌法要当日の流れ
一周忌の法要の流れは、宗派や規模によって異なりますが、一般的には以下のように進みます。
1 | 僧侶の入場 |
・入場した僧侶が祭壇の前に座ります ・祭壇に向かって右側に遺族、向かって反対側に近親者や一般参列者が座ります |
2 | 施主の挨拶 | 法要の開始の挨拶を行います |
3 | 僧侶の読経 | 故人の冥福を祈るためにお経をあげます |
4 | 焼香 | 施主・遺族・一般参列者の順番で行います |
5 | 僧侶の法話 | 僧侶からお話があることが一般的です |
6 | 施主の挨拶 | 法要の終了の挨拶を行います |
7 | 会食 | 僧侶を含めて参列者全員で行うのが一般的です |
お墓に近い会場の場合、僧侶の法話のあとにお墓参りに行く場合もあります。また、一周忌で納骨を行う場合は、一周忌法要の終了後・会食の前にお墓で納骨式を行います。
ちなみに、上の例のように会食を含む法要は「法事」と呼ばれます。最近は会食を省略することも多く、その場合は「法要」と呼び分けます。
一周忌法要の準備方法
一周忌と四十九日の間には大きな間が空くため、法要の準備の仕方を忘れてしまった…という方も多いかもしれません。以下に、一周忌法要の準備方法の流れについてご紹介していきます。
日程と会場を決める
まずは一周忌法要の日程を決めます、。一周忌法要は逝去から満1年後の命日に行います。ただし最近は参列者のスケジュールの都合などから、直近の週末や休日などに前倒しして行うことが一般的です。
一周忌に限らず、年忌法要や追善供養は、命日以前までに行うのが習わしです。たとえば3月15日が命日の場合、法要は3月15日までに行います。3月16日以降に年忌法要や追善供養を行うのは望ましくありません。
日程が決まったら、会場を手配します。一周忌は自宅で行うことが多いですが、葬祭会館を借りたり、菩提寺などの寺院で行ったりすることもあります。他所を借りて法要を行う場合、直近に連絡すると会場を押さえられないことがあります。すくなくとも2カ月前までには会場の手配を済ませましょう。
僧侶・参列者への連絡
まずは、一周忌に招く僧侶に連絡を入れましょう。会場の予約と同じく、お寺への連絡はなるべく早めに行うことが望ましいです。少なくとも2カ月前までには連絡を行うようにしましょう。日程と合わせて、会場の案内も行います。
同じタイミングで、一周忌法要に来てほしい相手にも連絡を行います。連絡方法は、案内状を出すのが一般的です。ただし近親者のみで行う場合は、電話やメールで連絡を取ることもあります。いずれの方法であっても、一方的に案内を出すのではなく、必ず出欠の返事をもらいましょう。
一周忌の参列者の範囲とは?
