五十日祭の意味や儀式の流れ・参列するときのマナーについて解説

公開日 : 2021/1/17

更新日 : 2021/1/17

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この記事では、神式の儀式のひとつ、五十日祭について述べています。関係する儀式や、準備する物、また、参列する際のマナーなどについて解説しています。神式というと物怖じしてしまいがちですが、五十日祭に参列するときは、この記事を参考にしてみてください。

公開日 : 2021/1/17

更新日 : 2021/1/17

目次

五十日祭は神道の儀式

五十日祭は、霊から神へと変わった故人を家の守り神としてお迎えする神道の儀式です。神道とは、古来日本に存在した日本独自の宗教で、仏教やキリスト教が一神教なのに対し、神道ではあらゆるものに神が宿るとされており、多神教なのが主な特徴です。

 

祖先や故人を神と崇め、天津神、国津神などの祖霊を祀ります。仏式でいえばお寺にあたるのが神社、僧侶にあたるのが神職(神主さん)です。

 

また、仏教でいう「葬儀」は「斎場祭」または「神葬祭」といい、「法要」のことは「霊祭」といいます。

五十日祭とは

神道の五十日祭は、「ごじゅうにちさい」と読み、仏教でいう四十九日の法要に似た儀式です。五十日祭で忌明けとなるという点でも四十九日と似ています。

 

五十日祭は神社で執り行うイメージがありますが、神道では死は穢れとされており、神聖なる神社に穢れを入れるわけにはいきません。神社ではなく、自宅や墓前、斎場で行います

五十日祭の意味

五十日祭は、故人が神様となって親族を守ってくれるという神道のいわれに倣い、新しい守護神として自宅の神棚(祖霊舎)にお迎えする儀式です。故人の家族が主催者となって親族一同を招き、五十日祭の儀式を執り行います。

 

「葬場祭」は仏式の葬式にあたりますが、葬場祭を終えた後に行うさまざまな儀式は、故人を神として奉るために行います。

五十日祭以外の儀式

五十日祭以外にも故人をなぐさめるため、さまざまな儀式があります。葬儀の翌日には「翌日祭」を行い、その後10日ごとに「十日祭」「二十日祭」「三十日祭」「四十日祭」を執り行い、50日目に「五十日祭」を迎え、忌明けとなります。

 

五十日祭の後は「百日祭」、以後式年祭として「一年祭」、「三年祭」、「五年祭」、「十年祭」、「五十年祭」を行っていきます。

 

また、仏式でいう葬儀は「神葬祭」、通夜は「通夜祭」といいます。

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五十日の数え方

神道では、亡くなった日を「1日目」として数え、その翌日が2日目となります。例えば、11月15日に亡くなられた場合、「翌日祭」は11月16日、「十日祭」は11月24日、「二十日祭」は12月4日、と以後各霊祭を行っていきます。

五十日祭の準備

五十日祭までに準備することは、思っていたよりもいろいろあります。神官との打ち合わせや、会食の会場確保などやるべきことが次々と出てきて、軽くパニックになる方もいらっしゃるでしょう。やるべきことをリストアップしてひとつずつ進めていきましょう。

神官との打ち合わせ

神官と五十日祭を執り行う日程を調整します。50日目のその日に行うより、参列者のスケジュールを考えて、50日目より前の土日に行う場合が多いようです。神官のスケジュールとすり合わせて最終的に日程を決めます。

会食の会場

会食の会場をおさえ、食事の用意が施主側で必要ならその手配をします。日時や会場を借りる時間、いつ頃までに最終人数を連絡するかなど、会場側とよく打ち合わせておきましょう。

 

次項で紹介する案内状で、出欠席がわかって人数が確定したら、会場に最終人数を連絡します。最終人数は前日までには確定させて、会場側に連絡できるようにしておくとよいでしょう。

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案内状を送る

日程がきまったら案内状の手配をします。案内状は五十日祭を行う1か月前ごろに送るのがベストです。文面を考え、印刷業者なりパソコンなりで印刷をして、招く人に郵送します。

 

往復はがきを使って、出席か欠席か、返信用はがきで連絡してもらえるようにしておくとよいでしょう。

 

案内状に書く内容は、葬場祭(仏教でいうお葬式)に参列していただいたお礼を述べ、五十日祭の案内をします。五十日祭の日時、会場を知らせ、出席をお願いします。返信用はがきで出欠の連絡をもらえるようにしておくと、スムーズに進みます。

祭祀料

神官に包む祭祀料の準備もしておきましょう。祭祀料とは、仏教でいうお布施にあたります。儀式を執り行ってもらったお礼として、神官に渡す謝礼金で、五十日祭にも必要です。

 

