大切なご家族が亡くなられた時に必要な手続きチェックリスト
公開日 : 2020/6/4
更新日 : 2020/9/10
大切なご家族が亡くなられた深い悲しみの中、冷静に必要な手続きや届け出を行うことは困難なものです。手続きは多岐にわたり、期限のあるものもあるため、どうしても漏れが発生します。今回は、そんな死亡後の手続きや届け出についてご紹介いたします。
公開日 : 2020/6/4
更新日 : 2020/9/10
目次
大切なご家族が亡くなられた時に
大切なご家族やご親族が亡くなったとき、どのような手続きが必要になるかよくわからない方は多いでしょう。今回の記事では、死亡後に必要となる手続きについて、いつまでにどのような手続きを行えば良いか、期限順にご紹介していきます。
死亡後の手続き一覧
死亡後の手続きを一覧にまとめました。たくさんの手続きがあることがわかります。(一覧にあるものすべての手続きが必要になるわけではありません。)次項より、各手続の詳細はご紹介いたします。
期限 | 手続き・届け出 |
7日以内 | 死亡診断書・死亡届の提出 |
火葬許可申請書の提出 | |
通夜・葬儀・告別式 | |
10日以内 | 年金の受給停止と請求 |
14日以内 | 健康保険証の返却 |
介護保険証の返却 | |
世帯主の変更届 | |
1ヶ月以内 | 各種契約の変更・解約 |
3ヶ月以内 | 相続の手続き |
4ヶ月以内 | 所得税の準確定申告 |
10ヶ月以内 | 相続税の申告 |
1年以内 | 遺留分減殺請求 |
2年以内 | 葬祭費・埋葬料の申請 |
高額療養費の払い戻し | |
死亡一時金 | |
3〜5年以内 | 各種年金の受給 |
生命保険受け取り | |
その他 | 各種契約の変更・解約 |
事業を引き継ぐ場合 |
手続きの詳細
ここからは、各手続きや届け出がどのような場合に必要か、その方法、注意点等の詳細についてご紹介いたします。
7日以内に必要な手続
故人が亡くなられて葬儀を執り行うまでの手続きについてご紹介いたします。この期間は精神的に辛く、落ち着いて行動することが難しい時期です。少しでも落ち着いて行動できるように、どのような手続きがあるかできるだけ覚えておきましょう。
死亡届および死亡診断書の提出
まず最初に準備しなければいけない書類は、死亡届と死亡診断書(死体検案書)になります。死亡診断書については、医師に書いていただく書類で医学的に死亡を証明するものです。死亡日時・死因などが記入されます。費用は、平均5000円程度です。死亡届は、故人の遺族、親族、同居人等の関係者が記入する書類です。故人の氏名や死亡日などを記入します。
この二つの書類はセットになっており、市区町村の役所に提出しますが、提出すると控えなどは、返却されません。後日必要となる金融機関、保険会社、年金関連の手続のために、忘れずにコピーしておきましょう。
火葬許可申請書の提出
火葬を行うには、市区町村の役所の許可が必要です。死亡届を提出する際に合わせて火葬許可申請書を提出しましょう。死亡届が受理されたのち、火葬許可証が交付されます。火葬当日には、この火葬許可証を火葬場に提出してください。
火葬終了後、火葬済みの印が押されたものが返却されますが、この火葬済み印の押された火葬許可証は、納骨をする際に必要になります。一般的に納骨は、四十九日法要と合わせて行いますので、それまで大切に保管しておきましょう。
通夜・葬儀・告別式
通夜・葬儀・告別式を行うために、近親者・関係者への連絡、葬儀社への手配を行います。ご家族が亡くなり、精神的に苦しい時期の負担を減らすため、突然亡くなった場合は難しいですが、できるだけ生前に葬儀社を決めておく方が良いでしょう。
10日から14日以内に必要な手続き
この期間は年金や健康保険などに関する手続きを行う必要があります。故人が加入していた年金や健康保険の種類により、期限や手続き先が変わりますので詳細を見ていきましょう。
年金の受給停止と請求
年金受給者が亡くなった場合には、年金事務所に受給権者死亡届を提出します。この届けを提出しないと、亡くなった後も年金が支払われ続けるため、不正受給になってしまいます。忘れずに提出しましょう。
故人の加入している年金が、厚生年金の場合は10日以内、国民年金の場合は14日以内に提出する必要があります。また、年金の支給が基本的に2ヶ月ごとであるため、もし生前にまだ受け取っていない年金があった場合は、請求をして受け取りましょう。
資格喪失に伴う健康保険証の返却
故人が、会社の社会保険に加入していた場合、会社の方で資格喪失の手続きを行ってくれる場合がほとんどですが、念のため勤務先に確認しましょう。
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は、14日以内に保険証を市区町村の役所に返納します。
介護保険証の返却
故人が、介護保険の被保険者だった場合は、介護保険被保険証を市区町村の役所に返却します。介護保険料については、亡くなった後の分まで支払っている場合は、還付されます。また、保険料の未払いがあった場合は、遺族が支払う必要があります。
世帯主の変更届
世帯主が亡くなった場合、死亡届を役所に提出すると自動的に世帯主が変更されます。配偶者がいる場合は配偶者が、配偶者がいない場合はその世帯の中の年長者が、世帯主となります。もし世帯主を上記とは異なる方に変更したい場合は、世帯主の変更届を14日以内に役所に提出します。
1ヶ月〜1年以内に必要な手続き
ここからは、1ヶ月〜1年以内に必要な手続きについて見ていきましょう。支払いや相続に関係した多くの手続きがありますので、期限が過ぎてしまわないように気をつけましょう。
各種契約の変更・解約
故人の口座から引き落とされていた公共料金や通信費の支払いを、変更または解約します。期限は特に決まっていませんが、月単位に支払うものがありますので、1ヶ月以内に行う方が良いでしょう。主に以下のようなものがあります。