四十九日・一周忌・三回忌の参列者の範囲は、基本的には葬儀の参列者とされています。盛大に行う場合が多く、近親者・親族以外に故人の知人や友人を招きます。しかし最近は、家族葬や小規模な葬儀の普及により、一周忌も家族や近しい親族のみで行うケースが多いです。
参列者の範囲は、親族間の付き合いや、居住地にもよります。たとえば近親者であっても高齢な場合や遠方に住んでいる場合は、招待を遠慮するケースもあります。招待すべきか迷ったときは、思い切って先方に相談してみるのもおすすめです。
会食の手配
会食がある場合は、食事の会場や料理内容を手配します。会食はレストランや料理屋で行うこともあれば、自宅で手料理などを出すこともあります。または仕出しを頼むこともあります。
会食は僧侶を含め参列者全員で行うのが一般的ですが、場合によっては参加しない人もいるでしょう。そのため、法要の出欠の確認を取るときに、必ず会食への参加についても確認しておきましょう。
料理内容は比較的自由です。しかしあくまで弔事の一環ですので、鯛や伊勢海老などの縁起のよい食べ物は慎みます。レストランなどを利用する場合は、予約のときに、法事であることを知らせておくと対応してくれるところが多いです。
お布施の準備
僧侶へのお礼としてお布施の準備をします。一周忌のお布施の金額相場は3万~5万です。お金は白封筒もしくは白黒の水引ののし袋などに包みます。表書きは「お布施」「御布施」とし、筆記用具は通常の濃さの筆・筆ペンを使用します。
お布施とは別に現金を包むこともあります。たとえば会食を辞退された場合は、その代わりに「御膳料」を用意します。また遠方から足を運んでもらう場合は、交通費として「御車代」を包みます。相場はそれぞれ5000円~1万円です。
香典返し・引き出物の準備
一周忌法要の参列者は香典を持参するのが一般的ですので、そのお礼として香典返しの品を準備しておきます。あるいは、引き出物という名目で品物を用意することもあります。香典返しの相場は香典の1/3~1/2です。
一周忌の香典の相場は5000円~1万円程度ですので、だいたい3000円~5000円が香典返しの金額の相場になります。引き出物を用意する場合も、3000円~5000円を目安にするとよいでしょう。
香典返しの品物は後に残らない「消えもの」を選ぶことが一般的です。たとえばタオルやせっけんなどの日用品のほか、お菓子やお茶などの食べ物・飲み物などもよく選ばれます。参列者の持ち帰りのことを考えて、軽くてかさばらず、かつ常温で日持ちする品物を考えてみてください。
香典返しの品には熨斗をかけます。熨斗は白黒または双銀の水引がついたものを用います。表書きは「粗供養」「志」などが一般的です。
お花やお供え物の準備
一周忌のお花やお供え物は、施主や親族が用意することが多いです。お供え物は線香やロウソクのほか、故人が好きだったお菓子やお酒などもよく選ばれています。
喪服の準備
一周忌法要では、遺族は基本的に喪服を着用します。男性は黒色のジャケットとスラックスにネクタイと革靴を着用します。女性も同じく黒色のワンピースあるいはスカート・パンツのスーツを着用します。学生の場合は、制服を着用してかまいません。
最近は家族のみで自宅で一周忌を行うことも増えています。その場合でも、基本的に喪服を着用するのがマナーです。ただしお寺などと相談したうえで、平服で参列する場合もあります。その場合、男性も女性も過度な肌の露出は避け、黒やグレーなどの落ち着いた色味の服装を心がけましょう。
男性はスーツあるいは襟付きのシャツにスラックス、女性はワンピースやシャツとスカート・パンツなどの着用が望ましいです。いくら身内だけとはいえ、弔事にふさわしい服装を忘れないでください。
一周忌の施主の挨拶
一周忌の法要に親族や故人の知人・友人を招く場合は、施主から挨拶を行うのがマナーです。時間を割いて足を運んでくれた参列者への礼儀を尽くしましょう。しかし、挨拶の内容を思いつかないという場合もあるでしょう。そこで、法要の開始時と終了時の挨拶の文例についてご紹介します。
法要の開始時
例文
「本日はお忙しい中、故〇〇の一周忌法要にお集まりくださり、ありがとうございます。ただいまより、故〇〇の一周忌法要を始めさせていただきます。本日の法要は、△△寺住職、□□様にお願いいたしました。それでは□□様、よろしくお願いいたします。」
「故〇〇」には故人の名前を当てはめます。名前は戒名を用いるのが正式ですが、最近では、分かりやすさを重視して生前の名前を使うことが多いです。
法要の終了時
例文
「皆様のおかげで、無事に故〇〇の一周忌法要を終えることができました。多くの人にお集まりいただけて、故〇〇も感謝していることと思います。故人に代わり、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
ささやかながらお食事をご用意いたしました。お時間がございます方は、ぜひお召し上がりください。故人の思い出話など聞かせていただけると嬉しいです。それでは、本日はありがとうございました。」
法要後に会食を予定している場合は、参列者を誘導する案内を付けます。食事がない場合は、感謝とともに、閉会を伝えましょう。
【参列者側】一周忌に参列する場合のマナー
一周忌に招かれる側になることもあります。ここからは、一周忌の参列者側の基本的なマナーについてご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
香典か供物を持参する
一周忌法要に参列する場合は、香典かお供え物を持参するのがマナーとされています。どちらか一方でかまいませんが、より気持ちを表したい場合などは、両方持参することもあります。それでは、香典とお供え物のそれぞれのマナーについて簡単に見ていきましょう。
香典のマナーとは?