五十日祭の祭祀料の相場は3万円~5万円で、五十日祭と納骨を一緒にする場合は、5万円~7万円を包みます。表書きは「御礼」または「御祭祀料」とします。さらにお車代として5千円~1万円、お食事料5千円~2万円と、祭祀料とは別に包みます。

祭壇の飾り付け

五十日祭のために祭壇を設置します。飾り付けには、八足の三段の棚、大きな白い布、遺骨、遺影、榊と榊立てが必要です。八足というのは棚の足が8本、という意味です。

 

設置した棚を白い布で覆い、上段には故人の遺骨と遺影、中段の真ん中に、仏教での位牌に当たる霊璽、霊璽の左右に榊を入れた榊立て1対を飾ります。中段の空いているスペースと段には、三方とお供えを載せたお皿を安置していきます。

 

祭壇や飾り物はレンタルもあります。電話やメールで手軽に申し込めるので、ネットで探してみるとよいでしょう。榊は花屋さんで取り扱っています。場合によってはスーパーなどにも置いてあります。当日か前日あたりに準備しておきましょう。

五十日祭の儀式

五十日祭に関係する儀式には、どのようなものがあるのか知っておくと安心です。まとめてみましたので参考にしてみてください。

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五十日祭前後に行う儀式

五十日祭の日の前後に行う儀式をご紹介します。合祀祭、清祓いの儀、納骨、といった儀式があり、玉串料のお返し(引き出物)を送ります。これらの儀式は本来なら五十日祭の前後に行いますが、五十日祭当日に行うのが一般的になっています。

合祀祭

故人の霊を仮の霊舎から祖霊舎(神棚)に移す儀式です。合祀祭は本来なら五十日祭を終え、百日祭までの間、夜にとり行う行事ですが、現在では五十日祭当日や、五十日祭の前に行われることが多くなっています。

 

神道では、故人は家の守護霊となって家を守ってくれる、とされています。祖霊舎には先祖が祀られており、五十日祭が終わって、霊から神になった故人の霊璽を先祖と共に祀るという意味があります。霊璽とは、仏式でいう位牌にあたります。

清祓いの儀

五十日祭が終わったら、家中を清め祓います。本来なら五十日祭の翌日に行う儀式です。故人が亡くなってすぐに、先祖の霊を祀った祖霊舎(神棚)の扉を閉め、白い紙で封じられますが、清祓いの儀でこの白い紙を取り外します。清祓いの儀が終わったら遺族は忌明けとなります。

納骨

墓石の建立などの準備が整っていれば、五十日祭当日に行ってもよい儀式です。骨壺、埋葬許可証、ご供物などの用意が必要になるので、納骨の儀式の前によく確認しておきましょう。埋葬許可書は自治体の市区町村役場で発行してもらえます。

 

納骨には出費が意外に重なることを心づもりしておきましょう。例えば、納骨堂の入り口にある石板を素人が明けると石板が欠ける、ひびが入る、など傷つけてしまうことがあるので、石材店に頼んで開けてもらいます。それだけで1万5000円~3万円の費用がかかります。

 

神官へのお礼である玉串料は3万円~5万円、墓地まで来てもらうお車代として5000円~1万円など、意外とお金がかかります。

お墓について

神式の場合、お墓の外見は仏式とほぼ同じシンプルな姿ですが、上部の先端がピラミッドのような三角錐になっています。三種の神器の一つである「草薙神剣」に似せているといわれています。

 

神道ではお墓を建てる場所を選ぶのが大変な場合があります。よく使われているのが公営や民営の霊園に建てることです。そんなに多くないですが、近頃では神式の専用墓地も見られます。

玉串料の引き出物(お返し)を送る

玉串料のお返しとして引き出物を用意し、参列していただいた方に送ります。引き出物は「消え物」と言われる洗剤などの生活必需品や、食品などすぐに消費できる品物を選びましょう。

 

引き出物にはのし紙をかけ、挨拶状を同封します。引き出物は「偲び草」とも呼ばれ、「茶の子」のように粗品であることを表します。のし紙の上側には「志」、「偲び草」、「五十日祭志」といった言葉を入れ、下側に施主の名字を入れます。

 

挨拶状の内容は、まず葬儀へ参列してくださったお礼を述べます。五十日祭を無事に終えたこと、玉串料へのお礼を言い、返礼品を送る旨を伝えて締めくくります。

五十日祭の儀式

五十日祭で行う儀式をご紹介します。先ほどお伝えしたように、神社で行うのではなく、神官に出向いてもらい、自宅や墓前、斎場などで行います

献饌

祭壇や墓前に、故人が好きだった物などをお供えする儀式です。お供えするのを「献饌」といい、お供えを下げることを「撤饌」といいます。

祝詞奏上

神官により祝詞の奏上が行われます。神様に聞いてもらえるよう声に出して祝詞を読み上げるのを奏上といい、神様に感謝の意と信奉を伝える文章を祝詞といいます。

玉串奉奠

榊の枝に紙垂をつけたものを玉串といい、玉串を祭壇に供えることを奉奠といいます。仏式でいうお焼香が玉串奉奠にあたります。玉串奉奠には手順がありますが、後ほどご紹介します。