- 水道
- ガス
- 電気
- クレジットカード
- 固定電話
- 携帯電話
- インターネット
相続の手続き
故人の遺産の相続については、亡くなってから3ヶ月が過ぎると無条件で全ての財産(負債も)相続することになります。3ヶ月以内であれば、遺産の内容を確認して、全ての財産を放棄する「相続放棄」や一部の財産のみ相続する「限定承認」が可能なので気をつけましょう。
所得税の準確定申告
故人の確定申告は、相続人が代わりに行なわなければなりません。相続人が代わりに確定申告を行うことを「準確定申告」と言います。故人に確定申告が必要な所得がある場合は、必ずしましょう。通常の確定申告は2〜3月に行いますが、準確定申告は故人が亡くなってから4ヶ月以内に行います。
相続税の申告
相続税の申告については、税理士の方にお願いするのが一般的です。費用がかかることですので、ご自身で行うことも可能ですが、価格評価や税額計算など専門的な知識が必要になります。申告に誤りがあった場合は、税務調査となる可能性もありますし、納税額を減らす特例の適用が漏れて過大に税金を払ってしまうこともあるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットを考慮して、ご自身で申告するか、税理士に依頼するかを検討しましょう。税理士に依頼する場合は、インターネットで相続専門の税理士を探して依頼するのが良いでしょう。
遺留分減殺請求
遺留分とは、故人との関係により法律上遺産を相続できる割合を表します。遺留分減殺請求とは、故人の遺言等で相続する遺産がこの割合より少ない場合に、その割合分を請求する手続きとなります。
請求の期限は1年以内となっており、この期限を過ぎてしまうと請求する権利が消滅してしまいますので、注意しましょう。また、遺留分については相続対象の方の故人との関係や人数により変わりますので、わからない場合は弁護士に相談するのが良いでしょう。
2年以内に必要な手続き
2年以内に必要な手続きは、お金を受け取ることができる3つの手続きがあります。故人が亡くなった後、葬儀・法要費用などの経済的な負担の助けになりますので忘れずに申請して受け取りましょう。
葬祭費・埋葬料の申請
葬祭費は、故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合に受け取ることができます。申請は市区町村の役所にて行います。支給額については市区町村で異なりますので、気になる方は確認してみてください。
埋葬料は、故人が会社員で社会保険に加入していた場合に受け取ることができます。申請は、年金事務所または会社の所属する健康保険組合に行います。支給額については5万円になります。
葬祭費・埋葬料共に、自動的に支給されるものではないため、忘れずに期限内に申請をしましょう。
高額療養費の払い戻し
故人が、生前に入院や手術などで高額な医療費を支払っていた場合、高額療養費の申請を行うことで還付される可能性があります。医療機関において限度額適用認定を提示していなかった場合、年齢や取得に応じた限度額以上の支払い分は手続きを行うことで還付されます。
国民健康保険または後期高齢者医療制度の場合は市区町村の役所に、社会保険の場合は会社の健康保険組合に申請します。
死亡一時金
故人が、国民年金を3年(36ヶ月)以上納めていた場合は、「死亡一時金」を受け取ることができます。ただし、故人が老齢基礎年金や障害基礎年金の支給を受けたことがある場合や、遺族に遺族基礎年金が支給される場合は、死亡一時金は受け取れません。
受け取れる金額については、保険料を納めた月数に対応して多くなります。
納付月数の合計 | 死亡一時金 |
36〜180ヶ月未満 | 120,000円 |
180〜240ヶ月未満 | 145,000円 |
240〜300ヶ月未満 | 170,000円 |
300〜360ヶ月未満 | 220,000円 |
360〜420ヶ月未満 | 270,000円 |
420ヶ月以上 | 320,000円 |
3〜5年以内に必要な手続き
故人が亡くなった際、家庭の収入が大きく減少してしまう場合もあるでしょう。生命保険や遺族年金は、今後の生活のために必要です。忘れずに手続きを行いましょう。
生命保険受け取り
故人が、生命保険に加入していた場合、死亡保険金を受け取ることができます。保険金を請求できる期限は、故人が亡くなった日から3年以内と決まっていますので忘れないように受け取りましょう。
各種年金の受給
遺族が受け取ることができる年金は主に以下の3つがあります。
- 遺族基礎年金
故人が自営業の場合に受け取ることができます。
子供がいる配偶者と子供が受け取ることが可能です。
- 遺族基礎年金+遺族厚生年金
故人が会社員の場合に受け取ることができる年金です。
会社員の場合は厚生年金にも加入しているため
遺族厚生年金も合わせて受け取ることが可能です。
- 寡婦年金
妻が受け取ることができる年金です。
故人が国民年金に10年以上加入していた場合に、
60〜65歳の間受け取ることができます。
漏れが無いように落ち着いて手続きをしましょう
今回は、故人が亡くなった際に行う手続きについてご紹介しました。大切な方が亡くなって精神的に余裕がない時にたくさんの手続きを行う必要がありますので忘れずに全て行うことは難しいでしょう。
今回ご紹介した内容から、必要なものをあらかじめリストにしておき、どういった手続きを行わなければいけないか、どこに申請するかなどを一通り確認しておけば、いざという時に素早く手続きができ、落ち着いて故人の供養を行うことができるでしょう。
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