一周忌の法要では、「香典」ではなく「供物料」という名称を使うこともあります。いずれの場合も金額相場は故人との関係性によって異なります。親族の相場は1万~3万円です。知人・友人は5000円~1万円が相場です。
香典袋は白黒・結び切の水引がついたのし袋を用います。金額が1万円以下の場合は水引が印刷された封筒タイプののし袋でもかまいません。表書きは「香典」あるいは「御供物料」「御仏前」とします。
表書きは水引飾りの真上あたりに書きます。水引の飾りを挟んで下段に、香典を包んだ人の名前をフルネームで書きます。筆記用具は筆か筆ペンを用います。このとき、墨は通常の濃さの墨を用います。
供物のマナーとは?
お供え物は線香やロウソクなどが一般的です。また、故人が生前好きだったお菓子やお酒のほか、旬の果物もお供え物によく選ばれています。食べ物のお供え物は、お供え後に遺族が分け合うことが多いです。そのため、個包装などの小分けしやすいものがよいでしょう。
生菓子などの傷みやすいものは避け、常温で日持ちするものを選びます。魚や肉などの殺生を連想させるものはお供え物にふさわしくありません。また、お供え物は熨斗をかけて持参します。
熨斗は黒白あるいは双銀の結び切の水引がついたものを選びます。表書きは「御仏前」や「御供」「御供物」などが一般的です。書き方のマナーは香典と同様で、筆・筆ペンで通常の濃さの墨を用います。最近は表書きや氏名が印刷されたものを使うことも多いです。
お供え物ではなく供花を持参することもあります。一周忌では故人の死を悲しむのではなく、故人を偲ぶ段階に入ります。そのため、すこし明るい色味のお花を選んでもかまいません。ただし、バラのように棘のある花や、ヒマワリのように華やかすぎるお花は避けましょう。また、ヒガンバナのように毒のあるお花も供花には向きません。
服装のマナー
一周忌の参列者は略礼服を着用するのが一般的です。男性はダークスーツのほか、グレーなどの暗い色味のスーツを着用してかまいません。女性も同様に、ダークスーツやワンピースなどを着用しましょう。
案内状に「平服でお越しください」と書かれていることもあります。その場合でも、普段着は避けて略礼服を着用するのが無難です。あるいは、ダークスーツや、暗い色味のスーツなどでもかまいません。男女ともに、法要中はジャケット(上着)を着用するのがマナーです。
参列できないときは?
一周忌の法要は葬儀と異なり、遺族側が招待をした人のみが参列します。そのため、招待を受けたら参列するのが基本的なマナーです。しかし、どうしても都合がつかずに辞退する場合もあります。その場合のマナーについて見ていきましょう。
早めに欠席の連絡をする
一周忌法要を欠席する場合は早めに連絡をします。遺族は引き出物や会食の準備がありますので、ぎりぎりに欠席の連絡をするとそれだが無駄になってしまいます。そのため、欠席しなければならないと判明した時点で、すぐに連絡をするのがマナーです。
供物や供物料を贈る
誘いを受けたものの欠席する場合は、代わりに供物や供物料を送るのが一般的です。相場は参列する場合の相場と同様です。参列の代わりに供物などを送る場合は、法要の1週間前~前日までに先方に届くように手配しましょう。また、欠席のお詫びの手紙などを添えておくと、より丁寧です。
一周忌は節目となる法要
一周忌は遺族の喪が明ける日であり、年忌法要の中でもとくに大切にされている行事です。当日に慌てなくて済むよう、準備は入念に行いましょう。
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