盂蘭盆って何?その由来や意味、お布施などのマナーについても解説!
公開日 : 2020/5/13
更新日 : 2020/9/10
盂蘭盆という言葉を聞いたことがありますか?響きから日本語にしてはおかしな言葉だと感じる人もいるかもしれません。盂蘭盆という言葉の響きが日本語っぽくないのは由来に関係しています。盂蘭盆の意味やお布施などのマナーと合わせて解説します。
公開日 : 2020/5/13
更新日 : 2020/9/10
目次
盂蘭盆の意味や由来
盂蘭盆は「うらぼん」と読みます。日本語の響きとして、違和感を感じる人もいるでしょう。それは、元が日本語ではないからです。盂蘭盆の意味や由来を知ると、日本語の響きとしての違和感の謎も解けるでしょう。 まずは盂蘭盆の意味や由来について解説します。
盂蘭盆はサンスクリット語が語源
盂蘭盆は、サンスクリット語の「ullambana(ウラバンナ)」の発音を日本語にしたものが語源となっています。「ウラバンナ」を「盂蘭盆」という日本語の当て字にして「うらぼん」と呼ばれるようになったのです。
なお、サンスクリット語の「ウラバンナ」には「逆さ吊り」という意味があります。死者は地獄で逆さ吊りにされて苦痛を味わう、と考えられていたのです。
盂蘭盆はそんな逆さ吊りにされて苦痛を与えられている死者を、一時的に救済するための行事です。苦痛から解放されて休暇を楽しんで欲しいという、遺族たちの願いも込められています。
由来は仏教経典
盂蘭盆が執り行なわれるようになった由来は、仏教経典に基づいています。仏教経典の中に「盂蘭盆経」というものがあり、これに基づいて盂蘭盆が執り行なわれるようになりました。
盂蘭盆経は偽経(ぎきょう)と言われています。偽経と言っても偽物のお経という意味ではありません。本来の経典とは、お釈迦様が説かれたものをサンスクリット文字で記録したものという定義があります。
偽経はサンスクリット文字で書かれたものをそのまま翻訳したのではなく、一度漢語などに翻訳されたものを更にわかりやすく翻訳されたものです。盂蘭盆経も更にわかりやすく翻訳されたものとされています。
盂蘭盆経の内容
盂蘭盆の由来とされている盂蘭盆経にはどのようなことが書かれているのでしょう。簡単に言えば「親孝行の在り方」について書かれています。具体的な内容は次の通りです。
お釈迦様の弟子の中に、神通力が得意な目連尊者がいました。ある日、彼が神通力で亡くなった母親を探したところ、飢餓道に落ちて苦しんでいました。そこで、神通力を使って食べ物や飲み物を母のもとに届けようとしますが、すべて灰になって届けることができません。
困った目連尊者はお釈迦様に相談しました。するとお釈迦様は、同じ苦しみを持つ者たちにいたわりの気持ちを持つようにと仰いました。そこで、断食の修行を終えた僧侶たちにごちそうを振る舞うと、その功徳が認められて母親や極楽浄土へ行くことができました。
盂蘭盆の時期と過ごし方
盂蘭盆の時期はいつなのでしょう。また、どのように過ごせば良いのでしょう。疑問を抱いている人のために、それぞれについて詳しく解説します。
盂蘭盆の時期
盂蘭盆は現在でのお盆にあたります。そのため、お盆の時期が盂蘭盆の時期と言えます。お盆の別の言い方が「盂蘭盆」と思っておくと良いでしょう。
伝統的なお盆は旧暦の7月13~15日の3日間です。これは新暦での8月13~15日にあたります。お盆が8月13~15日の地域では、それが盂蘭盆にあたります。また、7月13~15日がお盆にあたる地域では、それが盂蘭盆です。
ただし、沖縄県の一部の地域はさらに時期が異なります。本来の旧暦と新暦は、毎年日にちが少しずつずれるという特徴があります。沖縄県の一部の地域では、厳密に旧暦で盂蘭盆が執り行なわれるため、毎年時期が異なるのです。
盂蘭盆の過ごし方
盂蘭盆はお盆のことですから、過ごし方もお盆と同様です。お墓参りに行ったり、自宅に盆棚を飾ったりするでしょう。それらと同じことを行なって過ごします。
お墓参りはご先祖様や神様にご挨拶をするために行ないます。また、亡くなった人をお迎えする準備ができましたという報告の意味も込められています。「いつでも戻ってきてくださって大丈夫ですよ」と伝えているのです。
盆棚や提灯を用意するのも、亡くなった人をお迎えする準備ができたというサインです。この時、キュウリで馬、茄子で牛を作ります。戻ってくるときはキュウリで作った馬で早く、帰りは茄子で作った牛でゆっくり戻る、という意味が込められています。
盂蘭盆を執り行なう際のルール
自宅で盂蘭盆を執り行なう際にはルールがあります。そのルールを知っておくと、当日になって慌てたり恥ずかしい思いをしたりすることは避けられるでしょう。
お布施が必要
盂蘭盆を自宅で執り行なう際には、僧侶に自宅に来てもらう必要があります。盆棚の前でお経を唱えて頂かなければいけないからです。
僧侶に自宅に来ていただき、お経を唱えて頂くのはただではありません。お布施という形でお金をお支払いする必要があります。金額は宗派やお寺によってさまざまです。一般的には10,000~20,000円が目安とされてます。
ただ、お寺によっては明確に料金表が定められているところもあります。その場合はその料金表に従ってお支払いします。また、どうしても自分で決められない場合はお寺に相談するのも一つの方法です。
新盆の際の特別ルール
自宅で盂蘭盆を執り行なう際のお布施の金額は、10,000~20,000円が目安だと説明しました。これは、通常で執り行なわれる盂蘭盆の場合です。初めて盂蘭盆を迎える新盆の際には、これ以外に更にお金をお渡しするのが一般的なルールとされています。
まず、お布施は少し多めで30,000~50,000円が一般的とされています。更にこれとは別にお車代とお膳代も一緒に渡します。お車代は5,000~10,000円、お膳代は用意したお膳の代金できりの良い金額をお支払いします。
海外の盂蘭盆
盂蘭盆は日本だけのものではなく、中国や台湾、韓国などでも執り行なわれています。もともと中国から渡ってきた風習だとも言われているため、東南アジアで広く取り行なわれる行事なのです。
中国や台湾などの盂蘭盆は自宅ではなく、道端に果物やお線香をお供えします。多くは玄関先の道端にお供えしますが、場合によっては近所の人たちと一か所に集まることもあります。また、紙で作ったお札や服を燃やします。
韓国の盂蘭盆会は、自宅に祭壇を構えて果物などのお供え物をします。ただ、日本のように仏教行事として執り行なうのではありません。あくまでご先祖様をお迎えするための行事として執り行なうため、僧侶を招いてお経を唱えてもらうということはしません。
盂蘭盆は亡者にとっての休暇
盂蘭盆は、地獄での苦痛を与えられて罪を償っている亡者たちのいわゆる休暇のようなものです。遺族側で盆棚などを整えてお迎えする準備を整えないと、亡者は休暇を楽しむことができません。お墓参りだけでも良いので、盂蘭盆会の時期にはお迎えしてあげてください。
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