直会

五十日祭の祭壇に飾られたご供物を撤饌し、列席した人でいただきます。神様と同じものを食し、神力を分けていただく儀式です。

五十日祭に参列するなら

五十日祭に招かれた場合、準備や当日のマナー、服装などどうすればよいか迷うことも多いでしょう。仏式はともかく、神式の儀式には参列する機会がなかなかありません。

 

あるとすれば結婚の神前式や地鎮祭などですが、不祝儀の経験はほとんどない方が多いでしょう。五十日祭は仏式でいう「四十九日」に似た儀式です。神式でも、呼び名が違うだけで仏式と同じように営まれるので、あまり構える必要はありません。

玉串料

玉串は先ほどもご紹介したとおり、神様が宿るといわれる榊に、雷のような形に紙を折った紙垂や、木綿を付けたものをいいます。

仏式でいう香典

表書きが違うだけで意味あいは仏式における香典とほぼ同じ、と思っておいて構いません。ただし、お金を入れる封筒や、表書きは神式のしきたりに合わせましょう。

表書き

仏式の場合は「御仏前」「御香典」「御香料」などですが、神式では「御玉串料」「玉串料」「弔慰金」を表書きにします。

 

薄墨で書くのは仏式と同じです。悲しみのあまり、硯に涙が入ってしまい墨が薄くなってしまいました、という意味で薄墨を使います。玉串料は、ご供物やご供物料とは別に包みましょう

玉串料を入れる袋

玉串料を入れる袋は、蓮の花や十字架など、仏教やキリスト教を連想させるモチーフが入っていない不祝儀袋(弔辞用の封筒)を用います。水引は黒白か、関西地方などでは黄白も用いられます。結い方は結びきり、または淡路結びになっているものを使いましょう。

相場

玉串料の相場は仏式の場合とだいたい同じと言われており、仏式の香典の相場は年齢や故人との関係によって変わります。

 

自分の両親には1万円~10万円、祖父・祖母の場合は3千円~3万円、兄弟・姉妹なら1万円~5万円、両親の兄弟(おじ・おば)の五十日祭に列席する場合は5千円~3万円を包むようです。それぞれの金額に上積みして会食の分1万円~2万円を包むのが望ましいとされています。

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服装

服装も仏式の不祝儀事にならって考えればよいでしょう。ちなみに数珠は必要ないようです。

男性の服装

基本的に黒系のスーツで参列するとマナーから外れません。ネクタイや靴下、靴などの小物も黒にします。アクセサリーは結婚指輪以外は外します。きらきらしい腕時計や、ネクタイピンなどはすべて外して参列しましょう。

女性の服装

女性も基本は黒系のスーツかワンピースです。靴下やストッキング、靴も黒で統一します。ハンドバッグは金具のついていない黒一色のもの、ハンカチは白いもの、地味なものを選びましょう。

 

女性も結婚指輪以外のアクセサリーは厳禁です。ペンダント、結婚指輪以外の指輪、ネックレス、ピアスやイヤリングなど派手になる小物は外します。女性がつけてよいのは真珠のネックレス1本だけです。

玉串奉奠とは

仏式でいうお焼香に似た儀式です。列席者が1人に1本ずつの玉串を祭壇に捧げていきます。最も気を付けなければならないことは、柏手です。神社に初詣に行くときなどの柏手は音が大きいほうがいいですが、弔事の際は音を鳴らさない「しのび手」で行います。

玉串奉奠の手順

祭壇の前に立ち、最初に遺族に会釈をします。神官の前へ行き、玉串をいただきます。玉串案という玉串を捧げる台の前に立ったら、祭壇に向けて一礼します。

 

玉串を作法に則って玉串案に捧げ、そのまま2~3歩後ろ歩きをして祭壇から下がります。二礼して、忍び手で音を立てずに2拍します。

玉串の受け方・捧げ方

玉串を神官から受け取るとき、右手で根元を持ち、左手で玉串を支えます。祭壇の前に進み出たら、根元を自分のほうに向けて玉串の先が祭壇を指すように縦にします。次に根元を左手で持って、時計回りに半回転させ、根元が祭壇のほうへ向くようにして捧げます。

五十日祭は神式の儀式

この記事では、五十日祭についてお伝えしました。五十日祭の意義や準備など、関係する儀式、参列する際のマナーなどについて解説しています。五十日祭に参列する場合は、この記事を参考にしてみてください。